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第7章 文化祭編
第236話「お客の愛理ちゃん」
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執事になるために、更衣室に入った守里は、執事服を着て、髪の毛をセットし準備を整える。
ガラガラ
璃勇: お、守里。上出来じゃん笑
守里: これで大丈夫そ?
璃勇: バッチリ。
守里: よし笑。じゃあ、先に行くね。
璃勇: うん、頑張ろう。
ガラガラ
守里: ふぅ…
息を整え、気持ちを入れ替えた守里は、自身が作り上げ、頭と体に叩き込んだ執事のイメージを身に纏う。
そして、教室に向かって歩き出す。
「え、あの人カッコよすぎじゃない?」
「また執事の森崎君が見れた!」
「例の喫茶店の執事なの?」
「ついて行こうかな…」
東野: あ、来た。
守里: 入るね。
東野: うん。もうちょっと休まなくていい?
守里: 大丈夫。このぐらいなら、バイトで経験済み笑
東野: そう笑。じゃあ、うちの執事のエースに、もっと売上を伸ばしてもらおうかな。
守里: 笑、そんなプレッシャーかけないでよ。
東野: さ、早く行きな。そうじゃないと、私が刺されそうだし。
守里: え?
教室の前で守里と仲良さげに話していた東野は、守里の後ろに、それとなくついてきていた女性達と、近くにいた女性達から注目を浴びていた。
東野: 笑、任せたよ、従業員。(全く…そういう視線は、私じゃなくて、飛香や美月に向けろっての笑)
守里: あ、うん。プロデューサー笑
そう言って、守里は1組の教室に入り、受付にいる執事とアイコンタクトを取った後、待機場所に着く。
日向子: あ…ま…ブフッ
守里: シッ…
ピロロロ
守里: あ。
幼なじみを見つけた瞬間に叫ぼうとした日向子の口を、瞬時に手で塞いだ守里は、すぐに呼ばれ、日向子に静かにしろとジェスチャーをしつつ、入口に向かう。
するとそこには…
守里: ……え?
椎名: やっほ~
防衛団情報部特級団員の椎名愛理がいた。
守里: は?いや、なんでここに…
あまりの衝撃的な出来事に、文化祭本番における執事としての初仕事なのにも関わらず、完全に素に戻ってしまう。
椎名: そりゃもちろん、お客さんだから笑
守里: うん、そういうことじゃなくて…
執事(受付): 守里、一応さ…
守里: あ、ごめん……お帰りなさいませ、お嬢様。
受付の執事の声掛けで、どうにか心の中の執事を復活させる。
椎名: わぁ!良いじゃん!カッコいいし!
守里: 笑、お荷物をお持ちいたします。
椎名: どうも笑
執事(受付): 3番です。
守里: かしこまりました。では、こちらへ。
椎名: はーい!
なんでこんなところに、愛理ちゃんが来てるのかは分からないけど、今はとにかく仕事に集中だ。
にしても、ウキウキした表情をしてるな笑
学校に来たことないみたいだったから、情報としてじゃなく、こうやって実際に学校に来て、文化祭の雰囲気を味わうことができてるのが、嬉しいんだろう。
守里: どうぞ。
椎名: ありがとう。様になってるよ笑
守里: それは良かった笑。こちらがメニュー表となります。ご注文がお決まりになりましたら、このボタンを押してお呼びください。
椎名: うん。
守里: では、失礼します。
食い入るようにメニュー表を見ている椎名を、温かく見守りながら、守里は待機場所に立つ。
日向子: ねぇ、あの女の子、知り合いなの?
さっきの守里の言葉を覚えていたのか、ものすごく小さな声で尋ねる日向子。
守里: うん。友達。
日向子: へぇ~私の知らないとこでも、友達作れるようになったんだね、守里は!
守里: 笑、そうだよ。
日向子: いや~守里の成長が嬉しい!
守里: 僕の親かっての笑
ワン!!
守里: ほら、行っておいで。
日向子: うん!
ピロロロ
守里: 愛理ちゃん…だな。
会話を中断して、日向子は入口へ、守里は椎名の元へ行く。
守里: ご注文がお決まりになりましたか?お嬢様。
椎名: うん。この、パンケーキを全種類お願い。
守里: ……笑、かしこまりました。少々お時間いただくかもしれませんが、よろしいでしょうか?
