国を追い出された令嬢は帝国で拾われる

氷雨

文字の大きさ
上 下
6 / 53
プロローグ

アドルフの後悔、レイラの憂い

しおりを挟む


今回はミリアーナの父とレイラ視点です!
いつもより500文字ほど多くなっております!


それでは本編をどうぞ!


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




「アドルフ様、どうか睡眠をとってください!」

「五月蝿い!お前には関係ないことだろう!」

「関係あります!私はこのクルシュナード公爵家の執事です!お願いですからもっと自分の体を大事になさってください!」



「......しかし、私にはあの子だけなんだ..!」



「では、アドルフ様が倒れてしまったらミリアーナ様はどう思うでしょうか?」


「...っ」


「今、お食事を拵えて参りますのでそれまで軽く寝てくださいませ」


「...あぁ......わかった」



「よろしい、それではしばらく失礼致します」

 
バダンッ



「......」



やっと、出て行ったか...まったく昨日からああして言ってくるものだからうるさくて仕方がない...




はぁ...



私はなんて事をしてしまったんだ...


まさかこんな大事になるなんて思いもしなかった......それが分かっていれば婚約など承諾していなかったものを!!

今考えただけで昔の自分が憎くて仕方がない!!
呪い殺したいくらいだ!



14年前に妻をなくして以来何処か空っぽになってしまった心を癒してくれたのはミアだ。


いつもいつも笑顔を振りまき、私が家に帰ることが少なく、辛いだろうに、それでも帰ると必ず笑顔で出迎えてくれる...まだ3歳の子供がだ...!

なんて優しいんだ...我が子供ながら本当に凄いと思う、それに親の贔屓目なしにあの子は可愛い、もう天使だ!!

あの帰って来る時玄関で待っているミアの綺麗な顔が、私が現れた途端花のように綻ぶ様に笑う様はもう天使と言うしかない!


いや、いまはそんなことどうでも良くないがどうでもいい...!


一体昨日のうちに何が起きたと言うんだ?


婚約破棄をされたなどの報告がされた時は、それはもう怒りが抑えられなかったが、その後に舞い込んだミアが攫われたという事件を聞いた途端頭が真っ白になった。
そして、あろう事かミアの従者に手を出してしまった...ロイ君には悪い事をしてしまったな...


それでも、この怒りの矛先をどこに向けたらいいか分からなかった......本当に、私はなんて事をしてしまったんだ...


ダメだ、妻だけでなく、娘まで失ってしまったら私は、私は!!




覚えてろよ、糞王子、お前らの派閥からこの公爵家が抜ければどうなるか思い知らせてやる。



ミアに危害を加えた以上もうこの国に尽くすことは無い、此方からこんな国捨ててやるわ!



そしてこの国を裏側から救いえなくなるほど木っ端微塵に崩壊させてやる。



はっ、国が滅ぶのも近いぞ!今のうちに命乞いを始めておいた方がいいのではないか?



さぁ、いつまで持つかな?




執務室ではただ悪魔のような静かな笑い声が聞こえるばかりだった。






✱ ✱ ✱




私はレイラ・スピンズ。
昨日憎いあの女を森に置き去りにするように家の私兵に命令した。

でも、私の憂いは晴れない...どうして?あの女は消えたのよ?やっぱりいくら人を殺すことに抵抗があるからと言って殺せと命じなかったことを不服に思っているのかしら?


殺しておけばよかったわ...


でも、やっぱり、人は殺せないわよ...


だって、いくら、憎いからと言ってあの女は、あの女は、私の...


いけない!感傷に浸ってはダメよ!
思い出しなさい!私はあの女のせいでどうなった?あの女のせいで私はどんな惨めな思いをした!?


思い出せば何時もそうよ!あいつはいつもいつも私の大切な物を、人を、友情を、愛情を奪っていった!!思い出しなさい!私の今手に残っているものは何!?何も無いじゃない!!

それもこれも全部あの女のせいだ!!





でも、少しスッキリしたことがある。


それは、あいつの婚約者を奪ったことだ。

なんて高揚感なの!
今までの憂いが嘘のように軽くなったわ!


そうよ!このまま復讐し続ければいいんだわ!!



手羽染めに公爵家かしら?


あっはは!!王太子を奪った以上怖いものなんて何も無いわ!!


ミリアーナも、公爵家もこの私が潰してあげる!




今貴方がこの国を離れている間公爵家はどうなる
んでしょうね?


あー、自分がいない間に公爵家が消えていたらあの女をどんな顔をするかしら?


今からとっても楽しみで仕方がない。


精々、苦しむといいわ!!








レイラの心はミリアーナに向けた復讐心しか無かった。


レイラはまだ知らない、ジルクレイドを奪い色々な我儘を言うレイラに目をつけたアドルフに監視され、潰す側ではなく逆に着々と追い詰められることになるとは......知る由もなかった。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

まさか、ミリアーナが攫われたことで魔王が降臨するなんて...!!((((;゚Д゚)))))))ガクブル

それと、なんかレイラの悲劇のヒロイン感が凄い...!!

誰だこんな設定にしたの!!
私だ!!(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵ヘブッ


何この茶番...

次回からは帝国編が始まります!遂に恋愛に持ってける!!

うるさくしてすみませんでした...。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでのこと。 ……やっぱり、ダメだったんだ。 周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中 ※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

婚約者を親友に盗られた上、獣人の国へ嫁がされることになったが、私は大の動物好きなのでその結婚先はご褒美でしかなかった

雪葉
恋愛
婚約者である第三王子を、美しい外見の親友に盗られたエリン。まぁ王子のことは好きでも何でもなかったし、政略結婚でしかなかったのでそれは良いとして。なんと彼らはエリンに「新しい縁談」を持ってきたという。その嫁ぎ先は“獣人”の住まう国、ジュード帝国だった。 人間からは野蛮で恐ろしいと蔑まれる獣人の国であるため、王子と親友の二人はほくそ笑みながらこの縁談を彼女に持ってきたのだが────。 「憧れの国に行けることになったわ!! なんて素晴らしい縁談なのかしら……!!」 エリンは嫌がるどころか、大喜びしていた。 なぜなら、彼女は無類の動物好きだったからである。 そんなこんなで憧れの帝国へ意気揚々と嫁ぎに行き、そこで暮らす獣人たちと仲良くなろうと働きかけまくるエリン。 いつも明るく元気な彼女を見た周りの獣人達や、新しい婚約者である皇弟殿下は、次第に彼女に対し好意を持つようになっていく。 動物を心底愛するが故、獣人であろうが何だろうがこよなく愛の対象になるちょっとポンコツ入ってる令嬢と、そんな彼女を見て溺愛するようになる、狼の獣人な婚約者の皇弟殿下のお話です。 ※他サイト様にも投稿しております。

処理中です...