上 下
278 / 306
第7章 文化祭編

第278話「後処理の結果」

しおりを挟む
翌朝


正門前



直也: …



まだ生徒がいない学校を、白谷直也は黙って眺めていた。



直也: …よし、行くか。



そう言って、振り返ると…



直也: っ!!…


大我: …引き継ぎは。



視線を道端に向ける大我が立っていた。



直也: 大我……笑、バレてたか。


大我: 当たり前だ。何年の付き合いだと思ってる。


直也: …美化委員長の引き継ぎは、3年で1番信頼できるヤツに昨日した。


大我: 部活は。


直也: 同じく昨日、顧問に話した。


大我: そうか。これからどうするんだ?


直也: ……分からん。だが、これは俺のケジメのための選択だ。


大我: あぁ。止めはしねぇよ。


直也: おう。


大我: …だが…


直也:…


大我: お前はずっと、俺の友達だ。


直也: っ……あぁ。


大我: じゃ…頑張れよ。


直也: お前もな。



2人はお互いの顔を見ないまま、大我は学校に向かって、直也は学校に背を向けて、すれ違う。


そして…



直也: ありがとうございました!




学校に向かって、そう叫びながら一礼し、再び背を向けて歩いて行く。



大我: …



その様子を見ることなく、大我は学校の中に入って行くのだった。




直也: …ふぅ…



学校の正門から駅前まで、直也はこれからの事を考えながら歩く。


すると…


ブーン


目の前に黒い車が止まり、後部座席の窓が開く。



直也: …


??: このまま、逃げるんか?



そう、車の中に座った人物が言った。


◇◇◇


金山コーポレーション



白谷父 T: え?…専務、失礼ながら、もう一度、お願いできますか?


専務 T: お前はクビだ。これまでご苦労だった。


白谷父 T: そ、そんな、いきなり解雇だなんて…


専務 T: 黒峰龍水が死んだ。これで分かるだろう。


白谷父 T: っ!!黒峰が……


専務 T: お前を、このままうちに置いとくわけにはいかない。敵に辿られる可能性があるからな。


白谷父 T: し、しかし…


専務 T: 話は以上だ。荷物をまとめて、会社を出ていけ。



ピ



白谷父: …黒峰が…死んだ……



一方的に電話を切られ、呆然としながらも、喜びと絶望でぐちゃぐちゃになった白谷父の頭は、段々と整理されていく。



白谷父: …行こう。



そう言って白谷父は、目を合わせてくれない同僚達が仕事をしている中、自分の荷物をまとめ、会社を出る。



白谷父: お世話になりました。



一礼をして、会社に背を向ける。


すると…



直也: 父さん。


白谷父: な、直也……なぜここに…


??: 我々が連れてきたんです。


白谷父: えっと…君は…


??: 今の私は、防衛団員のーーーーと言います。


白谷父: 防衛団…だと?


??: 我々としては、お2人を保護する代わりに、協力をしてもらいたいと考えています。


白谷父: 保護……しかし、私も直也もアイツらに関しては、そこまで知らないが…


??: 笑、そちらに関しては、その少しの情報を教えていただくだけで、かまいません。我々としては、アイツらの被害を受けた方々を保護する、ということが最も重要な目的ですから。


白谷父: …


??: …奥様は、我々で必ず助け出します。ですので、お2人は安全な施設で、奥様が助かることを願っていてください。


白谷父: …直也はどうしたい?


直也: …俺は…防衛団の保護を望む。


白谷父: 分かった。では、どうか、よろしくお願いします。


??: はい笑。任せてください。



そうして、白谷直也とその父は、防衛団に保護されることとなった。



直也: ってかお前、標準語で喋れたんだな。


??: 笑、仕事の時はこっちや。


◇◇◇◇


その日の夜


守里の家



美月: じゃーん!



リビングで、メイド服を着た美月が、ぐるりとその場で回りながら言う。



蓮花: おぉ、お姉ちゃん可愛い!


美月: でしょ?笑


結真: それ、持って帰れたんだ。


美月: うん。守里のために持って帰ってきたよ!


守里: いや、みんな持って帰ったじゃん。僕も執事服は持って帰って来たし。


蓮花: え、そうなの?!


結真: 守里も着てよ笑


守里: え~


結真: 桜も着て欲しいよね?


桜: うん。



真剣な表情で、桜もそう訴えかける。



守里: えぇ…桜まで…


美月: さ、守里も部屋で着替えて来て!


守里: …しょうがない。今日だけね。



そう言って、守里は執事服と、貰ったワックスを持って、自室に向かった。




10分後…


ガチャ



守里: おまたせいたしました、お嬢様方。


蓮花: うわぁ~やっぱ、カッコいい!


