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エピローグ
約束を果たしに
しおりを挟む「...ミア?どうしたの?」
「...お、お母様...」
これは、夢?
だってお母様はもう...
それに、何故か私は今子供に戻っている。
だけど、大人になった記憶なんてなくて...
なんで子供に戻ったんて思ったんだろう、大人になった記憶なんて無いのに...。
それよりも、今はお母様だ。
少しでも元気になってもらうために今日も頑張らなきゃ!
そう心の中で決意して、私はベットの上で心配そうに見つめてくるお母様の元に向かった。
でもその足は、1歩も動かすことが出来なかった。
足は鉛のように重たくて、腕もそれに釣られるように重量を増してくる、そのうちに足は地面に染み込むようにドロドロと足を引っ張ってくる。
「...!!」
一体何!?まずい、このままじゃ...!!
そう思っても既に遅く、必死にもがいても助かることはなく体は沈むばかり。
「た、助け、て...」
助けを求めようと未発達の小さな手が宙を彷徨うのを見ながら、私は暗闇へと飲み込まれた。
目が覚めた時、私はお墓の前にいた。
ひまわりに囲まれ、凛と建つそのお墓はまるで母がひまわり畑に立っているようだった。
母は病気のせいでひまわり畑を見た事がなかった。遠出が出来なかった母はいつもひまわり畑に遊びに行く私の話を楽しそうに聞いていた。
だからこうして母のお墓はひまわりに囲まれているのだ。
ふと、暗闇に飲み込まれたことを思い出し、自分の体を確認する。
「...!!」
手は先程の倍の大きさにまでなり、身長も比べ物にならないくらい伸びていた。
どういうことなの...?まるで大人になったみたいじゃない......それに、これ、なに?
頭に走馬灯のように映像が流れた。
「...っ」
頭に痛みが襲い、顔を顰めて必死に耐える。
だけど、流れるひとつひとつの映像が、どれも見たことがあるもので、それでいてとても懐かしいものだった。
_____これは誰?
_____この笑っているのは、私...?
だけど、頭の痛みが収まった頃には全て思い出していた。
そうだ、私、マリーに...
じゃぁ、このおかしな現象は...?
もしかして、私って死んだの?
やっぱりあれだけの深手を負ったらそうなるよね...あぁあ、無茶しちゃったな、お父様、悲しんでるよね。
ふと、目の前のお墓が目に入った。
これはお母様のお墓...ここにいるってことは、やっぱり私は死んだんだわ。
そして、下げていた視線を上に向け、再びお墓を見ると、そこにはお母様がいた。
「...!、おかあ、さま」
私の口はパクパクと魚のようになっていて、お母様が見たらきっと笑っていただろうそんな間抜けな顔をしていた。
そして案の定、目の前のお母様はニコリと微笑んだ。
そしてゆっくりこちらに近づいくると、いつものように私のおでこを指で撫でてまた微笑んだ。
私はそうやっておでこを撫でられるのが好きだった。いつも何かあった時にこうやっておでこを撫でてもらうと怒っていても泣いていても落ち着いてきて、同時に幸せな気持ちになったんだ。
そして、今も同じように、私は母の温もりに包まれている。それは本当に涙が出るほど幸せだった。
母はゆっくり指を離すと、囁くように
「...生きて」
と言った気がした。
その言葉を最後に、私の意識はなくなった。
✱ ✱ ✱
暖かな温もりが疲れた体に染み込んでとても落ち着く。
でも何でだろう、上半身、得に腹部が痛い。
そして寝ぼけていた頭が覚醒してきて、次第にその痛みの原因が分かってくる。
「......っ」
勢い良く布団を引っペがし起き上がった私は、腹部に走る痛みに耐えきれず声にならない声をあげた。
「いった~...」
そんな私の間抜けな声が聞こえたのか、外からバタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。
バーン!!
「ミリアーナ様!!」
そう言って入ってきたのは従者のロイだった。
遅れてコロナの入ってくる。
「ミリアーナ様!!...よか、良かったあぁ、はっ、こうしてはいられません!早く旦那様に知らせなければ!!!」
そう言ってまた慌ただしくコロナは部屋を飛び出して行った。
「本当ですよ、まったく心配をかけすぎですお嬢様...」
コロナに続くようにロイも話しかけてきた。
でもその表情は少し涙目で驚く。
まさかロイ、泣いているの?
