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chapter 1 -beginning of the game- 02
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林道。
初期地点は林の中の開けた場所だった。
俺たちはそこから続く砂利道を進んでいた。
「ハァハァ……、結構遠いな。」
目には見えているが、思ったよりも遠い目的地に弱音が出る。
本当にこのゲームはリアル志向なんだな、長い距離を歩く疲れすら本物のように感じる。
額に、こめかみの少し上に汗が浮かんでいるのがわかる。
「そうだな、初期地点からは結構あるんだな。」
魔法使いには歩行アシストみたいなものが付与されているのだろうか?
悠のキャラの表情には微塵も疲れを感じない。
「なんか涼しい顔して歩いてるけど、お前この砂利道で疲れないのか?」
「お前ほどじゃないが、疲れてはいる。…その鎧のせいじゃない?」
そう。この初期装備の鉄シリーズ。
鉄の帽子。
鉄の鎧。
ガントレット。
鉄の剣。
なんとすべての重さが2kg近くあるらしい。
防具としては頼れる品だが、頑丈な分、重さもしっかり感じられる。
「やっぱり戦士って職業はあまりいないんじゃないか。こんなの背負って、ゲーム楽しめるやつあんまいねぇよ。」
少し後悔している。
戦士以外の初期職業は、魔法使い、偵察者、僧侶の四種類。
後に転職で、上位職やそれぞれの初期職業と行き来できるようだ。
悠は街中で戦士のキャラクターをあまり見かけないという話だった。
「本当に戦士になってるやつが居ないなら、パーティの募集には希少な職業として重宝されるかもな。まぁ、数が少ないくらいだろ。」
悠は魔法使いだし、その辺はどんなパーティでも重宝されるだろう。
戦士という職はどれだけ有難がられるかはわからない。
盾役で使われることが多いかもしれない。
「町に行ってみてのお楽しみだな。」
と歩を進めていると、脇の木陰に影が見えた。
「お!?あれは!」
そこから、小さな影が飛び出した。
モンスター!初戦闘だ!
飛び出したモンスターは誰が見ても明らかなアレだった。
「スライムか!超カワイイ!」
水色の丸い物体が、ぽよんぽよんと妙な音を立てて跳ねているのを見て、心が和む。
「気をつけろよ。見た目キュートだけど、一応モンスターだからな。」
悠が身構えた。
スライムに向けて杖を向けた…のではなく、杖を握って中腰になる。
バスケットボールのディフェンスのような構えだ。
「え?何?魔法だから、構えて打つんじゃないの?」
俺が初めてだから、俺が倒すために回避に専念するってことかな…?
気にしなくても、俺は魔法見られたらそれはそれで良いんだけどな。
「いや、スライムは突進してくる。その動きが割と機敏だから。」
え?
と思う暇もなく、スライムがむにっと身体を引き延ばしているのが見えた。
まるで、ゴム鉄砲でこちらを狙っているかのようだった。
「照準をつけているのか?」
次の瞬間。
パシッ!という音が胸部のあたりに響いた。
驚いた俺は、思わずのけぞり、後ろに尻もちをつく。
「なるほど結構、押された感あるな。音もあって、ダメージ受けた感じがあるな。」
正直なところ、バスケットボールのパスを受けたような衝撃を感じた。
「ステータス画面を呼び出して、確認してみろ。」
ステータス画面で確認すると、HPゲージが減っていた。
といっても、微々たる量だった。
数値的には1くらいだろうか?
「言ったろ?結構素早いって。ほら今のうちに斬っちゃいなよ。」
そうか。
「よいしょっと…、やっぱり体が重たいな。」
重い装備のせいで、立ち上がるのにも一苦労だ。
剣を構え、スライムのバウンドのタイミングに合わせて…。
振る!
「ほりゃあああ!」
ズバッ!