椎名: うん…いや、守里が話し相手になってくれるんなら良いよ!
守里: では、注文を通してきますので、少しお待ちください。
椎名: はーい。
専用の紙に、自分の名前と、メニューに載っているパンケーキの名前を全部書き、キッチンの方に繋がる穴へ落とす。
そして、すぐに椎名が待つテーブルへ。
守里: お待たせしました。お嬢様。
椎名: ねぇ、それってさ、ずっと続けてないとダメなの?
守里: …いつもの感じに戻れってことでしょ?まぁ、ダメなことはないと思うけど…
椎名: なら、よろしく。
守里: 分かった。で、なんで来たの?
椎名: さっきも言ったじゃん笑。お客さんとして来たの。
守里: うん、それは分かってるんだけどさ…
椎名: 守里が10月21日の14時から、伊衛能高校の2年1組教室で、執事になるって聞いたから見に来たんだ。ついでに食事もって思って。
守里: え、いや…これはさすがと言うべきか…
椎名: 笑、私の腕を舐めないで。
守里: お見逸れしました笑
椎名: にしても、似合ってるね。執事姿。
守里: そう?
椎名: 3日ぐらい訓練したら、実際の現場に潜り込んでも、問題なさそう。
守里: 実際の現場ってどっち?
椎名: どっち?執事がいる場所って言ったら、お偉いさんの側以外に無くない?
守里: あ、そっか。愛理ちゃんは知らないのか。
椎名: え?私の知らないこと?
守里: 執事のコスプレをして、主に女性のお客さんをもてなす執事喫茶っていうのがあるんだ。
椎名: へぇ~興味がなかったから、知らなかったよ。
守里: 笑、愛理ちゃんなら、実際の現場にすぐ潜れるんでしょ?
椎名: う~ん、女性執事なら問題ないけど、男性執事としてだったら、ちょっと時間欲しいかな。
守里: あ、うん、そうなんだ…
なんか思ってた答えと違った。
いや、僕の質問の仕方が悪かったのか。
僕はメイドとして、ってことだったんだけど、まさか女性執事の方で答えるとは…
しかも、男性執事になるのも、ちょっと時間があればってどういうこと?
守里: やっぱ、すごいね。
椎名: そんなことないよ~笑
褒められて、満更でもない顔をする椎名。
守里: 笑、ってか仕事は休み?
周りから違和感を覚えられないよう、笑顔を作りながら、椎名の仕事の話に切り込む。
椎名: う~ん、どちらかって言うと、仕事の帰りかな。
守里: どういうこと?
椎名: 上に頼まれて、この辺のアイツらの動きを探ってたの。あまりに大人しいからって。
守里: うん。
上はお義母さんで、アイツらはアンチのことだろうな。
椎名: で、それの期限が今日の朝までだったから、向こうに帰る前に、ここに寄ってこうって感じ。
守里: すぐにあっちに帰っちゃうんだ。
椎名: まだ仕事が残ってるからね~
守里: …こっちでの仕事の結果は?
椎名: 嵐の前の静けさ…って思った。
守里: 嵐……つまり…
椎名: そういうこと。だから気をつけて。
守里: 分かった。
椎名: ところで、パンケーキまだかな!
守里: 笑、もうちょっとだと思うよ。お腹空いてる?
椎名: うん!
守里: ここ出たら、文化祭を見て回るの?
椎名: もちろん!だって、やっと学校に入れたんだもん。この機会を逃す手はない!
守里: 笑、楽しんで。
椎名: じゃあさ、守里のおすすめのところとかある?
守里: おすすめか~
と、守里と椎名が楽しげに会話を続けている教室の外では…
東野: あの女の人と守里君。随分と仲良さげじゃん。春時はあの女の人が、誰なのか知ってるの?
春時: いや……見たことない。
東野: マジ?春時が知らないとなると、飛香と美月も知らなさそうだね。
春時: もしかしたら、俺らと知り合う前の友達かも。日向子とか祐希とか陽芽叶みたいな。
東野: …これは、新たな刺客の登場か…
春時: いや、そんなことは…
東野: でも見てみてよ。あの楽しそうな空間。あまりに邪魔しちゃいけないような空気が流れてるから、他のお客さんの守里君の指名が止まってるんだよ笑
春時: 笑、都合良すぎだろ。
東野: まぁ、仕方ないんじゃない?守里君なんだし。
春時: ほんと、美月が見回りで良かった。
東野: 理由は分かるけど、なんで美月だけ?
