303 / 336
第9章 飛香編
第303話「目指す生徒会像」
しおりを挟む
生徒会室
川嶋: ふぅ……
生徒会選挙が終わって2日後…川嶋が生徒会長を引き継いだ翌日の朝、川嶋の姿は生徒会室にあった。
早水: さ、やっと椅子のクッションの感じも、お尻にしっくりしてきたところやし、他の役員を決めようや。
また、同じように監査を引き継いだ、ゴリゴリの関西弁を話す早水も一緒にいた。
川嶋: うん。それもそうなんだけど、その前にさ。お互いにこれから作っていきたい生徒会っていうのを、共有しとかない?
早水: え?そんなん、演説を聞いてるから分かるやろ。
川嶋: まぁそれはそうなんだけどさ。
選挙活動期間中や、選挙当日に散々聞いている演説の内容から、お互いがどんな理想の生徒会を掲げているのかを知ってはいるものの、改めて口に出していくことで、確実な共有をしていく。
早水: 志帆ちゃんの目指す生徒会は、歴代最高と謳われた前生徒会をも超える最強の生徒会やろ?行事も普段の活動も、前生徒会以上に活発化させ、生徒と共に最高の能高を作る。
川嶋: もっと正確に言えば、最強の生徒会というのは、役員それぞれの欠点を補い合う、全く隙のない生徒会のこと。誰にでも、欠点はあるものだからね。
早水: なるほど。つまり、志帆ちゃんが目指す生徒会のためには、良く言えばオールマイティ、悪く言えば器用貧乏な人よりも、専門分野に特化した生徒を役員にしたいわけか。
川嶋: もちろん、仕事ができる、という最低ラインは越えてる上でね。
早水: ふ~ん。
川嶋: 正羅ちゃんが目指す生徒会は?
そう川嶋が尋ねると、早水は強い意志の宿った眼差しで答える。
早水: 仕事を最高水準でこなせるのを前提として、困っている生徒のため、悩んでいる生徒のために動く、正義の生徒会や。
川嶋: …正羅ちゃんの言う正義は常に、生徒にとっての正義、なんだよね?
早水: うん。生徒を守るための正義。
川嶋: 笑、良いね。生徒のための能高なんだもん。能高の生徒会は、生徒のために動かないと。
早水: そや。だから、常に特定の生徒にとって有利になるように動く生徒会はアカン。
川嶋: というと?
早水: 特定の誰かに操られる、もしくはその誰かの意思が活動に介入しやすいような生徒会はダメってこと。
川嶋: …それは、生徒会活動における最終決定権を個人が持つ、というのがダメって意味?
早水: それもそうやけど……うん、もう直接的に言うわ。
川嶋: ?
やはり、遠回しに言うのは苦手だと感じた早水は、川嶋を真っ直ぐに見て、口を開く。
早水: 私が危険視している、今、学校の中で1番影響力のある生徒は誰やと思う?
川嶋: 1番影響力のある……前会長様?
早水: 違う。確かに、櫻宮先輩がなにか言えば、大半の生徒は言うこと聞くと思うけど、あの人…3年生は、あと半年もすれば卒業して、この学校から出ていくんや。私が危険視してる人やない。
川嶋: ってことは、2年生か。なら……守里かな。
自分の友達を思い浮かべながら言う。
早水: そう、森崎守里。あの男はありえんぐらいの影響力を持っとるんや。入学した時から、周りに可愛い女の子が集まっとるっていうことで、生徒の注目を集め、かつ本人もスペックが高く、定期試験や体育祭、文化祭でそれをみんなに見せつけた。
川嶋: 凄かったもんね~
早水: それに、2年生になってからは、おそらく櫻宮先輩達と同じ中学やったこともあってか、生徒会役員やないのに、生徒会の手伝いもして。特にこの前の文化祭では、かなり目立っとった。やから、学年問わず、森崎守里の名前と顔、そして優秀さは生徒全員に知れ渡っとる。
川嶋: だね。
早水: よって、もし森崎守里が身勝手な行動をし始め、それに有利になるような発言をしたら、生徒全員とはいかんやろうけど、大半の生徒がそれに従う可能性が高い。
川嶋: 正羅ちゃんは、それを危惧してるのか。
早水: うん。
川嶋: つまり、正羅ちゃんは、守里の暴走をちゃんと抑え込めるような生徒会を作りたいと思ってるんだね。
早水: そして、その前段階として、森崎守里陣営に属している生徒を、あんまり役員にしたくない。
川嶋: 森崎守里陣営っていうのは、守里と仲良しな人ってこと?
