上 下
233 / 336
第7章 文化祭編

第233話「大事なスタートダッシュ」

しおりを挟む
正門受付前


文化祭が始まり、受付からどんどん人が流れ込んで来る。

平日ということもあり、学生はほとんどおらず、地域の人々や、学校の卒業生、そして生徒の家族らしき人などが多かった。



「3年2組、粉物ランドです!!!その名の通り、お好み焼きやたこ焼き、もんじゃ焼きから、パンケーキまで、たくさんの粉物を提供してます!!!お昼にピッタリなので、外で遊んだ後は、是非中央の校舎3階まで来てください!!!」



「3年1組のガチ遊園地です!!コーヒーカップやバイキング、そしてスリル満点のジェットコースターもあります!!第1グラウンドでやってます!!」



「3年3組は、読書喫茶です。計30000冊の本を揃えています!!本と共に、落ち着いた空間でゆったりとした時間を過ごしませんか?図書室でお待ちしてます!!」



正門前では、宣伝をする生徒の声が飛び交う中、3年生の声がよく響いており、持っている看板も一段と大きく、お客さん達の注目を特に集めていた。



美月: やっぱ、3年生凄い…


飛香: 初日のこの時間が、どれだけ大切か分かってるんだよ。


美月: よし、私達も負けないように頑張ろう!!


飛香: うん…(仕事仕事仕事仕事………よし。)


美月: 2年1組、執事&メイド喫茶です!!!


飛香: お好きな執事やメイドを担当に選び、美味しい料理を食べ、至福の時間を過ごせます!



大声で人混みに向かって呼びかける。



祐希: う~ん、前が見えない…


執事(宣伝): 神田さん、これ乗って。



用意していた踏み台を、祐希の前へ。



祐希: わっ、ありがとう!これで祐希も……スゥー…2年1組!!!!執事&メイド喫茶です!!!!!



更に、日向子並の大声が響く。



美月: 中央の校舎の2階です!!是非いらしてください!!


飛香: 待ってます!!!


祐希: 来てーー!!!!!



そう3人が一生懸命呼びかけていると…



「見て見て、あの子達、めちゃくちゃ可愛いんだけど。」


「え、やっば……中央の校舎の2階か…」


「私達もメイド喫茶やったけど、アレは…レベルが違い過ぎる笑」


「ねぇ、行こうよ!」


「メイドがあれってことは、執事も期待できる…」



注目が、2年1組の宣伝にも集まる。



メイド(宣伝): 行こう。


執事(宣伝): うん。



それを確認した3人以外の宣伝担当は、興味を持った様子を見せた人々に、チラシを配り始める。



メイド(宣伝): 2年1組の執事&メイド喫茶です、お願いします。


女性: これって、指名制なんですか?


メイド(宣伝): はい。入店の際に写真を見て、お好きな執事かメイドを1人、選べますよ。


執事(宣伝): 執事&メイド喫茶です。


男性: あ、あの、あの子達みたいな子もいます?


執事(宣伝): はい。色んなタイプのメイドがいます。それと、あの3人は、今日は12時から14時まで、お店にいます。



「12時…お昼時からか…」


「絶対行く!ねぇ、私にもそのチラシを!」


「おっふ…」



美月: 執事&メイド喫茶です!!


女性: あ、あの、握手してもらえませんか?



1人の女性が一歩を踏み出し、呼びかけをしている美月の前へ。



美月: えっと…チラッ


飛香: …ブンブン



首を横に振る飛香。



美月: ごめんなさい。ここだとちょっとアレですし…


女性: す、すみません…



明らかに落ち込んだ顔をする女性。



美月: でも、お店だったらできるので、お姉さんを待ってますね♡


女性: は、はぁ///……行きます!!絶対行きます!!では!!



慌てた様子で、その場から去って行く。



美月: これでOK?