春時: だって、飛香と陽芽叶は2組で仕事してるし、紗耶も珠美もそれぞれ忙しいからさ。
東野: 後輩ちゃんはまだしも、飛香と陽芽叶はトイレ休憩とでも言えば、こっち来れるじゃん。
春時: それを澪奈が見逃すのか?笑
東野: う~ん……場合による。
春時: どういうこと笑
2人が、守里と椎名のことで、会話を弾ませていたのだった。
川嶋: 守里のことだから間違ってはないと思うんだけど、お一人様でパンケーキ10枚って、ほんと?
守里: あ、うん。大食いだそうで。
川嶋: そう。重たいけど、1人で持ってける?
守里: 笑、任せといて。
川嶋: お願い。
料理担当の面々に驚かれながらも、守里は椎名が注文したパンケーキ全てを持って、キッチンを出て行く。
椎名: あ~良い匂い!
守里: お待たせいたしました。ご注文のパンケーキ全種類でございます。
椎名: ありがとう!って元に戻っちゃったか笑
守里: 私は執事なので笑
椎名: そう笑。それで、情報によると、お願いすれば一口食べさせてもらえるんだよね?
守里: はい、お嬢様がお望みなら。
椎名: 笑、じゃ、よろしく。
守里: では、どのパンケーキがよろしいでしょうか。
椎名: チョコレートパンケーキで。
守里: かしこまりました。失礼します。
椎名: あ~
守里: 笑、どうぞ。
ナイフで切り分けたパンケーキをフォークで、椎名の口に運ぶ。
椎名: あむ…モグモグ…美味しい!!
守里: それは良かった。それでは、ごゆっくりお楽しみください。
椎名: え~話そうよ。
守里: お嬢様、我儘はいけませんよ。私にも仕事が…
ピロロロ
守里: ほら笑
椎名: チェッ
守里: ただ、お嬢様には、文化祭で使えるクーポン券をかけたゲームに挑戦することができますので、良きタイミングで、ボタンを押してください。
椎名: じゃあ、半分ぐらい食べたら呼ぶね!
守里: かしこまりました笑。失礼します。
椎名: うん!パクッ…モグモグ…
パンケーキを美味しそうに食べ始めた椎名に、綺麗なお辞儀をして、守里は次のお客さんを迎えるために、入口へ向かうのだった。
to be continued
ガラガラ
璃勇: お、守里。上出来じゃん笑
守里: これで大丈夫そ?
璃勇: バッチリ。
守里: よし笑。じゃあ、先に行くね。
璃勇: うん、頑張ろう。
ガラガラ
守里: ふぅ…
息を整え、気持ちを入れ替えた守里は、自身が作り上げ、頭と体に叩き込んだ執事のイメージを身に纏う。
そして、教室に向かって歩き出す。
「え、あの人カッコよすぎじゃない?」
「また執事の森崎君が見れた!」
「例の喫茶店の執事なの?」
「ついて行こうかな…」
東野: あ、来た。
守里: 入るね。
東野: うん。もうちょっと休まなくていい?
守里: 大丈夫。このぐらいなら、バイトで経験済み笑
東野: そう笑。じゃあ、うちの執事のエースに、もっと売上を伸ばしてもらおうかな。
守里: 笑、そんなプレッシャーかけないでよ。
東野: さ、早く行きな。そうじゃないと、私が刺されそうだし。
守里: え?
教室の前で守里と仲良さげに話していた東野は、守里の後ろに、それとなくついてきていた女性達と、近くにいた女性達から注目を浴びていた。
東野: 笑、任せたよ、従業員。(全く…そういう視線は、私じゃなくて、飛香や美月に向けろっての笑)
守里: あ、うん。プロデューサー笑
そう言って、守里は1組の教室に入り、受付にいる執事とアイコンタクトを取った後、待機場所に着く。
日向子: あ…ま…ブフッ
守里: シッ…
ピロロロ
守里: あ。
幼なじみを見つけた瞬間に叫ぼうとした日向子の口を、瞬時に手で塞いだ守里は、すぐに呼ばれ、日向子に静かにしろとジェスチャーをしつつ、入口に向かう。
するとそこには…
守里: ……え?
