縁の鎖

T T

文字の大きさ
上 下
70 / 186
家族の形

地に落ちた第二夫人

しおりを挟む
「大公。思うところがお有りだとは思いますが、ハッキリさせておかなければならない事がございます。」
「・・・申してみよ。」

重くのし掛かる空気を振り払ったのは、近衛兵だった。


「過去の事件に関しては公爵家が判断するべき事ですが、王家への報告だけはさせていただきます。」
「ああ。構わぬ。ロベルト。とりあえず、この女を地下倉庫へ繋いでおけ。」
「あなた!お許し下さい!どうか!嫉妬に駆られた哀れな女に、御慈悲を!!お願いです!!」

ジェイドは無言で手を振り、追い払う態度を取る。
侍従のロベルトはダチュラを連れ出そうとするが、抵抗され手間取ってしまう。



「では次にジュエリア嬢の婚約です。ここに国王陛下の許可状もそろっております。後は大公のサインだけで成立いたします。」

出口の所まで連れて行かれていたダチュラは、ロベルトを振り切った。

「絶対に反対よ!あの女の娘が王太子妃だなんて!許さない!」

ダチュラはジュエリアに掴みかかろうとした。
しかし近衛兵の反応の方が早く、剣を首元に突きつけられる。

「っひゅっっ!!」
「貴様にジュエリア嬢の婚約を、とやかく言う資格はない!」
「だ、だ、だったら。わ、私の娘だって公爵令嬢です!フィサリスを王太子殿下の婚約者として下さいませ!」
「これは国王陛下からの勅令だ!妾如きが国王陛下に歯向かうと言うのなら、今直ぐ剣の塵にしてくれる!」
「・・・さない・・・許さない!私だけでなく、娘の人生まで邪魔しようと言うの!?絶対に許さない!」


近衛兵は王太子だけでなく、国王からの命も受けていた。
王妃はダチュラが、王太子とジュエリアの婚約の邪魔をしてくるだろうと予測していた。
その対策として国王は勅令を無視し婚約を邪魔する場合、王族侮辱罪を適応せよと近衛兵に権限を与えていた。


「ロベルト!さっさと、この女を地下倉庫に連れて行け!抵抗するようなら、力技を使っても構わぬ!」

ジェイドの許可を得た侍従は、ダチュラの腕を鷲掴みにし引きずるように連れ出す。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

私と黄金竜の国

すみれ
恋愛
異世界で真理子は竜王ギルバートに出会う。 ハッピーエンドと喜んだのもつかの間、ギルバートには後宮があったのだ。 問題外と相手にしない真理子と、真理子にすがるギルバート。 どんどんギルバートは思いつめていく。 小説家になろうサイトにも投稿しております。

前世を思い出した我儘王女は心を入れ替える。人は見た目だけではありませんわよ(おまいう)

多賀 はるみ
恋愛
 私、ミリアリア・フォン・シュツットはミターメ王国の第一王女として生を受けた。この国の外見の美しい基準は、存在感があるかないか。外見が主張しなければしないほど美しいとされる世界。  そんな世界で絶世の美少女として、我儘し放題過ごしていたある日、ある事件をきっかけに日本人として生きていた前世を思い出す。あれ?今まで私より容姿が劣っていると思っていたお兄様と、お兄様のお友達の公爵子息のエドワルド・エイガさま、めちゃめちゃ整った顔してない?  今まで我儘ばっかり、最悪な態度をとって、ごめんなさい(泣)エドワルドさま、まじで私の理想のお顔。あなたに好きになってもらえるように頑張ります! -------だいぶふわふわ設定です。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

奮闘記などと呼ばない (王道外れた異世界転生)

Anastasia
恋愛
 ”王道”外れた異世界転生物語。  チートもない。ありきたりな、魔法も魔術も魔物もいない。これまたありきたりな公爵令嬢でも、悪役令嬢でもない。ヒロインでもモブでもない。  ついでに言うが、これまた、あまりにありきたりな設定の喪女でもない。  それなのに、なぜ私が異世界転生者……?!  この世界で生きていかなければならない現実に、もう、立ち止まらない、後ろを振り向かない、前を進んで行くだけ!  セシル・ベルバートの異世界サバイバル。絶対に生き抜いて、生き延びてみせます! (本編概要)セシル・ヘルバートはノーウッド王国ヘルバート伯爵家の長女である。長く――無駄で――それでも必要だった7年をやーっと経て、嫌悪している侯爵家嫡男、ジョーランからの婚約破棄宣言で、待ちに待った婚約解消を勝ちとった。  17歳の最後の年である。  でも、セシルには秘密がある。  セシルは前世の記憶を持つ、異世界転生者、とういことだ。  “異世界転生者”の“王道”外れて、さっぱり理由が当てはまらない謎の状況。  なのに、なぜ、現世の私が異世界転生?!  なにがどう転んで異世界転生者になってしまったのかは知らないが、それでも、セシル・ヘルバートとして生きていかなければならない現実に、もう、立ち止まらない、後ろを振り向かない、前を進んで行くだけ!  それを指針に、セシルの異世界生活が始まる。第2の人生など――なぜ……?! としかいいようのない現状で、それでも、セシルの生きざまを懸けた人生の始まりである。  伯爵家領主に、政治に、戦に、隣国王国覇権争いに、そして、予想もしていなかった第2の人生に、怒涛のようなセシルの生がここに始まっていく! (今までは外部リンクでしたが、こちらにもアップしてみました。こちらで読めるように、などなど?)

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語 母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・? ※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています

処理中です...