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第7章 文化祭編

第223話「陽芽叶の誕生日 前編」

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木曜日




教室


ガラガラ



守里: あ、おはよう、陽芽叶。


陽芽叶: うん、おはよう…


守里: 笑、そんな不安そうな顔しなくても、分かってるって。


陽芽叶: え?


守里: 誕生日おめでとう、陽芽叶。


陽芽叶: っ!覚えててくれてたんだ。ありがとう、守里!


守里: 忘れるわけないじゃん。それに、日向子もちゃんと覚えてるよ。朝練終わったら、お祝いするって言ってたから。


陽芽叶: そっか~楽しみだな~



と、2人が話しているところに、美月と飛香がモジモジとした感じでやって来る。



美月: ほら、飛香。


飛香: 分かったって…陽芽叶、誕生日おめでとう。


美月: おめでと~


陽芽叶: 2人もありがとう笑


飛香: ごめんね。昨日、守里に聞いたから、プレゼントも何も用意できてないんだ。


陽芽叶: 良いよ笑。言葉だけでも十分嬉しいから。


美月: 私も焦ったんだよ。もう、最初に誕生日は教えといて笑


陽芽叶: ごめん笑


祐希: …zzz……陽芽叶、誕生日…おめでと~…zzz


守里: 笑、祐希も寝言でお祝いしてくれてる。


陽芽叶: ありがと、祐希。


ナデナデ


祐希: ヘヘヘ笑…zzz


飛香: 全く。


美月: まぁ、祐希らしいじゃん笑


守里: あの陽芽叶が、もう17歳なのか。


陽芽叶: なに?守里の記憶の中の私は、3歳とかそこら辺で止まってるわけ?笑


守里: いや、前にお祝いしたのがそのぐらいだったからさ。記憶に残ってるのは、小さい陽芽叶がロウソクの火を消してる姿なんだよ。


陽芽叶: なるほどね~


美月: 小さい陽芽叶、私も見てみたいな。絶対可愛いし。


飛香: 確かに。


陽芽叶: そんなことないって笑……ねぇ守里ボソッ


守里: ん?


陽芽叶: ちょっと来て。


守里: え、良いけど…



陽芽叶は、守里の手を引っ張り、教室の端へ。



美月: 秘密の相談事かな?


飛香: 気になる。


美月: まぁ良いじゃん。今日ぐらい。


飛香: …それもそうだね。よし、料理を考えよう。バイトの先輩に色々とアドバイスを押し付けられたから。


美月: 押し付けられたって笑



誕生日だからしょうがないという心持ちで、美月と飛香は2人に近づかず、文化祭の準備について話し始めた。



守里: で、どうしたの?


陽芽叶: あのさ、今日の放課後、空いてる?


守里: 空いてるって……まぁ、バイトも休みになったし、空いてるよ。だから、クラスの出し物の方を手伝おうかなって思ってる。


陽芽叶: …なら、私の家に来ない?


守里: え、陽芽叶の家に?


陽芽叶: うん。お誕生日会的なのを、お父さんがやりたいって言ってて。


守里: お誕生日会か……笑、うん、行く。


陽芽叶: 笑、ありがと。日向子も今から誘うから、また3人で一緒に。


守里: 笑、了解。楽しみだな~陽芽叶の家。


陽芽叶: そう?あ、お父さんが2人に会いたいって言ってたから、話し相手になってあげて笑


守里: 分かった。僕も久しぶりに話したいし。


陽芽叶: よろしく笑。あと、葵波先輩も麻里先輩も来るよ。


守里: へぇ~そうなんだ。楽しくなりそう。


陽芽叶: だね笑


◇◇◇◇


放課後


裏門前



日向子: よっしゃ、レッツゴー!!!


陽芽叶: テンション高過ぎ笑


日向子: だって、楽しみなんだもん!


陽芽叶: 笑、そっか。


守里: ここで、葵波さん達と合流するんでしょ?


陽芽叶: うん、そうだよ。


守里: ってか、陽芽叶の家って、裏門側にあったんだ。


陽芽叶: 転校の時に、学校に近い方が良いってことで、お父さんが決めたんだ。


守里: へぇ~


日向子: 昔のお家は、めちゃくちゃ大きかったよね?!


陽芽叶: いや、何回も言ってるじゃん笑。そんなことないって。


守里: 笑、ほんとかな?


日向子: 今のお家も大きいはず!


陽芽叶: んもう、今から行けば分かるよ。



と、3人が話していると…



葵波: おーい!


守里: あ、葵波さん。


麻里: 私もいるんだけど笑


守里: 分かってますって笑



先輩の2人が合流した。



日向子: 初めまして!南雲日向子です!!


麻里: 笑、元気だね~私は伊藤麻里。よろしく。


日向子: よろしくお願いします!


陽芽叶: あれ、麻里先輩と日向子は初めましてなの?


麻里: お互いに顔は見てるけど、話したことはないかな。


日向子: はい!


葵波: 日向子、今のうちから、そんなにテンション上げてて、大丈夫なのか?


日向子: え?


葵波: 笑、誕生日会の最後まで元気が持つか?ってこと。


日向子: 問題なし!!


守里: 多分大丈夫ですよ。祐希と違って、日向子の元気エネルギーは、そう簡単に切れないですから。


陽芽叶: だね。なんなら、家には食べ物も用意してあるだろうし。


葵波: そうか笑。2人がそう言うなら大丈夫なんだろうな。


麻里: 笑、早速行こう。


日向子: はい!!


守里: 歩きで行くんですか?


葵波: そりゃそうだろ笑


守里: でも、修学旅行の時は、黒の車に乗って来てましたよね?葵波さんも一緒に。


葵波: あぁ、あれは…


陽芽叶: 私が寝坊しちゃったから、送ってもらったの。


日向子: 陽芽叶ちゃんが寝坊したの?!


陽芽叶: うん笑。前の日に、修学旅行が楽しみ過ぎて寝られなかったの。


日向子: 私と一緒じゃん!!


守里: そっか…


麻里: ちなみに、葵波が一緒に乗って行ったのは、葵波も寝坊したからだよね?


葵波: 笑、恥ずかしながらそうだったんだよ。私の家と陽芽叶の家は近いから、陽芽叶が寝坊して車で行くって言うんで、ちょうど良いと思って、その車に私も乗ったんだ。


守里: なるほど笑


葵波: さ、もう行こうぜ。


麻里: あ、これ以上、話を続けて欲しくなくて、逸らしたな笑


葵波: うっさい笑。ほら、行くよ。


日向子: はーい!!



そうして、5人は歩き出す。



葵波: どうだ?文化祭の準備は進んでんのか?


日向子: もちろん、ばっちしです!


陽芽叶: 笑、日向子はまだクラスの方の手伝いはしてないでしょ。


日向子: 明日するもん!


麻里: 部活動生は、中々厳しいよね笑


日向子: はい!


陽芽叶: まぁ、守里も来てくれないけど笑


守里: だって、それは…チラッ


麻里: 笑、私のせい?


守里: 正直そうですね笑


麻里: いやいや。私は生徒会に依頼を出しただけで、それを了承したのは生徒会なんだから、それはお門違いだよ。


守里: う~ん…一理ある…


葵波: 笑、生徒会に文句を言ってみたら?


守里: でも、了承したのが倉田さんだから、言うに言えないんですよね。倉田さんは、七星さんや櫻宮さんと違って、ちゃんと仕事量を見て任せる人ですし。


葵波: 笑、言えてる。あの生徒会役員の中で、そこんとこが常識的なのは、桃子と謙心だけだろうからな。


麻里: あれ、そこに奏雄は入らないの?笑


守里: あの人はなんというか…


葵波: 桃子以上に、そういう見極めはできるんだろうけど、ま、大丈夫でしょ的なノリで行っちゃうヤツだから、奏雄は。


守里: その通りです。


麻里: そっか笑


陽芽叶: へぇ~聞いた感じだと、生徒会の人達って面白そうだな~


日向子: 私、今度遊びに行こうかな!


守里: 笑、やめてあげて。今は忙しいみたいだから。


日向子: え~


麻里: たまに生徒会室に行くけど、すごいよ、部屋の雰囲気が笑


陽芽叶: どういう感じで?笑


麻里: 血気迫るというか、とにかく仕事をやらなきゃ!みたいな圧迫感があった。


守里: なんかそれ聞くと不安です。特にあの人が、それについて行けてるのかが…


葵波: 真佑だろ?笑


守里: はい。まゆたんは、所謂おバカですし。


日向子: まゆたん?!なんか可愛い!


陽芽叶: 反応するとこ、そこなんだ笑


葵波: ま、日向子と同じ感じだよな、真佑は。


日向子: 顔が似てるの?!


葵波: いや、性格が笑


守里: え、似てますか?


葵波: あぁ。


守里: う~ん……さすがに、日向子はツチノコなんか探してないよね?


日向子: ツチノコ?あんまり興味無いかな。ケルベロスなら、いつも探してるけど。


麻里: 笑


葵波: ほら笑


守里: どうやら、葵波さんが言った通りだったみたいです。


陽芽叶: ほんと、日向子は面白いな~笑


日向子: え?!やった!




こんな感じで、楽しく話しながら、5人は陽芽叶の家に向かって、歩いていくのだった。




to be continued
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