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第五章 砦の戦い
作戦開始
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アイマールはすぐに砦から身を乗り出し、音のした方を確認する。音がしたのはアイマールがまさに最初にトラップを仕掛けた所だった。
「来たのかっ?」
アイマールは唾をのみ込んだ。しかしまだ魔物の姿は見えなかった。
「ガサッガサッガサッ! ヴォ~!」
「キャッ!」
音に驚きローラが耳を塞ぐ。今度はハッキリと木の葉の擦れる音と、トラップに掛かったゴブリンの鳴き声が聞こえた。
さっきより明らかに近い距離でトラップが作動し木が揺れている。暗闇に目を凝らすとトラップに掛かった逆さまのゴブリンが狂ったように暴れている。
確実に魔物の群れが砦に近づいていた。
「ゴブリンが来た! 作戦開始だ!」
アイマールは準備していたロウソクに火をつけ、ローラに手渡した。ロウソクは夜風に吹かれ頼りなく揺れている。
「僕が合図したら導火線に火をつけて!」
「わかった!」
ローラは大事そうに火の着いたロウソクを受け取り、風で消えないように手で覆った。
そしてアイマールは投石機の巻き上げ機を力一杯巻き上げ始めた。錆びたスプリングが伸びきってギリギリと音を立てる。腐食した本体は嫌な音をたて軋み始めた。
「頼むもってくれよ!」
アイマールは祈るように金属棒を握り、飛ばす瞬間を逃さないように耳を澄ました。
「ガサッ! ガサッガサッ! ヴォ~!!」
さっきよりも更に近くで別のゴブリンが3個目のトラップに引っかかる。今度はハッキリと確認できる場所まで近づいていた。
そのゴブリンはいったん木に持ち上げられたが足に絡まった紐を自ら切断し、そのまま頭から地上に落ち動かなくなった。
その後ろには、無数のゴブリンの影が蠢いていた
無数の影を確認したアイマールはローラに合図を送る。
「今だ! ローラ火をつけて!」
「はいっ!」 素早くロウソクで布に火をつけるローラ。
導火線となった布に火が付いた事を確認したアイマールは、投石機の金属棒を思い切り引いた。
「行け~!」
錆びた鉄が軋む音と共に、火のついた壺は放物線を描き見事に飛ばされていく。
「ボンッ!」
壺はほぼ計算通りの場所に飛んでいき、激しい破裂音と共に地面にたたきつけられた。そして、まき散らされた油に火が引火しその一帯が一瞬で火の海と化す。
アイマールが急いで壺の着地点を確認すると、ゴブリン達が炎と煙に巻かれて半狂乱に陥っている。
「上手く行ったよ! ローラ」
「は……はい……やった」
ローラは引きつった笑顔を見せた。
「もう一つ行くぞ! ローラ頼む」
二人は続けてアームの先に壺を乗せ、同じ要領で火をつけて壺を飛ばした。
と、その時
「バキッ!!」
腐食した、木材が折れる音がした。
結局、投石機は2回目の衝撃には耐えられず、折れたアームが燃える壺と一緒に森の中に消えていった。
「ウソ……折れちゃった……」
二人は放心状態で、折れたアームと燃え盛る壺を見送るしかなかった。
そして再び激しい破裂音と、魔物の絶叫が森に木霊する。
「ボンッ! ヴォ~!」
二個目の壺の油の炎で、灼熱の地獄と化した森を見つめるアイマール。
「壊れるのは想定内だ……落ち着け……落ち着け」
アイマールは自分に言い聞かせるように呟いた。
「来たのかっ?」
アイマールは唾をのみ込んだ。しかしまだ魔物の姿は見えなかった。
「ガサッガサッガサッ! ヴォ~!」
「キャッ!」
音に驚きローラが耳を塞ぐ。今度はハッキリと木の葉の擦れる音と、トラップに掛かったゴブリンの鳴き声が聞こえた。
さっきより明らかに近い距離でトラップが作動し木が揺れている。暗闇に目を凝らすとトラップに掛かった逆さまのゴブリンが狂ったように暴れている。
確実に魔物の群れが砦に近づいていた。
「ゴブリンが来た! 作戦開始だ!」
アイマールは準備していたロウソクに火をつけ、ローラに手渡した。ロウソクは夜風に吹かれ頼りなく揺れている。
「僕が合図したら導火線に火をつけて!」
「わかった!」
ローラは大事そうに火の着いたロウソクを受け取り、風で消えないように手で覆った。
そしてアイマールは投石機の巻き上げ機を力一杯巻き上げ始めた。錆びたスプリングが伸びきってギリギリと音を立てる。腐食した本体は嫌な音をたて軋み始めた。
「頼むもってくれよ!」
アイマールは祈るように金属棒を握り、飛ばす瞬間を逃さないように耳を澄ました。
「ガサッ! ガサッガサッ! ヴォ~!!」
さっきよりも更に近くで別のゴブリンが3個目のトラップに引っかかる。今度はハッキリと確認できる場所まで近づいていた。
そのゴブリンはいったん木に持ち上げられたが足に絡まった紐を自ら切断し、そのまま頭から地上に落ち動かなくなった。
その後ろには、無数のゴブリンの影が蠢いていた
無数の影を確認したアイマールはローラに合図を送る。
「今だ! ローラ火をつけて!」
「はいっ!」 素早くロウソクで布に火をつけるローラ。
導火線となった布に火が付いた事を確認したアイマールは、投石機の金属棒を思い切り引いた。
「行け~!」
錆びた鉄が軋む音と共に、火のついた壺は放物線を描き見事に飛ばされていく。
「ボンッ!」
壺はほぼ計算通りの場所に飛んでいき、激しい破裂音と共に地面にたたきつけられた。そして、まき散らされた油に火が引火しその一帯が一瞬で火の海と化す。
アイマールが急いで壺の着地点を確認すると、ゴブリン達が炎と煙に巻かれて半狂乱に陥っている。
「上手く行ったよ! ローラ」
「は……はい……やった」
ローラは引きつった笑顔を見せた。
「もう一つ行くぞ! ローラ頼む」
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と、その時
「バキッ!!」
腐食した、木材が折れる音がした。
結局、投石機は2回目の衝撃には耐えられず、折れたアームが燃える壺と一緒に森の中に消えていった。
「ウソ……折れちゃった……」
二人は放心状態で、折れたアームと燃え盛る壺を見送るしかなかった。
そして再び激しい破裂音と、魔物の絶叫が森に木霊する。
「ボンッ! ヴォ~!」
二個目の壺の油の炎で、灼熱の地獄と化した森を見つめるアイマール。
「壊れるのは想定内だ……落ち着け……落ち着け」
アイマールは自分に言い聞かせるように呟いた。
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