上 下
315 / 336
第9章 飛香編

第315話「飛香と七星」

しおりを挟む
放課後のとある空き教室で向かい合う、飛香と七星。


ここに呼ばれた時点で、どんな話をされるかが分かってるのか、笑顔で関係の無い話を引き延ばそうとした七星に、飛香は強い意志を持って、本題を切り出した。



飛香: 守里と何かあったんですか?


七星: え?別に何もないで笑



質問に対し、七星は即答と笑顔で返す。



飛香: 本当にですか?


七星: うん。少なくとも、ななには心当たりはないな。


飛香: じゃあ、守里が一方的に、七星先輩に対して、距離を取り始めた、と?


七星: ん?守里って、ななと距離を取り始めたんか?そりゃ、寂しいわ~


飛香: ……



この、たった三度のやり取り。

ごく自然な感じでそう言う七星を見て、飛香は嘘を言っていると確信付く。


それは、七星の演技を見抜いたからだ。


人は嘘をつく時に、必ず演技をする。

嘘をつく時の表情や口調というのは、自分がさも本当のことを言っているかのように、演技をしたものであり、七星も先程のやり取りで、そういう演技をした。

美月であれば見抜けなかったかもしれない、その七星の、飛香の言葉に対する動揺や感情の表出の演技は完璧に近かったが、飛香の洞察力の前では、演技であると見抜かれてしまったのだ。



飛香: ……七星先輩。私は事実を聞くまでは、ここを通す気はないです。


七星: 笑、事実って。そんなにななのことを疑うんか?


飛香: …自分で言うのもなんですけど、私の前での嘘はすぐにバレますよ。ってか、七星先輩もよくご存知ですよね?それこそ、小学校からの仲なんですから。


七星: おぉ、カウンターパンチ笑。でも、そんなに飛香って、自信家やったっけ?


飛香: …はい。自信を持って、今、七星先輩が嘘をついてると断言します。



真っ直ぐに七星の目を見ながら、飛香は言う。



七星: ……笑、あんな暗い目しかできんかった女の子が、良くもまぁ、ここまで強い光を宿した目をできるようになったわ。なんか、飛香の成長に泣きそう。


飛香: 泣いてても良いですから、事実を話してください。


七星: 少しぐらい、冗談に乗ってや笑


飛香: そういう空気じゃないのが、分からない人ではないでしょ。だからこそ、七星先輩が、事実を問い詰められている今の状況を脱したいと思っていることが、よく分かります。


七星: あらら、逆効果やったか笑。ってか、もう少し手加減してや、飛香。


飛香: 嘘だと認めるんですね?


七星: うん。嘘だと認める。ただ、事実を言うとは限らんけどな。ちょっと座るで。



ガタン


机の上に上げてあった椅子を下ろし、そこに座る七星。



七星: 飛香も座るか?ずっと立ちっぱは疲れるやろ。


飛香: じゃあ、疲れないうちに、守里と何があったのかを教えてくれません?


七星: ……



自分の膝に肘を付く七星は、数秒間、飛香を見ながら、何かを考えた後、口を開いた。



七星: ……無理や。飛香にそれを教えることはできひんねん。


飛香: 何故ですか?


七星: まず、分かっとると思うけど、守里は飛香達に秘密がある。


飛香: …はい。


七星: 今回、飛香が知りたがってることは、それに思いっきし、関係してることやからや。


飛香: ……つまり、守里のその秘密に、七星先輩は関係している。少なくとも、七星先輩はその守里の秘密を知ってるってことですか?


七星: そやで。だから、意地悪で飛香に教えんわけやない。


飛香: ……



その七星の言葉を聞き、飛香は黙り込み、考える。



この人、私が引き下がりやすいように、守里の話を出したな。

いや、実際に関係はするんだろうけど、あの考えた時間からして、元々、その守里の秘密に関係していること自体を、私に話すつもりはなかったけど、私を黙らせるには、話した方が良いって思ったんだろう。


まぁ、七星先輩の思惑通り、守里の秘密が関係しているとなると、私はこれ以上、守里と七星先輩の間に起こったことを無理やり聞き出そうとは思えない。

守里の秘密も気になりはするけど、いつか話せるようになった時に、守里自身の口から聞きたいって思ってるし、日向子も同じ気持ちみたいだし。

ま、あの夏の海で悩みを共有した春時は、もう守里の秘密を知ったみたいだけどね。


さて、私の目的は、事実を知ることじゃないし、説得に入りますか。



飛香: 七星先輩。


七星: ん?もう解放してくれるか?


飛香: いえ、まだです。


七星: …いくら粘っても、事実は…


飛香: 何か勘違いしているようですけど、別に私は、守里と先輩の間に何があったのかを知りたいわけじゃないんですよ。


七星: ほぉ~散々、事実を教えてくれって言ってたけど、それが目的やなかったんや。


飛香: はい。そもそも、七星先輩が素直に教えてくれるとは思ってませんでしたし。


七星: なら、何が目的なん?


