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第7章 文化祭編

第237話「七月櫻の来店」

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椎名がお客さんとして喫茶店に来て、パンケーキを食べ始めてから、およそ30分が経過し、守里は未だにパンケーキを食べ続けている椎名と、もう1人のお嬢様を相手に仕事をしていた。



守里: いってらっしゃいませ、お嬢様。


女性1: はい、また来ますね笑


守里: お待ちしております。



お辞儀をして、お嬢様を見送った後、1人席でパンケーキをモグモグ食べてる椎名の様子を確認し、待機場所に戻る。



守里: ふぅ…


執事: なぁ、お前が担当しているあの女の子は、一体何者なんだ?



隣に立っていたクラスメイトに、そう尋ねられる。



守里: 何者って、普通の女の子だよ。ちょっと大食いだけど。


執事: いや、あれはちょっと大食いとかのレベルじゃねぇよ。最初から全くペースが落ちる気配が無いし。


守里: 笑、あの子、この前はうどんを二十杯近く食べてた。


執事: バケモンだな笑



ピロロロ



執事: お、次のお客さんだぞ。


守里: うん、行ってくる。


執事: 頑張れ~



受付に呼ばれて、守里が入口に向かうと…



櫻宮: 笑、キマってんじゃん。


若月: 噂通り、カッコいいぞ笑


七星: せやな~



この学校のトップ3がいた。



守里: えっと…いや、お帰りなさいませ、お嬢様方。


執事(受付): (一瞬動揺したものの、すぐに切り替えた……成長したな笑)


櫻宮: お嬢様だって笑


七星: なんか恥ずかしいわ笑


若月: 言われることなんかないから、違和感を感じる。


七星: 若は特にそやろ笑


守里: お荷物をお持ちいたします。


若月: そう?ならよろしく。


七星: 後から返されるけどな。他のお客さんも、荷物は自分で持ってるみたいやし。


若月: 席に着くまでってことね笑


櫻宮: まぁ荷物を預かるのは、かなりリスクがあるから。


若月: 自分で持っておいてもらった方が、お客さん的にも、店的にも安心ってことか。


櫻宮: うん。他のお店もそんな感じだったし。



入口で立ち止まり、お店の分析をする3人。



七星: 内装は、ようできてんな。


櫻宮: だね。システムもよく考えられてるみたい。


若月: システムといえばさ…



これまでにも、こうやって入口で留まる人はいたのだが、そういう場合は、プロデューサーである東野が話をしに来ていたのだが、今回は…



守里: …


東野: (いや、守里君、こっち見ないで。会長達に早く動いてくださいなんて言えないし、このままお店の評価も聞きたいんだから。動かしたいなら、守里君でどうにかしてよ!)



周りの店員も含め、守里以外は、相手が七月櫻ということで、完全に腰が引けていた。

そう、守里以外は。



守里: お嬢様方。他のお嬢様、ご主人様方のご迷惑となりますので、席に移動しましょう。


櫻宮: あ、ごめん。


若月: 気づかなかった…皆さん、すみません。


七星: 話し込み過ぎたわ笑


執事(受付): A席でお願いします。(強ぇ守里…)


守里: かしこまりました。お席にご案内いたします。


櫻宮: はーい。



そして、3人は席に座る。



守里: こちらがメニュー表となります。ご注文がお決まりになりましたら、このボタンを押して、お呼びください。


七星: うん。


若月: 了解。


守里: では、失礼し…



ピロロロ



櫻宮達の最初の対応を終え、その場を離れようとしたところで、椎名の席からの呼び出しがかかる。



櫻宮: なんの音?


守里: 笑、お仕事の合図です。


七星: あぁ、他のお嬢様に呼ばれたんか笑


櫻宮: ふ~ん、このボタンを押せば、その音と共に、あのモニターにマークが表示されるんだ。


若月: よく考えられてるな、やっぱり。


守里: 改めて、失礼します。


櫻宮: 頑張って~


若月: 誰が考えたんだろうな、この仕組み。


七星: みんなで力を合わせたんやないの?


若月: そうかもしれないけど、1人でこれを考えたんなら、中々でしょ。


七星: 笑、ここのクラスでそれができそうなんは、数人しかおらんよ。


若月: えっと、守里と飛香と…あと、美月もできそう。


櫻宮: それと、次期生徒会長有力候補の、川嶋志帆ちゃん。


若月: そっか、その子もこのクラスか。なんか、良い人材が集まり過ぎじゃないか?笑


櫻宮: 不思議だよね~


七星: まぁ、美月は守里と飛香に能力を引っ張り上げられた感はあるけど。


櫻宮: 確かに笑。ってかさ、あの、守里が相手してる女の子は、誰なんだろう?


若月: ん?…歳は私達と変わらなさそうだけど、うちの学校の子ではないね。見たことないし。


櫻宮: うん。私もデータベースで見たことないから、他校の子かな。にしても、随分と守里と仲が良さそうじゃん笑


若月: あれは、美月達が見たら、嫉妬しそうだ笑


櫻宮: 何気に守里をすごく気に入ってる、なぁちゃんはどう思う?…って、なんでそんな笑ってるの?


