ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
上 下
317 / 340
第9章 飛香編

第317話「何事もなかったかのように」

しおりを挟む
翌日




教室


ガラガラ



飛香: …


日向子: あ!あっしゅん、おはよう!!


飛香: っ…おはよう。


守里: ?、おはよう。いつもより元気ないけど、どうした?


美月: え、そう?飛香はいつもこんなもんじゃない?



自分の席に座っている守里と、その周りで喋っていた日向子と美月が、教室に入ってきた飛香に挨拶をする。



飛香: 別に何もないよ。ただ、昨日あんまり眠れなかっただけ。


守里: ほんと?


飛香: ほんと。


美月: あら~飛香さん、夜更かしはお肌の天敵ですわよ笑


日向子: 天敵ですわよ!


飛香: …あっそ。教えてくれてどうも。でも、深夜でも構わずインスタントラーメンを食べちゃう美月さんには、言われたくないけどね。


美月: なっ!一体誰から……ギロッ


守里: ……


美月: 裏切ったな~守里!!


グイグイ



肩を掴んで、守里の体を前後に揺さぶる美月。



守里: ちょっ、ごめんって笑。たまたま会話の流れで、ポロッと言っちゃったんだよ~


美月: こんの~


飛香: 笑、可哀想な守里。こんなのが近くにいたら、もう……嫌だよね笑


美月: っ!!


守里: 別に嫌ってことは…


美月: ごめんね~守里。美月ちゃん、別に怒ってないからね~


ナデナデ



今度は、守里の頭を両手で撫で回し始めるが…



守里: いや、マジで撫でるのはなし!


ペシッ



すぐに、守里の手に弾かれる。



美月: え~ちょっとくらい良いじゃん!


日向子: じゃあ、わしゃわしゃは!


美月: わしゃわしゃ?


日向子: ほら!大型犬を愛でるような感じで…


守里: 却下。


日向子: えぇ!!別に良いじゃん!!って、無理やりやっちゃえ!!とぉっ!


守里: わっ!こら!それは、わしゃわしゃじゃなくて、こちょこちょ…わははははは笑


日向子: ほらほらほら!これでも喰らえ~!!


コチョコチョコチョ


守里: くははは笑…マジで……やめ……ははは笑


美月: ムー、私もやる!


守里: え?!美月まで!


日向子: 美月ちゃん!一緒に守里を倒そう!!


美月: 笑、おっけ~


コチョコチョコチョ


守里: やめて~!!わははははは笑


飛香: ……



と、飛香がじっと見守る中、日向子&美月と守里による、くすぐりの攻防が行われていると…



ガラガラ



陽芽叶: ん…笑、朝から楽しそうなこと、やってんじゃん。



扉を開けて、陽芽叶が教室の中に入ってきた。



陽芽叶: ふぅ~暖まる~


飛香: おはよ。


陽芽叶: おはよ~~


日向子: 陽芽叶ちゃん!おはよう!!


美月: おはよう!


陽芽叶: 笑、朝からこちょこちょタイムですか。


日向子: うん!


守里: もうそろそろマジで…はははははは笑


美月: 私の個人情報を、勝手に話した罰だ~


陽芽叶: 個人情報?


飛香: 美月が深夜にインスタントラーメンを食べてるって話。


陽芽叶: あぁ、なんだそのことか。意外と知られてるやつじゃん。


美月: え?!そうなの?


陽芽叶: うん笑


美月: ギロッ!!


守里: いや、それは僕じゃない!僕は春時にしか話してない!


美月: ほんとかな?


守里: ほんとほんと!だから、その流れるように指を動かしている手を下ろして!


美月: う~む……


飛香: 笑、もしかしたら、春時と私がそれを話してた時に、杉浦辺りが聞いてたかもな~


美月: 杉浦君?……問いたださねば!!


守里: はい、じゃあ一旦退けて。


美月: いや!それとこれとは、話が別だね!まだ罰の執行タイム!


