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第八十六話 初めての実戦
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「さて、剣も手に入れたし、今日の本番だね」
「はい!」
「頑張るのですわ!」
僕の言葉にレオナとカタリナが気合いの入った表情で答えた。
この辺はよく来ている場所。リアによるとゴブリンが湧きやすいらしい。目的はレオナとカタリナの実践。見たことある相手で弱い方が良いだろう、ということでゴブリンを探しに来たんだ。
「お、早速居たね」
と、僕は一匹のゴブリンを見つけた。するとレオナが耳元で囁いた。
「ご主人様、私たちだけでやらせて貰えませんか?」
チラリとカタリナに視線を送るとカタリナも頷いている。二人で話し合ってたみたいだった。
「うーん。二人ともやりたいみたいだね。ちょうどいいかもしれないし、いいよ。でも、危なくなったら、僕も手を出しちゃうからね?」
その言葉にレオナとカタリナは頷く。
僕たちは気づかれないように木の間を隠れ、ゴブリンの様子を見ながら風下へと移動しながら間合いを詰める。
魔法の射程内になると、二人は僕の前に立つ。
先程二人で話し合い、どのように立ち回るのか話していた。横で聞いていたけど、初手はカタリナ、倒せなかったらフォローにレオナが廻りつつ、魔法を使っていこうとの事だった。
カタリナの右後方にレオナが立ち、二人で視線で合図を取る。
準備出来たのか、二人ともゴブリンへと体勢を整える。
カタリナは右手をゴブリンへと向け、言の葉を紡いだ。
「火炎矢!」
カタリナの右手の前に炎の矢が現れる。それは一瞬揺らめいた後にゴブリンを貫くべく動き出す。
ゴブリンの死角から放たれた火炎矢は、直撃し刹那、ゴブリンの悲鳴が上がる。ここからは、焦げた肌が見える。が、それだけだった。
「え? それだけですの?」
「カタリナちゃんの魔法が当たったのに! なんで倒せないの?」
予想以上にダメージを与えられていない事に動揺するカタリナ。レオナも同じであった。
二人に気づいたゴブリンは勢いよく二人に迫り来る。
焦ったレオナは火炎矢を放つが、直線的な動きはゴブリンに予測されかわされてしまう。
カタリナも続けて、今度は氷結矢を放つ、こちらもかわされてしまった。
「あ、当たらない!」
「な、なんでですの!」
二人は動揺しまくっている。魔法の範囲では無いほどゴブリンの接近を許してしまった二人には、もう魔法を唱える猶予など残されていなそうだった。
「キャー!」
「カタリナちゃん!」
あと数歩で襲いかかられる、と思った二人は思っただろう。その瞬間だった。僕が動いたのは。するとゴブリンの下半身は上半身を忘れたまま、二人の元まで駆け抜け……倒れた。
上半身は先程の場所でもがいている。
自分が何をされたのか、ゴブリンは分からなかったのだろう。僕はそのまま剣を振り下ろし、ゴブリンを縦に割いた。
「ごめんね。もう危ないかな。と思って手を出しちゃった」
そう僕は二人に謝ると、二人とも首を横に振って応えた。
「と、とんでもないですわ……助かりましたですわ……」
カタリナは呆然とした様子で、ゴブリンの下半身を見つめている。
「こういう時でも無いと教えられないからね。危ない思いさせちゃったけど、ちょうど良かったかなって。二人もやってみたかったって話だったし」
「ちょうど良かったとはどういう意味ですの?」
カタリナの問いに僕は問いで返した。
「んー。カタリナ、自分の魔法をどう思った?」
「ええと、まさかここまで弱いと思いませんでしたわ……」
続けてレオナにも問いを投げる。
「レオナ、魔法当たった?」
「いえ、お恥ずかしながら……」
二人に確認した僕は、再度二人に向けて語る。
「アマンダ先生も言ってたけど、後衛職だけじゃこうなるかなって例になるかもって思ってね。前衛との連携が大事だって分かった? あと、二人の魔法の威力の確認にもちょうど良かったってのも、勿論あるよ? だからちょうどいいかなって思ったの」
「確かに、想像以上に威力が無かったですわ。アマンダ先生にも褒められたのに。いつも御主神様の魔法を見ていたものですから……」
「そうだね。でも、いい勉強になったでしょ?」
頷く二人見て、僕も深く頷いた。
「剣も手に入った。これからは三人での連携力も高めないといけないし、慢心もしちゃダメって事。ちょうどアマンダ先生から前衛、後衛とか役割の話もあったし、今後はそこも考えて戦っていこう。ま、相手によるけどね」
「わかりました」
