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9 ディアナ視点

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私はディアナ・ノワール。

私は平民として生きていたら男爵家の使いの人が来て私はノワール男爵の隠し子である事を知った。

嬉しかった。

自分はお嬢様だったんだ。

そして思い出したのだ。

「(前世で呼んでいた小説の世界だぁ。これから学園に行って王子様と恋人になれる。)」

でも、私は分かってなかった。

ユリウス王子が悪役令嬢のアリーシア・アグーリアを溺愛している事をその所為で幸せになれない事を。

~~~~~~
学園に行く当日、私は楽しみにしていた。

学園に着いて学長室に連れていかれ、ドアを開けるとそこにはユリウス王子が居た。

「(ユリウス様!こんな早く会えるなんて嬉しい!小説の通りにしたらユリウス様と結婚できる!)」

「殿下、彼女が編入生です。生徒会メンバーとして彼女の面倒を見て頂きたいのです。」

「お断りします!」

ユリウス王子は食い気味で断った。

「(えっ!どうして?編入生って事でどう言う子か知りたいって言って即了承したって書いてあったのに!?)」

「お願いします、殿下。殿下と同い年ですし。」

「学長、俺はアリーシア以外の女子生徒と一緒に居たくない。失礼します。」

「待って下さぁい!私、編入して来たばかりなので学園について分からないので、今日だけで良いので一緒にいて下さりませんかぁ?」

「私からもお願いします。」

学長も一緒に頭を下げた事で、ユリウス王子は嫌そうだったが承諾してくれた。

学長室を出て、コケたふりをしてユリウス王子に抱き付いた。

「ごめんなさぁい。」

「(上目遣いで目を潤ませれば良かったわよね。)」

ユリウス王子を見ると冷たい目で睨まれていた。

「(何でそんな目で見るの?何で!)」

私はユリウス王子の腕を離さず、胸を押しつけた。

「離してくれないか?邪魔なんだが。」

「脚挫いて痛いのでこのままでも良いですかぁ?」

そう聞くと王子は凄い嫌そうな顔をした。

そこに、

「ユリウス殿下。どうかされたのですか?」

「リゼルグ、ゼルドラ。」

「(キャーー!リゼルグ・キャンベルとゼルドラ・キャンベル!この二人の小説もあったわ。捨て難いわ。)」

「初めましてぇ。今日から学園に通う事になりましたぁ、ディアナ・ノワールと言いますぅ。」

「そうでしたか。それでなぜ殿下に抱き付いているのですか?」

「脚を痛めてしまって。」

話をしている間も私はユリウス王子の腕を離さなかった。

それで諦めたユリウス王子が歩き出したのでついて行った。

その先に悪役令嬢のアリーシア・アグーリアが居た。

ユリウス王子は彼女を見つけると私の腕を払い退け彼女の所に走って行ってしまった。

リゼルグとゼルドラもユリウス王子を追いかけて行ったので私も追いかけた。

「アリーシア!今のは何でも無いから!俺はアリーシア一筋だから!変な誤解しないでくれ!」

『何をそんなに焦ってらっしゃるのですか?』

「あのぉ、ユリウスさまぁ?その人誰ですかぁ?」

私はユリウス王子の腕に胸を押しつける様にアリーシア様を見た。

彼女は私の行動に首を傾げた。

『貴女は何方かしら?』

「私はルドルフ・ノワール男爵の娘、ディアナよぉ。貴女は誰ですかぁ?」

「(まぁ知ってるけど。此処で悪役令嬢と出会ってこの後からユリウス様といる事でいじめが始まるのよね。)」

「まぁ、貴女が男爵の隠し子の令嬢なのね。」

「(何よ、悪役令嬢の取り巻きの分際で、未来の王妃に対する態度じゃ無いわね!)」

『クラリス。私は貴女の隣にいらっしゃるユリウス殿下の婚約者、アリーシア・アグーリアですわ。これからよろしくお願いしますね。』

取り巻きを止め、彼女は私に名乗った。

「ユリウス様の婚約者なのですかぁ?」

彼女を無視してユリウス王子に話し掛けた。

ユリウス王子はまた私の腕を払って彼女の腰に手を回し抱き寄せた。

「アリーシアは俺の大事な人だ。だから、ベタベタ触らないで貰えるか?アリーシア、此処で会えたのだから、今日は一緒に帰らないかい?」

『確かに今日は城に行かなくてはなりませんものね。良いですわ、一緒に行きましょう。』

私は二度も振り解かれ、その原因である彼女を周りに気付かれない様に睨み付けていた。

だが、取り巻きのクラリスに睨んでいた事を見られていた。
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