「ごめんなさい、自分でも反省しているわ、だからいくらでも怒っていいわよ」
そう言えば、
「いや、それは、できません!」
とロイは否定してくる。
「何よ意気地無しねロイは、主を怒れる絶好の機会なのに...」
と、少し不貞腐れ気味に言っているとまた外が騒がしくなってきた。
「ミリアーナ!!」
そう言いながら入ってきたのはお父様だった。
「お父様...ごめんなさい」
私は、お父様が入ってくるなりベットに座ったまま謝った。
すみません、立てそうにないのでこのまま謝らせてください。
「あぁ、今回の件、絶対に許さん」
今回は本当に自分でも無茶をしたと、反省している。それでもどこかお父様なら許してくれると思っていた私はお父様が放った言葉に驚いた。
「......っ」
いつもの優しい雰囲気が怒気を含んでいることに驚きながら唇を噛む。
自然と涙が溢れそうになったからだ。
こんなに親を心配させてしまうなんて...
お母様に加えて私までいなくなってしまえばお父様がどうなるかなんて分かっていたことなのに...
「本当に、ごめんなさい...」
お腹の痛みを耐え、私は今以上に深く頭を下げようとして、止められた。
「やめなさい、ミアが謝る必要なんてこれっぽっちもない」
そう言って私の背中を支えながら起こしてくれた。
「な、なんで...?」
そんな拍子抜けしたような声が出るのはしょうがないだろう。
「悪いのは、ミアには悪いがレイラだ、ミアが謝る必要なんてあるわけないだろう...こんな酷いことをしておいて親が苦しんでいる娘を怒るはずがない、だから安心してミアは療養してくれ」
最初は娘に向ける慈愛の笑みだったにもかかわらず、後半になるにつれて笑顔がなんだか黒く、なったみたいで怖かった。
それと、お父様の話に出てきたレイラについても気になる。
お父様のことだ、レイラにどんな処罰を下すかなんて嫌でも分かってしまう。
だからその前にレイラと、いいえマリーとしっかり話をしないといけない。
だから_____
「お父様、無理なのは分かっています、それでも...」
「急にどうしたんだい?」
「お父様、マリーに会いに行くことを、許可してくれませんか?」
「ミア!!お前は何を言っている!自分を殺そうとした相手にまた会いたいなんて、そんなこと許すはずがないだろう!?」
「それでもです!!私は、あの日、お母様が亡くなった日にマリーと約束をしていました...お母様のせいなんて言いません、でも私はあの日大事な約束を破った、だから私はマリーの呼び出しに答えました、あの日のことを謝るために」
そこまで言って深呼吸をし、また私は口を開いた。
お父様はそんな真剣な私の話を口を挟まず静かに聞いてくれていた。
「でも、私はこうしてマリーを悲しませてしまいました、結局のところまだマリーとの約束を果たせていません、あの日何を言おうとしていたのか、聞けていないんです、だから行かせてくれませんか?お父様、お願いです」
私はまた頭を下げた。
お父様からの反応はない。
だけど、何分か経った時、はぁとお父様のため息が聞こえた。
「ミアは頑固だもんな、しょうがない、か......うん、行っておいでミア」
そう言ってまた私の背中を支えて起こしてくれた。
そしていつもの慈愛の微笑みを浮かべてしょうがないと言った風に言ってきた。
「本当、ですか、お父様」
「本当じゃなくていいのかい?」
「いいえ!!本当がいいです!ありがとうございます!!」
「うん...その様子だとすぐ行きたいみたいだし、コロナは準備を、ロイも馬車の用意を」
「「はっ」」
指示を出された2人は急いで部屋を出ていった。
そしてお父様も準備があるからと名残惜しそうに部屋を出ていった。
外を眺めている何分かで準備が出来たのかコロナに着替えさせてもらった私は同じく準備してもらった車椅子ごと馬車に乗ったのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
終わらなかったあぁぁぁ!!!
くそおぉぉぉぉ!!
あと1話ですうぅぅぅぅ、多分!!
すいません!!!
騒がしくてすみません、つい興奮してしまったもので、本当に申し訳ないのですがあと1話だけお付き合いお願いします。
お読みいただきありがとうございました!
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