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第8章 生徒会選挙編

第296話「会長立候補」

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放課後



美月: し、志帆、どうかな~


祐希: 立候補する?



剣崎が教室を出て、守里も生徒会室へと向かった後、美月と祐希はすぐに、川嶋に話しかける。



川嶋: 笑、ありがとう2人とも。


美月: え?


祐希: ま、まさか…


川嶋: 2人のおかげで、決心がついた。私は…


◇◇◇


生徒会室



鹿川: ふぅ~頑張れ私!頑張れ私!


中谷: 笑、このモードに入ったってことは、仕事の佳境かな。


櫻宮: みたいだね笑


守里: …


カタカタカタカタ


櫻宮: …守里さんや。



パソコンに向かって仕事をしている守里に、櫻宮が話しかける。



守里: なんですか?


櫻宮: 川嶋ちゃんの説得は、どうなったのかね。


守里: …今のところ、立候補書類は提出しに来てないです。


櫻宮: 笑、それは私も分かってるよ。もう締切まで、3時間切ってるけど?


守里: ですね。


櫻宮: 良いの?別に、今仕事抜けて、川嶋ちゃんのところに行ってきても…


守里: もう何回も言ってるじゃないですか笑。僕は2人に任せたんですって。


櫻宮: …ふ~ん。


中谷: 笑、何気に麗華も、川嶋さん推しなんだもんね。


倉田: 会長、ダメですよ。公平性がないって言われてしまいます。


櫻宮: 大丈夫だって。私は立候補者の中で、特別この人が良いとかないし、川嶋ちゃんに特別なって欲しいとも思ってないし。ただ、迷ったまま、立候補せずに終わるってのはね~ってこと。


灰崎: ま、ちゃんと来るはずです。森崎君が任せた2人が説得してるんですから。


中谷: 謙心は、守里君を信頼してる感じか笑


灰崎: はい。それに、その2人っていうのも、一緒に仕事をしたことある白城さんと、副会長の妹さんですし。


櫻宮: 美月と祐希ね~


七星: …


カタン!


鹿川: よし、終わった!!昨日の会議のヤツ!


櫻宮: よくやった!まゆちゃん!


鹿川: はい!


倉田: じゃあ、今日の会議のヤツを…


鹿川: え~ちょっとぐらい休憩させてよ~


倉田: ……まゆちゃんの判断に任せます。


鹿川: やった!!!


中谷: 笑……あ、そういえばさ、この前の理事との話って、次の役員のうちの1人を…



と、中谷が話を続けようとしたところで…



守里: ……笑、来ましたね。


中谷: え?


鹿川: 何が来たの?!!まさかのツチノコ!


櫻宮: 扉越しの足音?笑。さすがの地獄耳。



生徒会室の扉の前に来た、3人の足音を聞いた守里により、役員達はみな、その扉の前に立つ人物が、中に入ってくることに期待した。




生徒会室前



川嶋: ふぅ……


美月: 行けそう?志帆。


祐希: あとはこの扉を開けるだけ!


川嶋: うん。まぁまだ、多少の不安はあるよ。でも…


美月: じゃあ、祐希!応援歌を歌おう!


祐希: よっしゃ!


川嶋: いや…(2人のおかげで、全く気にならないぐらいって言おうと思ったのに…)


美月: せーのっ!



「頑張れ~!頑張れ~!できるぞ!やれるぞ!川嶋志帆~!!」



2人の応援歌が、廊下に響き、扉越しに生徒会室にも響き、そして川嶋の心に響き、最後のひと押しをする。



川嶋: 笑、ほんとありがと、2人とも。


美月: …その顔は、完全に前を向けたって感じだね。


祐希: よくよく考えれば、あのネガティブオーラもなくなってるし……いけるよ!志帆!!


川嶋: いってきます笑


美月: いってらっしゃい!


祐希: 待ってるから!



こうして、笑顔の川嶋は、静かに燃える炎を心に宿しながら、生徒会室の扉を叩く。



コンコン


「どうぞ。」



ガチャ



川嶋: 失礼します。



ゆっくりと扉を開き、川嶋は生徒会室に一歩を踏み入れ…



美月: あ!守里!!お仕事頑張ってる?!!


祐希: やっほ~!!!


川嶋: …


守里: え、いや…


櫻宮: 笑


中谷: 今はその空気じゃなかったじゃん笑


鹿川: あ!美月ちゃんと祐希ちゃんだ!やっほ~!!


灰崎:しかも、こっちのとも反応しちゃいましたし笑


倉田: はぁ……なんか川嶋ちゃんが可哀想です。


七星: …笑


川嶋: //…ちょっと、2人ともあっち行ってて。



少し顔を赤くしながら、川嶋は扉の外に向かってそう言う。



美月: え~じゃ、バイバイ!守里!!