椎名: やっほ~
防衛団情報部特級団員の椎名愛理がいた。
守里: は?いや、なんでここに…
あまりの衝撃的な出来事に、文化祭本番における執事としての初仕事なのにも関わらず、完全に素に戻ってしまう。
椎名: そりゃもちろん、お客さんだから笑
守里: うん、そういうことじゃなくて…
執事(受付): 守里、一応さ…
守里: あ、ごめん……お帰りなさいませ、お嬢様。
受付の執事の声掛けで、どうにか心の中の執事を復活させる。
椎名: わぁ!良いじゃん!カッコいいし!
守里: 笑、お荷物をお持ちいたします。
椎名: どうも笑
執事(受付): 3番です。
守里: かしこまりました。では、こちらへ。
椎名: はーい!
なんでこんなところに、愛理ちゃんが来てるのかは分からないけど、今はとにかく仕事に集中だ。
にしても、ウキウキした表情をしてるな笑
学校に来たことないみたいだったから、情報としてじゃなく、こうやって実際に学校に来て、文化祭の雰囲気を味わうことができてるのが、嬉しいんだろう。
守里: どうぞ。
椎名: ありがとう。様になってるよ笑
守里: それは良かった笑。こちらがメニュー表となります。ご注文がお決まりになりましたら、このボタンを押してお呼びください。
椎名: うん。
守里: では、失礼します。
食い入るようにメニュー表を見ている椎名を、温かく見守りながら、守里は待機場所に立つ。
日向子: ねぇ、あの女の子、知り合いなの?
さっきの守里の言葉を覚えていたのか、ものすごく小さな声で尋ねる日向子。
守里: うん。友達。
日向子: へぇ~私の知らないとこでも、友達作れるようになったんだね、守里は!
守里: 笑、そうだよ。
日向子: いや~守里の成長が嬉しい!
守里: 僕の親かっての笑
ワン!!
守里: ほら、行っておいで。
日向子: うん!
ピロロロ
守里: 愛理ちゃん…だな。
会話を中断して、日向子は入口へ、守里は椎名の元へ行く。
守里: ご注文がお決まりになりましたか?お嬢様。
椎名: うん。この、パンケーキを全種類お願い。
守里: ……笑、かしこまりました。少々お時間いただくかもしれませんが、よろしいでしょうか?
椎名: うん…いや、守里が話し相手になってくれるんなら良いよ!
守里: では、注文を通してきますので、少しお待ちください。
椎名: はーい。
専用の紙に、自分の名前と、メニューに載っているパンケーキの名前を全部書き、キッチンの方に繋がる穴へ落とす。
そして、すぐに椎名が待つテーブルへ。
守里: お待たせしました。お嬢様。
椎名: ねぇ、それってさ、ずっと続けてないとダメなの?
守里: …いつもの感じに戻れってことでしょ?まぁ、ダメなことはないと思うけど…
椎名: なら、よろしく。
守里: 分かった。で、なんで来たの?
椎名: さっきも言ったじゃん笑。お客さんとして来たの。
守里: うん、それは分かってるんだけどさ…
椎名: 守里が10月21日の14時から、伊衛能高校の2年1組教室で、執事になるって聞いたから見に来たんだ。ついでに食事もって思って。
守里: え、いや…これはさすがと言うべきか…
椎名: 笑、私の腕を舐めないで。
守里: お見逸れしました笑
椎名: にしても、似合ってるね。執事姿。
守里: そう?
椎名: 3日ぐらい訓練したら、実際の現場に潜り込んでも、問題なさそう。
守里: 実際の現場ってどっち?
椎名: どっち?執事がいる場所って言ったら、お偉いさんの側以外に無くない?
守里: あ、そっか。愛理ちゃんは知らないのか。
椎名: え?私の知らないこと?
守里: 執事のコスプレをして、主に女性のお客さんをもてなす執事喫茶っていうのがあるんだ。
椎名: へぇ~興味がなかったから、知らなかったよ。
守里: 笑、愛理ちゃんなら、実際の現場にすぐ潜れるんでしょ?
椎名: う~ん、女性執事なら問題ないけど、男性執事としてだったら、ちょっと時間欲しいかな。
守里: あ、うん、そうなんだ…
なんか思ってた答えと違った。
いや、僕の質問の仕方が悪かったのか。
僕はメイドとして、ってことだったんだけど、まさか女性執事の方で答えるとは…
しかも、男性執事になるのも、ちょっと時間があればってどういうこと?
