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第五章 砦の戦い
砦の防御線
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雨はいつの間にか小雨に変わっていた。
「ゴブリンの数は何匹か覚えてる? ローラ」
「4~5匹はいたはずだけど良く覚えてないの……」
ローラは井戸に水を汲みに行った後の事を全く覚えていなかった。何者かの声に呼ばれた後、気が付くと檻の中に閉じ込められていたという。
アイマールも岩山に居たゴブリンの姿を確認したが、あれで全部なのか、それともまだ岩山の洞窟に魔物が潜んでいるのか見当も付かなかった。
「もし追って来るとしたら、夜が明ける前に必ず来る」
ゴブリン達”闇の眷属”は陽の光を極端に嫌う。夜の闇が彼らの活動時間なのだ。
「何で、私を追ってくるのかしら?」
「良く分からないけど、ローラの持っている力に関係していると思う」
アイマールはローラの魔力に敏感に反応する力が、何か関係あるのだろうと感じていた。捕まっていた牢のそばにも、何かしら魔法陣の様な物が描かれていた事も気になった。
「私の持っている力? 今まで私意識したことが無かった。みんなも同じだと思っていから……」
しかし、二人は今この事について深く考えている余裕は無かった。
「今はあまり時間が無いから、ローラはしばらくここに居て」
アイマールは地下から持ってきた武器と道具袋の中身を確認すると、ランプを手に森の暗闇に消えた。
――魔物達が来る前に、少しでも戦いを有利にしないと!
アイマールは魔物と戦うための準備を開始した。まずはラニエリさんが用意してくれた弓の弦の予備とロープを使って、砦の周辺の獣道に罠を張り巡らしていく。
――あの岩山からならきっと、この道を通ってくるはずだ……
まずは若い木の先にロープを掛け地面まで引っ張り、しならせた状態で別の木の根元に特殊な結び方で固定する。
次に獣道の木と木の間に目立たぬように弦を張り、しならせた木を固定しているロープと結んだ。
魔物が弦に引っ掛かったらロープが外れ、しならせた木の枝が勢いよく元の状態に戻り、足に絡みついた弦が魔物を吊り上げる。ワイヤートラップと呼ばれる罠の一つだ。
――これで、合ってるよな? うまく、引っ掛かってくれるといいけど。
アイマールは冒険者学校の授業を思い出しながら、次々と罠を仕掛けていった。
学生の頃、トラップで使うロープの特殊な結び目を覚える事が出来なかった彼は、厳しい教官に居残りで覚えさせられたものだった。
――あんなに嫌いだった教官にも感謝しないとな。
そう呟いたアイマールは最後のワイヤートラップを仕掛け終えた。
「ゴブリンの数は何匹か覚えてる? ローラ」
「4~5匹はいたはずだけど良く覚えてないの……」
ローラは井戸に水を汲みに行った後の事を全く覚えていなかった。何者かの声に呼ばれた後、気が付くと檻の中に閉じ込められていたという。
アイマールも岩山に居たゴブリンの姿を確認したが、あれで全部なのか、それともまだ岩山の洞窟に魔物が潜んでいるのか見当も付かなかった。
「もし追って来るとしたら、夜が明ける前に必ず来る」
ゴブリン達”闇の眷属”は陽の光を極端に嫌う。夜の闇が彼らの活動時間なのだ。
「何で、私を追ってくるのかしら?」
「良く分からないけど、ローラの持っている力に関係していると思う」
アイマールはローラの魔力に敏感に反応する力が、何か関係あるのだろうと感じていた。捕まっていた牢のそばにも、何かしら魔法陣の様な物が描かれていた事も気になった。
「私の持っている力? 今まで私意識したことが無かった。みんなも同じだと思っていから……」
しかし、二人は今この事について深く考えている余裕は無かった。
「今はあまり時間が無いから、ローラはしばらくここに居て」
アイマールは地下から持ってきた武器と道具袋の中身を確認すると、ランプを手に森の暗闇に消えた。
――魔物達が来る前に、少しでも戦いを有利にしないと!
アイマールは魔物と戦うための準備を開始した。まずはラニエリさんが用意してくれた弓の弦の予備とロープを使って、砦の周辺の獣道に罠を張り巡らしていく。
――あの岩山からならきっと、この道を通ってくるはずだ……
まずは若い木の先にロープを掛け地面まで引っ張り、しならせた状態で別の木の根元に特殊な結び方で固定する。
次に獣道の木と木の間に目立たぬように弦を張り、しならせた木を固定しているロープと結んだ。
魔物が弦に引っ掛かったらロープが外れ、しならせた木の枝が勢いよく元の状態に戻り、足に絡みついた弦が魔物を吊り上げる。ワイヤートラップと呼ばれる罠の一つだ。
――これで、合ってるよな? うまく、引っ掛かってくれるといいけど。
アイマールは冒険者学校の授業を思い出しながら、次々と罠を仕掛けていった。
学生の頃、トラップで使うロープの特殊な結び目を覚える事が出来なかった彼は、厳しい教官に居残りで覚えさせられたものだった。
――あんなに嫌いだった教官にも感謝しないとな。
そう呟いたアイマールは最後のワイヤートラップを仕掛け終えた。
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