箱庭の幸福～奴隷を買ったらいつの間にかハーレムが出来ていた～

鑑定スキル

俺はギルドで薬草採取の依頼を3件受けると、ギルドを出て、早速薬草採取に向かった。


依頼書にはマキマ草10本、コーラン草15本、タキパド草5本という比較的簡単そうな依頼だった。
ただこの薬草がどれだけ生えているのかということが分からないので少し不安でもあった。


ギルドを離れてカエラさんから聞いた薬草がよく採れるという森まで来ると、早速採取を始めた。


依頼書に描かれた薬草の絵を見ながら、木の根元や茂みの中を念入りに探すが、早くも俺は薬草採取という依頼に癖癖し始めていた。



だが何時間も森をさ迷えばさすがに何かしら見つかったりしたのだが…これは。


「マキマ草、だよな…？」


依頼書にはモミジのような形をしたピンク色の薬草の絵が描いてあるが、俺の目の前にはそのピンク色より数段濃い赤っぽいマキマ草らしきものが生えていた。


「あ～どうなんだろ？…なんかめちゃくちゃ赤いし、マキマ草じゃないかもだし(見た目まんま紅葉したモミジだし)、う～ん、もう分かんないしこれ採取しちゃってもいいかな～？」


そんでもってカエラさんに依頼書の薬草がどの辺に生えてるのか詳しく聞こう。

そう思いたって立ち上がった時だった。



ピロンリンっ


軽快な機械音が頭の中に響いた。


「…！？」


驚くとともに、もしやと思い「ステータスオープン」と唱え、ステータスを開く。


ユキ    18歳    rank.40

人間   :    男

体力    673／700

魔力    1089／1089

スキル   剣技  lv.6  かぎ爪　lv.１  気配察知  lv. 1   new 鑑定  lv. 1

称号    【異世界転移者】【闇に好かれし者】【ドランゴンスレイヤー】【セーリャ神の加護】



「…鑑定？」



ステータスが開示されると、新たにnewと付いたスキルが加わっていた。
鑑定という事はよくゲームとかで見るものを文字通り鑑定するものだろうか？分からないが取り敢えずこのスキルで薬草を鑑定してみようと思う。



が、今はそれより…。




「ド、ラ、ゴ、ン、スレイヤーってなんだあぁぁ！？あれか！？あの黒竜のことか！？そうなのか！？」



うっわ痛い、すごく痛いよ。


称号がドラゴンスレイヤーって、現実で考えるとカッコイイより羞恥が勝るよ。


というか、俺の称号なんかおかしくないか？
例えば【闇に好かれし者】とか。


おかしいって！恥ずかしいって！！


なにが闇だっ！！そんなもんに好かれんでよろしいっ！！くっそ痛いやつだからっ！！



「…はぁ」

1人なのをいいことに森の中で一通り暴れ回ると、自然とため息がでた。


ふぅ…もうこれは、諦めるしかない。
取り敢えずこの称号のことは見なかったことにしようと思う。


よし次だ。



【セーニャ神の加護】


おそらくだが、俺をこの世界に転移させた張本人だろうと俺は思う。

何のためにこの世界に俺なんかを転移させたのか全く分かりゃしないが、俺に異世界を体験させてくれたことに関しては感謝してもいいと思った。

ゲームを中断させていきなり別世界に送り込んだことに関しては酷くムカついてはいるが。


まぁ取り敢えずはこの世界を楽しむって決めたんだ。ならもうめいいっぱい楽しむしかないだろう。


俺はステータス画面を閉じ、薬草に意識を向け「鑑定」と唱えた。


【マキマ草】

通常のマキマ草の変異種
状態 :  高純度により赤く変色している


どうやらこれはマキマ草であっていたようだ。ただこれは通常のマキマ草より純度が高く赤く変色しているらしい。

マジかよ。

もしかしてこれって結構価値があるんじゃないのか？





「ムフフ…」


俺はニヤリと笑った。




この鑑定スキル、使える！







思い立ったが吉日、俺はもう鑑定スキルを使いまくった。


鑑定！鑑定！！鑑定！！


あらゆる薬草に鑑定をかけ、さっきまでの苦労が嘘のようにお目当ての薬草が見つかる見つかる！


鑑定スキル最高！！！！

もう一生ついて行くっス！！




そんなテンションで約3時間ほど、俺は森を駆けずり回った。

気づけば辺りは暗くなり、空には夕焼けが広がっていた。




「ふぅ…これくらいかな」


俺って顔に出ない分頭の中で暴れ回ってるような人間だから、余計に疲労を感じる。
頬に流れた汗をさっと手の甲で無造作に拭うと、俺は集めに集めまくった薬草を仕分ける作業を始めた。


「これとこれが依頼の薬草で、これとこれは一緒のヤツだな…」



締めてマキマ草30本内21本が高純度の変種、コーラン草43本、タキパド草12本、ナロワ草62本、パルム草10本などが手に入った。


「ふぅ～、結構取れたけど、どれくらいのお金になるんだろう」


そういえばこの世界の相場を知らないことに気づき、あとでカエラさんに聞いてみることにした。


はぁ、動き回ったからかなんか、すっごいだるいんだよなぁ。


念の為に、俺はもう一度ステータス画面を開いた。



ユキ     18歳    rank.40

人間   :    男

体力    589／700

魔力    50／1089

スキル   剣技  lv.6  かぎ爪　lv.１  気配察知  lv. 1   鑑定  lv. 3

称号    【異世界転移者】【闇に好かれし者】【ドランゴンスレイヤー】【セーリャ神の加護】



「やっぱり…」


体力はさほど減ってはいなかったが、魔力が驚くほど減っていた。
あと50しかないが、50ではたして何回鑑定が使えるんだろうか？回復したら実験してみよう。





俺は薬草をアイテムボックスにしまうと立ち上がり、ギ
ルドに向かった。