280 / 306
第7章 文化祭編
第280話「七星にとっての守里」
しおりを挟む
伊衛能高校
放課後
守里: じゃ、先に帰っといて。
美月: ほんとに早く帰ってくるんだよ!
守里: 分かってるって笑
美月: ほんとのほんとにだからね!
守里: はいはい笑……ほら、香蓮来たから。
梅澤: おい、美月!帰るぞ!
美月: 絶対に絶対だから!!
守里: 分かったってば…
美月: 約束だよ!!!
守里: えっと、香蓮。美月を連れて行って。
梅澤: ん?あぁ、了解笑
そう言って、教室の中に香蓮が入ってきて、美月を抱える。
美月: あ、ちょっと香蓮!まだ守里に言い足りないんだって!!
梅澤: ほら、帰るぞ~
美月: うわぁ~守里~!!早く帰ってくるんだぞ~!!
梅澤: 笑、またな。
守里: うん笑
昨日もあんな感じだったし、しばらくはアレが続くんだろうな…
まぁ、僕が1人で行動した報いか笑
守里: …よし、僕も行こう。
美月と梅澤が見えなくなったのを確認して、守里は荷物を持って、特別教室校舎の空き教室に向かった。
◇◇◇
空き教室
ガラガラ
??: あ、やっと来たか。
守里: ごめん、待たせた?なぁちゃん。
七星: いや、全然。ほんの5分前に来たところや。
守里: なら良かった。
七星: それで、ななに聞きたいことって?
守里: 笑、いきなり本題に入るの?
七星: おっと、その言葉は、なんか体育祭を思い出すな~笑
守里: 体育祭?…あぁ、なぁちゃんが僕達だけにドッキリを仕掛けたやつか。
七星: せや。あれは、今思い出しても、面白いわ笑
守里: 僕は、本気で心配したから、そこまで面白いと思える出来事じゃないんだけどね笑
七星: ふ~ん笑
守里: 僕としては、なぁちゃんとの面白い思い出で、今パッと思いつくのは、小学生の時、鳩をバカにしてたクラスメイトに、鳩についての授業を放課後にしてたことかな笑
七星: あぁ笑、そんなこともあったな。
守里: 一緒に帰ろうって思って、教室に行ったら、死んだ魚の目をしたクラスメイト相手に、なぁちゃんが教壇に立って、鳩の習性を熱弁してたんだもん。もう爆笑したよね。
七星: で、それに気づいたななが、守里も授業に参加させたんやったっけ?
守里: そうそう笑。先生に見つかるまで、ずっと聞かされたな~あの時は。
七星: そういう昔のことやと、守里が寝てる祐希を無理やり起こそうとした結果、寝ぼけた祐希にのしかかられて、動けなくなってたのも面白かったで笑
守里: それって、いつの話よ笑。ほんと出会ってすぐぐらいの時じゃない?
七星: 確か、初めて守里が、うちに泊まりに来た時や。
守里: あ~そうだったかも……懐かしい笑。まだ僕と祐希が小学1年生で、なぁちゃんが2年生の時だね。
七星: こうして考えると、守里とはいっぱい思い出があるわ笑
守里: うん……それに、僕はなぁちゃんに、たくさん助けられてきた。僕が困ってる時も、泣いてる時も、いつも助けてくれた。そして先週も、僕が黒峰との戦いでボロボロになった時も、すぐに僕を見つけて、救急車を呼んでくれた。
七星: …
守里: 改めて、ありがとう。
七星: 笑、ななも守里に助けられてるから、お互い様やで。
守里: いや、僕の方が助けられてる…ずっと……それで、なぁちゃんに聞きたいことがあるんだ。
七星: …なんや?
守里: なぁちゃんってさ…
先週の文化祭最終日、意識が薄れゆく中で、七星の声を聞いてから、ずっと疑問に思っていたこと。
それを今、守里は七星に尋ねた。
守里: 防衛団?
七星: …
その質問に対し、七星は驚くこともなく、ただ守里を見つめた。
そして、少しの沈黙の後、七星が口を開く。
七星: そやで。ななは……防衛団情報部1級団員の神田七星。
守里: っ……やっぱりか。
七星: いつから気づいてたんで……いや、まだ仕事モードじゃなくてええか。いつから気づいてたん?
