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第7章 文化祭編
第213話「護衛の運命は!」
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9月最終日
防衛団本部
森田 矢口: 申し訳ございませんでした!!
景信: …
防衛団の上層部が集まる会議室で、団長の景信に向けて頭を下げる、守里の護衛の2人。
河野: 護衛でありながら、次期団長がアンチに連れ去られたのにも気づかず、次期団長のご友人に知らされて、ようやく動き出した。
森田: …
河野: もし、次期団長がアンチに殺されでもしたら、どうなっていたことか。
かおり: そういう縁起でもないこと言わないの。結果として、守里君は助かったんだから。
河野: …次期団長も無事で、京都のアンチの拠点も潰し、大阪にいる幹部の情報も得られて、結果としては十二分ですが、過程が問題です。護衛が護衛の役割を果たしていない。
日村: でも、森田達には、関係者以外に護衛がバレてはいけないっていうのもあるんだから、仕方の無いことも…
河野: それで、護衛対象の次期団長が怪我をする、最悪の場合、死んでしまったら元も子もないでしょう。それに、森田達は、護衛の任務が最優先なんですから。
日村: う~む…
河野: 今回の事態は、護衛である森田と矢口の怠慢に原因があると考えます。
森田: はい、その通りで…
椎名: はーい!!
統括達が話している中、かおりの後ろに立っていた椎名が、森田の言葉を遮って手を挙げる。
かおり: ん?どうしたの?愛理ちゃん。
椎名: 発言よろしいでしょうか?!
景信: あぁ。良いよ。
椎名: 森田と矢口の怠慢にも原因はあると思いますが、やはり、護衛の方法、システムにも問題があると思います!
かおり: うん。私もそう思うかな。
河野: …改めて、今の護衛システムを話しなさい。
森田: はい。現在は、坊ちゃん…次期団長を追尾する形での護衛が基本です。追尾と言っても、視界に入れている場合もあれば、携帯のGPSを辿っている場合もありますが。
河野: それで、次期団長の周りに異常があれば、それを防ぐと…
森田: 私達にはアンチを判別する術がありませんから、次期団長に降りかかる危険を、事前に排除することができません。
かおり: それに、周りの人…特に守里君のお友達に正体がバレる訳にもいかないから、動きにくいわよね。
景信: どうだ?河野。
河野: 2人に原因が全くないとは言いませんが、護衛システムに問題がないとも言いません。
景信: 笑、じゃあ、どうする?
河野: 1番の問題は、次期団長の危機に対して、必ず後手に回ってしまうということです。どちらの場合でも、異常が発生してから駆けつけるまでに時間を要し、特にGPSを辿っている場合は、GPSで異常を感じられなかった時、次期団長本人もしくは、他の誰かからの知らせがなければ、動くことさえできません。
かおり: 今回が、まさにそうね。
河野: かつ、森田が先程言ったように、アンチかどうかの判別をする術がありませんから、後手に回るのは仕方の無いこと。
日村: あれ?それって、どうしようもないってこと?
河野: いえ。後手に回るのは仕方の無いことですが、異常が起こってから対処に入るまでの時間を短くできれば、次期団長が被害を受ける前に、問題を解決できるでしょう。
かおり: 時間を短く…守里君のすぐ近くに護衛がいれば可能だけど……それって、周りに怪しまれないまま、護衛するのが難しくない?
椎名: 私ならできます!
かおり: だけど、愛理ちゃんは戦えないじゃない。
椎名: ぶ~
景信: 特に、おじさんには厳しいよな。学生の近くとなると。
日村: まぁ、護衛ができるヤツは、みんなある程度、歳食ってるから、森田と矢口以外を護衛につけたとしても無理でしょ。
河野: はい。ただ、1人だけいるでしょう。森田に戦闘能力は劣るものの、護衛として、他の団員が来るまでの時間稼ぎができるだけの十分な戦闘能力を持ち、かつ次期団長の近く、なんなら隣にいても大丈夫な人が。
景信: っ!お前、それは…
河野: もうそろそろ良いんじゃないですか?あの子も今年までですし、次期団長も防衛団のことを知ってから、半年が経つんですから。
景信: …
日村: つまり、守里君に正体を明かして、護衛として近くにいさせると?
河野: いえ。自ら明かすようなことは、させなくて良いです。これまでは、正体を隠すことと、次期団長を守ることでは、正体を隠すことを優先させてきたのを、これからは、次期団長を守ることを優先させます。
かおり: なるほどね……もし、そんな選択を迫られるような時が来なければ、これまで通りの関係…か。
河野: はい。
日村: …俺は、そんな時が来ないことを願うよ。
景信: …分かった、それでいこう。アイツらに連絡しとけ。
かおり: 了解。
景信: あと、森田、矢口。
森田 矢口: はい。
景信: お前らは…
森田: (ありがとうございました、坊ちゃん。)
矢口: (坊ちゃんの恋の行く末を見れなくて残念っす…)
景信: 守里の護衛続行だ。これまで通りの護衛の仕方で、守里を守れ。
森田: え?は、はい!
