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第8章 生徒会選挙編

第298話「選挙活動最終日」

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選挙活動最終日の朝、生徒会役員と守里は、生徒会室で熱心に仕事に取り組み、続々と仕事を終わらせる。

そして、仕事を終わらせた櫻宮は、部屋の雰囲気を明るくするためか、鹿川と共に、他の役員…今は七星に絡む。



櫻宮: なぁちゃん、すごい!


鹿川: カッコいいです!副会長!


櫻宮: よっ!仕事人!


鹿川: 必殺しご…


七星: もうやめ。



調子に乗った2人を七星は一言で止める。



鹿川: は~い!


櫻宮: え~もうちょっとやらせてよ笑


七星: やる必要ないわ。ってか、もう仕事が終わってるのがすごいって話なら、麗華も終わってるやん。


櫻宮: まぁね笑


七星: 同じ目に遭わせてやろか?笑


櫻宮: 笑、遠慮しときます。


七星: そりゃ残念や。な?まゆちゃん。


鹿川: え?はい!


櫻宮: ま、私を褒めてくれるのは、会長としての仕事が終わってからでよろしく笑


鹿川: 分かりました!!


七星: それなら、ななも頼みたいわ笑


中谷: 僕もよろしく~


鹿川: は、はい!


櫻宮: 笑、じゃあ、引き継ぎが終わったら、打ち上げして、その中でまゆちゃんに褒めてもおう。


中谷: お、それ良いじゃん。みんなで打ち上げ行こ。


鹿川: わぁ~楽しみです!


七星: 笑、それならみんなで褒め合ったら良いんやないの?3年生だけやなく、2年生も褒められたいやろうし。まゆちゃん、どうや?


鹿川: えっと…褒められたいです!


七星: うんうん笑。謙心は?


灰崎: う~ん……どっちでも良いですかね笑


中谷: 素直じゃないな~笑、褒められたいくせに。


櫻宮: そこは正直に、褒められたいって言うところだよ笑、謙心。


灰崎: え、そうですか?笑。なら、一応、褒められたい、と答えておきます。


中谷: すごい予防線の張り方笑


櫻宮: ね笑。桃ちゃんは…


倉田: …



熱心に仕事をしている倉田の横顔を見て、櫻宮は自分の推測を話す。



櫻宮: 多分、褒められたいでしょ。口では大丈夫ですって言いそうだけど笑


中谷: 絶対、そう言う笑。あまのじゃくな謙心よりはマシだけど、桃ちゃんも、本心は隠したがるタイプだから。


灰崎: 僕って、あまのじゃくですか?笑


中谷: うん。


櫻宮: その笑顔からも分かる笑


七星: もはや、妖怪本体の可能性もあるな笑


鹿川: 妖怪?!


灰崎: そうですか笑


櫻宮: まぁとにかく、打ち上げは決定ってことで。桃ちゃんと守里はあとどれぐらいかな?


守里: …


倉田: …



パソコンの画面に集中している2人は、櫻宮が問いかけていることに気づかない。



灰崎: さっきは、それぞれ残り1つって言ってました。


櫻宮: それなら、もうすぐで終わりそうだね。選挙演説資料の校閲も。


灰崎: はい。


中谷: 今回の立候補者達は、みんな気合い入ってるから、資料の量もえげつないんだよ。


櫻宮: うん、この2人の集中度を見たら、よく分かる笑


倉田: …ふぅ……



ちょうどこのタイミングで、倉田がマウスから手を離し、パソコンから視線を逸らす。



中谷: あ、終わった?


倉田: はい、校閲終わりました。


櫻宮: おつかれ。桃ちゃんの仕事も、それで終了かな?


倉田: そうですね。選挙当日の仕事を除けば、全て終了です。


櫻宮: おぉ、頑張ったね笑


倉田: …ありがとうございます。


櫻宮: さっき、引き継ぎが終わったら、打ち上げすることに決まったんだけど、桃ちゃんも来るでしょ?ってか、来ないとダメ笑


倉田: えっと……行きます。


櫻宮: やった笑。桃ちゃんが、こういうお誘いに自分から乗ってくれるのは、初めてじゃない?


倉田: …最後ですから。


中谷: 最初で最後ってことね笑


櫻宮: 笑、ありがと。あとは…


守里: 僕は参加しないです。



まだ答えをもらっていない人物に、櫻宮が視線を向けたところで、仕事が終わり、パソコンから目を離して伸びをしていた守里がそう答える。



櫻宮: ちょうど終わったんだ笑


守里: はい。終わりました。


櫻宮: おつかれ。で、なんで来ないの?


