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フラシュ王国への道中
おまけの中盤
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「本当にもう……誘ってるんですか貴女は」
いいや間違いなく誘ってるはずだ。
ホイムは目の前の彼女にその責任があると原因をなすりつけることにした。
エミリアの膨れた頬に手を添えて顔を上げさせると、自分から積極的に口を重ねていった。
一瞬戸惑ったように全身を震わせたエミリアであったが、ホイムが口を舌でこじ開けんとすると躊躇いながらも口を開きホイムを迎え入れた。
舌を絡め歯の裏を舐め触れるところ全てを犯していくホイムを身を強張らせて感じていたエミリアであったが、不意にホイムが離れると名残惜しそうに見送った。
「なんですかそのキスは」
「え……?」
突然のダメ出し。惚けそうだったところに冷水を浴びせられ困惑する彼女にホイムは告げた。
「僕ばっかりでエミリアさん全然してくれないじゃないですか」
「あう……」
「もっとその気になってくれないとアカネさんはおろかルカにも全然……寧ろルカが一番積極的ですね」
「慣……れてないから」
「それで僕にばっかりさせるって不公平じゃないですかぁ」
「んぐっ。こ、こうか?」
言葉に詰まったエミリアが遠慮がちにではあるが、今度は自ら進んでホイムに迫った。
待ちの姿勢でいる少年がさっきしてきたのを真似て舌を差し入れてみるのだが、羞恥心と抵抗感からかどうしても躊躇いがちな拙いものとなってしまう。
「……うん、二人と比べると全然ですね」
「ぐっ」
「やっぱりこれからも二人に代わり番こで相手をしてもらおうかなぁなんて」
「ひぐっ」
「思ったりなんかして?」
「……そんなに、二人と比べなくってもいいじゃないかぁ」
「先に比べてどうこう訊いてきたのはエミリアさんですよ」
次第にエミリアがしゃくり上げてきたところでホイムは彼女の頭を撫でた。
普段は気丈な彼女をもっと可愛がろうかと考えたが、これ以上は凹みすぎて泣かれてしまうと感じたからだ。
「すみません……ちょっと意地悪したかっただけです」
「ぐずっ」
鼻をすすっている。俯いてしまった顔は見えないが少しいじめすぎたようだった。
「二人と比べても魅力的で素敵な人だと……何度か言ってませんっけ?」
似たようなことを幾度か口にしているはずなので改めて言うまでもないのだが、言っておかないと機嫌が戻りそうにない。
「……本当か?」
「本心です」
「……君は意地悪だ」
ホイムの胸の前で頭を撫でられるエミリアの手が弱々しくホイムを小突いてくる。小突かれる覚悟はしていたホイムであるがこういう小突かれ方は想定外である。
「仕方ないです。可愛いからいたずらしたくなるんです」
コツンコツン。
照れたのか、俯いたままエミリアの手だけが何度かホイムを責め立てた。
ここに至ってようやくホイムは胸がバクバクしていることを自覚した。
まるで恋をした時のよう……という思考を頭を振って払った。
これはそう、性的な興奮を覚えている事と好きになりそうなドキドキを混同しているだけだと自分に言い聞かせるのだった。
「じゃ、じゃあ次はこっちをお願いします」
あくまで性の対象として見ている事を裏付けたいかのように先の行為を要求していく。
顔を伏せるエミリアの表情ははっきりとしないが、ポロンと晒したホイムに困惑したのか動きが止まってしまった。
「あの日の夜にしてもらったやつですけど」
「……夢で見た気がするが……記憶にない」
彼女にとってあの日の事は夢見心地の曖昧な出来事と化しているのだった。
かわいいとエグいの狭間を行き来するホイムに躊躇してしまう自分がいるのがはっきりと分かるが、
「これを咥えれば……ホイムは嬉しいのか?」
「えっと……嬉しいし気持ちいいです……」
迷いあぐねていたエミリアであったが、一度息を呑み両手を地に着くと、ホイムの真正面に跪いて顔を近付けた。
「い、一度やったんだ……なんてことない」
「あはは……。嫌なら無理しなくっても」
「ここまで来て……退けるものか」
意を決したエミリアがとうとう自分の意志で以てホイムを口にした。
「ちょっ、と……思い切り良すぎです……」
それもいきなり根本まで深く咥え込んだものだからホイムも驚きを隠せなかった。
エミリアらしい決断の良さであったが、そこでピタリと動きが止まった。
「ん……」
上目遣いの彼女が「どうしたらいい?」と問いかけていたので、ホイムは丁寧に指示を与えた。
「そのまま舌で転がすように……そうそうそう、それで先っぽ突付いてみたり……」
言われた通りにエミリアの口の中が蠢いた。
正直なところ拙くぎこちないウブな舌使いは大胆で遠慮のないルカとは比べる土俵にはないのだが、あのエミリアが従順に言われるがまま従っている事自体に優越感や征服感を抱くことが愉悦であった。