早水: いや、仲良し程度ならまだええ。森崎守里の言うこと全てにイェスマンの人はアカン。
川嶋: そっか……
早水: ただ、優秀な生徒は、森崎守里と仲良い人が多いからな。完全にゼロは難しい。実際、志帆ちゃんが役員に引き入れたいって思ってる人も、森崎守里と仲良い人やろ?
川嶋: ……1人は、正羅ちゃんの言うイェスマンかも。
早水: そやろな。だいたい誰かは予想つくわ。
川嶋: でも、この生徒会に絶対に必要な人材だよ。
早水: 分かっとる。選挙前の演説を聞いとったら、嫌でも分かるわ。森崎守里の影響力が高まるというリスクと比べても、あの子を役員にした時のリターンの方がかなり大きい。役職的には、学外の人と話す機会が多い副会長になるやろうけど、さっき言った最終決定権の問題の対策として、会長、副会長、監査に最終決定権を持たせれば、問題ない。
川嶋: もし、話し合いを重ねた上でも、決定に迷ったら、会長、副会長、監査の3人による多数決で決める、ってことね。
早水: せや。志帆ちゃんは、会長になった以上、自分の目指す生徒会を元に、判断するやろうし。
川嶋: もちろん。
早水: 笑、ま、そういうことやから。これらのことを踏まえた上で、一緒に誰を役員にするか考えてこ。
川嶋: うん笑
表情が柔らかくなった2人は、話の本題に入る。
川嶋: じゃあまず、人数と役職から確認していこうか。
早水: 役職は、会長、副会長、監査、議長、会計、書記、庶務の7つ。そして、会計、書記、庶務はそれぞれ2人ずつなれるから、生徒会役員の最大人数は10人。
川嶋: そのうちの、会長と監査。あと、さっき私が言った子の副会長と……昨日、前会長から聞いた、理事の指定枠の子は決まってる……で良い?
早水: しょうがないわ笑。にしても、理事の指定枠って何なんやろうな。
川嶋: 生徒会選挙前に行われる理事会で決まった、次の生徒会役員の枠…
早水: そんなことは分かっとるけど、その存在が気に入らんねん。なんで、理事が生徒会の活動に介入してこようとするんや。教師陣の方に介入しろっての。
伝統的にあるもののようだが、その存在自体があまり気に食わない早水は、苛立ちを見せる。
川嶋: まぁまぁ。前副会長様も、理事の指定枠だと言っても、理事の方から何か命令されることはないって言ってたし。そこまで気にしなくても良いんじゃない?
早水: う~ん、なんかモヤモヤすんねんな。ま、ええわ。どうする?最大人数まで入れる?それとも、前生徒会みたいに、最低限の人数にするか?私は別に、会計も兼任してええけど。
川嶋: いや、最大人数まで入れるよ。
早水: せやろな。志帆ちゃんの目指す生徒会は、そっちに近いやろうし。でも、その分、役員同士の意思共有をちゃんとやっていかんと、崩壊するで。
川嶋: 分かってる。コミュニケーションを大事にしていこう。
早水: うん。ってことで、残りは6人。余ってる役職は、議長、会計2人、書記2人、庶務2人。このうち1つは、理事の指定枠の子になるけど。どうなん?その子と仲良い志帆ちゃんからすると、どの役職が良さそう?
川嶋: う、う~ん……仕事はやるだろうけど、だらけ癖があるからな………
早水: なら、議長は却下で、他の3つ……それも他の役員が決まってからやな。その子の尻を叩けるような子と同じ役職にすればええやろ。
川嶋: そうだね。で、私的には、全生徒会の2年生3人をまた生徒会役員に引き入れる方が良いと思うんだけど。どう?
