君のお兄ちゃんだから!!! -いつかこの恋を思い出せないとしても 新章-

千園参

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 人の未来は常に科学の力によって進化してきた。
 科学の力は常に人を新たなるステージへと誘い、導いてきた。
 来る未来、人は脳の100パーセントを引き出すことを諦め、脳にチップを埋め込むことで、現段階の脳の力を補う、拡張するという方法で進化を遂げることに成功した。
 つまりは脳をデータ化することで、衰えて失われていく記憶や思考能力といった脳に関する力を永久に維持することを可能とした。
 しかし、だがしかし、近年ではデータ化された脳をハッキングし、ウイルスを侵入させることで記憶の破壊や人格消失といった事例も多発し、チップの危険性や脆弱性が露呈する。
 チップを開発したアルテファルコ社はこれらの問題を開発するべく、より安全でセキュリティの高いチップを開発することに成功。
 一度は地に落ちたアルテファルコ社の信頼も回復へと向かっていた。
 これで全てが解決したわけではない。
 チップをめぐる物語が再び動き出そうとしていたのだった。




 僕の名前は冬城怜音とうじょうれお
 ライオンのように強く逞しく、そして誰かを守れる存在になれという両親の願いのもと、僕にその名前がつけられた。
 けれど、残念ながら僕は誰かを守ってあげられるほどの強さはなく、完全なる名前負けの日々である。
 そんな僕には妹がいる。
 歳が5つ離れた妹がいる。
 妹の名前は莉音りお
 とても可愛らしい僕の自慢の妹だ。
 両親は僕が高校生の頃に、交通事故でこの世を去ることになってしまった。
 路頭に迷うことになった僕たちだったが、莉音には普通の、普通でいい、特別でなくて良い、両親のいない悲劇のヒロインではなく、普通の女の子として生きて欲しいと思った僕は高校を卒業と同時に働くことを決めた。
 いつか来るであろう莉音の大学受験、大学進学に向けて、お金を貯めることにした。
 確かに働くことは楽ではなかった。
 苦しいことの方がどちらかと言えば多かったけれど、それでも頑張れたのはこれが自分のためではなく、莉音の幸せのためだと思えたからだった。
「お兄ちゃん、私もやっぱり高校卒業したら働くよ?」
 狭いアパートで二人暮らし、朝食の準備をしながら莉音がそう言う。
「ん? 何言ってるんだよ。莉音はちゃんと大学に行きなさいな。今時、大学行ってないと何にもできないんだぜ?」
「でも、お兄ちゃんは何だってできてるじゃない」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんだからだよ」
「意味わからん。とにかく、私も働くから」
「ダメだ」
「なんでー!」
「ダメなものはダメだ」
 莉音は現在、高校3年生。
 進路選択の真っ只中であり、心優しい莉音は僕に気を遣って大学進学を諦めようとしていた。
 兄としては妹には何としても大学へ行ってもらいたい。
 莉音が大学に入学することこそが今の僕の夢なのだから。
 妹が幸せならば僕はどんなことにだって耐えられるし、耐えてみせる。
 両親が死に、進路指導室で就職を決断したあの時、僕は覚悟を決めたのだ。



「本当に就職するの?」
「はい、止めても無駄ですよ。もう決めたことですから」
「冬城君の成績なら国立の大学だって余裕で入れるのに。どうして」
 担任だった紫子先生の困り顔は今も目に焼き付いている。
「僕よりももっと大切にしたい未来がある。それだけです」
「それって妹さんのこと?」
「はい、そうです。妹は僕よりも価値がある存在です。妹が大学に入学し、幸せになることこそが僕の進むべき進路であり、夢です」
「貴方の人生は貴方のものなのよ!? 妹さんは確かに大事かもしれないけれど、貴方の人生を台無しにしてまですることなの!?」
「することなんです。話はこれで全部です。あとは勝手に就職しますので、心配しないでください」
 僕は進路指導室を後にする。
「ちょっと待ちなさい! 話はまだ終わってない!」
「いえ、終わっています。僕は妹を幸せにします」


