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chapter 3 -beginning of my story- 03
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クエストの指定した最後の地点も、同様の小山というか、平原の中に点在する堆い丘の頂上にあるようだった。
「なんか、疲れちゃったよ。」
それもそのはず。
このリアル志向のVRゲームは、歩く距離すらリアルに感じる。
一歩一歩踏みしめるその世界は、まさに平原。
それだけなら、楽しいピクニックである。
だが道が続いているとはいえ、舗装された道ではなく、草を刈っているというだけの、いわば砂利道。
しかもただ歩くだけではない。
狩りに伴う戦闘やアイテムバッグに増えていく荷物は、確実に負担をかけていた。
スポーツをしながら、マラソンをしているようなものだ。
額に汗がにじむ。
金を稼ぐということは、かくも厳しいものなのだということを思い知らされる。
悠ですら、少しくたびれているように感じた。
「これ…、ダイエットにはいいかもね。」
「高校生の俺らでこの疲労だぜ?どれだけハードでストイックなダイエットなんだよ。」
高校生男子の俺たちが、ここまで疲弊する運動量だ。
ちょっとテンポが悪い気はする。
「このクエストをこなすとどのくらいもらえるのかは知らないが、時給900円ほどだったら割に合わないぞ。」
「その点は大丈夫。一番報酬が低いクエストでも、一回で4千円くらいはもらえるはずだよ。」
ありゃ、それは割とお得かもしれない。
割と歩いてはいるが、さっきのテレポーテーションの甲斐もあり、クエスト自体は始まってから2時間ほどしかたっていない。
「急げば、時給1,300円も有りうるぞ。」
「確かに、行くか。」
時給1,300円なら、コンビニで深夜働くのと同等くらいか?
日中、昼のバイトならかなり割が良い小遣い稼ぎになるぞ。
「でも太っ腹だよね、アルカディアも。」
「確かにな。こんな風にゲームで遊んでるだけなのにな。」
「いや、そうじゃなくてさ。」
悠は疑問に思ったらしい。
「ゲームだからさ、多分集客とかのために、序盤はある程度サービスするんだろうけど。それにしても、クエスト一回につき4,000円って破格すぎない?」
確かに。破格すぎる。
「よっぽどゲームに自信があるんだろうな。まあ、お前もゲームアバターに課金してるわけだし。そういうプレイヤーがいることを考えると、案外バランスはとれてるのかもよ。」
「そうかなぁ。俺たちには得だから良いんだけどさ。」
ゲームで稼いだ金なら、ゲームに少し投資しても高くないと考えるプレイヤーは多いはずだ。
俺はそこまで疑問には感じなかった。
「これだけの完成度を持ったゲームなら、金を稼げなくても、ランキング上位を狙って課金するプレイヤーは多いだろうし、ゲーム筐体に使用料金が設定されたりするのかもしれない。」
「あぁ、今は無料ってそういう意味か…。月額利用料をとったりするかもって事?」
「そういうこと。それでもこのゲームをやるっていうプレイヤーは多いだろうな。」
φ
小高い丘を降り、また登る。
鎧の重さがみぞおちを蝕んでいく。
「雨じゃなくてよかったね。」
と途中、悠が恐ろしいことを言っていた。
こんなリアルなゲームなら雨も降るか…。
ホント、すごいゲームだな。
これだけ激しい移動を繰り返しているのに、描画されているグラフィックにはちらつきもない。
雨なんか降ったらどうなるのか…。
そんなことを考えながら、最後の指定地点に向かう。
「「あ。」」
俺も悠も同じものを見て声を上げた。
もう馴染み深いあのkeep outサインである。
と思った瞬間。
「2度あることは3度ある…か?」
魔法剣士が立っていた。
苦笑しながらいう。
「早いな、まだ超えてないぞ。」
俺たちはまだ、その禁止サインを超えていない。
今回は超える前に現れたようだった。
「言ったろう。近づいたキャラを監視しているんだ。」
騎士団の男が言った。
おいおい、大丈夫なのかよ…。
「仮にも一般キャラクターとしての参加なんだろ?そんな他プレイヤーを監視するような事して良いのかよ。」
男は悪びれず言う。
「まぁ、この辺を見張っていたところで、個人的な情報が得られたりはしないさ。」
そうかもしれないけどな。
「それより、ココを越えていくのか?」
男の目が急に鋭くなった。
「えぇ、そのつもりですけど。」
悠も思わずたじろぐ。
「何かマズいのか?」
男は続けた。
「このあたりの境界から、行方不明者が出ているんだ。気を付けて行けよ。」
え、怖っ!?
「ちょ、それってデータロストとかそういう…?」
「そういうことになるな。」
「データの復旧とかは?」
ちょっとした疑問をぶつけてみる。
「出来るんじゃないか?ただ、無事に帰れたらな…。」
男はニヤリと笑って、声色を変えながらおどろおどろしく言う。
「脅かしっこなしですよ。」
悠が怖がったポーズで言う。
「……ハハハ、冗談だよ。この先の地形は滑りやすい岩場になっている。気を付けて行けよ、ってのが本当の忠告さ。」
ハハハと無邪気に、そして豪快に笑う姿を見て、少し脱力する。
「なんだ……。滑りやすいってだけか。」
と肩を竦めると、
「いや、滑落すると、それこそゲームの外側に行ってしまったりするかもしれないぞ。そうなると本当に何が起こるかわからないからな。」
納得だ。
元々、理外の場所だもんな。
「わかった、気を付けるよ。」
「どうもありがとうございます。」
滑落注意。
単純だが、崖のそばが岩場なら確かに注意すべきだろうな。
「…、もしかしてこういう命の危険があるから、高時給バイトなのかな…。」
悠も不穏なことを言う。
「いやいやいやいや…。考えすぎだろ。」
流石に冗談だろ。
このくらいの場所なら、危険すぎることはない。
修学旅行や林間学校で、もっと危ない崖際まで行ったことあるっつーの。
それにゲームである以上、そこは安全だろう。
しかし、禁止エリアを越境するのも慣れたものだ。
他のゲームなら、時間経過で体力が減少して強制的にリスポーンしたり、禁止エリア外に飛ばされたりするものだが、そこまで実装する時間がなかったのだろうか。
φ
「今度の指定地点らどこにあるんだ?」
「もう禁止エリアに入って随分歩いたけどね。」
クエストペーパーの地図が示す場所は、まだ先になっている。
「毎回、入り組んだ場所が指定されてるよね。ちょっと見つけにくいっていうか…。」
最初もその次も、崖の裏側に祠があった。
考えてみれば、禁止エリアの境界線から少し離れていて、直接見ることができない場所だ。
偵察ということだから、直接見えては意味がない。
しかし、未実装のオブジェクトが隠してあるなら、それがプレイヤーの目に触れるような場所を指定するか?
「システムの完成度はものすごく高いけど、ゲーム自体はまだ黎明期って感じだな。」
こういうオンラインゲームはアップデートで進化していくものだ。
修正や新要素の追加によって、ゲームは改善されていく。
リリース後、序盤のゲームには粗も多いはずだ。
そう考えると、普通のことなのかな。
クエストの難易度と報酬などのゲームバランスだって、今後修正されるのかもしれない。
そう考えながらしばらく歩いていると、急にあたりが真っ暗になった。
「何だ……?」
「え……!?」
長い行軍のせいで、強く感じた日差しが突然途切れたことに驚く。
上を見上げると、大きく広げた翼。
重く堅そうな肌、いや鱗というべきか。
鋭い鉤爪、尻尾にも鉤状の棘。
明らかに、生態系の上位に君臨する生物の姿だった。
「「ドラゴン!?」」
その龍が羽ばたく姿は、圧巻そのものだった。
翼を広げた龍は、我々よりも遥かに強大で、その存在感だけで俺たちを恐怖させるに足るものだった。
「まさか、コレと戦うわけじゃないよな…?」
「何言ってるんだ。明らかにレベルが違うって!とにかく隠れてやり過ごそう。」
俺たちは辺りを見回して、姿を隠すことが出来そうなものを探した。
ちょうど俺たちの身体を隠すことが出来そうな岩場がある。
「あの岩の影に!」
一も二もなく飛びこみ、岩に背中をつけて、息を潜めた。
その岩は俺たちの体重を預けても、転がったりするようなことはないと確信するほど、重そうだ。
だが、あの龍に見つかったら、攻撃して来たら、この岩に隠れるくらいじゃダメだろう。
「とにかくやり過ごせれば、急いで最終地点まで駆け抜けて…」
言葉を言い終わる寸前に、大爆音が響き渡った。
「--------------------------!!!」
あまりの音量に思わず耳を塞ぐ。
「!!?」
龍の鳴き声、というよりも咆哮である。
龍が吼えただけで、動くこともできない。
何だこれ……、怖すぎだろ……。
ヤバすぎる。
耳を塞ぎながら、岩に身体を押し付ける。
心が折れそうになる。
しかし心や身体の前に、地面が悲鳴を上げていたようだ。
その崖が崩れ、地面が滑り始めた。
「この先の地形は滑りやすい岩場になっている。気を付けて行けよ。」
魔法剣士の男が言っていた言葉を思い出す。
「そうなると本当に何が起こるかわからないからな。」
そうか、こういうこともあるのか……。
なんてこと、考えてる場合じゃない!
「悠!ヤバイぞ、地滑りになる!」
「え、どうするんだ!?」
「とにかくここにいるより、斜面側じゃないほうに走れ!」
岩の影から出て、二人で力の限り脚を動かした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ノビー(昇)
Lv :10
職業 :戦士
装備 :鉄の帽子
ガントレット
鉄の鎧
鉄の剣
鉄の盾
スキル :薙ぎ払い
ソードステップ
受け流し
ボルテージ
インサイト
サポートダッシュ
サポートキャリー
バルクアップ
アイテム:???の指輪(未鑑定)
スタートポーション×29
短刀
ブーメラン
緑の雫×24
コボルトの毛×15
コボルトの小盾
コボルトの剣×2
コボルトの槍
コボルトの弓
所持金 :120G
――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ゆうゆう(悠)
Lv :11
職業 :魔法使い
装備 :とんがり帽(魔女)
布のローブ
木の杖
火の書01
氷の書01
癒しの書01
スキル :ファイア
チリング
ヒール
テレポーテーション
アイテム:スタートポーション×27
マジックポーション×5
緑の雫×26
コボルトの毛×10
コボルトの槍
コボルトの小盾
コボルトの弓×2
所持金 :110G
――――――――――――――――――――――――――――
「なんか、疲れちゃったよ。」
それもそのはず。
このリアル志向のVRゲームは、歩く距離すらリアルに感じる。
一歩一歩踏みしめるその世界は、まさに平原。
それだけなら、楽しいピクニックである。
だが道が続いているとはいえ、舗装された道ではなく、草を刈っているというだけの、いわば砂利道。
しかもただ歩くだけではない。
狩りに伴う戦闘やアイテムバッグに増えていく荷物は、確実に負担をかけていた。
スポーツをしながら、マラソンをしているようなものだ。
額に汗がにじむ。
金を稼ぐということは、かくも厳しいものなのだということを思い知らされる。
悠ですら、少しくたびれているように感じた。
「これ…、ダイエットにはいいかもね。」
「高校生の俺らでこの疲労だぜ?どれだけハードでストイックなダイエットなんだよ。」
高校生男子の俺たちが、ここまで疲弊する運動量だ。
ちょっとテンポが悪い気はする。
「このクエストをこなすとどのくらいもらえるのかは知らないが、時給900円ほどだったら割に合わないぞ。」
「その点は大丈夫。一番報酬が低いクエストでも、一回で4千円くらいはもらえるはずだよ。」
ありゃ、それは割とお得かもしれない。
割と歩いてはいるが、さっきのテレポーテーションの甲斐もあり、クエスト自体は始まってから2時間ほどしかたっていない。
「急げば、時給1,300円も有りうるぞ。」
「確かに、行くか。」
時給1,300円なら、コンビニで深夜働くのと同等くらいか?