早水: それは私も考えとったわ。先輩からの引き継ぎ資料があるとはいえ、実際に仕事をした経験がある人達がおった方がええから。
川嶋: じゃ、その3人も決定で、残り3人。
早水: 残り3人は、まず既に決まった人達を集めてから、みんなで決めへん?
川嶋: それもそうだね。なら早速、決まった5人を呼ぼうか。
そうして、川嶋と早水は放送室に向かい、生徒会室に当代の生徒会役員候補の生徒達を呼ぶのだった。
◇◇◇
コンコン
早水: あ、来たみたいやな。
川嶋: どうぞ。
ガチャ
??1: 失礼します。
??2: 失礼しまーーす!!!
??3: 笑、失礼します。
??2: いや~なんか、失礼しますって言って、この部屋に、入るのは久しぶりだね!
??1: 落ち着いてください。私達は呼び出しを受けた身なんですから。
??2: え~でも、ほんとに久しぶりなんだもん!
??3: まぁ、昨日もここには来てるんだけどね。
扉を開けると同時に、騒がしく入ってきた3人…まぁ、騒がしいのは主に1人なのだが…を、川嶋と早水は迎える。
川嶋: 笑、お待ちしてました。倉田さん、鹿川さん、灰崎君。
倉田: すみません、会長。まゆちゃんがうるさくて。
鹿川: え~
早水: 元気でええやん笑。こういう明るい子がおった方が、仕事もテンション上げてできるやろ。
鹿川: わっ!嬉しい!
川嶋: では、早速、皆さんを呼び出した要件なんですが…
灰崎: 笑、ちょっと待ってよ。
すぐに本題に入ろうとした川嶋を、灰崎が止める。
川嶋: なんですか?
灰崎: 今の川嶋さんは、生徒会長なんだよ。それなのに、僕達に対して敬語っていうのは、おかしくない?
早水: せやな。みんな同級生なんやし、志帆ちゃんが目指す生徒会では、役員同士のコミュニケーションが大事って話になったやん。それなら、敬語はなしでタメ語で話そ。
倉田: ………
灰崎: …倉田さんも、この機会だし、タメ語で話すようにしたらどうかな?
鹿川: そうだよ!みんなで仲良く話そう!敬語だと、やっぱり、ちょっとだけ距離を感じるし!
倉田: ……分かりました、善処します。
灰崎: 笑、敬語だけど?ほら、別に僕達は、倉田さんの鹿児島弁が出たとしても気にしないから。
倉田: っ……分かった。善処する。
鹿川: やった!!桃ちゃん~!
ギュッ!
これまでずっと敬語だった倉田がタメ語を使ってくれたことに、さらにテンションを上げた鹿川は、勢いよく倉田に抱きつく。
倉田: ちょっ、やめて、まゆちゃん。
鹿川: 良いじゃん、少しぐらい~
早水: じゃ、志帆ちゃんも敬語なしで。ってか、私には初めから敬語じゃなかったやんな?なんで?
川嶋: え、いや……私は、前の生徒会の皆さんに憧れてたから……
灰崎: 確か、僕と初めて会った時は、立ったまま気絶してたよね笑
早水: 嘘やろ?!
鹿川: そうなの?!志帆ちゃん!
川嶋: //恥ずかしながら……
灰崎: あの時は、ほんとにびっくりしたよ。
早水: やっぱ、志帆ちゃんは面白い人やな笑
川嶋: もう、忘れて笑
灰崎: う~ん、中々に印象深い記憶だからな~
鹿川: そういうのって、そう簡単には忘れないよね!
倉田: それを言う前に、まゆちゃんは、早く離れてよ。
鹿川: え~もうちょっと~
と、わちゃわちゃしていると…
コンコン
早水: お、あと2人の方も来たみたいやな。どうぞ!
倉田: 待って、この状態は…
to be continued
川嶋: ふぅ……
生徒会選挙が終わって2日後…川嶋が生徒会長を引き継いだ翌日の朝、川嶋の姿は生徒会室にあった。
早水: さ、やっと椅子のクッションの感じも、お尻にしっくりしてきたところやし、他の役員を決めようや。
また、同じように監査を引き継いだ、ゴリゴリの関西弁を話す早水も一緒にいた。
川嶋: うん。それもそうなんだけど、その前にさ。お互いにこれから作っていきたい生徒会っていうのを、共有しとかない?
