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第一章 王都アルビオン
ルイザとアルフレッド 4
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「彼はどうかね?」
アルフレッドが分厚い冒険者名簿から用紙を一枚抜き取った。
アイマール・フィン 16歳 Eランク
シュリイースト王立冒険者学校卒業
得意武器 弓 魔法 なし
出身 パブロ村 登録番号1976
「Eランクの新卒冒険者か……経験を積むにはちょうどいいわね」
シュリイースト王立冒険者学校とは、アルビオンの街の中心部にある冒険者の訓練学校だ。ここでは約二年間に渡り武器の扱い方やダンジョンの攻略方法、野外生活の基礎などを学ぶ事が出来る。
この学校が設立された経緯は、今から約100年前アルベニア王国の北に広がる ”旧王都遺跡群” と呼ばれる地域で1人の農民が偶然古代王国の財宝を発見した事に始まる。
財宝が見つかった話はすぐに大陸中に広まり、一攫千金を夢見る多くの若者が過酷な冒険に繰り出した。
しかし危険な旅で多くの若い命が失われた。その事に心を痛めた時の国王シュリイーストが、生きのびる術を学ぶ場所として設立したのがこの学校の始まりである。
卒業するとすぐに冒険者ギルドに登録する事ができ、実力が認められれば強いパーティに参加する事が出来た。
国王シュリイーストの名はそのまま学校の名として残り、卒業時にはシュリイーストの名が入った皮のベストが卒業生に送られた。
ルイザは資料を眺めながら、このクエストに彼がふさわしいかどうかしばらく考え込んだ。
「今は、何人も冒険者を送り込む余裕はないから一人になるけど大丈夫かしら?」
「あの村の近くに強い魔物が出るという話は聞いたことがない。そこまでの危険はないと思うがのう……」
アルフレッドも少し考えているが実際行ってみないと分からない事も多い。
「そうですね。行方不明の捜索なら早めに行ったほうがいいし。とりあえずアイマール君に依頼してみますわ」
ルイザは決断し”アルビオンの冒険者ギルド受理”と彫られた印を依頼書に押した。
「先にトスタ村の村長に、返事を送るわね」
ルイザは小さな紙に、特殊なインクで文字を書き始めた。このインクは目的地へ到着すると文字が浮かび上がって来るという魔法の品物で、路地裏の妖しげな道具屋へ行けば普通に売られていた。
返事を書き終えたルイザは、テーブルに置かれた木製の箱から小さな横笛を取り出すと、部屋の窓を開け放った。
朝の清浄な空気が部屋に流れ込み、ルイザの髪を優しく梳かした。
取り出した横笛を唇に当て静かに息を吹き込むと、人の耳には届かない不思議な音色が王都の空に響き渡った。
すると伝書カラスと呼ばれる特別な訓練を受けたカラスが、どこからともなく舞い降りてきてルイザの指に留まった。
「トスタ村まで頼むわね」
そう言うとカラスの足の先に取り付けてある木の筒に、依頼の返事を書いたメモを丸めて詰めた。
「カ~!」
伝書カラスは一鳴きすると、北西の空へ飛び立った。
アルフレッドが分厚い冒険者名簿から用紙を一枚抜き取った。
アイマール・フィン 16歳 Eランク
シュリイースト王立冒険者学校卒業
得意武器 弓 魔法 なし
出身 パブロ村 登録番号1976
「Eランクの新卒冒険者か……経験を積むにはちょうどいいわね」
シュリイースト王立冒険者学校とは、アルビオンの街の中心部にある冒険者の訓練学校だ。ここでは約二年間に渡り武器の扱い方やダンジョンの攻略方法、野外生活の基礎などを学ぶ事が出来る。
この学校が設立された経緯は、今から約100年前アルベニア王国の北に広がる ”旧王都遺跡群” と呼ばれる地域で1人の農民が偶然古代王国の財宝を発見した事に始まる。
財宝が見つかった話はすぐに大陸中に広まり、一攫千金を夢見る多くの若者が過酷な冒険に繰り出した。
しかし危険な旅で多くの若い命が失われた。その事に心を痛めた時の国王シュリイーストが、生きのびる術を学ぶ場所として設立したのがこの学校の始まりである。
卒業するとすぐに冒険者ギルドに登録する事ができ、実力が認められれば強いパーティに参加する事が出来た。
国王シュリイーストの名はそのまま学校の名として残り、卒業時にはシュリイーストの名が入った皮のベストが卒業生に送られた。
ルイザは資料を眺めながら、このクエストに彼がふさわしいかどうかしばらく考え込んだ。
「今は、何人も冒険者を送り込む余裕はないから一人になるけど大丈夫かしら?」
「あの村の近くに強い魔物が出るという話は聞いたことがない。そこまでの危険はないと思うがのう……」
アルフレッドも少し考えているが実際行ってみないと分からない事も多い。
「そうですね。行方不明の捜索なら早めに行ったほうがいいし。とりあえずアイマール君に依頼してみますわ」
ルイザは決断し”アルビオンの冒険者ギルド受理”と彫られた印を依頼書に押した。
「先にトスタ村の村長に、返事を送るわね」
ルイザは小さな紙に、特殊なインクで文字を書き始めた。このインクは目的地へ到着すると文字が浮かび上がって来るという魔法の品物で、路地裏の妖しげな道具屋へ行けば普通に売られていた。
返事を書き終えたルイザは、テーブルに置かれた木製の箱から小さな横笛を取り出すと、部屋の窓を開け放った。
朝の清浄な空気が部屋に流れ込み、ルイザの髪を優しく梳かした。
取り出した横笛を唇に当て静かに息を吹き込むと、人の耳には届かない不思議な音色が王都の空に響き渡った。
すると伝書カラスと呼ばれる特別な訓練を受けたカラスが、どこからともなく舞い降りてきてルイザの指に留まった。
「トスタ村まで頼むわね」
そう言うとカラスの足の先に取り付けてある木の筒に、依頼の返事を書いたメモを丸めて詰めた。
「カ~!」
伝書カラスは一鳴きすると、北西の空へ飛び立った。
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