ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第7章 文化祭編

第264話「怒り爆発」

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2年1組の執事&メイド喫茶で暴れ始めた男達と、美月達や他の客の注目が集まる中、向かい合う梅澤。



中位1: ほぉ、お前が俺らの相手をすんのか?w


中位2: ……あれ?お前、俺とどっかで会わなかったか?


梅澤: 知らねぇよ。


中位2: う~ん……あ!お前、梅刺奴欺じゃね?w


中位1: え?!梅刺奴欺って、あの中学生の女ヤンキーかw


中位2: そうそうw無駄にデカくて、イキってた奴。


梅澤: …


中位1: へぇ~気づかなかったぜ。まさか、こんな学校の文化祭にいるもんだとは思ってなかったからなw


中位2: もしかして、過去のことは忘れて、楽しい学校生活を送ろうとか考えてんの?w…絶対無理だろwお前が普通に生きられるとは思わねぇ。


中位1: それなw。暴力のことしか頭にないような奴が、普通に過ごして、友達なんか作れるかっての。もし、その過去を隠して過ごしたとしても、今お前が友達だって思ってる奴は、お前の過去と本性を知った瞬間、お前から離れていくに決まってるw


中位2: だなw。中学の頃から、あんな暴力だらけの生活してたんだから、これからもそこから抜け出せることはなく、一生孤独に暴力だらけの人生を送っていくしかねぇんだよ!w



目の前に立つ梅澤を見ながら、ボロくそに言いまくる男達。


その言葉に、梅澤は…



梅澤: …



何も言い返さず、ただ口を閉じ俯いていた。


それは、否定の言葉を発したくても、孤独に喧嘩に明け暮れていた昔の自分が、まだ心の中に存在しているせいか、完全にその言葉を否定することができず、むしろ、そうかもしれないと少し納得してしまったからである。



中位1: さ、十分に笑ったし、前みたいに喧嘩しようぜ。梅刺奴欺。


中位2: 調子こいてた、お前の鼻っ柱を折ってやるよw


梅澤: …



これまでの自分から変わろうと決意している梅澤にとって、昔の自分がまだ心の中にいることを再認識させられた上で、周りの目…親しい人、親しくしたい人達の目がある中、男達と戦うことは、とても嫌なものとなってしまった。


その結果、男達への怒り以上に、自分への失望と怒り、そして恐れが、梅澤の体を硬直させた。



梅澤: (やっぱり、私はいつまで経っても…)


中位1: どうした?w構えないのか?


中位2: wwよっしゃ、ボコボコにしてやる。



と、梅澤の心など構わず、男達が喧嘩を始めようとしたところで…



美月: さっきから黙って聞いてれば、好き勝手言ってくれちゃって!!何様よ!アンタ達!!


梅澤: っ!!



後ろで他のお客さんを移動させていた美月が、梅澤の前に出て、男達の目の前に立つ。



美月: なに?アンタ達は、私達のこれまでの日々を欠かすことなく見てきたわけ?!!そうじゃないくせして、香蓮が暴力しか頭にないようなヤツ、とか、友達ができない、とか言ってんじゃないわよ!!



自身の感情を爆発させながら、叫び続ける美月。



美月: 香蓮はね、大食いで甘いものも好きで、不器用だけど優しくて、面白くて、照れ屋さんで、そして強くて頼もしい。そんな、普通の女の子なんだから!!


梅澤: 美月…


美月: アンタ達の勝手な印象と妄想で、香蓮のことを…私の大切な大親友のことを悪く言うな!!



そう言い切って、息を荒らげながら、男達を睨みつける。



中位1: …ブフッw…アッハッハッハッハッ……聞いたか?梅刺奴欺のことを大親友とか言ってるぞ、このメイド。


中位2: wwマジでおもろいな。


美月: 本当に大親友だし!!


中位1: へぇ~そうなんだw



そう笑いながら言い、美月に近づいた中位1は…



パシンッ!!