早水: え?そんなん、演説を聞いてるから分かるやろ。
川嶋: まぁそれはそうなんだけどさ。
選挙活動期間中や、選挙当日に散々聞いている演説の内容から、お互いがどんな理想の生徒会を掲げているのかを知ってはいるものの、改めて口に出していくことで、確実な共有をしていく。
早水: 志帆ちゃんの目指す生徒会は、歴代最高と謳われた前生徒会をも超える最強の生徒会やろ?行事も普段の活動も、前生徒会以上に活発化させ、生徒と共に最高の能高を作る。
川嶋: もっと正確に言えば、最強の生徒会というのは、役員それぞれの欠点を補い合う、全く隙のない生徒会のこと。誰にでも、欠点はあるものだからね。
早水: なるほど。つまり、志帆ちゃんが目指す生徒会のためには、良く言えばオールマイティ、悪く言えば器用貧乏な人よりも、専門分野に特化した生徒を役員にしたいわけか。
川嶋: もちろん、仕事ができる、という最低ラインは越えてる上でね。
早水: ふ~ん。
川嶋: 正羅ちゃんが目指す生徒会は?
そう川嶋が尋ねると、早水は強い意志の宿った眼差しで答える。
早水: 仕事を最高水準でこなせるのを前提として、困っている生徒のため、悩んでいる生徒のために動く、正義の生徒会や。
川嶋: …正羅ちゃんの言う正義は常に、生徒にとっての正義、なんだよね?
早水: うん。生徒を守るための正義。
川嶋: 笑、良いね。生徒のための能高なんだもん。能高の生徒会は、生徒のために動かないと。
早水: そや。だから、常に特定の生徒にとって有利になるように動く生徒会はアカン。
川嶋: というと?
早水: 特定の誰かに操られる、もしくはその誰かの意思が活動に介入しやすいような生徒会はダメってこと。
川嶋: …それは、生徒会活動における最終決定権を個人が持つ、というのがダメって意味?
早水: それもそうやけど……うん、もう直接的に言うわ。
川嶋: ?
やはり、遠回しに言うのは苦手だと感じた早水は、川嶋を真っ直ぐに見て、口を開く。
早水: 私が危険視している、今、学校の中で1番影響力のある生徒は誰やと思う?
川嶋: 1番影響力のある……前会長様?
早水: 違う。確かに、櫻宮先輩がなにか言えば、大半の生徒は言うこと聞くと思うけど、あの人…3年生は、あと半年もすれば卒業して、この学校から出ていくんや。私が危険視してる人やない。
川嶋: ってことは、2年生か。なら……守里かな。
自分の友達を思い浮かべながら言う。
早水: そう、森崎守里。あの男はありえんぐらいの影響力を持っとるんや。入学した時から、周りに可愛い女の子が集まっとるっていうことで、生徒の注目を集め、かつ本人もスペックが高く、定期試験や体育祭、文化祭でそれをみんなに見せつけた。
川嶋: 凄かったもんね~
早水: それに、2年生になってからは、おそらく櫻宮先輩達と同じ中学やったこともあってか、生徒会役員やないのに、生徒会の手伝いもして。特にこの前の文化祭では、かなり目立っとった。やから、学年問わず、森崎守里の名前と顔、そして優秀さは生徒全員に知れ渡っとる。
川嶋: だね。
早水: よって、もし森崎守里が身勝手な行動をし始め、それに有利になるような発言をしたら、生徒全員とはいかんやろうけど、大半の生徒がそれに従う可能性が高い。
川嶋: 正羅ちゃんは、それを危惧してるのか。
早水: うん。
川嶋: つまり、正羅ちゃんは、守里の暴走をちゃんと抑え込めるような生徒会を作りたいと思ってるんだね。
早水: そして、その前段階として、森崎守里陣営に属している生徒を、あんまり役員にしたくない。
川嶋: 森崎守里陣営っていうのは、守里と仲良しな人ってこと?
早水: いや、仲良し程度ならまだええ。森崎守里の言うこと全てにイェスマンの人はアカン。
川嶋: そっか……
早水: ただ、優秀な生徒は、森崎守里と仲良い人が多いからな。完全にゼロは難しい。実際、志帆ちゃんが役員に引き入れたいって思ってる人も、森崎守里と仲良い人やろ?