守里: やっぱ、すごいね。
椎名: そんなことないよ~笑
褒められて、満更でもない顔をする椎名。
守里: 笑、ってか仕事は休み?
周りから違和感を覚えられないよう、笑顔を作りながら、椎名の仕事の話に切り込む。
椎名: う~ん、どちらかって言うと、仕事の帰りかな。
守里: どういうこと?
椎名: 上に頼まれて、この辺のアイツらの動きを探ってたの。あまりに大人しいからって。
守里: うん。
上はお義母さんで、アイツらはアンチのことだろうな。
椎名: で、それの期限が今日の朝までだったから、向こうに帰る前に、ここに寄ってこうって感じ。
守里: すぐにあっちに帰っちゃうんだ。
椎名: まだ仕事が残ってるからね~
守里: …こっちでの仕事の結果は?
椎名: 嵐の前の静けさ…って思った。
守里: 嵐……つまり…
椎名: そういうこと。だから気をつけて。
守里: 分かった。
椎名: ところで、パンケーキまだかな!
守里: 笑、もうちょっとだと思うよ。お腹空いてる?
椎名: うん!
守里: ここ出たら、文化祭を見て回るの?
椎名: もちろん!だって、やっと学校に入れたんだもん。この機会を逃す手はない!
守里: 笑、楽しんで。
椎名: じゃあさ、守里のおすすめのところとかある?
守里: おすすめか~
と、守里と椎名が楽しげに会話を続けている教室の外では…
東野: あの女の人と守里君。随分と仲良さげじゃん。春時はあの女の人が、誰なのか知ってるの?
春時: いや……見たことない。
東野: マジ?春時が知らないとなると、飛香と美月も知らなさそうだね。
春時: もしかしたら、俺らと知り合う前の友達かも。日向子とか祐希とか陽芽叶みたいな。
東野: …これは、新たな刺客の登場か…
春時: いや、そんなことは…
東野: でも見てみてよ。あの楽しそうな空間。あまりに邪魔しちゃいけないような空気が流れてるから、他のお客さんの守里君の指名が止まってるんだよ笑
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東野: まぁ、仕方ないんじゃない?守里君なんだし。
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春時: それを澪奈が見逃すのか?笑
東野: う~ん……場合による。
春時: どういうこと笑
2人が、守里と椎名のことで、会話を弾ませていたのだった。
川嶋: 守里のことだから間違ってはないと思うんだけど、お一人様でパンケーキ10枚って、ほんと?
守里: あ、うん。大食いだそうで。
川嶋: そう。重たいけど、1人で持ってける?
守里: 笑、任せといて。
川嶋: お願い。
料理担当の面々に驚かれながらも、守里は椎名が注文したパンケーキ全てを持って、キッチンを出て行く。
椎名: あ~良い匂い!
守里: お待たせいたしました。ご注文のパンケーキ全種類でございます。
椎名: ありがとう!って元に戻っちゃったか笑
守里: 私は執事なので笑
椎名: そう笑。それで、情報によると、お願いすれば一口食べさせてもらえるんだよね?
守里: はい、お嬢様がお望みなら。
椎名: 笑、じゃ、よろしく。
守里: では、どのパンケーキがよろしいでしょうか。
椎名: チョコレートパンケーキで。
守里: かしこまりました。失礼します。
椎名: あ~
守里: 笑、どうぞ。
ナイフで切り分けたパンケーキをフォークで、椎名の口に運ぶ。
椎名: あむ…モグモグ…美味しい!!
守里: それは良かった。それでは、ごゆっくりお楽しみください。
椎名: え~話そうよ。
守里: お嬢様、我儘はいけませんよ。私にも仕事が…
ピロロロ
守里: ほら笑
椎名: チェッ
守里: ただ、お嬢様には、文化祭で使えるクーポン券をかけたゲームに挑戦することができますので、良きタイミングで、ボタンを押してください。
椎名: じゃあ、半分ぐらい食べたら呼ぶね!
守里: かしこまりました笑。失礼します。
椎名: うん!パクッ…モグモグ…
パンケーキを美味しそうに食べ始めた椎名に、綺麗なお辞儀をして、守里は次のお客さんを迎えるために、入口へ向かうのだった。
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