美月: キャッ!!!


川嶋: 美月!!!


東野: なんてことを…



美月の頬を叩き、こう言った。



中位1: ま、どうでも良いが。


中位2: おいおい、せっかくお持ち帰りしようとしてたのに、傷つけちゃってどうすんの?w


中位1: すまんwあまりに、うるさかったから…



と、笑っていると……



「おい、今、何した…」



中位1: っ!!!!


中位2: っ!!!!!



これまでに感じたことのない、鋭く突き刺さるようなプレッシャーが男達を襲う。


さらに、そのプレッシャーを段々と強く感じるようになり…



中位1: クッ


中位2: こ、この威圧感は…



激しい怒りの感情を身に纏わせた梅澤が、眼前に来たところで、そのプレッシャーは最も強くなった。



梅澤: 私の美月に、今、何をしたかって、聞いてんだよ。


中位1: このっ!黙れ!!!



自分がこの上ない恐怖を抱いていることに耐えられなくなった中位1は、震える手を握って梅澤に殴りかかる。



梅澤: よくも美月を!!!!


ドンッ!!!


中位1: カハッ!!



その中位1の拳よりも早く、梅澤の拳が中位1の顔面にめり込み、教室の外に吹き飛ばす。



梅澤: 私の友達を!!


中位2: や、やめ…ガッ!!



すぐに、その隣にいた中位2の頭を右手で掴み、溢れる力のまま、同じ方向に投げ飛ばした。



梅澤: ふざけるなよ。マジで…



一歩ずつ、倒れている男達に近づいて行く。



中位2: ひ、ヒィィイイ!……ガクッ


梅澤: このまま、ぶっ殺して…


美月: 香蓮!ストップ!!



気絶している男2人の顔を踏みつけようとしていた梅澤を、美月が後ろから抱きついて止める。



梅澤: え?あ、美月?!大丈夫なのか?!



それによって、梅澤が元の状態に戻った。



美月: うん、私は大丈夫だけど、香蓮は?


梅澤: 私は問題ないが……っ!その顔…


美月: え、ヤバいことなってる?私の頬っぺ。


梅澤: すまん……私がもっと…


美月: 笑、何言ってんの。私が叩かれたのは、私が香蓮の言葉を無視して、前に出て行っちゃったせいだし、なんなら、私が飛び出すぐらいにヒドいことを、コイツらが香蓮に言ったからだよ。つまり、全部、コイツらが悪いの。


梅澤: でも…


美月: でももクソもない!コイツらが悪いで、おしまい!!ね、みんな!


川嶋: うん、そうだよ。


東野: そうそう、梅ちゃんがこうやって倒してくれなきゃ、美月も志帆も、お店もどうなってたことか。あ、あとほら、殴られたあの子も無事だし。



教室の中には、横たわりながらも梅澤の方を見て、グッドサインを掲げる執事(受付)がいた。



梅澤: …ありがとう。


美月: じゃ、みんな、喫茶店を再開しよう!!


東野: そうだね。あの子はしばらく動けないだろうから、代わりの子を2組から連れてこないと。


璃勇: なら、僕が代わりにやるよ。



2組の待機場所から、扉の窓越しに一部始終を見ていた璃勇がやって来て、東野の言葉にそう答えた。



東野: それはありがとうだけど、調整は…


璃勇: 雅史に担当を引き継いだ。


杉浦: 任せろ!



待機場所の扉を少し開き、杉浦がそう叫ぶ。



東野: 笑、了解。じゃ、よろしく。


璃勇: うん。



そんな璃勇をきっかけに、2組にいた生徒が1組の方へやって来る。



飛香: ちょっと何があったの?


陽芽叶: 何この男の人達…って、美月?!その顔…


飛香: わっ、腫れてんじゃん!


美月: マジ?そんなヤバいんだ笑


陽芽叶: 早く冷やした方が良いよ。


川嶋: 私、氷持ってくる!