守里: そりゃ、役員じゃない僕が、生徒会の打ち上げにお邪魔するのは、違いますから。


櫻宮: 確かに、この生徒会の打ち上げでもあるけど、ここ最近の仕事の打ち上げでもあるんだから、別に守里が参加してもさ。


守里: いえ、遠慮しておきます。皆さんで、ここ1年の思い出話にでも花を咲かせて、楽しんでください笑


鹿川: え~守里君も来てよ~!!絶対楽しいって!


倉田: …まゆちゃん。森崎君が困ってます。


鹿川: でもさ~せっかく、こうやって一緒に頑張ったんだから、打ち上げに来てほしくない?!


倉田: 来てほしくはありますけど、森崎君が遠慮する気持ちも分かりますし、それに森崎君にも事情がありますから。


灰崎: そうだよ、鹿川さん。


鹿川: う~ん……しょうがない!許してあげよう!


守里: なんで上から笑。でも、ごめんね。


鹿川: うん!


櫻宮: ふ~む……


中谷: ってことみたいだし、僕達だけで今度の打ち上げはやろう。守里君はまた別の機会に誘えば良いじゃん。


櫻宮: クッ……守里にも、褒めてもらおうと思ったんだけどな笑


中谷: 笑、それが狙いだったんだ。


櫻宮: もちろんだよ。中々、守里は褒めてくれないんだから笑。ねぇ?なぁちゃん。


七星: …せやな。


中谷: なぁちゃんもそうなんだね笑


櫻宮: ま、奏雄の言う通り、別の機会に守里に褒めさせれば良いか、最後の会長命令で笑


守里: うわぁ、卑怯です。絶対に断れないじゃないですか笑


櫻宮: 笑……よし。みんな、 時間もあれだし、それぞれの教室に戻ろう。


鹿川: はーい!


倉田: 森崎君。これで選挙の仕事は、当日の作業を残して、全て終わりましたから、今日の昼休みは、川嶋さんのお手伝いをするなり、ゆっくりするなりしてください。お疲れ様でした。


守里: うん。まだ早いかもだけど、倉田さん、色々と教えてくれて、ありがとう。


倉田: いえ。こちらも仕事でしたから。


守里: 笑、すごく助かったよ。


倉田: それはこちらのセリフです笑。ありがとうございました。


守里: うん笑


灰崎: 皆さん、お疲れ様でした。


鹿川: お疲れ様でした!!



ガチャ


楽しそうに話しながら、2年生組が先に生徒会室を出て、部屋には3年生の3人が残る。



中谷: いや~ほんと、守里君と桃ちゃんは仲良くなったね~


櫻宮: 教育係に任命して良かったよ。


中谷: うん。ってか、最後の仕事にして、2年生組の距離がさらに縮まった感があるよね。


櫻宮: 確かに笑。守里と謙心の相性が良いからかな。


中谷: 別に性格が似てるってわけでもないんだけど……不思議だわ笑


七星: そう?ちょっとは似てるやろ。


中谷: 例えば?


七星: ……雰囲気が似てる。


中谷: へぇ~


七星: さ、なな達もはよ教室に戻らんと。


中谷: だね笑



ガチャ



櫻宮: ……結局、なぁちゃんと守里の関係は修復できなかったか。原因も分からなかったし……どうするかな~



そう呟いて、櫻宮も生徒会室を後にした。


◇◇◇◇


昼休み


放送で、川嶋の演説文が流れた後、川嶋は美月、飛香、東野の3人に加え、生徒会の仕事が終わり教室にいた守里も連れて、最後の2つのクラスに演説をしに行った。

そして、無事に演説を終わらせた川嶋と4人は、自分達の教室に帰る。



川嶋: ありがとね、守里。ついてきてくれて。


守里: いやいや、これまで手伝えなかったんだから、最後の活動ぐらい手伝わないと。


美月: そっか、これが最後の活動だったのか…


東野: あっという間だったね。


川嶋: 3人も、改めてありがとう。


飛香: 笑、役に立てたのなら良かったよ。ってか、感謝を言うのは、会長になってからにして。


美月: そうそう!


川嶋: …うん。


飛香: ま、あとは選挙の日を待つだけで、志帆ができることは、当日の投票前演説だけだからね。


東野: それと、推薦者演説も。


川嶋: そうだね。


飛香: 土日で練習しなよ笑


川嶋: もちろん。


守里: 美月も練習しないと。


美月: 頑張ります!推薦者として、志帆の魅力を全校生徒に伝えられるような演説が、できるようにします!