 あの日の決断と決意は間違っていない。
「ごちそうさま。それじゃあ、僕はそろそろ仕事に行くからな」
 朝食を済ませ、仕事へと向かう。
「あ、お兄ちゃん待って、私も朝練だから出る」
 妹と2人でアパートを出る。
 莉音はテニス部でエースを任されている。
 中学からテニスを始めた莉音はその才能を開花させ、全国大会で優勝するほどの実力を持っていた。高校進学の時はスポーツ推薦で今の高校に入学したほどの実力者だった。
 だが、本人はテニスでどうこうということを考えているわけでもなく、テニスは高校でやめようと思っているらしい。
 勿体無い気もするが、本人が興味がないのならそれは仕方のないことなのかもしれない。
「それじゃあ、お兄ちゃん、私こっちだから」
 分かれ道で僕と反対方向へと莉音は走り出した。
「うん、気をつけてな」
「お兄ちゃんも、お仕事頑張ってね」
「ありがと」

 莉音の高校進学の際に、家から通えるようにと高校に歩いて通える距離に引っ越してきた。
 それまで住んでいた家を売り払って。
 ちなみに僕の職場に向かうには、最寄りの駅から電車に乗るしかないわけだが、妹のためなら苦痛でも何でもないし、痛くも痒くもない。
 僕が何の仕事をしているのか。
 僕は今現在、市役所職員をやっている。
 元々はデステニーランドの着ぐるみバイトをしていたのだが、さずにデステニーランドという不定期休暇では妹の面倒ではない面倒を見るのは大変だと考えた僕は公務員試験を何とか突破し、市役所職員になることができたのだった。

 それから1日が始まり、1日が終わる。
 業務を終え、電車に乗ってアパートに帰ろうと市役所の最寄り駅へ向かう道中のことだ。
 あまりにも一瞬のことで、何が起こったのかなんて理解が追いつかなかった。
 タッタッタッ!
 何者かが走り寄ってくる足音が近付いているということに気が付いた時には、鉄パイプで強く殴られ、僕は地べたに倒れ込んでいた。
「だ、、、誰だ………?」
「はあ、はあ、はあ、ふふっ、ふふふっ、ふふふふふっ、莉音ちゃん。もうすぐ俺が君のお兄ちゃんになるよ」
 気を失う直前、気持ちの悪い眼鏡の男がそう言っているのを聞いた。




「はっ、ここはどこだ?」
 次に気がつくと、僕は椅子に縛り付けられていた。
 辺りを見回すと気味が悪いほどの真っ暗さと、その部屋を照らすかのようなデスクトップパソコンのモニターの光、そして配線だらけの部屋だった。
「なっ!? これはなんだ!?」
 何か違和感があった。
 声にも、身体にも。
 まるで自分が自分でないかのような違和感を感じる。
 感じたことのない恐怖と寒気に襲われる。
「あっ、気が付いた」
 どこかから馴染みのある声がする。
「やあやあ、初めまして。お兄様」
 そう言いながら真っ暗な部屋から姿を現したのは、
「ぼ、僕………」
「驚いたかな?」
「なんで僕が僕の目の前に……!?」
 何が起きているのか、起こっているのか全くわからないこの状態が怖くて怖くて仕方がなかった。仕様がなかった。どうしようもなかった。
「お前は誰だ!!? なんで僕と同じ顔をしているんだ!!!」
「同じ顔? おいおい、何を言ってるんだい? 俺は俺1人だよ」
「何を言っている」
 僕の見た目をした何者かが、手鏡で僕を映し出した。
「だ、誰だこれ……」
「今日からの君の顔だよ」
「な、ど、どういうことだ!!」
「頭のチップを入れ替えたのさ。君と俺のをね。そうすることで見た目を入れ替えたってことさ。でも、完全に入れ替わったってわけじゃなくて、チップのデータだけで、脳にも保管されている記憶はそのまま。だから、君には俺の記憶があるし、俺には君の記憶がある」
「そんな!? なんでそんなことを!!!」
「わかるはずだ。俺の記憶があるんだから、思い出してみなよ。例えば昨日こととかさ」
「昨日のこと……」
 莉音との思い出を思い出すかのように、僕は頭の記憶を辿っていく。
 気持ち悪いほど僕の知らない記憶が次々と呼び起こされてくる。
 僕が鉄パイプで殴られる瞬間もその記憶の中にはあった。
 さらにそれより前の記憶中に答えもある。
 薄暗い部屋に所狭しとびっしり敷き詰められた莉音の盗撮写真。
 僕たちのアパートの中を写した写真も貼り付けられている。
 それはつまりいつの間にか部屋に侵入されていたということだった。
 そして男は莉音の写真をベロベロと舐め回しながら、こう言う。
『明日はようやく計画の最終段階だ。俺が君のお兄ちゃんになる時が来たね。莉音ちゃん』
 と。
「そういうことか。莉音に手を出すな!!! この変態野郎!!!」
「変態は君だ。だって、君が全てやったことなんだからさ。俺は冬城怜音だから、これまで通り、公務員として、そして莉音ちゃんの兄として、清く正しく生きていくよ。莉音ちゃんのためにね。ぐふふふふふ」
 僕の顔のはずなのに、まるで僕の顔ではない。
 僕の顔とは思えない酷い顔をしている。
「ふざけるな!!」
 椅子に縛り付けられて身動きが取れない。
「外せ!!」
「外すわけないだろ、変態野郎」
 僕の見た目をした男は何やら電話をかけ始めた。
「あ、もしもし、警察ですか?」
「おい、何してる!」
「妹のストーカーを捕まえたので、今すぐ来てください!!」
 大根役者顔負けの醜い演技で警察をこの部屋に呼び寄せた。
「それじゃあ、牢獄で莉音ちゃんの幸せを願ってなよ、元、お兄様」
「ふざけんなぁああああ!! 外せぇえええ!!!」
 男はその場を立ち去ってしまった。


