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プロローグ
しおりを挟む「え…?」
俺、来栖 由貴はだだっ広い草原に一人、ポツンと突っ立っていた。
「は...?...え?」
100連ガチャでレア級のレアキャラが出たことに踊り狂っていた余韻は覚め、ただただ混乱する。
「何、え、何処ここ...」
一瞬喜びすぎで幻覚でも見たのかと思うも、頬を掠める風と草木の匂いにそうじゃないと知る。
「えぇ...?」
どこを見ても草、草、草。
草ありすぎてゲジュタルト崩壊しそうだ。
ここは海の代わりに草が生えてんのか。
いや、そうじゃない。そういう事じゃない、落ち着け落ち着くんだ。
まず、先程までガチャを引いていたはずだ、なのに手元にスマホがない。あぁ、俺のラファエル…ってそうじゃない!
まずここはどこか考えるんだ!夢ならこんなに鮮明なわけないし、ましてやこんな現実味のあるものじゃない。
空だって、こんなに明るい...。
「…!?!?」
ふと空を見上げた時、何かがこちらに向かってくるのが見えた。
ゴオォォォォ……!!
へ…?
ゴオォォォォ…!!
「ふぁッ!?...なな、なんだよあれ!!」
黒い翼に、黒い鱗、全てが黒一色の怪物が、こちらに急降下してくる。
ポン
【Lv50エリア侵入により、黒竜が出現しました】
軽快な電子音とともに、なにやら聞き捨てならない言葉が聞こえた。
(はぁ...?Lv50?...黒竜?...出現...?)
何言ってんの!?
そんなのゲームだけにしとけよ!!
と叫び出したいけれど、こちらに向かって急降下してくる黒竜を見て全力でダッシュした。
「はぁ!...はぁぁ!...はぁ...!!」
やば、無理、人間じゃ無理、あんな怪物にかなうずないって!!!
「死ぬうぅぅぅぅ......!!」
ヴィンっ
ここはアレスト草原
各地に点在する高ランクエリアであるこのアレスト草原は、主に竜種が現れるエリアです
戦いますか? ▶ Yes
半泣き状態で過去最高に全力ダッシュしている俺の耳に、またもや電子音がしたと思えばなにやら目の前にボードが現れた。
(は?...アレスト草原?なにそれ...っていうか戦うしか選択肢ないのかよ...!!!!助けろよ!ってうかさっきからこれなんなんだよ!)
言いたいことがありすぎて心が荒れ狂ってていため、半ばやけくそ気味に「Yes...!!」と叫ぶと、機械的な声が頭に響いた。
【これよりチュートリアルを開始します、開始と同時にオートモードに切り替わり、経験値を回収致します】
(は?…なんだって?)
「って、うわっ!!」
体が勝手にっ!!っていうかなんで戻ってんだぁ!!
体が無意識にぐりんっと回転し、死に物狂いで走った道を逆走し、俺の意思に反して黒竜へと疾走し始めた。
(おいおいおいおいおいおい...!!!はぁ!?な、なにやってんの!?何やっちゃってんの俺!!)
意味わかんないよ!!なんで自分からあの怪物に近づこうとしてんだ!!死ぬ気か!!お前は自殺願望でもあるのか!?
そうか、冒険したかったのか、そしてドラゴンスレイヤーになりたかったんだな…ふむふむそうか…ってそうじゃない!!命は大切にしよう!!な!?
お願いだから逃げてください、お願いします死にたくないんです。
って言ってる側から黒竜来ちゃったよ!鼻息かかって前髪禿げそうになったよ!!
【これより黒竜の討伐を開始致します】
電子音と共に、俺の頬を掠めて行った黒竜は再び軌道を変えて方向転換をすると先ほどの倍のスピードで迫ってきた。それなのに、俺は自ら黒竜に向かって駆けだし、何処かから取り出した剣を構え一閃し、黒竜の首を切り落とした。
ウィンっ
【黒竜の討伐が完了しました。大幅の経験値獲得のためLv1からLv40へ。これよりチュートリアルを終了いたします。なお、ナビゲーションはこれにて終了です。来栖 由貴様、新たな人生をお楽しみください】
そう言って、電子音がブツリと途切れたのだった。
あれから幾ばくか時間を要し、どうにか落ち着いた俺は段々と冷静になってきた。
少し落ち着いた頭で、この異常な現象はもしや?と思った俺は、「ステータスオープン...」と唱えたところ、案の定ステータス画面が現れた。
来栖 由貴 18歳 rank.1 ▶▶ 40
人間 : 男
体力 55/100 ▶▶ 700
魔力 150/150 ▶▶ 1089
スキル new 剣技 lv.1 ▶▶ lv.6 new かぎ爪 lv.1 new 気配察知 lv. 1
称号 【異世界転移者】【悲しみの子】【ドランゴンスレイヤー】【セーリャ神の加護】
「マジか…」
ゲームでよく見る半透明のウィンドウがパッと現れ、自分のステータスが開示された。
それを見た俺は、「あぁ、これが...異世界転移か...」と呟くとともに、酷い睡魔に襲われ、頭から後ろへぶっ倒れたのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
以前投稿していた物を大幅に修正し、再投稿したものになります。
いつまで続くかは分かりませんが、どうかお付き合い下さい!
お読みいただきありがとうございました!
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