守里: そうかもしれないって思ったのは、ほんと最近だよ。黒峰と戦った後、倒れてた僕に声をかけた時、一緒に森田さんがいたでしょ?
七星: 笑、それがマズかったか。あん時は、とにかく守里を見つけることに必死やったから。
守里: そして、入院してる時になぁちゃんが話したこと。これが、決め手だったかな。僕が入院してるってことを話したのが、祐希は別として、春時と香蓮の2人っていうのは、防衛団員として、僕がその2人に秘密を共有していることを知ってないとおかしい。普通、家族に優先的に話すだろうからね。
七星: まぁ、その2人だけには、全部話しても問題あらへんからな。
守里: そういうこと。あと、僕の回復速度について知ってた。これは、昔から僕を見てるってことで、説明がつくかもだけど、それでも打撲や骨のひびが半日で治るなんて、思わないはず。僕の異能のことを知ってないと。
七星: うん。知ってるで。守里の異能「解放」については。
守里: 父さんから?
七星: 守里の護衛を頼まれて、しばらくした時に、教えてもらったわ。
守里: ……いつから僕の護衛を頼まれたの?
七星: 守里が、ななと同じ小学校に入学してきた時から。
守里: …そっか……って、少なくとも小2の時には、防衛団に入ってたの?
七星: その時はまだ、仮団員やな。ななが正式に団員になったのは、中2の時。それまでは、両親が防衛団員ってことで、特別に訓練を受けさせてもらってたんや。
守里: あの優しそうなおばさんとおじさんも団員…じゃあ、祐希も?
七星: いや、祐希はまだ仮団員で、正式な団員やない。だから、防衛団員としては動かんけど、防衛団のことはよう知っとる。もちろん、守里のこともな。
守里: そうなんだ……なぁちゃんが防衛団員なら、それこそ、あの体育祭の時に不審者役をやってたのは、団員の誰か?
七星: うん。事前に頼んでたんや。不審者役をやってくれ~って。
守里: それなら、改めて聞くけど、あのドッキリの意味は?
七星: そりゃ……守里が次期防衛団長としての振る舞いができるか確かめたかったっていうのが、あのドッキリをやった意味。そして、防衛団員として、ななが守里に望んどった答えは、志帆ちゃんを犠牲に守里が逃げるという選択をとること。次期団長だったら、まず自分が生き残ることを1番に考えて欲しいからな。
守里: なるほど……でも、僕の答えはアレからずっと変わってないよ。この先も、きっと変わらない。
七星: 笑、分かっとるわ、そんなこと。やから、これからも、ななが守里を守るって決めてるんや。守里は逃げてくれんから笑
守里: うん…
七星: で、守里の聞きたいことって、ななが防衛団員かどうかってことだけ?
守里: …いや、あともう一つだけ………なぁちゃんにとって、僕はどんな存在なの?
七星: どんな存在……質問が抽象的過ぎて、答えずらいわ笑
守里: …幼なじみなのか、仲の良い後輩なのか…それとも、護衛対象なのか……防衛団の次期団長なのか。
七星: あぁ、そういうことやったら…ななにとって、守里は……
なぜ、これまで、七星が自分に話しかけてくれていたのか、仲良くしてくれていたのか。
その理由を知るために、守里は七星の答えを欲していた。
この答えであってくれ、という願いを持ちながら。
しかし…
七星: 未来の上司で、護衛対象や。
その答えは、守里が望むものではなかった。
守里: ………分かった。
溢れてくる感情を押し殺しながら、何とか返事をする。
七星: 笑、この前も春時に同じ質問されたわ。これ、流行ってるん?
守里: そ、そうなのかな?笑
そして、必死に笑顔を取り繕う。
七星: あ、じゃあ、そろそろ仕事に戻らなアカンから、またな。
守里: うん…頑張って。
ガラガラ
こうして、空き教室には守里1人だけが残り、その背中は、すごく小さくなっているように見えたのだった。
to be continued
放課後
守里: じゃ、先に帰っといて。
美月: ほんとに早く帰ってくるんだよ!
守里: 分かってるって笑
美月: ほんとのほんとにだからね!
守里: はいはい笑……ほら、香蓮来たから。
梅澤: おい、美月!帰るぞ!