飛香: うん。上出来。



「おいおい、見たか?あの対応…」


「あぁ…あれは、プロだったな。」


「うっわ、俺も目の前で受けてぇ!」



飛香: お願いしまーす。(人が多い…)



「あっちの小顔の子の冷たい目……ゾクゾクするんだが…」


「隣の子とは、また別タイプなんだろ。」


「S…か?」



祐希: 皆さん、是非来てくださーい!!!!



「クッ…なんだあの、キラキラとした純粋な目は…俺みたいなのが近くにいて良いのか…」


「か、可愛い…他2人と違う、小動物的可愛さだ…」


「あの子が、一生懸命仕事をしている所を想像するだけで……グフッ…心に刺さる…」



と、先程の美月の対応をきっかけに、更に3人への注目が高まるのだった。




一方、同じ頃、教室では…



東野: みんな、そろそろ校舎にお客さんが入ってくるから、気合い入れて!!



「はい!!」



守里: ふぅ…


料理女子1: 緊張してるの?


守里: ま、少しね。今は集中してる。


料理女子1: 笑、最初からそんなに人は来ないだろうから、気楽にいけば良いんじゃない?力入れ過ぎると、最後まで持たなくなっちゃうよ。守里君は今日1日仕事なんだし。


料理女子2: 確かにそうだけど、最初からそんなに人が来ないってことはないと思う。


料理女子1: え?


料理女子2: さっき、外の宣伝にいく子達に、美月と飛香と祐希がついて行ってた。


料理女子1: ほんと?


料理女子2: うん。ってことはさ、宣伝効果は抜群だよ。


料理女子1: …ゴクン……だね。


料理女子2: 森崎君は、3人の宣伝効果が分かってたから、そうやって集中してるんでしょ?初っ端から、たくさんお客さんが来る可能性を考えて。


守里: う~ん、考えるっていうか、信じてかな。3人だったら、絶対に上手くやってくれるって信じてるし、何より、こんな良い店なのに、お客さんが来ないわけないじゃん笑


料理女子2: 笑、さすが。


料理女子1: だよね…そうだよね!私も集中して、気合い入れないと!!みんな、頑張るぞ!!



「おう!」


「頑張ろう!!」



ガヤガヤ



守里: あ、お客さんが来たみたい。みんな準備して!


料理女子2: う、うん…(耳良すぎでしょ。私には全然分かんないんだけど……まぁ、森崎君が言うんなら…)



「お帰りなさいませ、ご主人様。」



壁の向こうからメイドの声が聞こえる。



料理女子2: …すご。


料理女子1: この声は、陽芽叶かな?


守里: さ、頑張るよ!



こうして、執事&メイド喫茶が動き出した。


◇◇◇


1組教室



春時: チョコレートパフェでございます。


女性: ありがとうございます。(写真でもカッコよかったけど…直で見ると、更に……って、そういえば…)


春時: …それでは、ごゆっくり…


女性: あ、あの!


春時: どうかされましたか?お嬢様。


女性: 頼んだら、あ~んしてもらえるって、本当ですか?


春時: はい。お嬢様がお望みであれば。


女性: じゃあ、お願いします!


春時: 笑、それでは失礼します。



スプーンを取り、パフェを一口すくう。



春時: お嬢様、お口を。


女性: は、はい///(恥ずかしい…)


春時: どうぞ。


女性: パクッ…


春時: どうですか?


女性: とても、美味しいです///


春時: それは良かったです笑ニコッ…では、ごゆっくりお過ごしください、お嬢様。


女性: …///(またなんか頼も。)




執事(受付): では、担当の執事かメイドを1人、お選びください。


男子生徒1: おい、雅史にしようぜ笑


男子生徒2: いや、このチャンスを無駄にするとか、お前はバカか?


男子生徒3: そうだぞ…こ、ここは…ゴクン……みんなの太陽にするべきだ。


男子生徒1: ……分かってるよ、そんなこと……だが…恥ずかしいじゃないか!


