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第7章 文化祭編

第260話「勇気ある風紀委員」

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絡んできた男達が痺れを切らし、ピンチになってしまった元気達の元に、2人の能高生徒が現れる。



蓮花: え?


下位1: あ?誰だ。邪魔してんじゃねぇよ。


??2: 絡まれてる中学生って、蓮花ちゃん達のことだったんだ!


蓮花: た、珠美さん!


珠美: 笑、久しぶり。もう安心してね、珠美達が来たから。優太、現着連絡するよ。


新里: うん。さぁ、お兄さん達。何があったのか、話してもらえますか?


元気: …(風紀委員…)



そう、元気達の元に現れたのは、1年3組風紀委員の新里優太と中村珠美であった。



下位1: 何いきなりしゃしゃり出て来て、仕切ってんだよ!


新里: あ、見えてないんですか。はい、ここに書いてあるとおり、風紀委員です。



そう言って、左腕につけている腕章を見せる。



下位2: ほぉ、お前らがあの有名な、能高の風紀委員なのか。


新里: その有名な人達本人ではないですけど、同じ組織には所属していますね。


下位1: さすがに、堂々としてんだなw


新里: そりゃどうも笑


鴨田: (風紀委員…カッケェ…)



という感じに、男達と元気達の間に立った新里は、男達と堂々と向き合っているのだが、内心では…



新里: (顔、こっわ……これでもし、実力行使とかで来られたら、どうしよう……)



と、結構ビビっていた。



珠美: 蓮花ちゃんとそっちの子も、何があったのか話してもらえる?


蓮花: はい!(珠美さん!頼もしい!)


望月: 分かりました。(風紀委員の先輩が来てくれたんなら、安心かな…)


蓮花: その、蓮花の不注意でその人達とぶつかっちゃって、すぐ謝ったんですけど…


下位1: 謝って済む問題じゃねぇんだよ!w


下位2: ってか、ソイツの言った通りだと、俺らに非はねぇだろ。一方的にそのガキがぶつかってきたんだから。


新里: それで、ぶつかられたのは?


下位1: 俺だが?


新里: う~ん、怪我をしてる様子もないし、服も問題なし……確かに、ぶつかった方が悪いですよ、あなたの言う通り。


下位2: だろ?w


蓮花: …


新里: でも、すぐに謝ったんなら、それで良いじゃないですか。あなた方に実害はなかったわけで、今もこうして絡んでいることから、何か急ぎの用があったわけでもないんでしょ?


下位1: それは……そうだが…


下位2: w、実害がない?まさか、あの能高の風紀委員様が、見た目だけで判断したのか?もしかしたら、精神的な方に害があったかもしれねぇだろうがよ!


下位1: っ!(よくもまぁ、そんな言い回しをすぐに思いつけるもんだw)


新里: 精神的な害ですか……じゃあ、保健室に行きましょう。


下位2: は?


新里: そんなことを言うってことは、精神的な害を負ったんですもんね?だったら、保健室には心の病専門の先生もいますから、診てもらいましょう。


珠美: うんうん、この子達には、珠美達の方から注意しときますので!


新里: さぁ、お2人とも、移動しましょう。


下位1: ど、どうする?


下位2: ……な、舐めるのも大概にしろよ!!


新里: ?


下位2: ったく、やっぱり殴る方が楽だわ。こうやって揚げ足取られてたら、余計にストレスが溜まる…


下位1: え、結局やるの?なんか、頭良いって見直してたのにw


下位2: うるせぇ。パッパとやって、仕切り直しだ。


下位1: あぁw


新里: 落ち着いてくださいよ。(やっば、ミスった……このまま流れで、この子達と引き離せさえすればどうにかなったんだけど…)


珠美: どうする?優太。


新里: う~ん…


元気: ふぅ…



そうして、男達と風紀委員2人の様子を見ていた元気の目が、座り始めたところで…



林原: あれ?新里と珠美ちゃんじゃん!


水谷: はっ!!みんな!!


望月: っ!玲衣?!


蓮花: 玲衣だ!


松高: 探してた友達?


水谷: はい!


松高: 笑、良かったじゃん。ほら行きな。


水谷: ありがとうございました!みんな~


望月: もう、どこ行ってたの?玲衣!