そう言って、川嶋が1組のキッチンへ走る。



美月: しばらくこのままかな?


飛香: もしかしたらね…


美月: うわぁ~守里と後夜祭回りたいのに、この状態じゃ……どうしよう~


飛香: 笑、良いじゃん。そのままで。


美月: え、やだよ。守里にはいつもの可愛い美月ちゃんを見てもらいたいもん。


飛香: うん。真顔でそんなこと言えるアンタは、やっぱりおかしいわ。


美月: え~そんなことないよ~ね、香蓮!


梅澤: あ、あぁ…


飛香: ?


陽芽叶: どうしたの?梅ちゃん。


梅澤: いや…


美月: あ、もしかして、さっき言われてたことを気にしてんの?


梅澤: …


美月: はぁ~アイツら倒した時は、私のことを友達って、言ってたのに…


飛香: …まさか、梅に友達がいないか、作れないって言われたの?笑


美月: そうなの。ヒドいと思わない?アイツら。香蓮が暴力好きだから、友達なんて一生できないとか言ってたんだよ。


陽芽叶: ほんとヒドいね、それ。


美月: うんうん。こんなに、香蓮のことを大事な友達だって思ってる人達がいるのにさ!


梅澤: っ!


飛香: 笑、今更驚くなって。私達、友達じゃないの?


陽芽叶: 友達でしょ!



そばにいた飛香と陽芽叶。



川嶋: そうだよ!香蓮は私の友達!


美月: 冷たっ!



氷を入れた袋にタオルを巻いた即席の氷嚢を、美月の腫れた頬に押し付けた川嶋も、梅澤を友達だと、はっきりと言う。



美月: ってか、逆に、こんだけ仲良くしてるのに、友達じゃないって思われてるの、結構ショックなんだからね!!


梅澤: …笑、みんな、ありがとう。



友達に囲まれて、やっと梅澤が笑顔になった。



東野: はいはい、一件落着ってことで、みんな仕事に戻るよ。2組勢はさっさと行く。


飛香: 笑、おっけ~


陽芽叶: 分かったよ。


東野: 1組の中にいたお客さんと、外で待っていただいたお客さんには、ドリンクを一杯分無料にするから。メイドと執事は、感謝の一言とそのことを、担当しているお客さんに伝えて。



「はい!」



東野: 私は、外のお客さんと話してくるから。あと、美月も受付の子と同じく、しばらく休憩ってことで。美月が担当していたお客さんは、他のメイドに頼んで。


美月: 分かった。


梅澤: あ、私はもう出て行くから。


東野: そう……まぁ、アイツらをどうにかしないとだもんね笑


梅澤: あぁ。


東野: じゃ、美月は最後に梅ちゃんの会計処理だけやって、休憩で。


美月: 了解!!


東野: よし!ラストあとちょっと!!頑張って行くよ!!



「はい!!」



こうして、トラブルに見舞われた執事&メイド喫茶が営業を再開した。




美月: 香蓮は、これからどうするの?



会計処理をしながら、梅澤にそう尋ねる美月。



梅澤: まずは、若月さんに連絡して、この捕まえたヤツらをどうすれば良いかを聞こうかなと…



ピロン



梅澤: ん?


美月: あ、私もだ。



2人は、携帯を取り出し、20分ぶりぐらいにメッセージを確認した。



梅澤: なんじゃこりゃ…


美月: 全然気づかなかった…



そして、風紀委員会から送られてきていたメッセージを読んで、ようやく今の状況を把握した。



梅澤: 早く行かないとだな。


美月: なら、私も!


梅澤: いや、そんな状態じゃ無理だろ。ゆっくり休んどけ。若月さんには、アイツらを運びがてら、私の方から言っとくから。


美月: …分かった。頼んだよ。


梅澤: おう。


美月: 頑張って!


梅澤: 笑、任せろ。



そう言って梅澤は、未だに気絶したままの男2人を、風紀委員室の隣の部屋まで引き摺って行くのだった。




to be continued
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