川嶋: ……1人は、正羅ちゃんの言うイェスマンかも。
早水: そやろな。だいたい誰かは予想つくわ。
川嶋: でも、この生徒会に絶対に必要な人材だよ。
早水: 分かっとる。選挙前の演説を聞いとったら、嫌でも分かるわ。森崎守里の影響力が高まるというリスクと比べても、あの子を役員にした時のリターンの方がかなり大きい。役職的には、学外の人と話す機会が多い副会長になるやろうけど、さっき言った最終決定権の問題の対策として、会長、副会長、監査に最終決定権を持たせれば、問題ない。
川嶋: もし、話し合いを重ねた上でも、決定に迷ったら、会長、副会長、監査の3人による多数決で決める、ってことね。
早水: せや。志帆ちゃんは、会長になった以上、自分の目指す生徒会を元に、判断するやろうし。
川嶋: もちろん。
早水: 笑、ま、そういうことやから。これらのことを踏まえた上で、一緒に誰を役員にするか考えてこ。
川嶋: うん笑
表情が柔らかくなった2人は、話の本題に入る。
川嶋: じゃあまず、人数と役職から確認していこうか。
早水: 役職は、会長、副会長、監査、議長、会計、書記、庶務の7つ。そして、会計、書記、庶務はそれぞれ2人ずつなれるから、生徒会役員の最大人数は10人。
川嶋: そのうちの、会長と監査。あと、さっき私が言った子の副会長と……昨日、前会長から聞いた、理事の指定枠の子は決まってる……で良い?
早水: しょうがないわ笑。にしても、理事の指定枠って何なんやろうな。
川嶋: 生徒会選挙前に行われる理事会で決まった、次の生徒会役員の枠…
早水: そんなことは分かっとるけど、その存在が気に入らんねん。なんで、理事が生徒会の活動に介入してこようとするんや。教師陣の方に介入しろっての。
伝統的にあるもののようだが、その存在自体があまり気に食わない早水は、苛立ちを見せる。
川嶋: まぁまぁ。前副会長様も、理事の指定枠だと言っても、理事の方から何か命令されることはないって言ってたし。そこまで気にしなくても良いんじゃない?
早水: う~ん、なんかモヤモヤすんねんな。ま、ええわ。どうする?最大人数まで入れる?それとも、前生徒会みたいに、最低限の人数にするか?私は別に、会計も兼任してええけど。
川嶋: いや、最大人数まで入れるよ。
早水: せやろな。志帆ちゃんの目指す生徒会は、そっちに近いやろうし。でも、その分、役員同士の意思共有をちゃんとやっていかんと、崩壊するで。
川嶋: 分かってる。コミュニケーションを大事にしていこう。
早水: うん。ってことで、残りは6人。余ってる役職は、議長、会計2人、書記2人、庶務2人。このうち1つは、理事の指定枠の子になるけど。どうなん?その子と仲良い志帆ちゃんからすると、どの役職が良さそう?
川嶋: う、う~ん……仕事はやるだろうけど、だらけ癖があるからな………
早水: なら、議長は却下で、他の3つ……それも他の役員が決まってからやな。その子の尻を叩けるような子と同じ役職にすればええやろ。
川嶋: そうだね。で、私的には、全生徒会の2年生3人をまた生徒会役員に引き入れる方が良いと思うんだけど。どう?
早水: それは私も考えとったわ。先輩からの引き継ぎ資料があるとはいえ、実際に仕事をした経験がある人達がおった方がええから。
川嶋: じゃ、その3人も決定で、残り3人。
早水: 残り3人は、まず既に決まった人達を集めてから、みんなで決めへん?
川嶋: それもそうだね。なら早速、決まった5人を呼ぼうか。
そうして、川嶋と早水は放送室に向かい、生徒会室に当代の生徒会役員候補の生徒達を呼ぶのだった。
◇◇◇
コンコン
早水: あ、来たみたいやな。
川嶋: どうぞ。
ガチャ
??1: 失礼します。
??2: 失礼しまーーす!!!
