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第8章 生徒会選挙編

第293話「助っ人の仕事」

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生徒会室


ガチャ



守里: おはようございます。


灰崎: あ、森崎君。おはよう。


倉田: おはようございます。



朝から美月達と登校して来た守里は、教室で美月達と別れ、仕事の続きをするために、1人生徒会室にやって来る。



守里: ん?2人だけ?


灰崎: うん。中谷先輩は、資料室に行ってて、会長と副会長は理事のところに行ってる。


守里: そっか。じゃあ、まゆたんは…



もう1人の生徒会室役員の2年生の姿が、生徒会室の中に見当たらず、守里は何となくの予想を立てつつも、2人に聞く。



灰崎: まだ来てない。


倉田: 登校途中だと願いたいです。


灰崎: どうだろね~笑。もしかしたら、まだ寝てるかも。


守里: かもね笑


倉田: まゆちゃんは、かなり早いペースで仕事を進められていますから、全然遅れても構いませんけど……学校に遅刻だけはして欲しくないです。


灰崎: 笑、生徒会役員としてか。


守里: こういうところは、まゆたんっぽいけど、仕事が早いのは意外だったな~笑



この生徒会室で鹿川が仕事をしている時の様子を思い浮かべる。



灰崎: 鹿川さんは、大雑把ではあるけど、要点を掴むのは上手いからね。仕事のスピードは早いんだ。


倉田: やる時はやりますし。ちゃんと頼りになります。


灰崎: その言葉は、後で鹿川さんに直接言ってあげたら?笑


倉田: …嫌です。


守里: 笑、言ってあげたら良いのに。


倉田: 調子に乗るからダメです。仕事をしなくなります。


灰崎: じゃあ、仕事が終わるタイミングで言ってあげたらどう?生徒会としての仕事が、完全に終わった時とか。


守里: うん。それが良いね。


倉田: ……考えておきます。


守里: 笑……ところで、昨日の放課後は、どれぐらい立候補者が来たの?


灰崎: えっと…4人かな。会長に2人と、監査に2人。


守里: ということは、今のところ会長に立候補してるのが5人で、監査が6人か。


灰崎: そうだね。



料理対決のあった日から、およそ1週間後、学校では生徒会長、生徒会監査への立候補期間が始まり、守里はその対応をしていた。



倉田: 森崎君。その加わった立候補者達のデータ処理をしてください。


守里: うん。その、立候補書類は…


倉田: ここにあります。どうぞ。


守里: ありがとう。すぐにやるよ。


倉田: お願いします。



昨日の放課後、守里がいない間に、生徒会室へ立候補者自身が持ってきた書類を、倉田から受け取り、守里は自分のデスクに座る。



守里: ……昨日来たのは、ほとんど1年生か。


灰崎: 多分、迷った結果じゃないかな。明日が締切だし。逆に、2年生は前から立候補することを決めてた人が多いんだと思う。


倉田: 実際、2年生で立候補したのは、生徒会でも予想していた人だけです。


守里: なるほどね。だから、早いうちに2年生は書類を提出しに来て、後半の締切ギリギリで1年生は提出しに来てるのか。


灰崎: 会長に聞いた話だと、前々からずっと、そういう傾向があるみたい。


守里: へぇ~そうなんだ。


灰崎: ま、立候補者数に関しては、例年より多いけど。


守里: それだけ、灰崎君や倉田さん含め、当代の生徒会が凄かったからかな。自分達もあの人達みたいに頑張りたいって、思う人が多かったんだよ。


灰崎: それなら、頑張った甲斐があったって言える笑


守里: 笑……あれ?



喋りながら書類を見つつ、パソコンに情報を打ち込んでいる間に、守里はあることに気づく。



倉田: どうしたんですか?


守里: 今更気づいたけど……志帆、まだ立候補してないじゃん。


灰崎: …あ~~確かに。当たり前に立候補してるものだって思ってたから、僕も気づいてなかった。まだ川嶋さん、生徒会室に来てない。


守里: どうしたんだろう…


倉田: ……教室での川嶋さんの様子は、どうなんですか?


守里: いや、それが……最近は、授業中にしか教室にいないし、みんなともあんまり話してないから…


倉田: そうですか…


灰崎: ほんとごめんね。


守里: いや、みんなと話せてないのは、時間を上手く使えてない僕自身のせいだし、何より、生徒会の仕事を手伝うことにOKしたのは僕だよ。


倉田: ……では、どうします?


守里: そのどうするってのは…


倉田: 今から、川嶋さんの様子を見にいきますか?


守里: えっと…


倉田: この、仕事を中断するかどうかの判断をするのも自分自身です。森崎君が、今抜けても問題ないと思うのであれば、行ってください。少なくとも、私に許可取りは必要ないです。


灰崎: だね。期日までに仕事を終えられさえすれば、良いんだから。


守里: ……じゃあ、行ってくる。


倉田: はい。


灰崎: 早く、森崎君イチオシの次期生徒会長、川嶋志帆さんを連れて来て笑


守里: 分かった笑



そう言って、川嶋がいるであろう教室に行くために、守里が席を立ったその時…


ガチャ



鹿川: おっはようございま~す!!


守里: っ!あぁ、まゆたん。おはよう。


灰崎: 遅刻はしなかったね笑。おはよう。


倉田: おはようございます。


鹿川: みんな、もういたんだ!


守里: うん。まぁ、僕は今からちょっと抜けるんだけど。


鹿川: え?なんで?!


守里: ……灰崎君、任せた!


灰崎: え?ちょっ!


鹿川: うぇぇぇえ!なんでよ~!!



説明をするのに時間がかかると考えた守里は、鹿川を灰崎に押し付けて、素早く生徒会室から出て行った。



灰崎: 全く、森崎君は容赦がないな~笑


鹿川: ねぇ、どこに行ったの?守里君は!


灰崎: 1組の教室だよ。少し気になることができたんだって。


鹿川: 気になることって?


灰崎: 今の森崎君の仕事に関わること。


鹿川: へぇ~~詳しく言うと?


灰崎: …よし、鹿川さん。それは森崎君が帰ってきてから、本人に聞くのが良いんじゃないかな?


鹿川: あ!確かに。なら守里君が帰ってくるのを待とう!


倉田: その間に、ちゃんと仕事は進めなきゃですよ。


鹿川:もちろん!そのぐらい分かってるって!桃ちゃん!


倉田: だったら良いです。にしても、灰崎君もやり返しがヒドいですね。


灰崎: 笑、そう?


倉田: まぁ、お互い様ですか。


鹿川: ねぇねぇ、何の話?!


倉田: 特に面白くもない話ですので、各々の仕事を進めましょう。


灰崎: そうだね。


鹿川: え~教えてよ~


倉田: まゆちゃん。やりましょう。


鹿川: …は~い。


灰崎: 笑、さすがだね~


◇◇◇


2年1組教室


ガラガラ



守里: えーっと…


美月: あれ?!守里じゃん!どうしたの?!


飛香: ん?ほんとじゃん。



生徒会室から、急いで教室に戻って来た守里が扉を開けると、すぐに美月と飛香が気づいて近付いて来る。



美月: あ!まさか、私が恋しくて、教室に戻って来ちゃった感じ?もう~しょうがないな~~この寂しがり屋め!


飛香: 笑、妄想激しすぎ。で、実際のところは?


守里: あのさ、志帆って来てる?


飛香: 志帆?


美月: え、私じゃなくて、志帆目当てなの…ヒドい!この浮気者!!


飛香: ちょっとうるさいから黙ってて、美月。


美月: でも~


守里: それで…


飛香: 残念ながら、今どこにいるかは分かんない。荷物はあるから、学校に来てはいるみたいだけど。



自分の机のすぐ近くの机に、カバンが掛かっているのを見て、飛香はそう言う。



守里: そっか…


美月: なんで志帆を探してるの!


守里: いや、ちょっと気になることがあってさ。


美月: その気になることって?!


飛香: 声が無駄に大きいって。なんか最近、より嫉妬が強くなってない?


美月: だって、この前の料理対決でも負けちゃったし、結局、お弁当も作らせてくれないし…


守里: それは、ちゃんと説明したじゃん。僕の弁当のためだけに、朝の時間を削ってもらうわけにはいかないって。それに美月も、うんって言ったでしょ?


美月: そうだけどさ~~しかも、挙句の果てには、最近は忙しくて、あんまり構ってくれないのに、いざ教室に戻ってきたと思ったら、志帆を探してるなんて……なんで私じゃないの?!!


守里: ごめんって。


美月: 私に構って構って構って構って構って構って構って構って構って構って構って構って構って構って!!


ギュー



周りの目を気にする心が、完全に消え去った美月は、守里に抱きつき、締め上げる。



守里: ちょっ、美月。痛いって。


美月: この~守里が構ってくれるまで、離すもんか!!!うぉりゃ~!!


守里: 学校であんまり話せない代わりに、家ではたくさん話してるんだから、許してよ。


美月: 足りない~~!それに、最近は眠いからってすぐ部屋に行っちゃうじゃん!!


守里: それは…そうだけど…


美月: もう!今日はずっと抱きついとく!!


守里: ……飛香、どうすれば良いと思う?



助けを求めて、守里は飛香の方を見る。



飛香: …はぁ…しょうがない。美月。


美月: なんだい?飛香!今のこの状態が羨ましいなら、飛香も抱きついてみろ!!ハッハッハッハッハ笑!!


飛香: テンションおかしくなってんじゃん笑。あのさ、守里が志帆を探してるのは、仕事だから、でしょ?


守里: う、うん。


飛香: ってことは、守里は志帆を早く見つけて、その仕事を終わらせないと、美月に構う時間が作れないんじゃないの?


美月: …


飛香: なら、美月は守里の仕事を邪魔することなく、逆に手伝う方が良いんじゃない?


美月: …確かに。


飛香: 分かったなら、さっさと守里を離せ。


美月: …だね。



飛香の言葉で、テンションを落ち着かせた美月は、守里を解放する。



守里: ふぅ……飛香、ありがとう。


飛香: 貸し1な笑


守里: いつか返します笑


飛香: 待ってる笑


美月: おぉい!早く一緒に行くよ!


守里: ん?一緒に行くの?


飛香: 当たり前だろ。3人で探した方が、早く見つけられるだろうし。


美月: 早く見つけたら、その分だけ、守里に構ってもらえるからね~~飛香も笑


飛香: //なっ!こっちに矛先を向けるな!


美月: 笑、照れてやんの。


飛香: こいつマジで…


守里: 2人とも、ありがとうね笑


飛香: …はいはい笑


美月: パパッと仕事を終わらせよう!




to be continued



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