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プロローグ
令嬢、森に捨てられる。
しおりを挟む前回の2分の1くらいの長さになっちゃいました。
短かったらすみません。
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ドナドナドナ~ドナ~
馬車に揺られる間に知らず知らずのうちにこの歌が頭の中で流れ始めていた。
別に売られに行く訳では無いが、何故だか無性にこの曲が流れ始めていたのだ。
一応言っておくが、決して牛などではない。断じてない。ただ、今なら牛の気持ちが分かるような気がするわ。
それよりも、お父様に何て言おうかしら?
いっその事泣き落としで誤魔化そうかしら?
うん、そうしましょう!
私に甘いお父様のことです、きっと許してくださるわ!
はっ、でもよく考えたら、婚約破棄されたという事実を知ったらそれこそお怒りになるのでは?
お母様が亡き今、もうそれはそれはお母様の分まで溺愛して下さるお父様のことです、きっと凄くお怒りになるはず......もしかしたら国が滅ぶ事だって無きにしも非ずだわ!!
こうしちゃいられない!急いで家に帰らねば!
「ロイ!!もう少し速度をはやめてくださる?」と言おうとして言えなかった。
身体が前のめりに浮いてしまう程の衝撃が馬車を襲ったからだ。
ドンッ
「きゃっ」
壁に頭を打ちそうになったが何とか足を踏ん張り耐えた。
一体何!?
考える暇もなく、外から野太い複数の声と足音が聞こえた。
「おい、そっちに逃げたぞ!!」
「おう!」
「お嬢様、お逃げください!...「騒ぐんじゃねえ!!」...がはっ」
今の声は、ロイ!?
どういう事!?外では何が起きているというの!?まさか盗賊!?
でもそれよりもロイよ!大丈夫なの!?
私は慌てて扉の取手に手をかけようと立ち上がった。
しかし、此方が開けるよりも先に外側から乱暴に扉が開けられた。
「おい!中に居たぞ!!」
「すぐに捕まえろ!逃げられたら困る!!」
「おお!!」
捕まえる?私を?
私をどこに連れていくつもり?
嫌、嫌よっ!
逃げなきゃ!今すぐここから離れないと!でもそしたらロイは?私が逃げてしまったらロイはどうなるの?
「...っ」
焦る気持ちを落ち着けようにも目の前にはじりじりと距離を詰めてくる男。
後ろに後づさりする私を獲物を捕らえるような目で男はじっと見てくる。緊張で喉が一気にカラカラに乾燥して心拍も早くなってきた。
私は今、男がいる反対側の扉を背に隠して立っている。
もしかしたら逃げれるかもしれない。でもここから逃げてどうする?外から聞こえた声は一人だけじゃなかった。例え逃げた方向に男達がいなくても女である私の体力では長くは走れない、捕まるのが落ちだ。
ダメだわ...いくら考えても良い策が思い浮かばない。
私のこの拙い頭では何をしたらいいかなんて分からない。
どうしよう、どうしよう...どうしよう!!
「おい、逃げようたってそうはいかないぞ?」
男は尚も距離を詰めてくる。
野太い声だ、その声が耳に入るたびに緊張して早まる心臓を余計強く締め付ける。
幸いな事に、私の背の後ろにもう一つ扉があることは、バレてはいないみたいだった。
「そうだぜ、だいたいお前さんも災難だな、あんな奴に目付けられるなんて」
あんな奴?これを指示した人ということ?
震えそうになる口を気力で抑え、男に問いかける。
「...奴とは、誰のこと?」
「さぁ、それは教えられないね」
「...あなた達の目的は何?」
「生憎それも教えられないぜ」
私がそうして逃げるタイミングを伺いながら探りを入れていたら、外から男達の声がした。
「おい!さっきから何してんだ!」
「そうだ!早く捕まえろ!」
その声を聞いた目の前の男は顔を引き締め、再び私に呟くように問いかけた。
「そうだな...おい、悪く思うなよ?」
え?
ドスッ「...うっ」
何かが起こった、ということは分かった。
だってお腹が凄く痛いから、吐きそうなくらい痛かったけどその前に私の意識は刈り取られてしまった。
「おい!此奴の腕と足を縛り上げろ!」
「へい!」
消えゆく意識の中で思う。
お父様......本当に、ごめんなさい。
少女の頬を一雫の涙が伝った。
「...ん」
もそもそと痺れる体を動かす。
何だか体の節々が痛い、特に鳩尾のあたりが...
それに、何故だか寒さを感じるし、匂いだって爽やかな布団の匂いじゃなくて、どちらかというと土臭い...
ん?土臭い?
んん?
そこで漸く自分が森の中で寝ていたことがわかった。
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土日は7時と22時に、平日は7時に投稿しようと思います。出来るだけ毎日投稿を目指しますができない場合もありますのでご了承ください。
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