1 / 1
1. Encounter はた迷惑な魔法使い
しおりを挟む「ようやく見つけた、俺の番」
そう言って抱きしめてきたのはもっのすごく美形の男だった。
ただひとつ言いたいのは、私が裸だということだ。きっと服を着た状態で外なんかでこんな超絶美形の男なんかに抱きしめられてたら、鼻血吹き出しながら喜んでたかもしれない。
だけど、この状況じゃとてもではないがそんなの無理だ。
湯船に漬かり丁寧に髪の毛を洗っていた私(決して面倒くさがりな性格ではない)は、気持ちよくお風呂に入っていた。
…のにだ、なんだこの男は。
いくらイケメンだからって女の裸を見て、しかもそれがシャンプー中の間抜けな顔で…!!
こんな女子として決して見られたくないものをズバズバと見やがってからに…!!
もう…!!
「離して…!!」
だからだろう、私は感情のままに男の頬をバシンっとぶっ叩いてしまったのは…。
あぁ!!どうしよう…こんな綺麗な顔を叩いてしまった!!世の女性を敵に回してしまうぅ!!!
やばい!!
なーんて、思っていた私が馬鹿でした。
「あぁ…俺の頬を触れてくれた、うれしぃ」
そう言ってまた、私の体をなんの躊躇もなく抱きしめてきたのだから。
な、なんなのこの変態はーー!!
てかどっから入ってきやがったー!!!
そう言ってやりたかったのに、力強く男の胸板に抱き込まれていたせいでモゴモゴとした声しか出せなくなり、しまいには変人(だけどイケメン)の男の腕の中で気絶してしまったのであった。
◻️ ◻️ ◻️
なんだかすごく寒い…
ぶるっと体を震わせれば、毛布のようなもので包まれるような感覚、でもそれとは少し違って、体全体を包まれているような、体の周りだけが夏になったみたいな、そんなポカポカした感覚がした。
気持ちよくなって左にゴロンと寝がいりをうったらベットに沈み込むような感覚がした。
でも、まだ課題が終わってないし、明日の準備だってしなきゃ、と思い直して瞼を少しだけ開けた。
緑がそよそよと揺れ、木漏れ日が部屋に差し込む。
手のこった刺繍がされた白いカーテンが時折風に靡き、それと同時に花の香りを届けてくる。
あれ、私の部屋って、こんなだったっけ…?
もう少しすれば目も冷めてくるかと思い、ボーっとした頭で部屋を眺める。
眺める。
眺める…
なが…ってここ何処!?
急に頭が覚醒してきて、がばっと起き上がる。
「ここ何処!?」
もう一度自分に言い聞かせるように叫んで、さっきまでのことを必死に思い出す。
さっき、さっきは確か…そう、私はお風呂に入っていて、それで、どうなったんだっけ、髪を洗って、そこでなにか起きた気がするんだけど、なんだっけか…あぁーそれにしてもここって本当に何処なの?私ってもしかしてお風呂につかったまま寝ちゃって死んじゃったの??
えぇ、どこよここぉ…。
と私がちょっと涙目になりながら必死に考えていたら、急に目の前に男が現れた。
あ、この顔なんか見たことあるぞ…。
でもどこで?
と思う間もなく抱きしめられた。
「あぁ!目が覚めたんだね!!」
そうやってぎゅうぎゅう…ぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。
なんか既視感というかデジャブというかなんというか…。
……。
…………。
あぁ、そうだった、私が気を失ったのってこいつのせいだったわ。
私は目の前ではしゃぐ男を他所に、どこが冷静になってしまった頭で状況を判断したのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
設定がいろいろ曖昧な部分も出てくると思いますが、多めに見て頂けたら幸いです。
因みにですが、主人公が裸の登場をしてますが決してR18ではないのでご安心ください。
健全なものですよ(多分)
0
お気に入りに追加
53
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!

龍王の番
ちゃこ
恋愛
遥か昔から人と龍は共生してきた。
龍種は神として人々の信仰を集め、龍は人間に対し加護を与え栄えてきた。
人間達の国はいくつかあれど、その全ての頂点にいるのは龍王が纏める龍王国。
そして龍とは神ではあるが、一つの種でもある為、龍特有の習性があった。
ーーーそれは番。
龍自身にも抗えぬ番を求める渇望に翻弄され身を滅ぼす龍種もいた程。それは大切な珠玉の玉。
龍に見染められれば一生を安泰に生活出来る為、人間にとっては最高の誉れであった。
しかし、龍にとってそれほど特別な存在である番もすぐに見つかるわけではなく、長寿である龍が時には狂ってしまうほど出会える確率は低かった。
同じ時、同じ時代に生まれ落ちる事がどれほど難しいか。如何に最強の種族である龍でも天に任せるしかなかったのである。
それでも番を求める龍種の嘆きは強く、出逢えたらその番を一時も離さず寵愛する為、人間達は我が娘をと龍に差し出すのだ。大陸全土から若い娘に願いを託し、番いであれと。
そして、中でも力の強い龍種に見染められれば一族の誉れであったので、人間の権力者たちは挙って差し出すのだ。
龍王もまた番は未だ見つかっていないーーーー。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

ヤンデレ幼馴染が帰ってきたので大人しく溺愛されます
下菊みこと
恋愛
私はブーゼ・ターフェルルンデ。侯爵令嬢。公爵令息で幼馴染、婚約者のベゼッセンハイト・ザンクトゥアーリウムにうっとおしいほど溺愛されています。ここ数年はハイトが留学に行ってくれていたのでやっと離れられて落ち着いていたのですが、とうとうハイトが帰ってきてしまいました。まあ、仕方がないので大人しく溺愛されておきます。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こんにちは~アリスです!
タイトル見ただけで私のセンサーにひっかかりまして、思わずきてしまいました。
ちょっと変態?な魔法使いが面白かったです!(*^。^*)
応援しています~!がんばれ~
次回も楽しみにしています!
作者さんも、●●●とか、体調管理に気をつけてくださいね。\(-o-)/