音と共にスライムの色が薄くなり、徐々に消える。
「どうだった?初戦闘は。」
構えをといた悠がこちらを見る。
「スライムで、こっちが鎧だから衝撃もこの程度だったのか?」
「いや、魔法使いの軽装でも多分衝撃は変わらないんじゃないかな、ボールが当たった程度だ。多分、衝撃というか振動コントローラーなんじゃないか?」
確かに、衝撃というほどのダメージはなかった。
驚いて体勢を崩しはしたが、痛みは感じない。
「俺らより年下でも安全なわけだ。」
誰でも出来るMMORPGが売りのゲームだ。
危険なワケないと頭で分かっていても、怖いものは怖い。
「この辺で戦闘チュートリアルが出来る。でも近接職はわかりやすいよな。」
メニューにチュートリアルのTipsが出た。
「剣振るだけだからな。魔法とかはメニュー画面とかステータス画面と同じくキーワード発動?それともジェスチャでモーションコントロールか?」
「いや、モーションもキーワードも必要らしい。魔法使いの場合は魔法書を持っている状態でキーワードを発すると発動する。」
なるほどね、キーワードだけだと誤爆しまくるよな。
じゃあ、俺も次からはスキルを使ってみるか。
「スキルに慣れておきたいから、とりあえずこの辺にいるモンスターを狩ってみよう。」
「その前にパーティ組んどこうぜ。狩りといえばパーティで経験値分配だろう。」
「だな。じゃあ悠から誘ってくれよ。リーダーだし。」
「了解~。」
とりあえずパーティを組んでいれば、経験値も等分されるだろう。
素材もこの辺で集めておけば、街に行ったとき何かしら役に立つだろう。
「この辺に出るのは、スライムとレッサーコボルトくらいだろうし。そんなに苦戦はしないだろうけど、初期ポーションはまだ使うなよ。こっち回復あるし、それ結構希少らしいぞ。」
そういえばアイテムボックスを見てなかったけど、ポーションは初期の所持品なのか。
アイテムボックスを開いてみると、所持品は
・スタートポーション×30…Lv20までのキャラクターのHPを完全回復する。
・???の指輪 …不明。
だった。
完全回復か、そりゃ凄い。
「マジか。了解。やっぱ既プレイ居るとそういうの分かっていいな。」
「そんなにレベルは変わらないんだけどな。」
俺が前衛で悠が後衛。
即席パーティにしてはバランスがいい。
やはり、リア友とゲームするなら、そういうところ合わせたほうが良いんだよな。
俺も魔法は使ってみたかったけど、スキルってのがあるなら話は別だ。
オンラインゲームだけじゃなくても、どうせRPGのキャラはみんな魔法っぽい力を使えるようになるし。
さぁ戦闘チュートリアル続行だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ノビー(昇)
Lv :3
職業 :戦士
装備 :鉄の帽子
ガントレット
鉄の鎧
鉄の剣
スキル :薙ぎ払い
アイテム:???の指輪(未鑑定)
スタートポーション×30
青い雫×6
レッサーコボルトの毛×4
――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ゆうゆう(悠)
Lv :6
職業 :魔法使い
装備 :とんがり帽(魔女)
布のローブ
木の杖
火の書01
癒しの書01
スキル :ファイア
ヒール
アイテム:スタートポーション×27
青い雫×5
壊れた弓
――――――――――――――――――――――――――――
初期地点は林の中の開けた場所だった。
俺たちはそこから続く砂利道を進んでいた。
「ハァハァ……、結構遠いな。」
目には見えているが、思ったよりも遠い目的地に弱音が出る。
本当にこのゲームはリアル志向なんだな、長い距離を歩く疲れすら本物のように感じる。
額に、こめかみの少し上に汗が浮かんでいるのがわかる。
「そうだな、初期地点からは結構あるんだな。」
魔法使いには歩行アシストみたいなものが付与されているのだろうか?
悠のキャラの表情には微塵も疲れを感じない。
「なんか涼しい顔して歩いてるけど、お前この砂利道で疲れないのか?」
「お前ほどじゃないが、疲れてはいる。…その鎧のせいじゃない?」
そう。この初期装備の鉄シリーズ。
鉄の帽子。
鉄の鎧。
ガントレット。
鉄の剣。
なんとすべての重さが2kg近くあるらしい。
防具としては頼れる品だが、頑丈な分、重さもしっかり感じられる。
「やっぱり戦士って職業はあまりいないんじゃないか。こんなの背負って、ゲーム楽しめるやつあんまいねぇよ。」
少し後悔している。
戦士以外の初期職業は、魔法使い、偵察者、僧侶の四種類。
後に転職で、上位職やそれぞれの初期職業と行き来できるようだ。
悠は街中で戦士のキャラクターをあまり見かけないという話だった。
「本当に戦士になってるやつが居ないなら、パーティの募集には希少な職業として重宝されるかもな。まぁ、数が少ないくらいだろ。」
悠は魔法使いだし、その辺はどんなパーティでも重宝されるだろう。
戦士という職はどれだけ有難がられるかはわからない。
盾役で使われることが多いかもしれない。
「町に行ってみてのお楽しみだな。」
と歩を進めていると、脇の木陰に影が見えた。
「お!?あれは!」
そこから、小さな影が飛び出した。
モンスター!初戦闘だ!
飛び出したモンスターは誰が見ても明らかなアレだった。
「スライムか!超カワイイ!」
水色の丸い物体が、ぽよんぽよんと妙な音を立てて跳ねているのを見て、心が和む。
「気をつけろよ。見た目キュートだけど、一応モンスターだからな。」
悠が身構えた。
スライムに向けて杖を向けた…のではなく、杖を握って中腰になる。
バスケットボールのディフェンスのような構えだ。
「え?何?魔法だから、構えて打つんじゃないの?」
俺が初めてだから、俺が倒すために回避に専念するってことかな…?
気にしなくても、俺は魔法見られたらそれはそれで良いんだけどな。
「いや、スライムは突進してくる。その動きが割と機敏だから。」
え?
と思う暇もなく、スライムがむにっと身体を引き延ばしているのが見えた。
まるで、ゴム鉄砲でこちらを狙っているかのようだった。
「照準をつけているのか?」
次の瞬間。
パシッ!という音が胸部のあたりに響いた。
驚いた俺は、思わずのけぞり、後ろに尻もちをつく。
「なるほど結構、押された感あるな。音もあって、ダメージ受けた感じがあるな。」
正直なところ、バスケットボールのパスを受けたような衝撃を感じた。
「ステータス画面を呼び出して、確認してみろ。」
ステータス画面で確認すると、HPゲージが減っていた。
といっても、微々たる量だった。
数値的には1くらいだろうか?
「言ったろ?結構素早いって。ほら今のうちに斬っちゃいなよ。」
そうか。
「よいしょっと…、やっぱり体が重たいな。」
重い装備のせいで、立ち上がるのにも一苦労だ。
剣を構え、スライムのバウンドのタイミングに合わせて…。
振る!
「ほりゃあああ!」
ズバッ!
音と共にスライムの色が薄くなり、徐々に消える。
「どうだった?初戦闘は。」
構えをといた悠がこちらを見る。
「スライムで、こっちが鎧だから衝撃もこの程度だったのか?」
「いや、魔法使いの軽装でも多分衝撃は変わらないんじゃないかな、ボールが当たった程度だ。多分、衝撃というか振動コントローラーなんじゃないか?」
確かに、衝撃というほどのダメージはなかった。
驚いて体勢を崩しはしたが、痛みは感じない。
「俺らより年下でも安全なわけだ。」
誰でも出来るMMORPGが売りのゲームだ。
危険なワケないと頭で分かっていても、怖いものは怖い。
「この辺で戦闘チュートリアルが出来る。でも近接職はわかりやすいよな。」
メニューにチュートリアルのTipsが出た。
「剣振るだけだからな。魔法とかはメニュー画面とかステータス画面と同じくキーワード発動?それともジェスチャでモーションコントロールか?」
「いや、モーションもキーワードも必要らしい。魔法使いの場合は魔法書を持っている状態でキーワードを発すると発動する。」
なるほどね、キーワードだけだと誤爆しまくるよな。
じゃあ、俺も次からはスキルを使ってみるか。
「スキルに慣れておきたいから、とりあえずこの辺にいるモンスターを狩ってみよう。」
「その前にパーティ組んどこうぜ。狩りといえばパーティで経験値分配だろう。」
「だな。じゃあ悠から誘ってくれよ。リーダーだし。」
「了解~。」
とりあえずパーティを組んでいれば、経験値も等分されるだろう。
素材もこの辺で集めておけば、街に行ったとき何かしら役に立つだろう。
「この辺に出るのは、スライムとレッサーコボルトくらいだろうし。そんなに苦戦はしないだろうけど、初期ポーションはまだ使うなよ。こっち回復あるし、それ結構希少らしいぞ。」
そういえばアイテムボックスを見てなかったけど、ポーションは初期の所持品なのか。
アイテムボックスを開いてみると、所持品は
・スタートポーション×30…Lv20までのキャラクターのHPを完全回復する。
・???の指輪 …不明。
だった。
完全回復か、そりゃ凄い。
「マジか。了解。やっぱ既プレイ居るとそういうの分かっていいな。」
「そんなにレベルは変わらないんだけどな。」
俺が前衛で悠が後衛。
即席パーティにしてはバランスがいい。
やはり、リア友とゲームするなら、そういうところ合わせたほうが良いんだよな。
俺も魔法は使ってみたかったけど、スキルってのがあるなら話は別だ。
オンラインゲームだけじゃなくても、どうせRPGのキャラはみんな魔法っぽい力を使えるようになるし。
さぁ戦闘チュートリアル続行だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ノビー(昇)
Lv :3
職業 :戦士
装備 :鉄の帽子
ガントレット
鉄の鎧
鉄の剣
スキル :薙ぎ払い
アイテム:???の指輪(未鑑定)
スタートポーション×30
青い雫×6
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――――――――――――――――――――――――――――
名前 :ゆうゆう(悠)
Lv :6
職業 :魔法使い
装備 :とんがり帽(魔女)
布のローブ
木の杖
火の書01
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ヒール
アイテム:スタートポーション×27
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■【毎日投稿】2019.2.27~3.1
毎日投稿ができず申し訳ありません。今日から三日間、大量投稿を致します。
今後の予定(3日間で計14話投稿予定)
2.27 20時、21時、22時、23時
2.28 7時、8時、12時、16時、21時、23時
3.1 7時、12時、16時、21時
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