 それからしばらくして警察が部屋に突入してきた。
「通報の通り、男を発見しました。通報主の姿は見当たりませんが、容疑者らしき男を確認しましたので、連行します」
「待ってくれ!! ハメられたんだ!!! 僕じゃない!! ストーカーは僕じゃないんだ!!! 信じてくれ!!」
「はいはい、容疑者はみんなやってないってそう言うんだ。署まで来てもらうぞ」
 縄を解かれると同時に手錠をかけられた。
 結局、拘束されることに違いはなかった。
 テレビでしか見たことのない取調室へと連れて行かれ、事情聴取が始まる。
「この変態野郎が」
 警察にまで罵られる始末。
「僕がやったわけじゃない!! こうしている間にも妹に危険が迫ってるんだ!! こんなことしてる場合じゃないんだ!!」
「何をごちゃごちゃ叫んでんだ変態野郎が!!! 木茂戸拓也きもとたくや、お前に兄妹はいないことが調べでわかってんだよ!!」
「僕は木茂戸拓也じゃない!! 僕は冬城怜音だ!!」
「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇぞ!!」
 取り調べを行う警察官は僕の言葉を信じるどころか、耳を貸そうともしない。
「一体どうしたら………」
 気持ち悪いことに本当に自分が木茂戸拓也なんじゃないかと思えてくるほどに、男のストーキングの記憶ばかりが頭を駆け回る。
 記憶の中は莉音のストーキングのことで詰まっている。
 こんな危険な男が僕のフリをして、妹に近づこうとしていると思うと、居ても立っても居られない。
 早く、1秒でも早く、妹を助けに向かわなくては。


 その頃、アパートでは---
「ただいまー」
 木茂戸がアパートの鍵を開け、部屋に侵入する。
「あ、お兄ちゃん、おかえりなさい。お風呂、沸いてるよ」
「ありがとう、莉音ちゃん」
「?」
「いつもありがとうね、莉音ちゃん」
 木茂戸が莉音に抱きつく。
「ちょっと、お兄ちゃんどうしたの? なんか変だよ?」
「そうかな? はいつも通りじゃないか」
 莉音はその一言で全てを察し、油断している木茂戸を突き飛ばし、距離を取った。
「貴方、誰? お兄ちゃんじゃない」
「何を言ってるんだよ莉音ちゃん。俺は君のお兄ちゃんだよ? ほら、どこからどう見てもお兄ちゃんじゃないか」
「違う! 見た目はお兄ちゃんかもしれないけど、あとは全部違う! お兄ちゃんは自分のことを俺なんて言わないし、私のことを、ちゃん付けで呼ばない!」
「ッチッ、言葉遣いでバレるとはなぁ。やっぱ矯正しとくべきだったか」
 男の豹変に莉音は身を震わせる。
「お兄ちゃんをどうしたの!? 貴方は誰!!」
「お兄ちゃんは今頃、警察に捕まっているよ。俺は君が大好きなんだ。だから、こうして君のお兄ちゃんを貰い受けて、君に会いに来たんだよ。ほら、もう一度、さっきみたいに抱き付かせておくれよ」
「来るな、こっちに来るな!!」



 今も妹に危険が迫っているこの状況で冷静でいられない自分のなのか、木茂戸のなのか、混濁し始める記憶の中から莉音との会話を思い出す。
「お兄ちゃん、チップ入れなよ」
「えー、怖いだろ。ニュースで見ただろ? ハッキングとかウイルスとか入れられたらたまらんぞ」
「チップだって大事だよ?」
「そんなに大事とは思えんが……」
「だって、考えても見てよ? 車だってドライブレコーダーなんて標準装備なんだよ? それで過失の割合も変わるって言うし、人にだってチップがあれば、何かあった時の証拠品になるかもなんだよ?」
「うーん、それは一理あるか……」
「だから、チップ入れなよ」
「莉音がそこまで言うなら、仕方ない。入れるか」
 渋々、莉音の言うことを聞いて、チップを頭に入れた。
「そうだ……チップ……。僕のチップを調べてくれ!! それで全部わかるんだ!!」
「んあ? チップだ? 誰が見るかそんなの!」
 すると、部屋にベテラン感を漂わせたオジサン刑事が部屋に入ってきたかと思うと、
「そいつのチップを確認しろ」
「ですが、」
「早くしろ」
「わ、わかりました」
 僕はチップを抜き取られた。
 その間、僕は眠っていたらしく、次に目を覚ました時には取調室の外にいた。
 そして目の前にはチップを抜き取られる前に見たベテラン感を漂わせたオジサン刑事が立っている。
「やあ、目が覚めたか。冬城怜音さん」
「僕は……こうしてる暇はない!!! 僕は妹を助けに向かわなくては!!」
「その心配はありません」
「え?」
「既に警官が貴方のアパートに向かっています」
「そういう問題じゃねぇ!!!! 僕が、僕が!! 僕が妹を守るんだ!!!」
 木茂戸の身体は僕の身体のようには動いてはくれない。
 そんな身体を引きずりながら、アパートへと向かう。
 しかし、だがしかし、慣れない身体だからか、すぐにオジサン刑事に捕まってしまう。
「冬城さん、その身体で向かうのは無理です」
「だからって、諦めろと?」
「いえ、もし私が貴方なら、同じことをするでしょう。だから、私が貴方を現場に連れて行きます」
「ありがとう……!」
「さあ、妹さんが危ない! 急ぎましょう!!」
「はい!」
 パトカーに乗り込み、アパートへと急行する。



 一方で莉音は木茂戸に押さえ込まれていた。
「いやぁああ!! 離してぇええ!!」
「昔、よく言ってたじゃないか。お兄ちゃんと結婚するって。今がその時さ。誓いのキスをしようじゃないか」
「やだ、やだやだやだぁあ!! 助けて、誰か助けて!! お兄ちゃあああん!!!」
 ドカンと扉を蹴破り、勢いそのままに僕は僕を体当たりで吹き飛ばした。
「莉音!! 大丈夫か!!?」
「お兄、、ちゃん?? お兄ちゃんなの?」
「そうだ、僕が冬城怜音だ」
「確保!!!」
 オジサン刑事が木茂戸を押さえ込んだ。
 そして頭からチップを取り外したのを見て、僕も頭のチップを取り外し、オジサン刑事に投げ渡した。
 次の瞬間、僕は僕に戻っていた。
「刑事さん、僕に戻りました」
「そうか」
「はい、ありがとうございました」
 オジサン刑事は僕を押さえ込むのをやめ、木茂戸に戻った木茂戸に手錠をかけた。
「そんな……俺の計画が……!!」
「随分と回りくどいことをしたな変態野郎。ほら、立て!!」
 オジサン刑事が木茂戸を無理矢理立たせ、警官に連行させ、僕のところへと歩いてきた。
「なんとか間に合ったか」
「なんとか、、ね」
「ただ、一応、後日、事情聴取だけさせて貰いたいと思います。木茂戸拓也との関係などについてね」
「わかりました」
「だが、今日は怖い思いをしたでしょうから、妹さんとゆっくり休んでください」
「ありがとうございます」
 刑事たちを見送ってから、莉音と2人になった。
 莉音は泣きながら僕に抱きついてきた。
「お兄ちゃん!!」
「おっと! よしよし、怖かったな。僕も怖かったよ」
 莉音を抱きしめ返した。


 莉音が言った通り、チップが僕たち兄妹を助けてくれた。
 けれど、チップがなければそもそもこのような事件が起きなかったかもしれない。
 便利な道具というものは利便性と危険性を常に兼ね備えているということなのかもしれない。
「ただ、一つ。チップを挿入した時、そのチップが本当に冬城怜音かどうかなんて誰がわかる? これからも僕が冬城怜音として、莉音、お前を一生守ってやるからな」
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