??3: 笑、失礼します。
??2: いや~なんか、失礼しますって言って、この部屋に、入るのは久しぶりだね!
??1: 落ち着いてください。私達は呼び出しを受けた身なんですから。
??2: え~でも、ほんとに久しぶりなんだもん!
??3: まぁ、昨日もここには来てるんだけどね。
扉を開けると同時に、騒がしく入ってきた3人…まぁ、騒がしいのは主に1人なのだが…を、川嶋と早水は迎える。
川嶋: 笑、お待ちしてました。倉田さん、鹿川さん、灰崎君。
倉田: すみません、会長。まゆちゃんがうるさくて。
鹿川: え~
早水: 元気でええやん笑。こういう明るい子がおった方が、仕事もテンション上げてできるやろ。
鹿川: わっ!嬉しい!
川嶋: では、早速、皆さんを呼び出した要件なんですが…
灰崎: 笑、ちょっと待ってよ。
すぐに本題に入ろうとした川嶋を、灰崎が止める。
川嶋: なんですか?
灰崎: 今の川嶋さんは、生徒会長なんだよ。それなのに、僕達に対して敬語っていうのは、おかしくない?
早水: せやな。みんな同級生なんやし、志帆ちゃんが目指す生徒会では、役員同士のコミュニケーションが大事って話になったやん。それなら、敬語はなしでタメ語で話そ。
倉田: ………
灰崎: …倉田さんも、この機会だし、タメ語で話すようにしたらどうかな?
鹿川: そうだよ!みんなで仲良く話そう!敬語だと、やっぱり、ちょっとだけ距離を感じるし!
倉田: ……分かりました、善処します。
灰崎: 笑、敬語だけど?ほら、別に僕達は、倉田さんの鹿児島弁が出たとしても気にしないから。
倉田: っ……分かった。善処する。
鹿川: やった!!桃ちゃん~!
ギュッ!
これまでずっと敬語だった倉田がタメ語を使ってくれたことに、さらにテンションを上げた鹿川は、勢いよく倉田に抱きつく。
倉田: ちょっ、やめて、まゆちゃん。
鹿川: 良いじゃん、少しぐらい~
早水: じゃ、志帆ちゃんも敬語なしで。ってか、私には初めから敬語じゃなかったやんな?なんで?
川嶋: え、いや……私は、前の生徒会の皆さんに憧れてたから……
灰崎: 確か、僕と初めて会った時は、立ったまま気絶してたよね笑
早水: 嘘やろ?!
鹿川: そうなの?!志帆ちゃん!
川嶋: //恥ずかしながら……
灰崎: あの時は、ほんとにびっくりしたよ。
早水: やっぱ、志帆ちゃんは面白い人やな笑
川嶋: もう、忘れて笑
灰崎: う~ん、中々に印象深い記憶だからな~
鹿川: そういうのって、そう簡単には忘れないよね!
倉田: それを言う前に、まゆちゃんは、早く離れてよ。
鹿川: え~もうちょっと~
と、わちゃわちゃしていると…
コンコン
早水: お、あと2人の方も来たみたいやな。どうぞ!
倉田: 待って、この状態は…
to be continued
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた
凪ルナ
恋愛
3歳の時、幼稚園で机に頭をぶつけて前世の記憶を思い出した私は、それと同時に幼なじみの心配そうな顔を見て、幼なじみは攻略対象者(しかも前世の推し)でここが乙女ゲームの世界(私はモブだ)だということに気づく。
そして、私の幼なじみ(推し)と乙女ゲームで幼なじみ設定だったこれまた推し(サブキャラ)と出会う。彼らは腐女子にはたまらない二人で、もう二人がくっつけばいいんじゃないかな!?と思うような二人だった。かく言う私も腐女子じゃないけどそう思った。
乙女ゲームに巻き込まれたくない。私はひっそりと傍観していたいんだ!
しかし、容赦なく私を乙女ゲームに巻き込もうとする幼なじみの推し達。
「え?なんで私に構おうとするかな!?頼むからヒロインとイチャイチャして!それか、腐女子サービスで二人でイチャイチャしてよ!だから、私に構わないでくださいー!」
これは、そんな私と私の推し達の物語である。
─────
小説家になろう様、ノベリズム様にも同作品名で投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる