ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第7章 文化祭編

第230話「パーフェクト執事」

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執事として働く順番となった守里は、服を着替えるために、更衣室にやって来た。 


ガラガラ



守里: えっと…


璃勇: そこに守里の分が掛かってるよ。


守里: ありがとう。



更衣室に設置されたハンガーラックに掛かっている、自分用の執事服を手に取る。



璃勇: ボタンと靴、あと手袋は、自分のロッカーの中に入ってる。


守里: 笑、いつの間にこんなものを。


璃勇: 守里が文化委員の手伝いに行ってる間にだよ笑


守里: 執事服は色々とやったけど、靴はどうやって用意したの?


璃勇: あぁ、守里の革靴のサイズを測ってた。


守里: なるほど笑


璃勇: それと、ロッカーの中にワックスが入ってる場合は、髪をセットしろってことらしい笑


守里: え?……入ってんじゃん。


璃勇: 笑、できる?


守里: う~ん、やったことないから、多分できない。


璃勇: じゃあ、僕がやってあげるよ。着替え終わったら、こっちに来て。


守里: ほんと、ありがとう。


璃勇: いえいえ笑




そして、守里は執事服に着替え終わり、璃勇に髪もセットしてもらって…



璃勇: おぉ笑、すごいね。


守里: 何が?


璃勇: やっぱ、元が良いから、出来上がりが段違い……ね?みんな。


執事1: おう!カッコ良いぞ守里!


執事2: 笑、なんか自信なくすんだけど。


執事3: こりゃあ、気絶するヤツが出てくるかも笑


執事4: 男でも担当に選びたくなるな笑


守里: いやいや、言い過ぎだって。


璃勇: 笑、自信持って守里。おそらく、男子のエースは守里になるから。


守里: そう?


璃勇: うん。執事の動きはマスターしたんだよね?


守里: それはちゃんと仕込まれたよ。美月に。


璃勇: 笑、なら安心だ。よし、行こう。


守里: うん。


執事1: 俺らも行くか。


執事2: え、守里と璃勇の後ろについて行くの嫌なんだけど…


執事3: あんなこと言ってるけど、璃勇もイケメンだからな笑


執事4: 大丈夫だって。胸張っていこうぜ。逆に、自信なさげだと目立つだろうし。



ガラガラ


更衣室にいた執事達が外に出て、廊下を歩き、教室へ向かう。


その道中では…



「え、誰あれ?カッコよすぎなんですけど…」


「森崎君でしょ…ブフッ…やばっ……」


「璃勇君もカッコいい…」


「クッ…家でも一緒にいれる、美月とあの子が羨ましい…」



守里: なんか目立ってない?


璃勇: そりゃそうだよ笑。執事の集団が歩いてるんだから。


守里: そっか、そうだよね笑



そんな守里が先頭の執事の集団が、とうとう美月達の待つ教室にたどり着く。



東野: おぉ、執事達が到着だね笑


守里: これ、大丈夫そうかな?東野さん。


東野: うん……いや、色んな意味で大丈夫じゃないかも笑


守里: え?


東野: ほら、そこ。



そう言って、東野が手で指した方には…



美月: …



大きな目を見開いている美月と…



飛香: うわぁ…



メイド姿のまま、口をポカーンと開けている飛香と…



陽芽叶: これは笑



再びメイド服に着替え、笑みを浮かべつつ目を輝かせる陽芽叶…


がいた。



陽芽叶: 想像以上の完成度だよ笑


守里: そう?それなら良かったけど…


美月: …


飛香: …


守里: なんで固まってるの?この2人は。


陽芽叶: 笑、ねぇ守里。一回さ、執事っぽく振舞ってみて。


守里: 執事っぽく?


東野: 最初の挨拶で良いんじゃない?笑


守里: 分かった……お帰りなさいませ、お嬢様。ニコッ


美月: ////やば…


飛香: ////しゅ、守里…


東野: 笑(美月も飛香も顔が真っ赤なんだけど。)


陽芽叶: 最高だね笑


守里: 陽芽叶のお墨付きがあるなら安心だ。こんな感じでやってみる。


陽芽叶: うん。一緒に頑張ろう。


女子生徒2: あ、あの、守里君、私にも…



「私も!」


「どうかお願いします!!」



美月達に挨拶をしたのをきっかけに、廊下の女子達が守里の元へ駆け寄って来たが…



守里: え?あ、いや…


東野: はいはいはいはい。後はリハか本番でね。



すぐさま東野が間に入り、その場を治める。



東野: ごめんだけど、守里君は先に教室に入って、収拾がつかなくなるから。


守里: わ、分かった。


璃勇: 笑、お互いに頑張ろう。


守里: うん!


飛香: あ…


美月: 守里~


陽芽叶: 私も行こっと……///(うわぁ…本当にカッコ良すぎ…)



守里は1組の教室に入り、守里がいなくなり顔が赤くなった陽芽叶と、置いていかれた飛香は2組の教室に、美月は1組の方の、既に出来上がっている列の後ろに並ぶ。



守里: 待機場所は…


日向子: あ!守里!


守里: 笑、日向子、早かったな。


日向子: うん!って、守里カッコいいじゃん!!


守里: ありがと。日向子も可愛いよ。


日向子: いぇーい!!


執事1: 笑(相変わらず仲の良い幼なじみだな)


メイド: (この感じで、2人は付き合ってないんだもんね。早く、くっ付けば良いのに……って飛香にも美月にも、最近じゃ陽芽叶や祐希にも、同じことを思ったんだけど笑)


川嶋: 2人とも、頑張ろうね。


守里: うん。志帆もキッチン頑張って。


日向子: 美味しいの頼んだよ!


川嶋: 笑、任せといて。



待機場所の前を通って、川嶋がキッチンに入り…



東野: よし、最後のリハを開始します!!



初日午後の後半のシフトで、リハーサルが再開する。


するとすぐに…



ピロロロ



守里: お、行かないと。


日向子: いきなり守里じゃん笑


守里: 頑張ってくる。



少し緊張を残しながらも、守里はお店の入口へ。



守里: お帰りなさいませ、お嬢様。


女子生徒3: は、はい…


守里: お荷物をお持ちいたします。


女子生徒3: ///ありがとうございます。


執事(受付): 1番へお願いします。(白城さんに相当仕込まれたんだな笑……よし、執事達にはこれをやらせよう。)


守里: かしこまりました。



女子生徒3を一人席に案内し、椅子を引いた後、荷物として預かった文化祭のしおりを、椅子に座ったのを見計らって返す。



守里: では、お嬢様。ご注文がお決まりになりましたら、このボタンを押して、お呼びください。では、失礼します。ニコッ


女子生徒3: ///はひ…(えげつなさ過ぎる……私も守里君に惚れちゃうかも…)



と思った瞬間…



女子生徒3: ビクッ!



どこからか…おそらく壁の向こうの廊下から、強いプレッシャーを感じる。



女子生徒3: (危ない危ない…軽い気持ちで、あんな争奪戦に加わったら、私なんかは無事ではいられない……落ち着け、私。)



結果、ついさっきまでの考えを叩き切り、メニュー表を開いた。


その頃、壁の向こうの廊下では…



美月: …


男子生徒4: …


女子生徒4: …


女子生徒5: …



列に並ぶお客さん役の生徒達、特に美月の前に並ぶ生徒達は、同じことを心に誓っていた。



「(絶対に守里君は選ばない!)」




5分後…



執事(受付): いらっしゃいませ。おひとり様ですか?


美月: はい。


執事(受付): では、担当の執事もしくはメイドをお選びください。(まぁ、聞く必要なんてないけど笑)


美月: 森崎守里でお願いします。


執事(受付): 笑、かしこまりました。少々お待ちください。


美月: はい。


守里: あ…お帰りなさいませ、お嬢様。ニコッ


美月: ///はい。


執事(受付): (表情の変わり様よ笑)


守里: お荷物はございませんか?