七星: 笑…あ、いや、守里に新たな友達ができたみたいで、嬉しいんよ。


若月: もはや親だね。小学生の頃から仲の良い後輩だと、そんな感じになるんだ笑


七星: よし!何食べる?ななは結構、お腹すいてんねんけど。


櫻宮: う~ん、1000円以上は頼みたいよね~


七星: あのゲームか?


櫻宮: そう。ここにある要素は全部試しとこうって思って。


若月: なら、オムライスを頼もう。美月の話によると、オムライスには特別なサービスがついてるらしいから。


七星: へぇ~そうなんや。じゃ、頼も。


櫻宮: となると、他には…



こんな感じで、3人が注文を決めている間、守里は、結局パンケーキをほとんど食べ終わっている椎名と、ゲームをしていた。


ゲームの内容は、犬の名前で山手線ゲーム。

採用されているルールは、自分の番に、これまでに出てきた単語を全て言った後、新しい単語を言う、という記憶力を試されるものだ。


と、なると…



守里: チワワ、キャバリアキングチャールズスパニエル、ゴールデンレトリバー、イングリッシュコッカースパニエル、ダックスフンド…えっと、ブリタニースパニエル、ドーベルマン……イングリッシュスプリンガースパニエル、ブルドッグ。


椎名: チワワ、キャバリアキングチャールズスパニエル、ゴールデンレトリバー、イングリッシュコッカースパニエル、ダックスフンド、ブリタニースパニエル、ドーベルマン、イングリッシュスプリンガースパニエル、ブルドッグ…う~ん、そうだな~アイリッシュウォータースパニエル!


守里: …うん、降参です。


椎名: え~なんでよ!楽しいから、もうちょっと続けようよ!



情報部の特級団員であり、見た情報を完全に記憶することができる椎名相手に、高校生では賢い方というレベルの守里では、このゲームで勝てる可能性は皆無であった。



守里: 僕の負けなので、このクーポン券を差し上げます。チャージ機で、お持ちのICFカードに登録して、ご使用ください。


椎名: んもう…



差し出されたクーポン券を、パッと取る。



椎名: あ!じゃあさ、これ関係なしにゲームしない?



名案を思いついたような表情で、椎名は言う。



守里: いえ、私にも他の仕事がございますので。


椎名: お嬢様が最優先じゃないの?!


守里: それはそうですけど…



ピロロロ



守里: あ、それでは、失礼します笑


椎名: チェッ、スタンプ連打してやろ!モグモグ



ふぅ~ナイスタイミングだよ、ほんとに。

あのまま行ったら、いつまでも勝てないゲームに付き合わないといけないことになってた。


と、一安心しながら、守里は櫻宮達のテーブルへ。



守里: ご注文をどうぞ、お嬢様方。


七星: オムライスと、オレンジジュース。


櫻宮: ショートケーキとホットコーヒー。


若月: アイスパンケーキとミルクティーをよろしく。


守里: かしこまりました。


七星: なぁ、1000円以上頼んだら、ゲームに挑戦できるんやんな?


守里: はい。


七星: それって、3人の合計金額で1000円を越えてたら、誰か1人はゲームに挑戦できるって、考えてええんか?


守里: 1人だけなら挑戦できます。今回は、2000円にギリギリ届いてないので、お嬢様方のうち、お一人様だけが、ゲームに挑戦できますね。


七星: 分かった。


守里: 笑、あと一品頼めば、2000円に到達しますが。


櫻宮: がめついな~笑。別に私達はクーポン券が欲しいわけじゃないから。


守里: ですよね笑。では、少々お待ちください。



そして、注文表をキッチンに流し、待機場所に戻ろうとしたところで…



ピロロロ



守里: 笑、もう食べ終わったか。



全てのパンケーキを平らげた、椎名の元に向かう。



守里: さすがです、お嬢様。


椎名: めっちゃ美味しかったよ。作ってくれた子にも、そう伝えといて。


守里: かしこまりました。それでは、行きましょう。お荷物をお持ちいたします。


椎名: うん!



2人は、カードリーダーがある所へ行き、守里は自分で持っている注文表を見ながら、値段をカードリーダーに入力する。



守里: …それでは、お持ちのICFカードをここにスライドさせてください。


椎名: よいしょっと。これで、お会計は終わりなの?


守里: はい。残りの時間、文化祭を楽しんでください笑


椎名: 笑、もちろん!


守里: いってらっしゃいませ笑、お嬢様。


椎名: 守里!バイバイ!!



そう笑顔で言って、椎名は執事&メイド喫茶を後にした。




椎名: あ~守里とも話せたし、料理も美味しかったし、満足満足。


??1: これ美味しそうやない?!


??2: 食べても良いけど、今から喫茶店に行くんだから、そこの分は空けといてよ。


??1: 大丈夫、大丈夫!なぁ、これ1つ!


??2: もう~


??3: 心配しなくても、胃にブラックホールがあるんだから笑……


椎名: チラッ…次はどこに行こうかな~




梅澤: どうしたんだ?美月。


美月: いや、なんか今すぐ守里の所へ行かないといけない感じがして…


梅澤: なら、行くか?


美月: うん!




to be continued
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