異世界召喚された回復術士のおっさんは勇者パーティから追い出されたので子どもの姿で旅をするそうです

かものはし

文字の大きさ
上 下
111 / 131
フラシュ王国への道中

おまけの中盤

しおりを挟む
「本当にもう……誘ってるんですか貴女は」

 いいや間違いなく誘ってるはずだ。
 ホイムは目の前の彼女にその責任があると原因をなすりつけることにした。
 エミリアの膨れた頬に手を添えて顔を上げさせると、自分から積極的に口を重ねていった。
 一瞬戸惑ったように全身を震わせたエミリアであったが、ホイムが口を舌でこじ開けんとすると躊躇いながらも口を開きホイムを迎え入れた。
 舌を絡め歯の裏を舐め触れるところ全てを犯していくホイムを身を強張らせて感じていたエミリアであったが、不意にホイムが離れると名残惜しそうに見送った。

「なんですかそのキスは」
「え……?」

 突然のダメ出し。惚けそうだったところに冷水を浴びせられ困惑する彼女にホイムは告げた。

「僕ばっかりでエミリアさん全然してくれないじゃないですか」
「あう……」
「もっとその気になってくれないとアカネさんはおろかルカにも全然……寧ろルカが一番積極的ですね」
「慣……れてないから」
「それで僕にばっかりさせるって不公平じゃないですかぁ」
「んぐっ。こ、こうか?」

 言葉に詰まったエミリアが遠慮がちにではあるが、今度は自ら進んでホイムに迫った。
 待ちの姿勢でいる少年がさっきしてきたのを真似て舌を差し入れてみるのだが、羞恥心と抵抗感からかどうしても躊躇いがちな拙いものとなってしまう。

「……うん、二人と比べると全然ですね」
「ぐっ」
「やっぱりこれからも二人に代わり番こで相手をしてもらおうかなぁなんて」
「ひぐっ」
「思ったりなんかして?」
「……そんなに、二人と比べなくってもいいじゃないかぁ」
「先に比べてどうこう訊いてきたのはエミリアさんですよ」

 次第にエミリアがしゃくり上げてきたところでホイムは彼女の頭を撫でた。
 普段は気丈な彼女をもっと可愛がろうかと考えたが、これ以上は凹みすぎて泣かれてしまうと感じたからだ。

「すみません……ちょっと意地悪したかっただけです」
「ぐずっ」

 鼻をすすっている。俯いてしまった顔は見えないが少しいじめすぎたようだった。

「二人と比べても魅力的で素敵な人だと……何度か言ってませんっけ?」

 似たようなことを幾度か口にしているはずなので改めて言うまでもないのだが、言っておかないと機嫌が戻りそうにない。

「……本当か?」
「本心です」
「……君は意地悪だ」

 ホイムの胸の前で頭を撫でられるエミリアの手が弱々しくホイムを小突いてくる。小突かれる覚悟はしていたホイムであるがこういう小突かれ方は想定外である。

「仕方ないです。可愛いからいたずらしたくなるんです」

 コツンコツン。
 照れたのか、俯いたままエミリアの手だけが何度かホイムを責め立てた。
 ここに至ってようやくホイムは胸がバクバクしていることを自覚した。
 まるで恋をした時のよう……という思考を頭を振って払った。
 これはそう、性的な興奮を覚えている事と好きになりそうなドキドキを混同しているだけだと自分に言い聞かせるのだった。

「じゃ、じゃあ次はこっちをお願いします」

 あくまで性の対象として見ている事を裏付けたいかのように先の行為を要求していく。
 顔を伏せるエミリアの表情ははっきりとしないが、ポロンと晒したホイムに困惑したのか動きが止まってしまった。

「あの日の夜にしてもらったやつですけど」
「……夢で見た気がするが……記憶にない」

 彼女にとってあの日の事は夢見心地の曖昧な出来事と化しているのだった。
 かわいいとエグいの狭間を行き来するホイムに躊躇してしまう自分がいるのがはっきりと分かるが、

「これを咥えれば……ホイムは嬉しいのか?」
「えっと……嬉しいし気持ちいいです……」

 迷いあぐねていたエミリアであったが、一度息を呑み両手を地に着くと、ホイムの真正面に跪いて顔を近付けた。

「い、一度やったんだ……なんてことない」
「あはは……。嫌なら無理しなくっても」
「ここまで来て……退けるものか」

 意を決したエミリアがとうとう自分の意志で以てホイムを口にした。

「ちょっ、と……思い切り良すぎです……」

 それもいきなり根本まで深く咥え込んだものだからホイムも驚きを隠せなかった。
 エミリアらしい決断の良さであったが、そこでピタリと動きが止まった。

「ん……」

 上目遣いの彼女が「どうしたらいい?」と問いかけていたので、ホイムは丁寧に指示を与えた。

「そのまま舌で転がすように……そうそうそう、それで先っぽ突付いてみたり……」

 言われた通りにエミリアの口の中が蠢いた。
 正直なところ拙くぎこちないウブな舌使いは大胆で遠慮のないルカとは比べる土俵にはないのだが、あのエミリアが従順に言われるがまま従っている事自体に優越感や征服感を抱くことが愉悦であった。
 他の二人には主導権を握られることが多いホイムであるが、エミリア相手には圧倒的に優位を取れてしまっている感覚が堪らないのであった。
しおりを挟む
感想 180

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...