矢口: わ、分かりました!
日村: 最終的に、護衛が1人増えただけだね笑
河野: アンチの活動も活発化しているんだ。気張っとけよ。
森田: もちろんです!
矢口: 頑張るっす!
椎名: うんうん。
かおり: あら、愛理ちゃん、嬉しそうね。
椎名: だって、守里が願った通りになったんですから。
かおり: そっか笑。というか、ちゃんとお友達になれたんだ。
椎名: 唯一の友達です!!
景信: おぉ笑。守里のこと、よろしくな。
椎名: はい!
日村: これじゃあ、実質4人じゃないか?笑
河野: ですね笑
こうして、森田と矢口の護衛続行が決まり、新たな護衛が更につくこととなったのだった。
10分後…
景信: よし、会議を再開しよう。
森田と矢口、そして他数人が会議室から出て行き、団長と各部の統括、特級団員2名ずつが残り、正真正銘、防衛団の上層部だけとなったところで、再び会議が開始された。
景信: まずは…大阪の方はどうなった?
河野: はい。京都の拠点で情報を得た後すぐに、こちらから大阪に移動させていた戦闘部の特級団員2名を中心とした部隊を、幹部がいるという拠点に向かわせましたが、既に、もぬけの殻でした。
景信: 情報を吐き出させていた上位構成員を殺した、紫雲和麒…ソイツが連絡したんだろう。
河野: おそらく。
日村: 今、京都の病院から伊衛能病院に移った和地と、大阪に向かった酒巻の報告によると、紫雲は和地や酒巻と、戦闘能力においては同等。
景信: 今回仕留められなかったのが痛いな。
日村: アイツらは、上位構成員との連戦だったんだから、勘弁してやって。
景信: あぁ。でも、その紫雲の上…幹部はやっぱり、日村さんが相手しないとじゃない?笑
日村: 笑、覚悟決めとかないとだね。
河野: 頼りにしてますよ。
日村: うちの団員含め、俺も上手いこと使ってね。
河野: 了解です。
景信: 笑、それで、他に引き出せた情報は?
かおり: さっきも話に上がった大阪の拠点と、大阪にいる幹部の名前、ソイツが率いるグループの目的。あと、愛知にもアンチの拠点があることが分かった。
景信: ほう…愛知にも…
かおり: 京都にいた上位構成員は、愛知でアンチに入り、上位まで昇格した後、大阪の竹川組に移り、京都でアンチの拠点を作り勢力拡大することを命じられていたみたいなの。
日村: 三大都市全てにアンチの拠点が…
河野: やはり、アンチの勢力規模が想定以上です。
景信: だな。うちの戦力じゃ、正面戦争してもまず勝てないだろう。
かおり: どうするの?
景信: そりゃもちろん、情報を集め、作戦を立て、各個撃破を狙う。
日村: それしかないか。
河野: では、これからは各地にあるアンチの拠点を潰すことに、重きを置きましょう。アンチの戦力が一気に、こちらへ流れ込んでくる前に、各地の拠点を潰し、戦力をできる限り減らします。
景信: 分かった。じゃあ、大阪の竹川の調査は続行、そして愛知にあるという拠点の調査を開始。それと、伊衛能から近い地域にアンチの拠点がないかの調査も、並行して行おう。
かおり: 作戦部と協力して行います。
河野: はい。
日村: うちは、部隊編成をし直し、戦力の見直しと強化をする。
景信: 頼んだ。なら最後に、伊衛能内にいるアンチの動きは?
かおり: 今は特になし。大人しすぎると言って良いぐらいに、何も無いわ。
日村: ちょっと不安だな。
景信: でも、何があっても対応できるぐらいの戦力は残すし、それに…
日村: どうした?
景信: 紫音が、「予知」を1回分、アンチ対策に回しても良いと言ってきた。
河野: それは…心強い。
かおり: 娘さんのためかしらね笑
景信: だろうな笑。アイツは親バカだから。
河野: 使う対象と時間を、しっかりと見極めなければ。
日村: その辺は、河野に任せるぞ。
景信: あぁ。河野、頼んだ。
河野: 了解です。
景信: じゃ、これで会議で確認することは終わりだが、他にここで話しときたいことがあるヤツはいるか?
…
景信: よし、会議終了。各自、持ち場に戻り、仕事に励め!
「はい!」
こうして、防衛団の会議は終わった。
to be continued
防衛団本部
森田 矢口: 申し訳ございませんでした!!
景信: …
防衛団の上層部が集まる会議室で、団長の景信に向けて頭を下げる、守里の護衛の2人。
河野: 護衛でありながら、次期団長がアンチに連れ去られたのにも気づかず、次期団長のご友人に知らされて、ようやく動き出した。
森田: …
河野: もし、次期団長がアンチに殺されでもしたら、どうなっていたことか。
かおり: そういう縁起でもないこと言わないの。結果として、守里君は助かったんだから。
河野: …次期団長も無事で、京都のアンチの拠点も潰し、大阪にいる幹部の情報も得られて、結果としては十二分ですが、過程が問題です。護衛が護衛の役割を果たしていない。
日村: でも、森田達には、関係者以外に護衛がバレてはいけないっていうのもあるんだから、仕方の無いことも…
河野: それで、護衛対象の次期団長が怪我をする、最悪の場合、死んでしまったら元も子もないでしょう。それに、森田達は、護衛の任務が最優先なんですから。
日村: う~む…
河野: 今回の事態は、護衛である森田と矢口の怠慢に原因があると考えます。
森田: はい、その通りで…
椎名: はーい!!
統括達が話している中、かおりの後ろに立っていた椎名が、森田の言葉を遮って手を挙げる。
かおり: ん?どうしたの?愛理ちゃん。
椎名: 発言よろしいでしょうか?!
景信: あぁ。良いよ。
椎名: 森田と矢口の怠慢にも原因はあると思いますが、やはり、護衛の方法、システムにも問題があると思います!
かおり: うん。私もそう思うかな。
河野: …改めて、今の護衛システムを話しなさい。
森田: はい。現在は、坊ちゃん…次期団長を追尾する形での護衛が基本です。追尾と言っても、視界に入れている場合もあれば、携帯のGPSを辿っている場合もありますが。
河野: それで、次期団長の周りに異常があれば、それを防ぐと…
森田: 私達にはアンチを判別する術がありませんから、次期団長に降りかかる危険を、事前に排除することができません。
かおり: それに、周りの人…特に守里君のお友達に正体がバレる訳にもいかないから、動きにくいわよね。
景信: どうだ?河野。
河野: 2人に原因が全くないとは言いませんが、護衛システムに問題がないとも言いません。
景信: 笑、じゃあ、どうする?
河野: 1番の問題は、次期団長の危機に対して、必ず後手に回ってしまうということです。どちらの場合でも、異常が発生してから駆けつけるまでに時間を要し、特にGPSを辿っている場合は、GPSで異常を感じられなかった時、次期団長本人もしくは、他の誰かからの知らせがなければ、動くことさえできません。
かおり: 今回が、まさにそうね。
河野: かつ、森田が先程言ったように、アンチかどうかの判別をする術がありませんから、後手に回るのは仕方の無いこと。
日村: あれ?それって、どうしようもないってこと?
河野: いえ。後手に回るのは仕方の無いことですが、異常が起こってから対処に入るまでの時間を短くできれば、次期団長が被害を受ける前に、問題を解決できるでしょう。
かおり: 時間を短く…守里君のすぐ近くに護衛がいれば可能だけど……それって、周りに怪しまれないまま、護衛するのが難しくない?
椎名: 私ならできます!
かおり: だけど、愛理ちゃんは戦えないじゃない。
椎名: ぶ~
景信: 特に、おじさんには厳しいよな。学生の近くとなると。
日村: まぁ、護衛ができるヤツは、みんなある程度、歳食ってるから、森田と矢口以外を護衛につけたとしても無理でしょ。
河野: はい。ただ、1人だけいるでしょう。森田に戦闘能力は劣るものの、護衛として、他の団員が来るまでの時間稼ぎができるだけの十分な戦闘能力を持ち、かつ次期団長の近く、なんなら隣にいても大丈夫な人が。
景信: っ!お前、それは…
河野: もうそろそろ良いんじゃないですか?あの子も今年までですし、次期団長も防衛団のことを知ってから、半年が経つんですから。
景信: …
日村: つまり、守里君に正体を明かして、護衛として近くにいさせると?
河野: いえ。自ら明かすようなことは、させなくて良いです。これまでは、正体を隠すことと、次期団長を守ることでは、正体を隠すことを優先させてきたのを、これからは、次期団長を守ることを優先させます。
かおり: なるほどね……もし、そんな選択を迫られるような時が来なければ、これまで通りの関係…か。
河野: はい。
日村: …俺は、そんな時が来ないことを願うよ。
景信: …分かった、それでいこう。アイツらに連絡しとけ。
かおり: 了解。
景信: あと、森田、矢口。
森田 矢口: はい。
景信: お前らは…
森田: (ありがとうございました、坊ちゃん。)
矢口: (坊ちゃんの恋の行く末を見れなくて残念っす…)
景信: 守里の護衛続行だ。これまで通りの護衛の仕方で、守里を守れ。
森田: え?は、はい!