飛香: それは……守里と七星先輩の関係修復です。


七星: …


飛香: 何が起こったかなんて、どうでもいい。私は、前のように、仲の良い守里と七星先輩に戻って欲しいんです。



という言葉を受け、七星は一瞬だけ悲しい表情を見せる。



七星: ……状況が変わったんよ。


飛香: え?


七星: 前とは状況が変わったから、ななは守里と距離を取ったんや。


飛香: ……その、今の状況だと、守里と七星先輩の元の仲の良い関係じゃダメってことですか?


七星: ……


飛香: 今の状態が、最適だと…正解だと思ってるんですか?


七星: それは………人間誰しもが、常に最適な道を辿れるわけやないやろ。でも、ななはこの道が、自分にとって良い道やと思ってるで。


飛香: 自分にとって良い道……ほんとにそうなんですか?


七星: あぁ。


飛香: ………七星先輩は、最近の守里の表情を見ていないんですね。


七星: え?


飛香: 必死に取り繕おうとしてますけど、今の守里は、七星先輩の姿を目で追って、悲しそうな表情をしています……


七星: …


飛香: ほんっと、ふざけないでください。守里が悲しい顔をしているのに……あなたが!それを良しとするなんて……もう言ってやりますよ…



ここ最近の守里の様子を見て、悲しみと苛立ちを積み重ねていた飛香は、七星の守里が悲しむのを良しとするような考えを聞き、それを爆発させた。



飛香: クズ女です!七星先輩は!


七星: っ…


飛香: 七星先輩ほどの人なら分かってますよね。守里があなたに……日向子や美月達……私が向けられたことのない…恋愛としての好意を向けていることを!しかも、七星先輩も守里を好意的に思ってるはずなのに、わざと守里を突き放して、悲しい思いをさせる……その上、それを自分にとって良いことだと言っているあなたは、正真正銘のクズです!



目の前の椅子に座る七星を、飛香は強く睨みつけながら、そう言い放った。



七星: ……くっ…



そして、その飛香の怒りの言葉は、これで良いはずだと自分に言い聞かせてきた七星の、強い心を揺らした。



七星: …そんなん、分かっとるわ……


飛香: じゃあ、なんで!


七星: 分かっとるけど、そうすることが一番やと、あの時は思ってしまったんや!!


飛香: っ!…



詰め寄るような飛香の言葉を遮って、七星が睨み返しながら叫ぶ。



七星: もうこうなってしまった以上、ななはこれまで通り、守里と仲良しこよしをしとったままじゃアカン!だから、ああやって、守里を突き放して…


飛香: ………その時の守里の表情を思い出してください。


七星: ……



あの時の…夕日が差し込む教室で、自分は七星にとってどんな存在か、という守里の質問に対し、未来の上司で護衛対象、と答えた時を頭に思い浮かべる。



飛香: 七星先輩が、どういう言葉を言って、守里を突き放したのかは分かりませんが………守里は笑顔だったんじゃないですか?


七星: …


飛香: それも、ただの笑顔じゃない……溢れ出る感情を必死に押し殺したような、痛々しい笑顔だったはずです。


七星: っ……


飛香: 守里は…どれだけ自分が傷ついても、好きな七星先輩が気を遣うことがないようにって、笑顔を作るんです。守里は…優しいから………よく、知ってますよね?



先程の飛香の言葉を皮切りに、止め処なく鮮明に浮き上がってくる、あれからの七星を見る守里の表情が、七星の心を揺さぶる。



七星: …当たり前やろ……何年一緒におると思ってんねん…



そう答える七星の目を見て、飛香は少し心を落ち着かせた。



飛香: ………仲良しこよしのままじゃ、ほんとにダメなんですか?


七星: ……


飛香: 守里と七星先輩が共有している秘密がどんなものなのかは知りませんけど……七星先輩なら、守里を突き放さなくても……元の仲良いままで、どうにかできるんじゃないですか?


七星: ………


飛香: ……じゃあ、質問を変えます。



俯いてしまっている七星に近づき、無理やり顔を覗き込む。



飛香: 七星先輩は、守里とどうしたいんですか?



この言葉を受けて、七星の本心を覆っていた強い殻に罅が入った。



七星: ……できることなら、仲良くしたいに決まってるやん…


飛香: …


七星: また、ちゃんと顔を見て、話したいに決まってるやん。だって、ななにとって守里は……



自分は防衛団員として、護衛として、守里に近づいた。

そして、同じ時間を共にしていくことで、普通の幼なじみとして、普通の先輩後輩として、普通の友達として、仲を深めていった。


だが、守里に自分の正体がバレた以上、これまでと同じようにはいかない。

自分が護衛だと分かられた上での、近過ぎる距離間は、護衛に支障をきたすし、時が来れば、完全なる上司と部下の関係になってしまう。


だから、七星は守里に嘘を言い、突き放した。

これまでに築いた関係性や、自分の守里に対する想いを捨てる覚悟を持って。


しかし、普段は感情的になることが滅多にない飛香の強い訴えと、捨てきれなかった守里への想いにより、七星が必死に作っていた心の殻が、完全に壊れたのだった。



七星: 幼なじみで親友なんやから…



目を瞑って、七星は、偽り続けた本心を絞り出した。



飛香: …じゃあ、そうしましょうよ。


七星: …でも…


飛香: でももクソもないんですよ。七星先輩は、そうやってすぐに無理だと諦める人でしたっけ?違うでしょ。自分が最も望む形になるように努める…尊敬できる人だったと、私は記憶してますけど。


七星: …


飛香: 七星先輩も、守里も、悲しい思いなんかせずに、楽しく笑顔で過ごせるように、動いてくださいよ。もし手伝いが必要であれば、いくらでも手伝いますから。



強い光を宿した目が、七星の目を照らす。



七星: ……そっか…………そうやな。



ゆっくりと顔を上げ、偽りの仮面が剥がれる。



七星: ななの望む形……守里と幼なじみの親友の関係で…


飛香: はい。そうしてください。


七星: ……笑、ありがとな、飛香。なんや固く考えすぎとったわ。


飛香: いいえ。私も、その七星先輩の心からの笑顔を見れて、嬉しいです。


七星: ふ~ん………にしても、良かったんか?


飛香: え?


七星: さっき、自分でも言うとったやん。私にも向けられてないような恋愛としての好意を、守里はななに向けとるって。


飛香: っ…


七星: ってことは、飛香にとって、ななは最大の敵やないの?自分で言うのもアレやけど笑


飛香: ほんっとに、自分で言うのはアレですね。よくそういうことを、そんな笑顔で言えますよ。


七星: そんな先輩を、飛香は尊敬してるんやろ?笑


飛香: くっ……言わなきゃ良かった。


七星: で、なんでわざわざ、最大の敵を手助けしたん?このまま、ななと守里の関係を修復しようとしなければ、飛香は守里と付き合いやすくなるんやないんか?笑


飛香: それ、答える必要あります?


七星: うん。聞きたいな~飛香が何を思って、こうやって動いたんか。


飛香: …単純に、守里の悲しい表情を見るのがツラかったからですよ。七星先輩が復活することよりも、守里のあの表情を見続けるのが嫌だったってだけです。


七星: うんうん、つまり?守里のことが?


飛香: っ!この!!


七星: ほら、早く言っちゃいなよ、大きな声で笑



自分が聞きたいセリフを飛香が言うまで、あと一歩となったところで、七星はニヤニヤとしながら、そのセリフを待つ。



飛香: //……


七星: あら~飛香ちゃん。顔を真っ赤にしちゃって。可愛ええな~~でも、言うまで帰さんで笑



そう言って、飛香の荷物を抱き抱える。



飛香: く、くぅ//


七星: あ、でも、ここまで言わんってことは、守里への想いはそこまで強くないんかな?笑



と、可愛い後輩の想いを聞きたい七星の煽りを受けて、とうとう飛香は口を開いた。



飛香: す、好きだからですよ「ガラガラ!!」守里のことが大好きだから!!


七星: ほぇ?


飛香: //え?



覚悟を決めて言った言葉、待ち望んでいた言葉の途中で、扉が勢いよく開かれ、2人は扉の方を見る。


するとそこには……




to be continued


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた

凪ルナ
恋愛
 3歳の時、幼稚園で机に頭をぶつけて前世の記憶を思い出した私は、それと同時に幼なじみの心配そうな顔を見て、幼なじみは攻略対象者(しかも前世の推し)でここが乙女ゲームの世界(私はモブだ)だということに気づく。  そして、私の幼なじみ(推し)と乙女ゲームで幼なじみ設定だったこれまた推し(サブキャラ)と出会う。彼らは腐女子にはたまらない二人で、もう二人がくっつけばいいんじゃないかな!?と思うような二人だった。かく言う私も腐女子じゃないけどそう思った。  乙女ゲームに巻き込まれたくない。私はひっそりと傍観していたいんだ!  しかし、容赦なく私を乙女ゲームに巻き込もうとする幼なじみの推し達。  「え?なんで私に構おうとするかな!?頼むからヒロインとイチャイチャして!それか、腐女子サービスで二人でイチャイチャしてよ!だから、私に構わないでくださいー!」  これは、そんな私と私の推し達の物語である。 ───── 小説家になろう様、ノベリズム様にも同作品名で投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

処理中です...