東野: おぉ~それは楽しみ笑


川嶋: よろしくね。


美月: 任せとけ!



と、笑顔で話しながら5人が歩いていると、廊下の向こう側から役員の鹿川と七星が歩いてくる。



飛香: 笑………あ。


鹿川: あれ?!守里君達だ!


守里: お、まゆたんと…七星さんだ。


美月: っ!(まゆたん?!いつの間に…)


飛香: (……あとから話を聞かねば…)


川嶋: 書記さんと、ふ、副会長!


守里: 笑、少しは改善したかな。


鹿川: こんなところで、何してるの?!私達は、仕事が終わって暇だったから、みんながどんな感じで選挙活動をしてるのかな~って見回ってたんだけど!


守里: そういうことか。僕達は、さっき1年生の教室に演説をしに行って、その帰り。


鹿川: なるほど!調子はどんな感じ?志帆ちゃん!


川嶋: ま、まぁまぁかな笑


鹿川: そっか!頑張ってね!


川嶋: うん笑


東野: ほんと、いつも通りテンションが高いね、まゆは笑


鹿川: そう?そんなに高くないと思うけど!


東野: いや、めっちゃ高いよ。うちのと同じくらいに笑


美月: だね笑。日向子並に高い。


鹿川: ほぉ~日向子ちゃんと同じくらいか……なら、もっとテンション上げてこっと!!日向子ちゃんに負けない!!


美月: やばっ…


守里: あぁ~あ。変に比べるから。


飛香: 鹿川さんって、こんな感じなんだ…


守里: ほぼ日向子。


飛香: 見たら分かるよ笑


鹿川: みんなもテンション高く行こう!志帆ちゃんも!


ギュッ


川嶋: わっ!



突然、鹿川に抱き着かれて、川嶋は声を上げると共に、身体が硬直する。



東野: ちょっと、まゆ。いきなりは危ないよ。


鹿川: ごめんごめん笑


川嶋: はぁ……びっくりした…


東野: 笑、大丈夫?志帆。


美月: 七星先輩もお疲れ様です!



騒ぐ鹿川の後ろで、ニコニコと笑みを浮かべていた七星に、美月は挨拶をする。



七星: うん。おつかれ。


美月: うちの守里がお世話になってます笑


守里: いや笑、どの立場よ。


美月: 守里の妻としての立場。


守里: それは違うでしょ笑


美月: いや、いずれそうなるんだから、違わない!


飛香: いずれそうはならないから、問題大アリだよ、美月。


美月: ふん!そうなるんです!もう決まってるんです!


飛香: 誰が決めたんだよ、そんなこと笑


美月:神様です!


飛香: くだらな笑


守里: ちょっと2人とも。


七星: 笑、相変わらず騒がしくて、仲ええな。よし、まゆちゃん、行くで。


鹿川: 分かりました!みんな、またね!


東野: バイバイ。


美月: また!


川嶋: 選挙、よろしくお願いします。


七星: うん。志帆ちゃんも頑張るんやで。


川嶋: はい!



と、笑顔で挨拶をして、七星と鹿川は川嶋達の横を通り過ぎて行き…



鹿川: 守里君も、月曜日よろしく!


守里: うん。


七星: ……よろしく。


守里: ………よろしくお願いします。



短い言葉だけ交わして、守里の横も通り過ぎて行った。



東野: さ、私達も早く戻らないと。もうちょっとで昼休みが終わっちゃう。


川嶋: そうだね。


美月: あ、言い忘れてたけど、演説の練習、付き合ってね、守里!


守里: 笑、言われなくても付き合うよ。


美月: え?付き合ってくれるの?!やった!!……って、飛香聞いてる?


守里: なんで飛香?


東野: まぁまぁ良いから笑。先に行こう。


守里: う、うん。


美月: おーい!飛香さ~ん!


飛香: …分かってっから、耳元で叫ぶな。


美月: チェッ、ほら、行くよ!


飛香: うん…(さっきのやり取り………守里のあの違和感は、七星先輩が原因なのかも……)



こうして、守里と七星の関係の変化に気づき始めた飛香も、前を歩いていた美月達に追いつき、教室へと戻った。


そして、これで川嶋は選挙活動が終わって、選挙当日を待つのみとなったのだった。




to be continued
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