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第7章 文化祭編

第258話「柄の悪い奴ら」

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迷子になったかもしれない玲衣を探しに行こうと、蓮花達が歩き出した瞬間、柄の悪い男とぶつかってしまった。



??2: ん?どうした?


??1: いや、このガキがわざとぶつかってきてよw


蓮花: わ、わざとなんかじゃ…


??2: へぇ~ww



隣にいたもう1人の男も、蓮花の方を見て笑みを浮かべる。



??1: マジで痛かったな~しかも、せっかくの服もシワがついちゃったし……どうしてくれんの?w


??2: w、シワは無理があんだろ。


??1: イチャモンつけられれば何でも良いんだってw


蓮花: …



男2人に囲まれて、蓮花は萎縮しきってしまう。



??1: 後ろのヤツらも、お友達?


望月: …(ど、どうしよう…)


鴨田: …(頑張るんだ僕、ここで一歩を踏み出さないと…)



と、勇気を振り絞り、鴨田が口を開こうとすると…



グイ


鴨田: え…


元気: …



隣の元気に肩を引かれた。



元気: 僕らの不注意で、本当にすみませんでした。



ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべている男達に、頭を下げる元気。



蓮花: す、すみませんでした!



それを見て、蓮花も頭を下げる。



??2: w、って言ってるけど?


??1: いや~謝って許してもらえると思ってるなんて、これだからガキは困るぜ。有名な言葉があんだろ、謝って済むんなら警察はいらねぇってw



その言葉を聞き、元気は蓮花の前に出る。



蓮花: …(元気…)


元気: すみませんでした!


??1: だから、謝って済む問題じゃねぇっつってんだろ!


??2: まぁまぁ、俺らでどうやったら許してもらえるか、教えてやろうぜ。


??1: だな。よくよく見てみれば、このメスガキ2人は、結構上物だしww


??2: あぁw


蓮花: ブルブル


鴨田: …


ギュッ


蓮花: っ!



震えている蓮花に気づいた鴨田が、元気の後ろで蓮花の手を握る。



鴨田: (大丈夫だからね…)


蓮花: …


望月: (周りの人達も助けては…くれなさそうだね……しょうがないか。誰もこんなことに巻き込まれたくないもん……ほんとにどうしよう…)


??1: さ、じゃあ、男2人はいらないから、どっかに行っとけ。邪魔だ。


元気: …嫌です。


??1: あぁ?w


??2: この状況が分からんぐらいに、バカなの?大人しく言うこと聞いといた方が良いよw


元気: …


◇◇◇


同じ頃


特別教室校舎1階



水谷: あれ~みんなとどこで別れたっけ?



御手洗を済ませた水谷は、蓮花達の場所が分からず、トイレの前を困った顔でうろちょろしていた。



水谷: あっちかな?…いや、こっちかな?



と、迷っていると…



??: ん?君、どうしたの?



背の高い能高の女子生徒が、話しかけて来た。



水谷: えっと、友達とどの辺で別れたか、分からなくなっちゃって……って、風紀委員?



その女子生徒が着けている腕章に書かれている文字を読む。



??: あぁ、これね笑。そう、私と…瑠奈!


林原: え?なに?美結。


松高: この子と私は、能高の風紀委員。だから、君が困っているんなら、助ける。


林原: おぉ、カッコいいこと言うじゃん笑


松高: そう?


林原: うん。ね、カッコよかったよね?


水谷: はい!カッコ良かったです!


松高: //そ、そうか……で、友達とはぐれて困ってるんだよね?


水谷: はい…


林原: じゃあ、私達が一緒に探してあげる!


水谷: ありがとうございます!!


松高: 笑、いいえ。


水谷: ちなみに、先輩方は何年生なんですか?


松高: 1年。


水谷: ほぉ~大人っぽい…


林原: ありがと笑。君は?


水谷: 能中の3年です!


林原: 1個下か。なら、来年はもしかしたらガチで先輩後輩になってるかもね笑


水谷: 私は、能高に入るつもりなので、そうなります!絶対に!


林原: 笑、良い志だ。頑張って。


水谷: はい!


林原: 笑…って、美結。会話に入ってこないけど、どうしたの?


松高: …いや、トラブルかなって思って…あそこ。


林原: どこ?…



松高が手で指している方向に注目すると…



「おいおい、ほんとクソみたいな店だな!」


「それな!!w」



店の目の前で、大声で叫ぶ男2人組がいた。



林原: うん。あれは営業妨害だね。


松高: 店員さんも困ってるみたいだし、取り締まり対象だ。行くよ、瑠奈。


林原: あ、でも待って、この子は…


水谷: 玲衣もついて行きます!!


松高: …


林原: でも…


水谷: お願いします!先輩方の仕事を見たいです!キラキラ



子供特有のキラキラ光線を放ちながら、そう訴えかける。



林原: う~ん…


松高: 離れたところで見るって約束できるんなら、良いよ。


水谷: 約束します!


林原: 良いの?


松高: どっちにしろ、この子の友達も探さないとだし、それに…この子は方向音痴なとこがあるみたいだから、離れない方が良いでしょボソッ


林原: 確かにねボソッ……よし、行こう!


松高: うん。


水谷: ワクワク



そうして、梅澤の舎弟かつ新風紀委員の2人組と、笑顔でその2人について行く水谷が、騒いでいる男達の元へ向かった。


◇◇◇


第3グラウンド



小百合: おっ!大我~!!


大我: ゲェ、姉ちゃん…


小百合: 元気にやってるか~


ギュッ!


大我: ちょ、マジでやめろ!


小百合: いやや~


大我: 他のヤツらも見てんだからさ!


小百合: 別にええやろ笑。見せつけたろうや~


結真: 弟君、可哀想笑


奈々未: まぁ、さゆりんが姉だと大変だよね笑



と、小百合が大我に抱きついているのを、結真と奈々未が哀れみの目で見ていると…



バキンッ!!



体育委員1: お、お客さん!


??3: あ、わりぃ、わりぃw…思った以上に脆かったからよ。


体委2: そりゃあ、本来の使用方法と違いますからね笑


??3: あ?俺が悪いってか?


??4: そりゃないぜ。俺らはただお前らの指示に従って、楽しんでただけなのによ!


??5: そうだ、そうだw


体委2: 僕達の指示に従ってですか……笑、一体いつの話ですかね。


体委1: ちょっと先輩…


結真: …さゆりん、一旦離してあげて。


小百合: え~~結真がそう言うんなら、しゃあないな~はい、どうぞ。


大我: ったく…


結真: 弟君。なんかトラブルみたいだけど。


大我: え?


??4: 随分と高圧的なんだな、この学校の生徒はw


体委2: あなた達に対してだけですよ。


??3: チッ、こいつムカつく。


??5: やる?w


大我: …



小百合の抱擁により、状況が把握できていなかった大我が、そのトラブルを確認した。



小百合: おぉ、威勢のええ奴がおるな~笑。なぁ結真、ここは私達で解決せんか?久しぶりに。


奈々未: いや、私達は何もしない。でしょ?結真。


結真: うん。あくまで私達はOGだからね。出しゃばらないよ。それに、今、ここには弟君がいるじゃん。


小百合: ま、せやな笑。大我、頑張るんやで。


大我: あぁ。行ってくる。


小百合: 笑、ほんと頼もしいわ~



トラブルを起こしている男達の元へ向かう大我の背中を見つめながら、小百合がそう言う。



奈々未: さゆりんとは性格が全然違うね笑


小百合: そうか?笑


結真: にしても、この学校の文化祭でああいうのがいるのは、珍しいね。


奈々未: 確かに。三高ならよく見るんだけど…


体委2: やるって…暴力でも振るんですか?いい大人なのに笑


??4: はぁ……全く、最近の高校生は状況が見えてないというか、頭が悪いというか…


??5: まぁまぁw。なぁ、お前、中々強いだろ?いや、強い。うん、そう決めた。お前は強いから、問題なしだw


??3: 強いんだったら、やっちゃっても問題ないって、あの人は言ってたからな。やろうぜw


??4: おうw


体委2: …君は後ろに下がっといて。


体委1: は、はい…


??4: w、やる気じゃねぇか。


体委2: 営業妨害ということで、風紀委員が来る前に取り締まり…


大我: 待て。



体育委員2が奮い立ち、男達を相手にしようとしたところで、大我がそれを止める。



体委2: 大我……今、お客さん達を取り締まろうとしたとこなんだが。


大我: 知ってる。見てたからな。


体委2: じゃあ、止めんな。


??3: ほんとだぜ、水差すなよw


??5: それともお前も…


大我: 文化祭中だからな、できるだけ武力行使はやめろ。落ち着け。


体委2: …すまん。


??5: はぁ~なに真面目ぶってんだよ。


大我: 今回、壊した器具に関しては、お客さんには何も責任は問いませんので、気にせず他の……いや、文化祭から出て行ってください。


??4: おっと、最後の言葉は結構威圧的だねw


大我: お客さん達は、どうやら何かしらの目的があって、こうして騒ぎを起こしているみたいですし。


??3: ギクッ


??4: ほぉ~そりゃまた、なんでそう思ったのw


大我: 笑、教えないです。俺達としてはこのまま引き下がって、能高から出て行ってもらった方がありがたいんですが…


??4: じゃあ、お前らが嫌がる方を選択してやるよw


大我: ですよね。


体委2: なぁ、やっぱりこのままじゃ、埒が明かねぇってボソッ


大我: 分かってるボソッ


??5: もう、やっちまおうぜ~


??4: まぁ、待て。連絡も来てないんだし。


大我: …(連絡?誰かから…あの人ってヤツからの連絡か?)


??3: 連絡が来たら良いの?


??4: wwあぁ、思う存分暴れろ。


??3: っしゃ~


??5: 楽しみだぜ~


大我: …(さぁ、どうするべきか…)


◇◇◇


同時刻


風紀委員室



風紀委員1: 委員長!第3グラウンドでもトラブルです!


若月: なに?!第3グラウンドでも?!


風委1: ただ、体育委員長が対処に当たっているようで、今のところは助けは要らないそうです。


若月: 大我がか……なら問題ないな。


風委2: 教室校舎の1階、東側階段の前でもトラブルです!中学生らしき子供達が男2人に絡まれているそうです!


若月: クッ…現在見回りをしている風紀委員は…


風委3: トラブルの対処にまだ向かっていないペアは…松高と林原のペアです!


若月: なら、その2人に…


風委4: あ!ちょうどそのペアが特別教室校舎1階の第2特別教室の前で、男達の取り締まりをしているとの報告が来ました!


若月: マジか……しょうがない、非番の風紀委員に連絡だ!グループに一斉送信!


風委3: 了解です!!


若月: なんで、こんな一気に…


風委5: 現在、報告を受けているトラブルは、計7つ…しかも今も増え続けています。


若月: …よし、引き続き、対応に当たれ!



「はい!!」



若月: 私は一旦、生徒会長に報告してくるから、トラブルが発生したらすぐに私に連絡!そして風紀委員が必要ならば、非番の風紀委員に回せ!


風委4: 委員長はここにいて、私が会長へ報告に行った方が…


若月: いや、私が行った方が良いだろう。そっちの方が、会長から指示をもらった時に動きやすいし。


風委4: なるほど……お願いします!


若月: あぁ、任せろ。みんな、気張っていくよ!!


「はい!!」



こうして、若月は生徒会室に走った。


そんな若月の向かう先の生徒会室の近くでは…



直也: ふぅ……やるんだ…ちゃんとやるんだ…



と、誰の目もないところで、そう唱える直也がいた。




to be continued

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