ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第9章 飛香編

第328話「七星とのデート part2」

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守里の家



テーマパークで、守里と七星、それと飛香と祐希が、アトラクションを楽しみ、幸せな時間を満喫している中で、守里の策略により、何も聞かされず家に残された美月は……



美月: ちょっ、日向子!キングはやめて!


日向子: へっへっへ笑、美月ちゃん覚悟!!


美月: あぁ~もう!!



守里により遣わされた日向子と、鉄道会社の社長のゲームを楽しんでいた。

ちなみに、結真と蓮花は買い物に行き、桜は柿谷達と遊びに出かけている。



美月: くっそ~すぐに目的地に行って、日向子の方に憑かせるんだから。


日向子: できるもんならやってみろ!私はもう、残り5マスなんだから!


美月: いや、その5マスが中々出なかったりするんだよ……よし、15マス!よくやった特急!


日向子: 運が良いね~~でも、キングが憑いちゃってるから、運は悪いのかな?


美月: っ!……



運が悪いという日向子のふとした言葉から、連想ゲームのように言葉や出来事を繋げて行った結果……



美月: あと、守里もどっかに行っちゃってるし……



何も伝えられず、守里に放っておかれたことを思い出し、落ち込む。



美月: ねぇ、ほんとに日向子は、守里がどこに行ったのか、知らないの?守里に言われて、朝から家に来たんでしょ?


日向子: うん。美月ちゃんとたくさん遊んであげてって言われただけで、それ以外には何も聞いてない!


美月: 遊んであげてって……理由も何も聞かずに、日向子は守里の言葉に元気よく返事をして従ったわけか…


日向子: だって、守里が言うことだし。


美月: ……笑、さすが、一番の幼なじみだね。守里に絶対の信頼を置いてるんだ。


日向子: 信頼……う~ん、信頼っていうか、なんというか……



何故、自分が守里の言うことを疑わずに、聞くことができるのか、ということを上手く言葉にできず、日向子が悩んでいると…



美月: ……あのさ、日向子は…


日向子: ん?



ずっと聞きたいとは思っていたが、何となく聞くことができていなかったことを、美月は真っ直ぐに日向子の目を見て、尋ねる。



美月: ずっと、守里と一緒にいて、守里のことを好きにならなかったの?


日向子: っ……



普段は笑顔で明るい表情を崩さない日向子の表情が、一瞬で崩れ、どこか悲しそうな、寂しそうな、そしてすぐに、それを取り繕うような笑顔に切り替わる。



日向子: ぜんっぜん!幼なじみとして、友達としては好きだけどね!!


美月: ……



しかし、飛香と同様に、日向子の取り繕った表情など、美月の前では、心の内を見透かす材料にしかなり得なかった。



美月: ……嘘でしょ。本当は、日向子も守里のことが…


日向子: 美月ちゃん。



美月の言葉を遮るように、日向子は笑顔を作ったまま、自分の言葉を被せる。



日向子: やめてよ笑。ほら、ゲームの続きをしよ!


美月: ………うん。



あまりに強引な日向子の言葉と、その本心を取り繕う表情を受けて、美月はこのままその本心を聞き出すことを諦め、ゲームのコントローラーを再び握った。



日向子: さぁ!張り切ってやって行くよ!!って、やった!!5が出た!!


美月: え?


日向子: ゴール!!!


美月: ってことはつまり……


日向子: 赤鬼ちゃんが、目的地の近くにいたから、キングは美月ちゃんのままだね笑


美月: うっそぉぉ~!!!



こうして、美月と日向子は、リビングでゲームを楽しむのだった。


◇◇◇


昼前



守里: うん……絶対に、アトラクションに乗る順番を間違えたよね。


七星: 確かに笑……まぁまぁ濡れたし。寒いわ…


守里: これからお昼ご飯を食べようっていうのに、この状態はさすがに………どこか、暖まれる場所はないかな?


七星: う~ん……こことかどう?


守里: お土産買うところ?……あぁ、確かに暖かいか。完全に室内だし。


七星: 暖房ついてるやろ。はよ、行こ。


守里: ……この上着着る?



そう言って、守里は自分が着ていた上着を脱ぎ、七星に被せてあげようとしたが…



七星: いや、いらんわ。守里が余計寒くなるやろうし、何より……それも濡れてるやん。


守里: あ、そっか笑。ごめん。


七星: 笑、気持ちだけ受け取っとくな。


守里: じゃ、帰りに買うお土産を選びがてら、暖まりに行こう。


七星: うん………あと、寒いから、手繋いでや。


守里: え?


七星: ほら。



驚いている守里の手に、七星は少し目を逸らしながら、自分の手を当てる。



守里: う、うん…//


七星: …さ、行くで。


守里: //はい…


七星: 笑、何堅苦しくなってんねん。リラックスしいや。昔はようしたやろ。


守里: いや、昔と今じゃ、全く違うというかなんというか……


七星: ……良いから、早く歩け!笑


守里: …笑、うん。



と、お昼時が近くなり、他の客が昼食をどうするか考え、動き出す頃、守里と七星は手を繋いで、お土産屋に向かって歩き出し、そんな2人を見ているこの2人の方は…



飛香: ………


祐希: ………手、繋いだね。


飛香: …うん。


祐希: 守里、若干、顔が赤くなってない?