「かしこまりましたですわ」
と、僕は二人に語ると、二人は真剣な眼差しで頷き返してくれるのであった。
「はい!」
「頑張るのですわ!」
僕の言葉にレオナとカタリナが気合いの入った表情で答えた。
この辺はよく来ている場所。リアによるとゴブリンが湧きやすいらしい。目的はレオナとカタリナの実践。見たことある相手で弱い方が良いだろう、ということでゴブリンを探しに来たんだ。
「お、早速居たね」
と、僕は一匹のゴブリンを見つけた。するとレオナが耳元で囁いた。
「ご主人様、私たちだけでやらせて貰えませんか?」
チラリとカタリナに視線を送るとカタリナも頷いている。二人で話し合ってたみたいだった。
「うーん。二人ともやりたいみたいだね。ちょうどいいかもしれないし、いいよ。でも、危なくなったら、僕も手を出しちゃうからね?」
その言葉にレオナとカタリナは頷く。
僕たちは気づかれないように木の間を隠れ、ゴブリンの様子を見ながら風下へと移動しながら間合いを詰める。
魔法の射程内になると、二人は僕の前に立つ。
先程二人で話し合い、どのように立ち回るのか話していた。横で聞いていたけど、初手はカタリナ、倒せなかったらフォローにレオナが廻りつつ、魔法を使っていこうとの事だった。
カタリナの右後方にレオナが立ち、二人で視線で合図を取る。
準備出来たのか、二人ともゴブリンへと体勢を整える。
カタリナは右手をゴブリンへと向け、言の葉を紡いだ。
「火炎矢!」
カタリナの右手の前に炎の矢が現れる。それは一瞬揺らめいた後にゴブリンを貫くべく動き出す。
ゴブリンの死角から放たれた火炎矢は、直撃し刹那、ゴブリンの悲鳴が上がる。ここからは、焦げた肌が見える。が、それだけだった。
「え? それだけですの?」
「カタリナちゃんの魔法が当たったのに! なんで倒せないの?」
予想以上にダメージを与えられていない事に動揺するカタリナ。レオナも同じであった。
二人に気づいたゴブリンは勢いよく二人に迫り来る。
焦ったレオナは火炎矢を放つが、直線的な動きはゴブリンに予測されかわされてしまう。
カタリナも続けて、今度は氷結矢を放つ、こちらもかわされてしまった。
「あ、当たらない!」
「な、なんでですの!」
二人は動揺しまくっている。魔法の範囲では無いほどゴブリンの接近を許してしまった二人には、もう魔法を唱える猶予など残されていなそうだった。
「キャー!」
「カタリナちゃん!」
あと数歩で襲いかかられる、と思った二人は思っただろう。その瞬間だった。僕が動いたのは。するとゴブリンの下半身は上半身を忘れたまま、二人の元まで駆け抜け……倒れた。
上半身は先程の場所でもがいている。
自分が何をされたのか、ゴブリンは分からなかったのだろう。僕はそのまま剣を振り下ろし、ゴブリンを縦に割いた。
「ごめんね。もう危ないかな。と思って手を出しちゃった」
そう僕は二人に謝ると、二人とも首を横に振って応えた。
「と、とんでもないですわ……助かりましたですわ……」
カタリナは呆然とした様子で、ゴブリンの下半身を見つめている。
「こういう時でも無いと教えられないからね。危ない思いさせちゃったけど、ちょうど良かったかなって。二人もやってみたかったって話だったし」
「ちょうど良かったとはどういう意味ですの?」
カタリナの問いに僕は問いで返した。
「んー。カタリナ、自分の魔法をどう思った?」
「ええと、まさかここまで弱いと思いませんでしたわ……」
続けてレオナにも問いを投げる。
「レオナ、魔法当たった?」
「いえ、お恥ずかしながら……」
二人に確認した僕は、再度二人に向けて語る。
「アマンダ先生も言ってたけど、後衛職だけじゃこうなるかなって例になるかもって思ってね。前衛との連携が大事だって分かった? あと、二人の魔法の威力の確認にもちょうど良かったってのも、勿論あるよ? だからちょうどいいかなって思ったの」
「確かに、想像以上に威力が無かったですわ。アマンダ先生にも褒められたのに。いつも御主神様の魔法を見ていたものですから……」
「そうだね。でも、いい勉強になったでしょ?」
頷く二人見て、僕も深く頷いた。
「剣も手に入った。これからは三人での連携力も高めないといけないし、慢心もしちゃダメって事。ちょうどアマンダ先生から前衛、後衛とか役割の話もあったし、今後はそこも考えて戦っていこう。ま、相手によるけどね」
「わかりました」
「かしこまりましたですわ」
と、僕は二人に語ると、二人は真剣な眼差しで頷き返してくれるのであった。
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