イケメンな魔法使いが異世界から私をさらいにきました。

氷雨

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1. Encounter はた迷惑な魔法使い

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「ようやく見つけた、俺の番」

そう言って抱きしめてきたのはもっのすごく美形の男だった。

ただひとつ言いたいのは、私が裸だということだ。きっと服を着た状態で外なんかでこんな超絶美形の男なんかに抱きしめられてたら、鼻血吹き出しながら喜んでたかもしれない。

だけど、この状況じゃとてもではないがそんなの無理だ。

湯船に漬かり丁寧に髪の毛を洗っていた私(決して面倒くさがりな性格ではない)は、気持ちよくお風呂に入っていた。

…のにだ、なんだこの男は。

いくらイケメンだからって女の裸を見て、しかもそれがシャンプー中の間抜けな顔で…!!

こんな女子として決して見られたくないものをズバズバと見やがってからに…!!

もう…!!

「離して…!!」

だからだろう、私は感情のままに男の頬をバシンっとぶっ叩いてしまったのは…。


あぁ!!どうしよう…こんな綺麗な顔を叩いてしまった!!世の女性を敵に回してしまうぅ!!!
やばい!!


なーんて、思っていた私が馬鹿でした。


「あぁ…俺の頬を触れてくれた、うれしぃ」

そう言ってまた、私の体をなんの躊躇もなく抱きしめてきたのだから。

な、なんなのこの変態はーー!!

てかどっから入ってきやがったー!!!

そう言ってやりたかったのに、力強く男の胸板に抱き込まれていたせいでモゴモゴとした声しか出せなくなり、しまいには変人(だけどイケメン)の男の腕の中で気絶してしまったのであった。




◻️ ◻️ ◻️



なんだかすごく寒い…

ぶるっと体を震わせれば、毛布のようなもので包まれるような感覚、でもそれとは少し違って、体全体を包まれているような、体の周りだけが夏になったみたいな、そんなポカポカした感覚がした。

気持ちよくなって左にゴロンと寝がいりをうったらベットに沈み込むような感覚がした。

でも、まだ課題が終わってないし、明日の準備だってしなきゃ、と思い直して瞼を少しだけ開けた。


緑がそよそよと揺れ、木漏れ日が部屋に差し込む。

手のこった刺繍がされた白いカーテンが時折風に靡き、それと同時に花の香りを届けてくる。

あれ、私の部屋って、こんなだったっけ…?

もう少しすれば目も冷めてくるかと思い、ボーっとした頭で部屋を眺める。

眺める。

眺める…

なが…ってここ何処!?


急に頭が覚醒してきて、がばっと起き上がる。

「ここ何処!?」

もう一度自分に言い聞かせるように叫んで、さっきまでのことを必死に思い出す。

さっき、さっきは確か…そう、私はお風呂に入っていて、それで、どうなったんだっけ、髪を洗って、そこでなにか起きた気がするんだけど、なんだっけか…あぁーそれにしてもここって本当に何処なの?私ってもしかしてお風呂につかったまま寝ちゃって死んじゃったの??


えぇ、どこよここぉ…。

と私がちょっと涙目になりながら必死に考えていたら、急に目の前に男が現れた。

あ、この顔なんか見たことあるぞ…。

でもどこで?

と思う間もなく抱きしめられた。

「あぁ!目が覚めたんだね!!」

そうやってぎゅうぎゅう…ぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。

なんか既視感というかデジャブというかなんというか…。


……。

…………。


あぁ、そうだった、私が気を失ったのってこいつのせいだったわ。


私は目の前ではしゃぐ男を他所に、どこが冷静になってしまった頭で状況を判断したのだった。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

設定がいろいろ曖昧な部分も出てくると思いますが、多めに見て頂けたら幸いです。

因みにですが、主人公が裸の登場をしてますが決してR18ではないのでご安心ください。
健全なものですよ(多分)

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みんなの感想(1件)

アリス・ホームズ

こんにちは~アリスです!
タイトル見ただけで私のセンサーにひっかかりまして、思わずきてしまいました。

ちょっと変態?な魔法使いが面白かったです!(*^。^*)
応援しています~!がんばれ~
次回も楽しみにしています!

作者さんも、●●●とか、体調管理に気をつけてくださいね。\(-o-)/

解除

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