守里: くっ、誰か助けてくれ~


飛香: 面白いから、私は傍観で笑


日向子: じゃあ、私も!



そう言って、日向子は守里から離れ、飛香の隣に立つ。



飛香: チラッ…


日向子: ん?どうしたの?あっしゅん。


飛香: …いや、別になんでもないよ。


日向子: そっか!


美月: さてさてさて、守里よ。覚悟はできてるな?!


守里: …これ以上やるんなら、僕も本気で抵抗させてもらうけど、良い?


美月: へぇ~守里は、女の子に乱暴しちゃう人なんだ~


守里: うわ、ずっる。


美月: さぁ!大人しく、こちょこちょの罰を受けるがいい!



そうして、椅子に座ったままの守里に、美月の手が再び触れようとしたが…



陽芽叶: 守里、助けて欲しい?



隣の席に荷物を置く陽芽叶がそう言い、守里は喜びの表情で、すぐにそれに縋った。



守里: お願いします!助けてください!陽芽叶様!


美月: ちょっと、陽芽叶。邪魔しないでよ~


陽芽叶: でも、守里から助けを求められちゃったら、助けないわけにはいかないな~~ということで、美月、こっちに来て。



そう言って、陽芽叶は小さな紙切れを、守里に見えないように、美月の顔先に突き出した後、扉の方に向かう。



美月: ……しょうがないな~~守里、また後でね。


守里: いや、後でもなしで!



という守里の言葉を聞きながら、美月も陽芽叶の後を追った。



守里: にしても、あの美月が簡単に引き下がるとは……さすが陽芽叶。


日向子: やっぱ、陽芽叶ちゃんは強いね!!


飛香: 陽芽叶が強いというか……まぁ、そういうことになるのかな笑



1人になった守里の元に、傍観していた飛香と日向子が集まり、話し始める。



守里: ところで、2人の勉強の調子はどうなの?期末テストが来週に迫ってるけど。


日向子: えーっとね……あっしゅんどうなの?!


飛香: あ、そういえばそうだった。完全に忘れてた。


守里: ってことは、まだ2人は何の準備もしてない感じ?


飛香: まぁ、そうなるね。でも、日頃の積み重ねがあるから。ね、日向子。


日向子: うん!守里と祐希ちゃんの方はどうなの?


守里: ちゃんとやってるよ。それこそ昨日、祐希はBINGO!で勉強してたし。


日向子: おぉ、BINGO!で勉強……


飛香: 寝てなかった?笑


守里: そりゃ寝てる時もあったよ。でも、僕か奈々未さんがすぐに起こしてたから。


飛香: そのついでに、また奈々未さんに手伝ってもらってたんじゃない?


守里: 笑、それはどうだろう。


飛香: うわぁ、ずる~


守里: 他の人の手を貸してもらうのもありってなったじゃん。


飛香: そうだけどさ~


守里: それに、祐希は役員になって、中々勉強の時間が取れなくなったんだから、勘弁して笑


飛香: 笑、日向子。私達は、私達の力だけで頑張るよ!


日向子: おう!!


守里: 気合い入ってるね~笑


日向子: じゃあ早速!明日明後日は、私かあっしゅんの家で勉強会だ!!


飛香: え、マジ?


日向子: マジ!!


飛香: はぁ…いきなり過ぎでしょ……


日向子: ダメ?…キラキラ


飛香: ………分かったよ。でもその代わり、ちゃんと勉強するんだよ。


日向子: わっかりました!!!


守里: 家で勉強会か……今週末は師範が留守みたいだから………祐希とやるか。



と、飛香と日向子のやり取りを見て、守里がそう考えていると…



ガラガラ



教室の扉が開き、厚手のコートにマフラーに手袋と重装備をして、眠たそうに目を手で擦る小さい女子と、手袋だけという比較的軽装備でその背中を押す男子が、部屋の中に入ってきた。




to be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...