日中、昼のバイトならかなり割が良い小遣い稼ぎになるぞ。
「でも太っ腹だよね、アルカディアも。」
「確かにな。こんな風にゲームで遊んでるだけなのにな。」
「いや、そうじゃなくてさ。」
悠は疑問に思ったらしい。
「ゲームだからさ、多分集客とかのために、序盤はある程度サービスするんだろうけど。それにしても、クエスト一回につき4,000円って破格すぎない?」
確かに。破格すぎる。
「よっぽどゲームに自信があるんだろうな。まあ、お前もゲームアバターに課金してるわけだし。そういうプレイヤーがいることを考えると、案外バランスはとれてるのかもよ。」
「そうかなぁ。俺たちには得だから良いんだけどさ。」
ゲームで稼いだ金なら、ゲームに少し投資しても高くないと考えるプレイヤーは多いはずだ。
俺はそこまで疑問には感じなかった。
「これだけの完成度を持ったゲームなら、金を稼げなくても、ランキング上位を狙って課金するプレイヤーは多いだろうし、ゲーム筐体に使用料金が設定されたりするのかもしれない。」
「あぁ、今は無料ってそういう意味か…。月額利用料をとったりするかもって事?」
「そういうこと。それでもこのゲームをやるっていうプレイヤーは多いだろうな。」
φ
小高い丘を降り、また登る。
鎧の重さがみぞおちを蝕んでいく。
「雨じゃなくてよかったね。」
と途中、悠が恐ろしいことを言っていた。
こんなリアルなゲームなら雨も降るか…。
ホント、すごいゲームだな。
これだけ激しい移動を繰り返しているのに、描画されているグラフィックにはちらつきもない。
雨なんか降ったらどうなるのか…。
そんなことを考えながら、最後の指定地点に向かう。
「「あ。」」
俺も悠も同じものを見て声を上げた。
もう馴染み深いあのkeep outサインである。
と思った瞬間。
「2度あることは3度ある…か?」
魔法剣士が立っていた。
苦笑しながらいう。
「早いな、まだ超えてないぞ。」
俺たちはまだ、その禁止サインを超えていない。
今回は超える前に現れたようだった。
「言ったろう。近づいたキャラを監視しているんだ。」
騎士団の男が言った。
おいおい、大丈夫なのかよ…。
「仮にも一般キャラクターとしての参加なんだろ?そんな他プレイヤーを監視するような事して良いのかよ。」
男は悪びれず言う。
「まぁ、この辺を見張っていたところで、個人的な情報が得られたりはしないさ。」
そうかもしれないけどな。
「それより、ココを越えていくのか?」
男の目が急に鋭くなった。
「えぇ、そのつもりですけど。」
悠も思わずたじろぐ。
「何かマズいのか?」
男は続けた。
「このあたりの境界から、行方不明者が出ているんだ。気を付けて行けよ。」
え、怖っ!?
「ちょ、それってデータロストとかそういう…?」
「そういうことになるな。」
「データの復旧とかは?」
ちょっとした疑問をぶつけてみる。
「出来るんじゃないか?ただ、無事に帰れたらな…。」
男はニヤリと笑って、声色を変えながらおどろおどろしく言う。
「脅かしっこなしですよ。」
悠が怖がったポーズで言う。
「……ハハハ、冗談だよ。この先の地形は滑りやすい岩場になっている。気を付けて行けよ、ってのが本当の忠告さ。」
ハハハと無邪気に、そして豪快に笑う姿を見て、少し脱力する。
「なんだ……。滑りやすいってだけか。」
と肩を竦めると、
「いや、滑落すると、それこそゲームの外側に行ってしまったりするかもしれないぞ。そうなると本当に何が起こるかわからないからな。」
納得だ。
元々、理外の場所だもんな。
「わかった、気を付けるよ。」
「どうもありがとうございます。」
滑落注意。
単純だが、崖のそばが岩場なら確かに注意すべきだろうな。
「…、もしかしてこういう命の危険があるから、高時給バイトなのかな…。」
悠も不穏なことを言う。
「いやいやいやいや…。考えすぎだろ。」
流石に冗談だろ。
このくらいの場所なら、危険すぎることはない。
修学旅行や林間学校で、もっと危ない崖際まで行ったことあるっつーの。
それにゲームである以上、そこは安全だろう。
しかし、禁止エリアを越境するのも慣れたものだ。
他のゲームなら、時間経過で体力が減少して強制的にリスポーンしたり、禁止エリア外に飛ばされたりするものだが、そこまで実装する時間がなかったのだろうか。
φ
「今度の指定地点らどこにあるんだ?」
「もう禁止エリアに入って随分歩いたけどね。」
クエストペーパーの地図が示す場所は、まだ先になっている。
「毎回、入り組んだ場所が指定されてるよね。ちょっと見つけにくいっていうか…。」
最初もその次も、崖の裏側に祠があった。
考えてみれば、禁止エリアの境界線から少し離れていて、直接見ることができない場所だ。
偵察ということだから、直接見えては意味がない。
しかし、未実装のオブジェクトが隠してあるなら、それがプレイヤーの目に触れるような場所を指定するか?
