縁の鎖

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変わりゆく日常

中立性重視

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会話も少ない中で、食事が運ばれてきた。

「わぁ~綺麗な盛り付けですね!食べるのが勿体ないくらいです!」
「フィサリス。騒ぐのは良くありませんよ。殿下の前です。」
「まぁ、まぁ。いいじゃないか。ここは学院のカフェテリアで、王宮の晩餐会じゃないんだから。」

料理の盛り付けや、季節の食材、味付けなどで一喜一憂するフィサリスに、ジュエリアは無言で見守る。


『この前より、テーブルマナーが良くなっているわ。殿下の前で、この前の様なマナーだったら、どうしようかと思ったけれど一安心だわ。』

フィサリスのテーブルマナーが良くなっていることに、安堵した。

「ジュエリア、フィサリス嬢のテーブルマナーは何処かおかしい所があるかい?王妃教育を受けているジュエリアなら、違いが分かると思うけど?」
「はい。何処も、おかしな所は無いと思います。」
「そうだね。はないね。実は一週間フィサリス嬢のテーブルマナーを、見させてもらったんだ。だけど、何処もおかしな所は無かった。カモミーラ嬢が声を荒げる程の、不作法さは無かったよ。」


カーネリアンは仲裁に入るにあたって、中立性を強くするためフィサリスのテーブルマナーを、自分の目で確かめていた。
だがカモミーラが声を荒げる程の不作法さは、今日に至るまで見受けられなかった。

「完璧なマナーだと思うよ。カモミーラ嬢がカフェテリアでフィサリス嬢に声を荒げたのは、どうしてなのか不思議だ。」
「ですが、あの時は本当に…」
「ごめんなさい!私、あの日お義姉様とランチができると嬉しさの余り、緊張してしまいマナーを守れませんでした。お義姉様に恥をかかせてしまい、本当にごめんなさい!!」

フィサリスは慌てて、ジュエリアに謝る。


「ジュエリア、君は優しく聡明な人だと、思っているよ。でもフィサリス嬢に対しては、君らしくもない行動をとってしまう様だね。残念だよ。今日のランチはお開きにしよう。」
「殿下!私はフィサリスに何も…」
「ジュエリアは、少し冷静になった方がいい。フィサリス嬢、まだ学園の地理に疎いみたいだから送って行くよ。それじゃ。」

カーネリアンはフィサリスを連れて席を立った。
ジュエリアを一人残して。
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