結真: 執事守里の再降臨。


桜: お兄ちゃん…


守里: それで、どうされますか?


美月: あ、私はお客さん側に回るから。で、守里は、それぞれの要望を聞いていって。


守里: …かしこまりました。ではまず、結真お嬢様。


結真: 笑、じゃあ~肩揉んで!


守里: はい。失礼します。



要望通り、守里は結真の肩を揉む。



結真: ふぃ~気持ちいい~


蓮花: 笑、お姉ちゃん、おじさんみたいな声出してる。


結真: だって、守里が上手なんだもん。あ、頭もお願い。


守里: …


結真: うわぁ~効く~


美月: はい!終了!


結真: え~


美月: 次は蓮花!


守里: 蓮花お嬢様、どうされますか?


蓮花: う~ん…あ、膝枕して、頭なでなでして!


美月: っ!!


結真: おぉ笑。甘えるね~


守里: かしこまりました……どうぞ。



カーペットの上で正座した守里の膝上に、蓮花は頭を乗せる。



蓮花: フフフ笑…お兄ちゃんの匂い…


ナデナデ


守里: これで、よろしいでしょうか?


蓮花: しばらく続けて~


ナデナデ


美月: そ、そこまで!すぐに離れて!


蓮花: もうちょっとだけ~


ギュッ



守里から離れまいと、蓮花は守里にしがみつく。



美月: 離れなさい!!


蓮花: い~や~だ~~!!あ!



美月が蓮花の足を引っ張ったことで、蓮花の手は守里から離れ、守里は解放される。



美月: ふぅ……次、桜。


守里: 桜お嬢様は……みたらし団子を食べさせろってことですね笑


桜: コクン



蓮花の要望に守里が応えている間に、みたらし団子を持ってきた桜は、立ち上がった守里に団子を向けていた。



結真: はや笑


守里: かしこまりました。では、あ~


桜: あ~…パクッ…モグモグ


守里: 美味しいですか?


桜: お、美味しいです///


蓮花: お姉ちゃん、顔真っ赤~!!笑


結真: もう笑。やめてあげな、蓮花。


桜: ///


守里: もう一口いります?


桜: コクン//



その後、串1本を食べ終わり…



美月: はい!じゃあ、最後に私!


守里: …美月お嬢様は、何をご所望ですか?


美月: 私はね~


蓮花: 美月お姉ちゃん、何を頼むつもりなんだろうボソッ


結真: 発案者だからねボソッ


桜: モグモグ…ニコ~笑


美月: 守里には、目を瞑って直立しててもらいます!


守里: 目を瞑って直立…で、良いんですか?


美月: うん!ほら早く!!


守里: か、かしこまりました。



予想外の要望に戸惑いつつも、美月の言う通りに、目を瞑る。



守里: …


美月: では、失礼して…


ギュッ



直立している守里に、美月は正面から抱きつく。



守里: えっと…


美月: まだだからね…


蓮花: お姉ちゃん、これは…


結真: まぁ、まだこれぐらいは…


桜: モグモグ


守里: …


美月: …(よし…)



何かを決心した美月は、守里の首に腕を回す。



蓮花: ?


結真: おっと…


桜: モグモグ



そして、守里の顔を見た後、目を瞑り、自分の顔と守里の顔を近づけて行き……



チュッ



美月: あれ?



思っていた感触と違うものを感じ、美月は不思議に思い、そのまま目を開ける。



美月: え?手の平?


結真: ギリギリセーフ……美月、それはダメだよ笑


美月: ちょっと、お姉ちゃん!



なんと、美月の思惑が達成される直前に、結真が美月と守里の口の間に手を入れていたのだった。



守里: ん?結真姉さん?


美月: せっかくのチャンスだったのに~!!邪魔しないでよ!!


結真: だって、ズルじゃん。


美月: グッ…


結真: 笑、やるんなら、ちゃんとやりなさい。


美月: …だったら…


守里: どうしたの?


美月: 守里!!私とキスして!!


守里: は?


美月: とぉっ!!



そう叫び、美月は地面を蹴って、守里の唇に自分の唇を合わせようと、守里に飛びかかる。



守里: あっぶ……いやいや、おかしいでしょ!!


美月: おかしくない!!いずれするんだから!!


守里: いずれするって…なわけないじゃん!!


美月: いや、するの!!とぉっ!!


守里: やらないから~



こうして、2人の追いかけっこ兼イチャイチャはしばらく続くのであった。



蓮花: お姉ちゃん、積極的だね。


結真: 文化祭で、さらに火がついたんでしょ。


桜: モグモグ…


結真: ってか、桜食べ過ぎ。太るよ。


桜: ガーン……




to be continued

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

処理中です...