美月: 絶対に絶対だから!!
守里: 分かったってば…
美月: 約束だよ!!!
守里: えっと、香蓮。美月を連れて行って。
梅澤: ん?あぁ、了解笑
そう言って、教室の中に香蓮が入ってきて、美月を抱える。
美月: あ、ちょっと香蓮!まだ守里に言い足りないんだって!!
梅澤: ほら、帰るぞ~
美月: うわぁ~守里~!!早く帰ってくるんだぞ~!!
梅澤: 笑、またな。
守里: うん笑
昨日もあんな感じだったし、しばらくはアレが続くんだろうな…
まぁ、僕が1人で行動した報いか笑
守里: …よし、僕も行こう。
美月と梅澤が見えなくなったのを確認して、守里は荷物を持って、特別教室校舎の空き教室に向かった。
◇◇◇
空き教室
ガラガラ
??: あ、やっと来たか。
守里: ごめん、待たせた?なぁちゃん。
七星: いや、全然。ほんの5分前に来たところや。
守里: なら良かった。
七星: それで、ななに聞きたいことって?
守里: 笑、いきなり本題に入るの?
七星: おっと、その言葉は、なんか体育祭を思い出すな~笑
守里: 体育祭?…あぁ、なぁちゃんが僕達だけにドッキリを仕掛けたやつか。
七星: せや。あれは、今思い出しても、面白いわ笑
守里: 僕は、本気で心配したから、そこまで面白いと思える出来事じゃないんだけどね笑
七星: ふ~ん笑
守里: 僕としては、なぁちゃんとの面白い思い出で、今パッと思いつくのは、小学生の時、鳩をバカにしてたクラスメイトに、鳩についての授業を放課後にしてたことかな笑
七星: あぁ笑、そんなこともあったな。
守里: 一緒に帰ろうって思って、教室に行ったら、死んだ魚の目をしたクラスメイト相手に、なぁちゃんが教壇に立って、鳩の習性を熱弁してたんだもん。もう爆笑したよね。
七星: で、それに気づいたななが、守里も授業に参加させたんやったっけ?
守里: そうそう笑。先生に見つかるまで、ずっと聞かされたな~あの時は。
七星: そういう昔のことやと、守里が寝てる祐希を無理やり起こそうとした結果、寝ぼけた祐希にのしかかられて、動けなくなってたのも面白かったで笑
守里: それって、いつの話よ笑。ほんと出会ってすぐぐらいの時じゃない?
七星: 確か、初めて守里が、うちに泊まりに来た時や。
守里: あ~そうだったかも……懐かしい笑。まだ僕と祐希が小学1年生で、なぁちゃんが2年生の時だね。
七星: こうして考えると、守里とはいっぱい思い出があるわ笑
守里: うん……それに、僕はなぁちゃんに、たくさん助けられてきた。僕が困ってる時も、泣いてる時も、いつも助けてくれた。そして先週も、僕が黒峰との戦いでボロボロになった時も、すぐに僕を見つけて、救急車を呼んでくれた。
七星: …
守里: 改めて、ありがとう。
七星: 笑、ななも守里に助けられてるから、お互い様やで。
守里: いや、僕の方が助けられてる…ずっと……それで、なぁちゃんに聞きたいことがあるんだ。
七星: …なんや?
守里: なぁちゃんってさ…
先週の文化祭最終日、意識が薄れゆく中で、七星の声を聞いてから、ずっと疑問に思っていたこと。
それを今、守里は七星に尋ねた。
守里: 防衛団?
七星: …
その質問に対し、七星は驚くこともなく、ただ守里を見つめた。
そして、少しの沈黙の後、七星が口を開く。
七星: そやで。ななは……防衛団情報部1級団員の神田七星。
守里: っ……やっぱりか。
七星: いつから気づいてたんで……いや、まだ仕事モードじゃなくてええか。いつから気づいてたん?
守里: そうかもしれないって思ったのは、ほんと最近だよ。黒峰と戦った後、倒れてた僕に声をかけた時、一緒に森田さんがいたでしょ?