祐希: またね~!


守里: う、うん笑



バタン



川嶋: ……すみませんでした。


櫻宮: 笑、良いの良いの。で、なんの用かな?川嶋志帆ちゃん。



明るい笑顔から一変、櫻宮の目は真剣なものへと変わり、その目で川嶋の目を真っ直ぐに見る。


それにより、川嶋に向けて強いプレッシャーがかけられた。



川嶋: っ!………ふぅ…


守里: …


川嶋: 私は、次期生徒会長に立候補するために、ここに来ました。


櫻宮: …それは、会長になる覚悟ができたってことね。


川嶋: はい。立候補して、選挙で当選して、会長になる覚悟ができました。


櫻宮: 本当なら、どんな会長になりたいのかも、ここで聞きたいところだけど、それは後に取っとくよ笑



そう言って、櫻宮が笑顔になったことで、川嶋へのプレッシャーがなくなり、生徒会室内の雰囲気も暖かいものへと変わる。



中谷: 麗華。プレッシャーかけすぎじゃなかった?笑


櫻宮: そう?笑。でも、川嶋ちゃんは負けずに喋れてたじゃん。


中谷: ごめんね、怖かったでしょ。


川嶋: い、いえ…


守里: あれ、どうしたの?


川嶋: いや、改めて今の状況を考えると、き、ききき、緊張して…


守里: 笑、これは櫻宮さんがプレッシャーかけてたままの方が良かったみたいですね。その状態だと、志帆のファンの心が抑えられて、まともに会話ができるっぽいですから。


灰崎: 普通、逆じゃない?笑


櫻宮: え~めんどくさいよ。


鹿川: え?志帆ちゃん、緊張してるの?!!大丈夫だよ!!


ギュッ!


川嶋: うぉっ!!


中谷: すごい声笑


倉田: あのまゆちゃんでも、そんな反応になるんですか…


守里: ガチファンだからね笑


川嶋: ふぅ…ふぅ……よし。


鹿川: あ!もう大丈夫になった?!


川嶋: はい、大丈夫です。


灰崎: システマかな?笑


櫻宮: ほほぉ~なら、私も…


守里: あ、それはやめた方が良いです。多分、櫻宮さんが抱きついたら、志帆が落ち着く前に気絶しちゃうので。


櫻宮: 笑、それは残念。にしても、あの2人の歌、良かったよね。


川嶋: …やっぱり、聞こえてました?


中谷: うん笑、バッチリ。


鹿川: 頑張れ~!頑張れ~!


倉田: まゆちゃん、ストップ。


川嶋: ////ほんと、すみません。


櫻宮: いやいや、私達もなんか元気出てきたし。良い友達を持ったじゃん、川嶋ちゃん。


川嶋: …はい!笑


守里: …よし、志帆。その書類を僕に渡したら、2日後から始まる選挙活動に向けての準備をやり始めるんだよ。


川嶋: 笑、分かってるよ。なんなら、演説の内容も、いつどこでやるかも、頭の中では決めてる。


櫻宮: え、それはなんて言うか…


中谷: なんでここまで迷ってたの?ってレベルだね笑


川嶋: …その…私は生徒会の皆さんが憧れで、元々は会長になるつもりも、生徒会に入るつもりすらもなかったんです。


鹿川: 私達が憧れだって!嬉しい!


中谷: だね笑


川嶋: でも、あの2人と…守里達と仲良くなってからは、段々と生徒会長になりたいって思うようになりました。そして、会長になるまでにやらないといけないこと、会長になってからやりたいことを、簡単にですけど考えるようになってました。


櫻宮: なるほど、そこで演説の内容とかは考えてたわけだ。


川嶋: はい。ただ、文化祭で皆さんの凄さを実感して、生徒会選挙を目前に、いざ、立候補期間が始まってからは、どうしても私が会長を務められるとは考えられなくて…


守里: うん、あの志帆を見つけた時の、ネガティブオーラは凄まじかった笑


灰崎: それを聞いてると、僕も一緒に行けば良かったと思うよ笑


川嶋: でも、あの2人の言葉を受けて、私の心は変わりました。私は、必ず生徒会長になります!


櫻宮: 笑、ここでそうやって宣言したのは、2人目だね。まぁ、現会長の私から言えることは限られてるけど、一言だけ。


川嶋: …


櫻宮: 頑張って。


川嶋: っ!……はい!


櫻宮: 笑、さぁ守里。パパッと、川嶋ちゃんの立候補処理を終わらせて!


守里: はい笑



こうして、無事、川嶋は次期生徒会長への立候補を完了させ、選挙活動へと動き始めるのだった。




to be continued

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