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1章 10歳

魔法を極めましょう

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ノア様の死亡フラグ回避に向けて私がまずとった行動は魔法だ。
これがなければノア様を救うことは愚か、自分自身も無駄死にしてしまうので、こればかりはなんとしても極めておかなければならないと思い、私は情報整理の後早速お父様に優秀な魔術師様を手配してもらった。

そのおかげもあって、今ではメキメキと実力を上げている。



「マリージュア様、今日は大域範囲の魔術を習得しましょう」
「はい」

現在私は先生の指導の下、魔術の特訓を行っている。

そして今先生が言ったように、大域範囲型の魔術の習得を行うため魔術書を読んでいる。

「いいですか、大域範囲型の魔術は言わば上級魔術です、舐めてかかっては痛い目にあいますのでご注意下さいね」
「はい」

「それと...」

それと?
なんですか、早く言ってください。こっちは待ってるんですよ!
先生はそれと...っと言ってから黙りこくってしまい、終いには腕を組んで考え始めてしまった。

はぁ、この先生尊敬してはいるんだけど、時々こうしてなにか考え込む素振りをするのよね。
もう困っちゃうわ。
でもそうね、ここはこの時間を有効活用して今までの授業をおさらいしようかしら。


まず、さっき先生が言った大域範囲型の魔術とは四種類あるうちの一つの型である。

ざっと思い浮かべるとこんな感じかな?

五芒星型・・・魔術発動と同時に五芒星の形をした魔法陣が出現する。主に小域範囲の攻撃、回復を行える、また初級魔術。

六芒星型・・・魔術発動と同時に六芒星の形をした魔法陣が出現する。主に中域範囲の攻撃、回復を行える、また中級魔術。

七芒星型・・・魔術発動と同時に七芒星の形をした魔法陣が出現する。主に大域範囲の攻撃、回復を行える、また上級魔術。

八芒星型・・・魔術発動と同時に八芒星の形をした魔法陣が出現する。主に広域範囲の攻撃、回復を行える、また最上級魔術。


っとこんな感じかな?
ゲームではシナリオに沿って決められた魔術を使っていたから気付きもしなかったけど、まさかこの世界の魔術にこんな規則性があったなんてね。
やっぱこの世界最高だわ!

っと私が心の中ではしゃいでいたら先生が復活いたしました。


「マリージュア様、突然黙ってしまってすみませんでした」

「...?」

「あの、出会った時からもしやと思っていたのですが、その、あの、マリージュア様は...呪い持ちなのですか?」

「...!?」


呪い、持ち。
先生は確かにそう言った。



びっくりした。
いやびっくりしたなんてものじゃない、まさか先生に気付かれるとは思っていなかったからだ。
何故なら、魔術とは行使者の魔力量及びそれに近い量の魔力を持っていなければ感知することはできないし、回復も、解呪も出来ないからだ。

魔女とは本来異端の証、気まぐれに願いを叶えては何かしらの対価をもらっていく。
そんな魔女は膨大な魔力量を持ち、それに比例して寿命も長い。そのため、何処かに隠れ住んで日々魔術の研究をしているという噂があったが。ここ100年でそんな噂は一切聞かなくなってしまったようだ。

話が少しばかり逸れてしまったが、つまり何が言いたいのかと言うと。

そんな異端の魔女に匹敵するほどの魔力を先生が持っているということだ。

ただ、それを知ったからと言って先生は私に何を求めるのか、はたまた同情心か。
正直そこら辺はまったく、これぽっちも興味がないので早く魔術の授業を進めてもらいたい。

そんな私の気持ちが伝わったのか、先生ははぁと息を吐きだした。


そんな先生を見て小首をかしげる私に先生が言った。


「どうやら私がそれを知ったところでどうにもならないようです、それに、あなたを見ているとそんな呪いなどどうでもいいというような感じなので、これ以上聞くのはよしておきますよ...」

うん、当たりだわ先生。
だってノア様が生きてさえいれば何でもいいもの、たとえ私が死のうが、どうなろうが、私はノア様が笑って幸せに生きてさえいてくれればそれでいいのですよ。
呪いなんてそんなの、障害でも何でもないわ。
強いて言うなら、老後までノア様を見守ることができないことかしら?

でもまぁ、この呪いはどうにもならないって、小さい頃に早々に理解できたから。

私はちょっと感傷的になった顔を誤魔化すようににこっと笑い、気持ち明るめに先生に言った。


「先生あったり~!っということでここの多重防御の説明をお願いします!」

「はいはい」


先生はあっけらかんとした私の態度に少し驚きはしたもののふっと笑い、楽しそうに魔術について教えてくれたのだった。




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お読みいただきありがとうございました。


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