飛香: なってる。


祐希: 珍しい。


飛香: ………私達にはあんな表情をしてくれたことないのに……やっぱり、七星さんにだけなんだ……


祐希: ……飛香との水族館デートの時も、守里は何も反応しなかったの?


飛香: ……正直、私も恥ずかしくて、守里の顔なんてまともに見れてないというか、もうあんまり覚えてないんだよね。


祐希: …………鳥頭?


飛香: おい、どこでその言葉を覚えた。



瞬時に鬼の形相となった飛香は、祐希に詰め寄る。



祐希: ひぃっ!……こ、この前、璃果ちゃんが真佑ちゃんに言ってた……


飛香: ……ごめんなさいは。


祐希: ごめんなさい。



即座に祐希は謝罪をして、頭を下げ、飛香からの怒りの鉄槌を避けようとする。



飛香: …はぁ……次言ったら、本気の頭グリグリで行くから。


祐希: おぉ……気をつけます。


飛香: ん。さ、行くぞ。


祐希: はい!


◇◇◇


お土産屋



七星: ふぅ~暖まるな~


守里: だね。


七星: 笑、こんなに可愛いぬいぐるみ達を見ながら、暖まれて、かつお土産選びができるなんて、一石三鳥やん笑


守里: 一石三鳥か笑……あ、このぬいぐるみ、なんか美月に似てない?


七星: え?……あぁ笑、確かにこの大きな目は美月っぽいな。性格的に言えば、このぬいぐるみは猫やから、真逆に近いけど。


守里: ぬいぐるみに性格は関係ないでしょ笑


七星: うわ、テーマパークに来といて、夢のないこと言うてる。


守里: 笑、ごめん。まぁ、なぁちゃんの言う通り、この猫のぬいぐるみは、本物の猫みたいにツンデレ感強いだろうけど、美月はツンデレと言うよりは、結構ずっと甘えてくるもんね。


七星: そうそう。だから性格的に言えば、飛香に似てんのかな?……あ、これとか飛香に似てない?目くりっくりやし、胴体に比べて、顔小さいし。


守里: なるほど笑。言われてみれば。


七星: やろ笑




飛香: ……ん、なんか今…誰かに噂をされたような…


祐希: 何それ笑……あ、これ、璃果ちゃんに似てる。


飛香: 狸のぬいぐるみじゃん。私はまだ三枝璃果ちゃんと面識ないけど、そんなにたぬき顔なの?


祐希: うん。可愛い。


飛香: へぇ~話してみたいな。


祐希: 面白い子だよ。あとやっぱ、ロボ研の部長は凄い。


飛香: 笑、祐希のためにお尻叩き装置を作っちゃったんだもんね。


祐希: あれは、かなり目が覚める。超良い。


飛香: 自分が叩かれてるのに、それ言うんだ笑


祐希: 会計を任された以上、仕事はしないとだからね。


飛香: お、祐希にもとうとう、責任感というものが……なんか込み上げてくるものがあるね笑、守里が前に言ってたように。


祐希: 祐希の成長速度はたけのこだから!


飛香: 笑、誰の受け売り?


祐希: 正羅ちゃんが、かっきーに言ってた。


飛香: やっぱり、生徒会は祐希にとって、良い成長の場だ。


祐希: うん!……あ、お姉ちゃん達、移動し始めた。


飛香: 行こう。




守里: これとか、結真姉さんのお土産に良さそうだな。


七星: 守里は、誰にお土産を買っていくつもりなん?ななは、家族にだけのつもりやけど。


守里: 僕も家族と……あと、美月には別で用意しておいた方が良いかもね。それと、奈々未さんにも…


七星: え、なんで、そこで橘先輩が出てくんの?笑


守里: いや、ちょっと色々とありまして…


七星: 笑、聞かせてや。


守里: そ、それは………あ、そろそろお腹空いたでしょ!お昼ご飯に行こう!


七星: 急な方向転換やな~笑。そんなに、橘先輩と何があったかを話したくないんか?もしかして、ななに関係があることやから、話したくないとか?


守里: …ま、まぁ、そんなところだから、もうそれは忘れて、お昼ご飯を食べに行こう。ここはほら、美味しいところが多いみたいだし。


七星: はいはい笑。守里は何が食べたいとかある?


守里: 僕は………ちなみに、なぁちゃんは?


七星: ななは……お肉食べたいな笑


守里: 笑、じゃあ、お肉にしようか。確か、マップのこの辺に……あ、あった、ステーキが名物のお店。ここに行こう。


七星: うん笑



そうして、守里と七星はニコニコと笑顔で、お土産屋を出て、名物のステーキがあるお店へと歩き始め、その後ろを、悩んだ表情の飛香と、お腹を空かせた祐希がついて行くのだった。




to be continued
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