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プロローグ
令嬢、教会に行く
しおりを挟む「ようこそお越しくださいました、辺鄙な教会ですが歓迎致します」
目の前には30歳くらいのシスターがいた。
「はじめまして、辺鄙な教会だなんて!この教会はとても落ち着いていて心が安らぎます!」
「ふふ、そう言ってもらうと整えたかいがあります」
それから軽い会話をした後私は教会の中のある一室に通された。
「私はこの教会の修道女をしているマリアと言います、失礼ですがあなたのお名前をお聞きしてもいいですか?」
「はい、私はミリアーナと言います」
「......家名は言わないんですね...」
「...やっぱり分かりますか」
「はい、それはもう貴方のような綺麗な方だと...それにその様なお召し物を着ていれば誰でもわかりますよ」
私はふと忘れていた事実に気づいた...。
私って夜会帰りじゃない...ドレス着たままだわ...。
それに、このドレスあちこち破けててとてもじゃないけど綺麗とは言えなくなったわね...
はぁ、折角お父様が用意して下さったというのに...
「はい、少し事情がありまして...」
「えぇ、それは聞かないでおきましょう、でもその服ですと色々不便だと思いますので私の服を着てみますか?」
「いいんですか...?」
「はい、私はシスターになると同時にこの修道服で生活していますから...ですからどうか使ってください」
「その方が服も喜びます」と言ったマリアさんは聖母に相応しい慈愛に充ちた笑顔を作った。
マリアさんの服を有難く借りて着替えた私は、傷の手当を一通りしてもらい、今はお庭でシーラちゃんと遊んでいる。
「シーラちゃん、このお花は何と言うの?」
「これは、エリカ草と言って言葉通り小さな花の集まりという意味で、花言葉が「幸運」なんです」
「シーラちゃんは物知なのね!」
「そ、そんなことは...」
そう言うシーラちゃんは照れているのか若干頬が赤くなっている。
はぁ、癒されるわぁ
「ところで、ずっと気になっていたのだけれど...ここはどこですの?」
「え、やっぱり分からなかったんですね...ここはサントピューレ王国の東に位置するルグナ街です。そう言えばミリアーナさんはどこから来たんですか?」
サントピューレ...サントピューレ...サントピューレ!?!?
え!?私、隣国まで来てたの!?
ってことは私はカセドナ皇国とサントピューレ王国の狭間の森を通って来たってこと!?
道理で疲れるわけだわ...きっと時間が分からなかったせいで必死に森を歩いてたんだわ...
太陽を見ると南の空を通り過ぎ南西に位置していた。
一体何時間歩いてたのよ...
「私はカセドナ皇国から来たの、そうか、ここはサントピューレ王国だったのね...」
「ええ!?ミリアーナさん森の入口に居たから何だかおかしいとは思ってましたけど、まさか隣国から来てたなんて!!」
「まぁ、色々ありまして...」
「はぁ、聞いていほしくないという顔をしていますね、分かりました、この話は聞かなかったことにします」
なんて優しい子なの!?さっきからそうだけど余りにも優し過ぎない!?でもそこがいいわ、もうなんでもありよ、可愛いは正義よ!!
ところでシーラは何歳なのかしら?
見た感じどう見ても幼女にしか見えないのだけれど...でも、さっきから妙に大人っぽいのよね...
なので正直に聞いてみることにした。
「ねぇ、シーラっていくつなの?」
「えっ?」
「え?」
「あぁ、えっと、驚かないでくださいね?」
「え、うん、大丈夫よ、さぁ!いってご覧なさいな!」
「えっと、15歳です」
「......」
私の手からは今さっき取ったばかりの雑草がまるで髪の毛が散っていくようにハラハラと落ちていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お読み頂きどうもありがとうございました。
次回はレイラとミリアーナの父、公爵視点になります!(1話の中で2人の視点に分けてあります)
それに加えて登場人物紹介を投稿しようと思っていますのでお楽しみを!
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