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帝国編
宰相の苦労
しおりを挟む今回はアイザック視点です!
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今日、陛下が逃げた。
それも、窓から。
なんて人だ。
確かに休みが欲しいのはわかる、だが、それは私だって同じだ。仕事が多いにもかかわらず最近になって妙に事件が多く多発している。
最初は嫌がらせかとも思ったがこれも仕事、我儘は言っていられない。だから仕方なくやっていたのに...
...ったくあいつは!!
今思い出すだけで腹立たしいが、部下達に任せて仕事を放り出すのは良くない。
私は仕方ないと割り切り、仕事を溜めに溜めやがった陛下に愚痴を零しながら書類を片付けて行ったのだった。
✱ ✱ ✱
夕闇の迫る頃、街の警備兵からある報告が上がった。
はぁ、何なんです?今忙しいのですが?
そんな事を言っても報告書を渡しに来てくれた部下に迷惑がかかるため、仕方なく受け取る。
「ご苦労様です。」
1本の紺の紐で縛られた文書を受け取り、早速紐をとく。ざっと読んでみたのだが...
これは...
はて、貴方は何をしているのですか?
思わず呆れた。
だが、これを見たら誰でも思うと思う。
内容はこうだった。
『夕刻の鐘がなって1時間ほどたった頃、怪しい男達が路地を通り周りを警戒しながらひとつの建物に入っていきましたので、捕らえ次第に城に連れていきます。また、お忍びのようでしたのであまり言わない方がいいと思いましたが、報告します。どうやら今回の報告と共に陛下と思わしき人物が指揮をとっているようです。』
との事だった。
一体あの人は何をしているんだ?
確かに仕事ではあるがそれは兵の仕事であり貴方のすることではないでしょう。
はぁ
今日でもう何回ため息を吐いたことか...このままでは幸せだって逃げてしまう。
だがそんな私の苦労も知らずあの人は見事、怪しい男達を捕え城に連れ帰ってきた。
が、
「誰です?その人」
陛下の腕の中にはどう見ても子供には見えない女性が眠っていた。横抱きにしているため背丈は分からないが、恐らく平均よりは高いと見た。
...まさか攫ってきたのか!?
いや違う、よく考えろ、あの少々女性に苦手意識がある陛下が女性を抱えているんだ。どうした?女が好きになったのか?いや、何かしら事情がある筈だ。だがそれなら兵達に任せればいい......私と陛下は従兄弟だ、その為昔からずっと一緒にいた。だが今、私は陛下、ハルの事が分からなかった。
そんな葛藤をする私に陛下が爆弾を放つ。
「彼女は今日からここで暮らす、部屋を用意しろ」
.........
............
「...は?」
思わずそんな言葉が出た。
だが、許して欲しい、急にそんなことを言い出したあなたが悪い、それに私と同じように陛下をよく知る近衛騎士達も同様に目をこれでもかと見開き驚いている。
「へ、陛下、頭は...」
「大丈夫だが?...全くどいつもこいつもなんなんだ、皆私が馬鹿だとでも思っているのか?」
「い、いえ、そういう訳では...」
「なら、早く準備をしろ、彼女を今すぐ休ませてあげたい」
「「しょ、承知しました!!」」
はっ、私も動かなければ...!
「陛下、詳しい事情をおきかせください、一体何があったのです?」
「あぁ、それか。その件に関しては明日にしてもらえないか?私は彼女の傍にいたい」
はい!?
陛下が自ら傍に、いたい!?
一体陛下はどうしてしまわれたんだ、もしや一目惚れか?まさか無理やり連れてきたなんてことは......有り得そうだ、だが今は我慢だ。取り敢えず明日報告するという陛下の言葉を信じて今は執務室に戻ろう。少しでも多く時間を取れるよう、急ピッチで終わらせなければ!
「陛下、それでは私は失礼します」
「あぁ、迷惑をかけたな」
「全くです、もうこんな無茶はしないでください」
そう言うと、陛下は私に背を向け歩き去って行かれた。
さぁ、早く仕事を終わらせよう。
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結構短くなりましたが許してください。
お読み頂きありがとうございました!
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