上 下
242 / 336
第7章 文化祭編

第242話「守里の企み」

しおりを挟む
教室校舎3階



春時: また、2階とは違った活気があるな。


日向子: なんか、お祭りみたい!


守里: だね。



少し遅めの昼食をとるために、七星のクラスがやっている粉物ランドへとやってきた守里達一行。



春時: 粉物ランドの入口はどこ…って、めっちゃ目立ってんじゃん笑


日向子: おっきい看板だ!



粉物ランド、とどデカく力強く書かれた、木の看板が立てかけられている教室に近づくと…



店員: いらっしゃい!


日向子: おおっ!



元気よく声をかけられる。



春時: とりあえず入るか。


守里: ほら飛香、行くよ。


飛香: うん。


店員: 何名様で?!!


日向子: 4名様です!!!


店員: では、お席にご案内します!!!!


日向子: はい!!!!!!


春時: いや、張り合わなくて良いから。先輩もですよ笑


店員: すまんすまん笑。じゃ、ここに。すぐお冷持ってくるんで。



そう言って、店員が離れ、四人席に座った守里達はそれぞれで、周りを見回し始める。



守里: お客さん多いね。


春時: イートインとテイクアウトの両方をやってみるみたいだし。さすがに繁盛してるな笑


日向子: だけど、私達も負けてない!!


春時: それは当たり前だ笑


飛香: あ、志帆と梅いるじゃん。


守里: え?


飛香: ほら、一番端っこの席。


守里: あ、ほんとだ。



飛香が指した方向を見ると、遠くの2人席に座る、たこ焼きを大量に食べる梅澤と、それを苦笑いしながら眺めている川嶋がいた。



春時: あの2人って、そんなに仲良かったんだ。


守里: 修学旅行ぐらいから、美月経由で段々と交流が増えたみたいで、最近は美月と3人で遊びに行ったりしてるよ。


春時: へぇ~


飛香: 笑、学校一の優等生と学校一のヤンキーが、まさかここまで仲良くなるとは。


春時: 確かに笑


日向子: 話しかけに行こうよ!


飛香: 食べ終わってからね。まだ、注文すらしてないんだから。


日向子: じゃあ、早く注文しよう!!


飛香: みんな、どうする?私は、来た時から気になってた、この肉増量豚玉にするけど。


春時: 笑、結構いくね~腹減ってたんじゃん。


飛香: まぁね笑


春時: 俺は、海鮮系が良いな~~お、これ良さそうじゃん。


日向子: 私はもんじゃ焼きとパンケーキ!!


飛香: 組み合わせ笑。で、守里は?


守里: う~ん、何にしようかな~



と、守里が注文を迷っていると…



七星: なら守里は、この本格王道たこ焼きな。


守里: え?


日向子: 七星先輩!!



後ろから、お冷を持った七星が話しかけてきた。



七星: はい、4人分。


飛香: …


春時: ありがとうございます。


守里: そのたこ焼きって、七星先輩のおすすめですか?


七星: もちろんや。なんなら、ななが監修してるんやし。


守里: おぉ…だったら、それにします。確実に美味しいでしょうから。


七星: 笑、ありがと。それで、みんな注文は決まったんか?


春時: はい。俺は、この海鮮ミックスで。


日向子: 私は、チーズ餅もんじゃと、チョコパンケーキです!


七星: 分かった。飛香は?


飛香: えっと、私は肉増量豚玉で。


七星: ほぉ~この時間にガッツリいくんやな笑。よしじゃあ、できるだけ急いで持ってくるから、少し待っとき。


守里: はい、お願いします。



注文を取った七星は、厨房の方へ歩いていく。



日向子: もんじゃ焼き!パンケーキ!早く食べたい!


春時: 少ししたら来るんだから、落ち着けって笑


日向子: 待てないよ~…って、あ、ちょっと、いってきます!!


飛香: 笑、はーい。



席を立った日向子は、店員に断りを入れてから、お店の外に出た。



守里: 笑、でさ、向こうの2人の話に戻るけど、次期生徒会長の最有力候補が志帆で、次期風紀委員長の最有力候補が香蓮だから、あの2人は、未来のトップ3のうちの2人なんだよ。



再び、守里達の視線に未だに気づいていない2人の方を、チラッとだけ見る。



飛香: 最有力候補ね~風紀委員長の方は別としても、生徒会長の方は、まだ決まってないんじゃないの?笑


守里: そりゃあ、生徒会選挙がまだなんだから、決まってはないけど…


飛香: いや、そういう事じゃなくて、最有力候補が志帆がどうかは、まだ決まってないんじゃない?ってこと。


守里: いやいや、今の志帆なら次期生徒会長に一番相応しいでしょ。一番頭も良くて、人望も厚く、仕事もできる。


飛香: ………もしかしてさ、守里が志帆のイメージ改善に動いてたのって、そのため?


守里: 笑、なんのことかな?


春時: あ、コイツ、自分が生徒会長とはいかないまでも、生徒会には無理やり入れさせられる可能性を考えて、志帆を最高の囮になるよう育ててやがったのか笑


守里: 言い方が悪過ぎるし、育てたって言っても、ただ志帆がこういう子だよ~ってのを、少し広めたぐらいで、あとは全部、志帆が持ってた力なんだから。


春時: それは分かってるが、志帆を生徒会長に押し上げるために、動いてたのは、事実だろ?


守里: まぁね。志帆が一番、生徒会長に相応しいって思ったし。


飛香: 笑、櫻宮先輩達は、そう思ってないだろうけど。


春時: な笑。守里が押し上げた志帆の対抗馬は守里に違いない。


守里: でも僕は、生徒会に入るつもりはない。


飛香: なんで?


守里: ……なんとなく。


春時: 理由ないんじゃないか!笑


守里: 志帆と灰崎君達が中心の生徒会を、今みたいな感じで、少しサポートできれば良いかな、ぐらいにしか思ってないよ。


飛香: ふ~ん……ま、守里がそう思ってるんなら、それで良いんじゃない?別に私達も、守里に絶対に生徒会長になって欲しいとも、思ってないし。そうでしょ?


春時: あぁ。生徒会長になったら、今以上に一緒に遊べなくなるだろうからな。


飛香: うん。


守里: 笑、ありがと。


春時: なんの感謝よ、それ笑


飛香: 笑……って、日向子遅くない?


春時: 日向子なら、お店に戻ってきた後、志帆達のとこにいるぞ。


飛香: え?あ、ほんとだ。


守里: そろそろ、料理も来そうだし、日向子を呼びに行くか。


春時: そうだな。


飛香: 私、行ってくるよ。


守里: うん。よろしく。


日向子: ねぇねぇ、梅ちゃんはさ、何個ぐらいたこ焼き食べれるの?!


梅澤: まぁ50はいける。モグモグ


日向子: すごい!!


川嶋: ほんとね笑


梅澤: で、なんでお前はここにいるんだ?


日向子: だって、2人と話したかったから!


梅澤: …誰と来たんだよ。


日向子: 誰って…


川嶋: 笑、そんなの決まってるじゃん。


飛香: 志帆、梅、ごめんね。うちの犬が迷惑かけて。


日向子: あ、あっしゅん!


川嶋: ほら。(犬って呼ばれたことには、ツッコまないんだ笑)


梅澤: ま、そうだろうな。いや、迷惑はかけられてねぇよ。その直前だったのかもしれないが笑


飛香: なら良かった。日向子、もんじゃ焼きとパンケーキがもうすぐ来そうだから、戻るよ。


日向子: はーい!もんじゃ焼き!パンケーキ!


川嶋: 元気だな~


梅澤: モグモグ…あ、飛香。


飛香: なに?


梅澤: あとで、飛香達に頼みたいことがある。


飛香: なに?


梅澤: 笑、ここ出てから教える。


川嶋: ?


飛香: じゃあ、早く食べてよ。


梅澤: そっちもな笑


川嶋: 頼みたいことってなんなの?