水谷: ごめんごめん、道に迷っちゃってさ~でも、あの風紀委員の先輩方が助けてくれたんだ!


望月: へぇ~


蓮花: って、美結さんと瑠奈さん?!!


林原: あれ?!よく見たら、蓮花じゃん!


松高: ほんとだ笑。久しぶり。


蓮花: お久しぶりです!


林原: 笑、で、連絡によると、ここでもトラブってるっぽいけど、どうなの?


新里: あぁ、えーっと~


下位1: 俺らを無視してんじゃねぇよ!


下位2: ほんと、とことん舐めてんな!


珠美: 殴りかかってくる寸前!


林原: おっと笑、それは新里と珠美ちゃんにとっては、大ピンチだったね。


松高: なら、交代。私達がそいつらを相手するから、2人はこの3人をよろしく。


新里: この人達は?



結束バンドによって後ろ手に縛られたまま、松高に連れられている、敵意剥き出しの表情をした男3人を見る。



松高: 特別教室校舎の1階でトラブってた人達。


新里: そういえば、そこでも問題が起こってたね。さすが実力派の2人。もう解決してたんだ。


林原: 笑、向こうから手を出してくれたからね。遠慮なくやれたよ。もちろん、周りの目もあったし、証人もいたから、正当な対応だったと証明もできる。


新里: なるほど。じゃ、お願いします。


林原: はーい。


珠美: 代わるよ!


松高: うん。



そう言って、新里は中学生組を守るように下がり、珠美は松高が持っていた男3人に繋がる紐を掴み、松高と林原はイライラゲージがMAXとなっている男2人の前に立つ。



下位2: ケッ、女2人に任せるとは、情けねぇ奴だな!w



新里を見ながらそう吐き捨てる。



林原: まぁまぁ。適材適所ってやつだから、勘弁してあげて笑


下位1: w、よく見たら、お前らも良い女じゃねぇか。


松高: キモ…


下位3: お前ら!気をつけろ!!ソイツらめちゃくちゃ強ぇ!


珠美: え?


下位1: あ?…ってお前ら…


下位2: ww、てめぇらが弱かったからだろ。よく見とけ。


新里: …(この反応…もしかして、顔見知りなのか?)


松高: やるよ、瑠奈。


林原: うん。


下位2: パッパと片付けてやるよ!!!



こうして、中3組と新里&珠美ペア、捕まった下位構成員3人、その他周りの人が見ている中、松高&林原ペアvs下位構成員2人の戦いが始まった。


◆◆◆


少し前

ちょうど、櫻宮と倉田が風紀委員室に到着した頃


第2グラウンド付近



日向子: ねぇねぇ!次は、あっちに行こうよ!


守里: 笑、OK…



ピロンピロン



守里: ん?



なんだ?いきなり…


連続で鳴った携帯のプッシュ音に驚きつつ、守里は携帯を確認する。



守里: …え?マジで?


日向子: どうしたの?


守里: いや、風紀委員会からの連絡で、今、色んなところで同時にトラブルが発生してるんだって。


日向子: 同時にトラブルが?!


守里: うん。


日向子: じゃあ、もしかして、守里は行かないとダメ?


守里: ごめんだけど、そうなるね。


日向子: えーー!!!!


守里: また今度、一緒に遊ぶから、今回は許して。


日向子: う~ん、しょうがないな~それ、約束だからね!!


守里: はいはい笑。じゃ、またね。


日向子: うん!頑張って!!



同じくシフトが入っていなかった日向子と2人で、文化祭を楽しんでいた守里は、笑顔の日向子に見送られ、風紀委員として走り始めた。


が…


それにしても、こんな急に…しかも15件近く一気に、トラブルが発生することがありえるのか?


偶然にしては、あまりに…変だ。


考え過ぎかもしれないけど、誰かが狙って今、このタイミングでやっているとしたら狙いは?

目的は何だ。


同時多発的に問題を起こすことで、何がどうなる…

他のお客さんに被害が出る…お店に被害が出る…営業が滞る…評判が落ちる…


と考えたところで、守里の視界の中にふと、実習校舎が入る。



守里: あ…



今の能高にとって、一番マズいことは何だ?