美月: …私が荷物です♡


守里: は?…いや、ご冗談はお止めくださいませ、お嬢様。


美月: 笑、ごめんなさい。(さすがに通じなかったか。私を席まで運んでもらいたかったんだけど。)


執事(受付): 4番にお願いします。(これぞ難しい客だな。注意喚起しとこう。)


女子生徒3: (なんという高等テクニック…やっぱり私のは判断間違っていなかった。)


守里: かしこまりました。ご案内いたします。


美月: お願いします。



そして、席に着き…



守里: では、ご注文がお決まりになりましたら、このボタンを押してお呼びくだ…



ピロロロ



守里: え?


美月: 守里の愛情たっぷりのオムライスをお願いします。


守里: はい、かしこまりました。では、少々お待ちください。ニコッ


美月: //はい。




再び5分後…



ピロロロ



あ、キッチンからだ。

時間的に美月のオムライスかな。


モニターを確認した守里は、キッチンへ。



川嶋: 守里、これ3番に。


守里: 分かった。



川嶋からオムライスを受け取り、美月の元へ向かう。



守里: お待たせいたしました。オムライスです。


美月: ありがとうございます。


守里: それでは、ケチャップで文字を書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?


美月: もちろんです。


守里: なんと書けばよろしいでしょうか?


美月: 「大好き美月」でお願いします。


守里: かしこまりました。大・好・き・美・月…


美月: ありがとうございます。


守里: では、ごゆっくり、お食事の時間をお楽しみください。


美月: 笑、待ってください。


守里: どうかされましたか?


美月: 何かメイドさんでいう魔法の言葉的なのを、やってもらえません?


守里: 魔法の言葉的なの…ですか……お嬢様のリクエストはありますか?


美月: じゃあ、一口目を食べさせてください。


守里: 笑、かしこまりました。それでは失礼します。



そう言って、守里はスプーンでオムライスをすくい取り…



守里: お口を開けてください。


美月: はい。あ~


守里: どうぞ。



開いた口の中にスプーンを入れる。



美月: パクッ…モグモグ


守里: 笑、味の方は大丈夫でしょうか。


美月: はい。とても美味しいです。ありがとうございます。


守里: それは良かったです。では、失礼します……おっと…



お辞儀をし、美月の席から離れようと振り返ると、真後ろに東野が腕組みをして、立っていた。



東野: 守里君、美月。


守里: あ、東野さん。


美月: 笑、どうしたの?澪奈。


東野: 今さっきのサービスだけど…


美月: あ~んのこと?笑


守里: ごめん、僕の判断で勝手にやっちゃって。


東野: 笑、別に良いのよ。それに、メイドの方には魔法の言葉があるのに、執事には同じようなものが無いことが、ちょっと引っかかってたから。


美月: ってことは?


東野: それ、採用。ってことで、外の看板にサービスを追記しとくから、お客さんからあ~んを要求されたら、執事は、一口食べさせてあげるように。分かった?!



「はい!」



守里: マジか…僕はいつもの感じでいけたけど、結構キツいんじゃ…


東野: 仕事って思えばいけるって笑。じゃあ、私は2組の方にも知らせて来るから。


美月: はーい。守里、良い感じだから引き続き、頑張って。


守里: 了解笑



初めこそ、守里のカッコ良さに面食らっていたが、段々と、執事の守里を鍛えた指導者としての顔が出てきて、様々な試練を守里に課していく美月であった。




20分後…



東野: はい!終了!!みんな、お疲れ様!!キッチン担当は食材の確認、ホール担当は着替え、衣装担当は、メイド服と執事服の確認。その他はキッチンとホールの清掃をやって!!終わったら1組前の廊下に集合。反省会をするよ!!



という東野の言葉で、リハーサルが終わり、みんなで協力して片付けをした後、守里達は明日からの文化祭本番に向けて、喫茶店を仕上げていくのであった。




to be continued
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