「システムの完成度はものすごく高いけど、ゲーム自体はまだ黎明期って感じだな。」
こういうオンラインゲームはアップデートで進化していくものだ。
修正や新要素の追加によって、ゲームは改善されていく。
リリース後、序盤のゲームには粗も多いはずだ。
そう考えると、普通のことなのかな。
クエストの難易度と報酬などのゲームバランスだって、今後修正されるのかもしれない。
そう考えながらしばらく歩いていると、急にあたりが真っ暗になった。
「何だ……?」
「え……!?」
長い行軍のせいで、強く感じた日差しが突然途切れたことに驚く。
上を見上げると、大きく広げた翼。
重く堅そうな肌、いや鱗というべきか。
鋭い鉤爪、尻尾にも鉤状の棘。
明らかに、生態系の上位に君臨する生物の姿だった。
「「ドラゴン!?」」
その龍が羽ばたく姿は、圧巻そのものだった。
翼を広げた龍は、我々よりも遥かに強大で、その存在感だけで俺たちを恐怖させるに足るものだった。
「まさか、コレと戦うわけじゃないよな…?」
「何言ってるんだ。明らかにレベルが違うって!とにかく隠れてやり過ごそう。」
俺たちは辺りを見回して、姿を隠すことが出来そうなものを探した。
ちょうど俺たちの身体を隠すことが出来そうな岩場がある。
「あの岩の影に!」
一も二もなく飛びこみ、岩に背中をつけて、息を潜めた。
その岩は俺たちの体重を預けても、転がったりするようなことはないと確信するほど、重そうだ。
だが、あの龍に見つかったら、攻撃して来たら、この岩に隠れるくらいじゃダメだろう。
「とにかくやり過ごせれば、急いで最終地点まで駆け抜けて…」
言葉を言い終わる寸前に、大爆音が響き渡った。
「--------------------------!!!」
あまりの音量に思わず耳を塞ぐ。
「!!?」
龍の鳴き声、というよりも咆哮である。
龍が吼えただけで、動くこともできない。
何だこれ……、怖すぎだろ……。
ヤバすぎる。
耳を塞ぎながら、岩に身体を押し付ける。
心が折れそうになる。
しかし心や身体の前に、地面が悲鳴を上げていたようだ。
その崖が崩れ、地面が滑り始めた。
「この先の地形は滑りやすい岩場になっている。気を付けて行けよ。」
魔法剣士の男が言っていた言葉を思い出す。
「そうなると本当に何が起こるかわからないからな。」
そうか、こういうこともあるのか……。
なんてこと、考えてる場合じゃない!
「悠!ヤバイぞ、地滑りになる!」
「え、どうするんだ!?」
「とにかくここにいるより、斜面側じゃないほうに走れ!」
岩の影から出て、二人で力の限り脚を動かした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ノビー(昇)
Lv :10
職業 :戦士
装備 :鉄の帽子
ガントレット
鉄の鎧
鉄の剣
鉄の盾
スキル :薙ぎ払い
ソードステップ
受け流し
ボルテージ
インサイト
サポートダッシュ
サポートキャリー
バルクアップ
アイテム:???の指輪(未鑑定)
スタートポーション×29
短刀
ブーメラン
緑の雫×24
コボルトの毛×15
コボルトの小盾
コボルトの剣×2
コボルトの槍
コボルトの弓
所持金 :120G
――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ゆうゆう(悠)
Lv :11
職業 :魔法使い
装備 :とんがり帽(魔女)
布のローブ
木の杖
火の書01
氷の書01
癒しの書01
スキル :ファイア
チリング
ヒール
テレポーテーション
アイテム:スタートポーション×27
マジックポーション×5
緑の雫×26
コボルトの毛×10
コボルトの槍
コボルトの小盾
コボルトの弓×2
所持金 :110G
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