矢口: わ、分かりました!
日村: 最終的に、護衛が1人増えただけだね笑
河野: アンチの活動も活発化しているんだ。気張っとけよ。
森田: もちろんです!
矢口: 頑張るっす!
椎名: うんうん。
かおり: あら、愛理ちゃん、嬉しそうね。
椎名: だって、守里が願った通りになったんですから。
かおり: そっか笑。というか、ちゃんとお友達になれたんだ。
椎名: 唯一の友達です!!
景信: おぉ笑。守里のこと、よろしくな。
椎名: はい!
日村: これじゃあ、実質4人じゃないか?笑
河野: ですね笑
こうして、森田と矢口の護衛続行が決まり、新たな護衛が更につくこととなったのだった。
10分後…
景信: よし、会議を再開しよう。
森田と矢口、そして他数人が会議室から出て行き、団長と各部の統括、特級団員2名ずつが残り、正真正銘、防衛団の上層部だけとなったところで、再び会議が開始された。
景信: まずは…大阪の方はどうなった?
河野: はい。京都の拠点で情報を得た後すぐに、こちらから大阪に移動させていた戦闘部の特級団員2名を中心とした部隊を、幹部がいるという拠点に向かわせましたが、既に、もぬけの殻でした。
景信: 情報を吐き出させていた上位構成員を殺した、紫雲和麒…ソイツが連絡したんだろう。
河野: おそらく。
日村: 今、京都の病院から伊衛能病院に移った和地と、大阪に向かった酒巻の報告によると、紫雲は和地や酒巻と、戦闘能力においては同等。
景信: 今回仕留められなかったのが痛いな。
日村: アイツらは、上位構成員との連戦だったんだから、勘弁してやって。
景信: あぁ。でも、その紫雲の上…幹部はやっぱり、日村さんが相手しないとじゃない?笑
日村: 笑、覚悟決めとかないとだね。
河野: 頼りにしてますよ。
日村: うちの団員含め、俺も上手いこと使ってね。
河野: 了解です。
景信: 笑、それで、他に引き出せた情報は?
かおり: さっきも話に上がった大阪の拠点と、大阪にいる幹部の名前、ソイツが率いるグループの目的。あと、愛知にもアンチの拠点があることが分かった。
景信: ほう…愛知にも…
かおり: 京都にいた上位構成員は、愛知でアンチに入り、上位まで昇格した後、大阪の竹川組に移り、京都でアンチの拠点を作り勢力拡大することを命じられていたみたいなの。
日村: 三大都市全てにアンチの拠点が…
河野: やはり、アンチの勢力規模が想定以上です。
景信: だな。うちの戦力じゃ、正面戦争してもまず勝てないだろう。
かおり: どうするの?
景信: そりゃもちろん、情報を集め、作戦を立て、各個撃破を狙う。
日村: それしかないか。
河野: では、これからは各地にあるアンチの拠点を潰すことに、重きを置きましょう。アンチの戦力が一気に、こちらへ流れ込んでくる前に、各地の拠点を潰し、戦力をできる限り減らします。
景信: 分かった。じゃあ、大阪の竹川の調査は続行、そして愛知にあるという拠点の調査を開始。それと、伊衛能から近い地域にアンチの拠点がないかの調査も、並行して行おう。
かおり: 作戦部と協力して行います。
河野: はい。
日村: うちは、部隊編成をし直し、戦力の見直しと強化をする。
景信: 頼んだ。なら最後に、伊衛能内にいるアンチの動きは?
かおり: 今は特になし。大人しすぎると言って良いぐらいに、何も無いわ。
日村: ちょっと不安だな。
景信: でも、何があっても対応できるぐらいの戦力は残すし、それに…
日村: どうした?
景信: 紫音が、「予知」を1回分、アンチ対策に回しても良いと言ってきた。
河野: それは…心強い。
かおり: 娘さんのためかしらね笑
景信: だろうな笑。アイツは親バカだから。
河野: 使う対象と時間を、しっかりと見極めなければ。
日村: その辺は、河野に任せるぞ。
景信: あぁ。河野、頼んだ。
河野: 了解です。
景信: じゃ、これで会議で確認することは終わりだが、他にここで話しときたいことがあるヤツはいるか?
…
景信: よし、会議終了。各自、持ち場に戻り、仕事に励め!
「はい!」
こうして、防衛団の会議は終わった。
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