他の二人には主導権を握られることが多いホイムであるが、エミリア相手には圧倒的に優位を取れてしまっている感覚が堪らないのであった。
いいや間違いなく誘ってるはずだ。
ホイムは目の前の彼女にその責任があると原因をなすりつけることにした。
エミリアの膨れた頬に手を添えて顔を上げさせると、自分から積極的に口を重ねていった。
一瞬戸惑ったように全身を震わせたエミリアであったが、ホイムが口を舌でこじ開けんとすると躊躇いながらも口を開きホイムを迎え入れた。
舌を絡め歯の裏を舐め触れるところ全てを犯していくホイムを身を強張らせて感じていたエミリアであったが、不意にホイムが離れると名残惜しそうに見送った。
「なんですかそのキスは」
「え……?」
突然のダメ出し。惚けそうだったところに冷水を浴びせられ困惑する彼女にホイムは告げた。
「僕ばっかりでエミリアさん全然してくれないじゃないですか」
「あう……」
「もっとその気になってくれないとアカネさんはおろかルカにも全然……寧ろルカが一番積極的ですね」
「慣……れてないから」
「それで僕にばっかりさせるって不公平じゃないですかぁ」
「んぐっ。こ、こうか?」
言葉に詰まったエミリアが遠慮がちにではあるが、今度は自ら進んでホイムに迫った。
待ちの姿勢でいる少年がさっきしてきたのを真似て舌を差し入れてみるのだが、羞恥心と抵抗感からかどうしても躊躇いがちな拙いものとなってしまう。
「……うん、二人と比べると全然ですね」
「ぐっ」
「やっぱりこれからも二人に代わり番こで相手をしてもらおうかなぁなんて」
「ひぐっ」
「思ったりなんかして?」
「……そんなに、二人と比べなくってもいいじゃないかぁ」
「先に比べてどうこう訊いてきたのはエミリアさんですよ」
次第にエミリアがしゃくり上げてきたところでホイムは彼女の頭を撫でた。
普段は気丈な彼女をもっと可愛がろうかと考えたが、これ以上は凹みすぎて泣かれてしまうと感じたからだ。
「すみません……ちょっと意地悪したかっただけです」
「ぐずっ」
鼻をすすっている。俯いてしまった顔は見えないが少しいじめすぎたようだった。
「二人と比べても魅力的で素敵な人だと……何度か言ってませんっけ?」
似たようなことを幾度か口にしているはずなので改めて言うまでもないのだが、言っておかないと機嫌が戻りそうにない。
「……本当か?」
「本心です」
「……君は意地悪だ」
ホイムの胸の前で頭を撫でられるエミリアの手が弱々しくホイムを小突いてくる。小突かれる覚悟はしていたホイムであるがこういう小突かれ方は想定外である。
「仕方ないです。可愛いからいたずらしたくなるんです」
コツンコツン。
照れたのか、俯いたままエミリアの手だけが何度かホイムを責め立てた。
ここに至ってようやくホイムは胸がバクバクしていることを自覚した。
まるで恋をした時のよう……という思考を頭を振って払った。
これはそう、性的な興奮を覚えている事と好きになりそうなドキドキを混同しているだけだと自分に言い聞かせるのだった。
「じゃ、じゃあ次はこっちをお願いします」
あくまで性の対象として見ている事を裏付けたいかのように先の行為を要求していく。
顔を伏せるエミリアの表情ははっきりとしないが、ポロンと晒したホイムに困惑したのか動きが止まってしまった。
「あの日の夜にしてもらったやつですけど」
「……夢で見た気がするが……記憶にない」
彼女にとってあの日の事は夢見心地の曖昧な出来事と化しているのだった。
かわいいとエグいの狭間を行き来するホイムに躊躇してしまう自分がいるのがはっきりと分かるが、
「これを咥えれば……ホイムは嬉しいのか?」
「えっと……嬉しいし気持ちいいです……」
迷いあぐねていたエミリアであったが、一度息を呑み両手を地に着くと、ホイムの真正面に跪いて顔を近付けた。
「い、一度やったんだ……なんてことない」
「あはは……。嫌なら無理しなくっても」
「ここまで来て……退けるものか」
意を決したエミリアがとうとう自分の意志で以てホイムを口にした。
「ちょっ、と……思い切り良すぎです……」
それもいきなり根本まで深く咥え込んだものだからホイムも驚きを隠せなかった。
エミリアらしい決断の良さであったが、そこでピタリと動きが止まった。
「ん……」
上目遣いの彼女が「どうしたらいい?」と問いかけていたので、ホイムは丁寧に指示を与えた。
「そのまま舌で転がすように……そうそうそう、それで先っぽ突付いてみたり……」
言われた通りにエミリアの口の中が蠢いた。
正直なところ拙くぎこちないウブな舌使いは大胆で遠慮のないルカとは比べる土俵にはないのだが、あのエミリアが従順に言われるがまま従っている事自体に優越感や征服感を抱くことが愉悦であった。
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