梅澤: まぁ良いじゃん。食べようぜ。


川嶋: うん。



そうして、飛香と日向子は守里達のいる席に戻り、川嶋と梅澤は山のように積み上がっているたこ焼きを食べるペースを早めるのだった。




七星: お待たせ~


守里: ナイスタイミングです。七星さん。


七星: そう?


日向子: やった~美味しそう!!


春時: 飛香のヤツ、思ってたよりデカイな笑。食べれるのか?


飛香: 笑、舐めんな。


七星: 注文した料理は全部揃ってる?


守里: はい、揃ってます。


七星: 分かった。じゃあ、ごゆっくり……って、1つ、守里に言っといた方が良いことがあるな笑


守里: え、怖いんですけど…


日向子: なんですか?!モグモグ美味しい!


七星: 笑、ありがと。これから遊ぶなら、守里は、あと1時間以内に遊んどきや。



笑ってそう言いながら、七星は去っていった。



守里: 1時間以内…なんで…


飛香: 1時間後に、何かあるってことでしょ。


春時: だろうな。


守里: うわぁ~怖すぎる~


日向子: 大丈夫だって!モグモグ


春時: ま、七星先輩がそう言うなら、確実に何かあるんだろうから、残り1時間を楽しもうぜ。パクッ…あ、マジで美味い。


日向子: でしょ?モグモグ


飛香: 私もた~べよ!パクッ


守里: はぁ…パクッ




30分後…



日向子: ごちそうさまでした!!!


店員: またいらしてください!!!!


日向子: はい!!!!!!


春時: だから、張り合うなって笑


飛香: あ、いた、梅。


梅澤: お、来たか。



美味しい料理を食べ終わり、粉物ランドを出た守里達は、少し先に出ていた梅澤と川嶋と合流する。



春時: あの量のたこ焼きを食べるのは、志帆、キツそうだったな笑


川嶋: マジでヤバかった…


日向子: 良い食べっぷりだったよ!


川嶋: 笑、そう?



3人が話しているのを見て、梅澤は守里と飛香に頼み事を伝える。



梅澤: でな、頼み事っていうのは、志帆を私達んとこの、お化け屋敷に連れてきて欲しいってことなんだ。


飛香: 笑、なるほど。


守里: え、志帆って大のお化け嫌いじゃん。


梅澤: だから面白いんだろ笑


飛香: 確かに笑


守里: …2人とも怖い笑顔してるよ。


梅澤: 私も志帆を驚かしたいから、先に行って誰かと代わってくる。


飛香: 了解。なんとしてでも、志帆を連れて行くね。


梅澤: 場所は、特別教室校舎の3階だから。頼んだ。



そう言って、梅澤は走って行った。



飛香: よし、やるよ、守里。


守里: え~


飛香: 守里もお化け屋敷には行きたいでしょ?


守里: まぁ、面白そうだし、行きたくはあるけど。


飛香: 志帆も成長しなきゃだし……あ、それこそ、次期生徒会長になるために、必要なものなんじゃないの?お化けにビビらないような、強い心っていうのは。


守里: すごいこじつけ笑。でも、強い心は必要だね。


飛香: なら、協力して。


守里: …少しだけだよ。


飛香: うん!笑



川嶋の怖がる様子を思い浮かべて、溢れ出てくる笑みを噛み殺しながら、飛香は楽しそうに話す川嶋に近づく。



川嶋: ん?どうしたの?飛香。


飛香: ちょっと来て。


川嶋: え?


ガシッ



腕をしっかりとホールドする。



飛香: さ、みんな行くよ~


日向子: どこ行くの?!


飛香: 楽しいとこ。


日向子: なら行く!!


ガシッ


川嶋: いやいやいや、それはどこなの?!


飛香: 良いから良いから。


川嶋: ってか、梅は?!


飛香: 良いから良いから笑


春時: なんか随分とテンション高いな、飛香。


守里: ほんと、生き生きとしてるよ笑



こうして、守里達は川嶋を連れて、お化け屋敷に向かうのであった。


さぁ、川嶋の運命はいかに!



川嶋: どこに行くのかだけでも教えて!ちょっ、私がキャリーケースみたいに引き摺られてるから、みんなに見られてるから!!飛香、日向子!!




to be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

処理中です...