男子生徒2: お前……みんなで一緒に行けば、大丈夫だ。


男子生徒1: …あぁ。


男子生徒3: じゃ、じゃあ、南雲日向子さんでお願いします。


執事(受付): かしこまりました。少々お待ちください。


男子生徒1: ふぅ…


男子生徒2: そうだ、心を落ち着けろ。興奮し過ぎると、せっかくの時間を存分に楽しめないから。


男子生徒3: …あ~緊張してきた!!


男子生徒2: お前も落ち着けって……ゴクン


男子生徒1: だって、みんなの太陽なんだぞ。特に、俺ら男子バスケ部からしたら、南雲さんなんて光り輝くアイドル…


日向子: お帰りなさいませ!!ご主人様方!!


男子生徒1: っ!!!!!は、はい!


男子生徒2: か、かわ、かわ…


男子生徒3: やっばボソッ…


執事(受付): D席にお願いします。(こりゃダメだな笑)


日向子: はい!では、こっちへどうぞ!!


男子生徒1: ひゃい!!


男子生徒2: …


男子生徒3: ほ、ほら、行くぞ……って、お前が固まってどうすんだ!


日向子: ん?大丈夫ですか?ご主人様。



1人その場で固まってしまった男子生徒2を見て、日向子は心配し、至近距離から顔を覗き込む。



男子生徒2: /////////……プシュー


日向子: え?


男子生徒3: あ、えっと、その…コイツは俺らで支えるんで、席に行きません?


男子生徒1: そ、そうです!お願いします!


日向子: 了解です!!では、こっちへどうぞ!ご主人様方!!



完全にやられた男子生徒2を見た2人は、自然と冷静になり、倒れかけた男子生徒2をすぐさま支え、日向子の後について行き、席に座る。



日向子: こちらがメニューになります!ご注文がお決まりになったら、このボタンを押してお呼びください!!それでは、失礼します!!



お辞儀をして、日向子は別のお客さんさんの所へ。



男子生徒1: おい、大丈夫かよ。


男子生徒2: あ、あぁ…


男子生徒1: あれはヤバかったろ。俺だったら、絶対そのまま天国に行ってた。


男子生徒2: うん。俺も、白い羽根が生えて、頭の上に輪っかがある、めちゃくちゃ可愛い南雲さんが見えたよ…


男子生徒1: そうか…


男子生徒3: …よし、注文を決めよう。


男子生徒2: そうだな…って、確か1000円以上頼んだら、ゲームができるんだよな?担当のメイドさんと。


男子生徒1: ってことは、南雲さんとゲームを…


男子生徒3: 頼むぞ。たくさん。3000円分。


男子生徒2: おう。




青春ど真ん中な男達の奮闘は続く。




to be continued



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた

凪ルナ
恋愛
 3歳の時、幼稚園で机に頭をぶつけて前世の記憶を思い出した私は、それと同時に幼なじみの心配そうな顔を見て、幼なじみは攻略対象者(しかも前世の推し)でここが乙女ゲームの世界(私はモブだ)だということに気づく。  そして、私の幼なじみ(推し)と乙女ゲームで幼なじみ設定だったこれまた推し(サブキャラ)と出会う。彼らは腐女子にはたまらない二人で、もう二人がくっつけばいいんじゃないかな!?と思うような二人だった。かく言う私も腐女子じゃないけどそう思った。  乙女ゲームに巻き込まれたくない。私はひっそりと傍観していたいんだ!  しかし、容赦なく私を乙女ゲームに巻き込もうとする幼なじみの推し達。  「え?なんで私に構おうとするかな!?頼むからヒロインとイチャイチャして!それか、腐女子サービスで二人でイチャイチャしてよ!だから、私に構わないでくださいー!」  これは、そんな私と私の推し達の物語である。 ───── 小説家になろう様、ノベリズム様にも同作品名で投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

処理中です...