僕の宝具が『眼鏡』だったせいで魔界に棄てられました ~地上に戻って大人しく暮らしているつもりなのに、何故か頼られて困ります~

織侍紗(@'ω'@)ん?

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四十五話 蹂躙

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「アリス様! お逃げ下さい!」

 何人もの兵が倒れ伏す戦場。いや、そこは戦場と呼ぶには一方的過ぎた。地に倒れ伏しているのは何百人もの人。相手は成人の姿をしたたった二人の男女のみ。ただ、その背には白き羽根が生えており、ヒトではないことは明白だった。その戦場の中、既に立っている人はたった二人になっていた。
 その一人であるフランクリンは、もう一人であるアリスを背にしながらそう叫んだ。

「嫌よ! 絶対に嫌! フランクリンこそ、お逃げなさい!」

 背中越しにアリスはそう返した。左手は怪我をし、だらりと力なく垂れ下がり、その美貌は土と汗で見る影もない。

「そうはいきません! 命にかえてもアリス様はお守りします!」

 とフランクリンが言うのもの、利き手である右手は既に無く、左手のみで剣を構え満身創痍であることは明白だった。

「それはダメ! 絶対に生き残るのよ!」

 そんな二人の様子を敵対する二人は嘲笑う。

「ハハハハハ! 弱いなぁ。お前ら弱すぎるぞ!」

 と言ったのはアリスに相対している白い羽根の生えた男、そしてフランクリンに相対する女は高飛車な態度でこう語った。

「そんな鈍な宝具じゃ傷一つ付けられないわよ! 我ら神族をなんだと思っているのかしら?」

「なんだと思ってるって言われても知らないわよ! あんたたちなんて!」

 アリスはそう言い放つと振り向きざまに鞭を振るう。その鞭は女の足にまとわりついた。

「何よこれ。あなたの宝具? こんなの巻き付けても足止めにもならないわ! アハハハハ! 弱いもの虐めって最高ね! それ!」

「キャ!」

「グゥッ!」

 足にまとわりつい鞭ごと女は足を引っ張ると、軽々とアリスが宙を舞った。そしてアリスはフランクリンへと叩きつけられ、二人は呻き声をあげて倒れてしまう。

「全くだ! 魔法も使えないクセに無駄な抵抗するなよな?」

「そ、そうよ……な、なんで魔法が使えないのかしら!」

 倒れながらもそう語るアリスに対して、腰に手を当てて顔を突き出し、女は馬鹿にするようにこう語った。

「教えてあげるわ! 我が主様が宝具を使えなくしちゃったのよ。だから魔法を使えないの。ね? わかったかしら?」

「しかし、やられる訳にはいかんのだぁぁ!」

 フランクリンは這いつくばりながらながらもそう叫ぶ。

「だからさ、無駄だって言ってんじゃん? ね?」

「俺たちは忙しいんだ。地上にいる穢れしモノ共を皆殺しにしないといけないからな! だからとりあえずさっさと死ね!」

「イヤァァァァァァァ!」

 そして叫ぶアリスの目の前で、無情にもフランクリンへ手刀が振り下ろされた。



 ────────── 一方別の場所では ──────────


 とある噴水の傍に、白い羽根を持つ巨人が舞い降りて、こう言葉を放つ。

「やっぱこの匂いは亀だったな? まさかまだ生きてたとはなぁ」

「お、お前は! ジャガール! では、やはりこの様子は!」

 驚きの声色で、亀は言葉を返した。ジャガールと呼ばれた巨人が飛翔してきた先。それは以前、ゲイルたちが助けた喋る亀だった。

「ああ、そうだよ。粛清が始まったんだよ。あの時とは違う。俺たちだけじゃない。✦‧✧̣̥̇‧✲゚✧✽*✼✼✽*様が直々に降臨なされた。確実に穢れしモノ共はお終い、ってワケだ」

「ぬぅぅ……」

 喋る亀は唸り声をあげた。亀なので表情はわからないが、苦悩している様子を醸し出していた。

「お、お師匠様? どういう状況ですか? コレは?」

 と、ジャガールの背後から声がする。それはジュデッカの声だった。ちょうど森から戻ってきた所であった。

「師匠? コイツがか? アハハハハハ! こりゃ面白い話だな。亀が師匠とはなぁ」

「お、お師匠様を馬鹿にするな!」

 ジュデッカはジャガールに向かって杖を突き出した。次の瞬間、亀が焦った様子でこう叫ぶ。

「止めなさい! ジュデッカ! お前が勝てる相手じゃない! 逃げなさい!」

「ま、魔法が出ない……! な、なんで?」

 しかし自身が魔法を使えないことにジュデッカは動揺し、立ち尽くしてしまう。

「おいおい、誰なら俺様に勝てるって言うんだ? 連れてきてくれよぉ?」

「グヌヌ……」

「ま、いいや。とりあえずコイツはいらないから処分すっかな」

「えっ?」

「ま、まさか……そんな、まさか……」

 それは一瞬の出来事であった。そしてジャガールの右手がジュデッカの胸を穿く光景が広がっていた。
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