それは、僕と上層部にだけ知らされた情報……ICFカードを管理しているコンピュータの動作に異常が出ること。


もし、そのコンピュータを狙ってのことだったとしたら…


同時多発的にトラブルを起こしているのは、そっちの対処に人々の気を逸らさせ、コンピュータへの意識を薄くするため。

そして、風紀委員をトラブルの対処に奔走させることで、コンピュータへの攻撃への対応を鈍らせる…


これは、考え過ぎか?

いや、ありえなくはない。


まだまだ疑問が残ることはあるけど、一応コンピュータの方を確認するべきだ。


そう考えた守里は、教室校舎に向かっていた体を、実習校舎へと方向転換させて、ICFカードを管理するコンピュータがある実習校舎の4階に向かって走り出した。


◇◇◇


実習校舎2階



立ち入り禁止のテープが貼られている階段の前で、守里は一旦立ち止まる。


何も異常が発生していなければ、ここより上にいるのは、コンピュータがある部屋の見張りをしている先生達だけのはず…



「な、なんだお前は!…グァッ!!」



守里: っ!!



突然、守里の耳に男の呻き声が届く。


な、何が起こったんだ?!

とにかく確認を急がないと!


急ぎつつも、冷静な思考のまま、守里は足音を消して階段を駆け上がり、4階に到着する。


コンピュータがある部屋は、こっち側のはずだから…



「何が目的だ!」


「目的?w…ここに来てんだから、目的は1つしかねぇだろ。全く、教師のくせして頭空っぽだな。」



先生と…誰かが言い合ってる…


守里は、声が聞こえた廊下を、曲がり角からこっそりと顔を覗かせて確認する。



先生: こんなことして、良いと思ってるのか?!


??: 良いと思っているか…ねぇw。俺らの目的からすれば、とても良い事なんだが。


先生: 学生達の文化祭が台無しになることが、良いことだと?ふざけるな!


??: ま、どうでも良いよ。そこのおっさんと同じく、お前も眠っといてw


先生: このっ!


??: お疲れさまです、先生w


バチッバチッ!



黒のスーツを着た黒髪の男が、右手に持つスタンガンの先端を先生の肌に押し付ける。



先生: ガハッ!


ドサ


??: やっぱ、改造は気持ちが良いね。ちょっと当てるだけで気絶してくれる。



倒れた先生を見下ろしつつ、その男が笑いながら部屋の扉に向かって歩き出した瞬間…




カチ




??: っ!!!


ダンッ!!



強いプレッシャーの放出に続き、廊下に床を蹴る音が響く。



守里: フンッ!!


??: 生徒?いや、風紀委員か!!


守里: 先生達から離れろ!!


ダッ!



直線の廊下を全速力で走り、瞬時に男に接近、そして再び床を蹴って、右足を前に突き出す。



??: はやっw



その蹴りを、スーツを着た黒髪の男…黒峰龍水は、真横に一歩動き、難なく避ける。



守里: ハッ!



しかし、黒峰と扉の間に割り込みつつ、床に着地した守里は、動きを止めることなく、左足に重心を寄せて、右足を大きく払う。



黒峰: おっと…



それを避けるために、さらに一歩引いた黒峰は、まだ笑って守里を見ていた。



「武器を持っておる相手に奇襲をかけるならば、まずは武器破壊を狙うか、武器を手放させるんじゃ。」



守里: ここだ!



そう言って、体の回転を加速させ、黒峰の右手首に掌底を当てる。



黒峰: 痛っ!w、そっちが狙いかよ。



ガタンカタン


黒峰が持っていたスタンガンが、床に落ちた。



守里: まだまだ!



再び、左足を軸に、右足を大きく振る。



黒峰: そんなんじゃ、当たんないって。



床に落ちたスタンガンをそのままに、黒峰は右に飛び、守里と相対した。



守里: ふぅ……


黒峰: クッw、なるほど。賢いなお前。


守里: …



スタンガンが使用されたのを見て、守里が瞬時に考えた奇襲作戦が成功し、黒峰が目的としているコンピュータのある部屋の扉、床に倒れている先生2人、そしてスタンガンが後ろにある状態で、守里は黒峰と向かい合った。




to be continued

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