七星: 笑、それがマズかったか。あん時は、とにかく守里を見つけることに必死やったから。
守里: そして、入院してる時になぁちゃんが話したこと。これが、決め手だったかな。僕が入院してるってことを話したのが、祐希は別として、春時と香蓮の2人っていうのは、防衛団員として、僕がその2人に秘密を共有していることを知ってないとおかしい。普通、家族に優先的に話すだろうからね。
七星: まぁ、その2人だけには、全部話しても問題あらへんからな。
守里: そういうこと。あと、僕の回復速度について知ってた。これは、昔から僕を見てるってことで、説明がつくかもだけど、それでも打撲や骨のひびが半日で治るなんて、思わないはず。僕の異能のことを知ってないと。
七星: うん。知ってるで。守里の異能「解放」については。
守里: 父さんから?
七星: 守里の護衛を頼まれて、しばらくした時に、教えてもらったわ。
守里: ……いつから僕の護衛を頼まれたの?
七星: 守里が、ななと同じ小学校に入学してきた時から。
守里: …そっか……って、少なくとも小2の時には、防衛団に入ってたの?
七星: その時はまだ、仮団員やな。ななが正式に団員になったのは、中2の時。それまでは、両親が防衛団員ってことで、特別に訓練を受けさせてもらってたんや。
守里: あの優しそうなおばさんとおじさんも団員…じゃあ、祐希も?
七星: いや、祐希はまだ仮団員で、正式な団員やない。だから、防衛団員としては動かんけど、防衛団のことはよう知っとる。もちろん、守里のこともな。
守里: そうなんだ……なぁちゃんが防衛団員なら、それこそ、あの体育祭の時に不審者役をやってたのは、団員の誰か?
七星: うん。事前に頼んでたんや。不審者役をやってくれ~って。
守里: それなら、改めて聞くけど、あのドッキリの意味は?
七星: そりゃ……守里が次期防衛団長としての振る舞いができるか確かめたかったっていうのが、あのドッキリをやった意味。そして、防衛団員として、ななが守里に望んどった答えは、志帆ちゃんを犠牲に守里が逃げるという選択をとること。次期団長だったら、まず自分が生き残ることを1番に考えて欲しいからな。
守里: なるほど……でも、僕の答えはアレからずっと変わってないよ。この先も、きっと変わらない。
七星: 笑、分かっとるわ、そんなこと。やから、これからも、ななが守里を守るって決めてるんや。守里は逃げてくれんから笑
守里: うん…
七星: で、守里の聞きたいことって、ななが防衛団員かどうかってことだけ?
守里: …いや、あともう一つだけ………なぁちゃんにとって、僕はどんな存在なの?
七星: どんな存在……質問が抽象的過ぎて、答えずらいわ笑
守里: …幼なじみなのか、仲の良い後輩なのか…それとも、護衛対象なのか……防衛団の次期団長なのか。
七星: あぁ、そういうことやったら…ななにとって、守里は……
なぜ、これまで、七星が自分に話しかけてくれていたのか、仲良くしてくれていたのか。
その理由を知るために、守里は七星の答えを欲していた。
この答えであってくれ、という願いを持ちながら。
しかし…
七星: 未来の上司で、護衛対象や。
その答えは、守里が望むものではなかった。
守里: ………分かった。
溢れてくる感情を押し殺しながら、何とか返事をする。
七星: 笑、この前も春時に同じ質問されたわ。これ、流行ってるん?
守里: そ、そうなのかな?笑
そして、必死に笑顔を取り繕う。
七星: あ、じゃあ、そろそろ仕事に戻らなアカンから、またな。
守里: うん…頑張って。
ガラガラ
こうして、空き教室には守里1人だけが残り、その背中は、すごく小さくなっているように見えたのだった。
to be continued
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
婚約破棄は結構ですけど
久保 倫
ファンタジー
「ロザリンド・メイア、お前との婚約を破棄する!」
私、ロザリンド・メイアは、クルス王太子に婚約破棄を宣告されました。
「商人の娘など、元々余の妃に相応しくないのだ!」
あーそうですね。
私だって王太子と婚約なんてしたくありませんわ。
本当は、お父様のように商売がしたいのです。
ですから婚約破棄は望むところですが、何故に婚約破棄できるのでしょう。
王太子から婚約破棄すれば、銀貨3万枚の支払いが発生します。
そんなお金、無いはずなのに。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる