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第6章 修学旅行編

第207話「恋バナもどき」

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翌朝

修学旅行最終日


ピピピピ



守里: …ん…あぁ…もう朝か……みんな、おはよう…


灰崎: おはよ~


春時: おはよう…


3班男子2: ……う~ん…おはよう…


3班男子1: …zzzz…グガガガ……zzz



アラームの音で起きた4人は、布団の中から挨拶を交わす。



春時: 昨日、言ってた通りだな笑


3班男子2: 多分、1番遅くまで起きてたもんね。少なくとも、僕が寝る直前には、このイビキは聞こえてなかった笑


春時: 同じく。


灰崎: 僕も聞こえなかったな~笑


守里: おそらく、僕の時も。


春時: ってことは、やっぱり1番遅かったみたいだ笑


3班男子2: 笑、よし。起こすのは、もうちょっとしてからにしよう。


春時: そうだな笑


守里: さっ、起きるか!


灰崎: うん。



ガバッ


と、守里達は布団から出て、朝の準備と部屋の荷物をまとめ出した。




30分後…



3班男子1: ふぅ~終わった~


春時: 間に合ったな笑


3班男子1: ほんと、起きた時は終わったかと思ったぜ…


3班男子2: あの驚いた表情は傑作だったよ笑


春時: いや~笑、みんなでドッキリを仕掛けた甲斐があった。



というのも、アラームが鳴った後も、イビキをかいてぐっすりと眠っていた3班男子1を驚かせようと画策した守里達(主に春時と3班男子2)は、畳んだ布団と枕、そして片付け終わった荷物を押し入れに突っ込み、自分達は広縁に隠れた。


それにより、3班男子1が春時からのモーニングコールで起きた時、部屋の中には、自分の荷物と、布団で横になっている自分だけが残っている状態になっていた。

その結果、3班男子1は自分が寝坊して、みんなに置いていかれたと思い込み、これ以上ないぐらいの驚愕した表情を浮かべたのであった。


ちなみに守里達は、それを襖の隙間から覗いており、携帯のカメラを向けていた人もいたとか…



灰崎: 朝食の時間まで、あと20分。まだ余裕あるね。


3班男子1: じゃあ、昨日の夜の続きで、好きなタイプの話をしようぜ笑。ほら、守里と灰崎はまだ言ってないだろ?


春時: うわぁ~性格悪ぃ笑


3班男子1: おいおい、そんなこと言って、お前らも気になるだろ。守里と灰崎の好きなタイプは。


3班男子2: まぁ、確かにそうだけど。素直に答えてくれるとは思えないな笑


灰崎: 笑、残念ながら、正解。


守里: 僕も、好きなタイプとか言われても、よく分かんないんだよね…


3班男子1: え~じゃあ、俺が女の子の性格を言っていくから、タイプに近いなとか思ったら言えよ!


3班男子2: 笑、女の子の性格とか知ってんの?


3班男子1: そりゃあ、漫画知識と俺の数少ない経験から、導き出したものだけど。


春時: 良いじゃん、やってみたら?こんなこと言ったらアレだけど、俺らは言ったんだから、2人だけ逃げるのは、ズリィぞ笑


守里: 笑、分かったよ。


灰崎: しょうがないな~


3班男子1: よぉっし!!じゃ、じゃあ、まずは、ツンデレだ!!


守里: ツンデレ…


灰崎: う~ん…


春時: (さぁ、飛香。お前のいない所で、重要なイベントが起こってるぞ笑)


守里: うん。好きだよ。


3班男子1: おぉ~!守里はツンデレが好きなのか!


春時: (笑、良かったな~飛香。)


3班男子2: なんでなの?


守里: なんで…なんでか……なんとなく、じゃダメ?


3班男子1: 全然OK!!それで、灰崎は?


灰崎: 僕は…違う笑


3班男子1: そうか……なら次だ!次は、これまた人気の、小悪魔系女子!!さぁどうだ!!


春時: (次は美月か笑)


守里: 好き。


灰崎: 違うよ。


3班男子1: ん?守里は小悪魔系も好きなのか?


春時: (おっとこれは…)


3班男子2: 笑、次に行ってみたら?


3班男子1: お、おう……不思議系!


守里: 不思議系…好きかな。


灰崎: 違うな~


春時: (やっぱり…)


3班男子2: (うん、これは2人ともアレだね笑)


3班男子1: 王道真っ直ぐ系!


守里: 好き。


灰崎: 違うかな。


3班男子1: 元気バカ!







3班男子1: ぐーたら!







3班男子1: いたずらっ子!







3班男子1: クール系!










としばらくの間、同じ流れが続き…



3班男子1: ハァハァ……お前ら、全部同じ答えじゃないか!!


3班男子2: やっと?笑


灰崎: たまたまだって笑。たまたま、僕の好みのタイプが出てこなかっただけ。


3班男子1: そ、そうか……じゃあ、守里はどうなんだ?!


守里: う~ん、だって、あんまり好みのタイプとか分かんないんだもん。でも全部、魅力的だとは思うよ。だって個性があるってことでしょ?


3班男子1: ま、まぁ、そう…かも…


春時: それで守里は、今さっき言ったタイプ全部に個性があるから、魅力的で好きって言ってんのね笑


守里: そういうこと。


3班男子1: …いや、どういうことよ。独特の感性過ぎるわ!みんながみんな、そう思うはずだぞ。なぁ?


3班男子2: いや、誰に聞いてんの笑


春時: ま、これが守里だから。


守里: なんかあんまり、良いこと言われてるような気がしないんだけど。


春時: 笑、そう聞こえるか?


3班男子1: な、なら!最後の挑戦だ!!


灰崎: どうぞ笑


守里: うん。


3班男子1: 俺は、クール系のツンデレが好き…まぁ、みんなも分かってるかもだが…


3班男子2: 当然笑


春時: だって梅が好みなんだもんな笑


3班男子1: う、うるさい!それでだな……俺はそれと並ぶぐらいに、ボクっ娘も好きなんだ!!どうだ2人とも!ボクっ娘はどうだ!!


守里: ボクっ娘ね…


灰崎: 違う笑


3班男子1: くそぉ!!


春時: あれ、守里は考えてんじゃん。どうしたの?


3班男子2: まさか特別好きとか?笑


守里: いや~ちょっとね笑……でも、好きだよ。


3班男子1: 結局、同じ感想かよ!!!


◇◇◇


比叡山延暦寺

東塔


朝食の後、旅館を後にした能高2年生達は、比叡山延暦寺にやって来た。


そこでは、自由行動と同じ班で動くように言われ、守里は、これまでと同じように、5班の面々と行動を共にしていた。



守里: さっむ…


川嶋: 山の上だからね笑


美月: そう言う志帆は大丈夫そうじゃん…寒い~


川嶋: カイロ貼ってきたから笑


美月: え!ズルい!


川嶋: この寒さに、予め対策しなかった方が悪い笑


美月: そんなこと言うんだ~だったら…


ギュッ


川嶋: ちょっ、美月!


美月: こっちにも、その温もりを渡してもらうぜ~笑


陽芽叶: じゃあ、私も貰っちゃおうかな笑


ギュッ


川嶋: え~陽芽叶まで!


春時: ほら、祐希。なんか楽しそうなことしてるぞ笑


祐希: …ウトウト……ん~あ、ほんとだ~祐希も~



眠そうにしていた祐希が、くっついている3人を見て、それに向かって走り出す。



川嶋: ちょちょちょ!なんかヤバいのが走って来てるって!!


美月: 知らな~い笑


陽芽叶: 本当に暖かいね。何枚貼ってきたの?


祐希: とぉ~


ギュッ!!


川嶋: グァッ……勢い強すぎだよ~


美月: なんか変な声聞こえた笑


陽芽叶: うん笑


川嶋: ///いいから、離れて!


美月: ってかさ、なんかもっと暖かくなったよね。


陽芽叶: う~ん、多分それは、後ろに抱きついてる赤ちゃんのせいだよ笑


美月: あぁ…赤ちゃんって暖かいもんね笑


祐希: ムーそれ、祐希のこと?!


美月: 褒めてるの。赤ちゃんぐらい、祐希は可愛くて、暖かいって。


陽芽叶: うんうん笑


祐希: じゃあ良いや~


美月: (祐希の頭が働いてなくて良かった笑)


陽芽叶: (寝起きなのが功を奏した笑)


川嶋: っもう!!いい加減、離れて~



と女子達がイチャイチャしているのを、その横で見ていた2人は…



春時: 笑、志帆の顔が赤いのは、暖かいからか、恥ずかしいからか、分かんないな笑


守里: 両方でしょ。カイロ貼ってる上に、3人に抱き着かれてるんだから、熱いに決まってるし、志帆の性格的に、こんな同級生に見られてる中で、あんな姿を晒すのは恥ずかしいだろうから笑


春時: でも、どこか嬉しそうだ笑


守里: うん笑。あの4人は、この修学旅行でより仲良くなった気がするよ。


春時: 一学期の前半では、考えられないような光景だもんな。


守里: なんなら、1人は学校にまだいないからね笑


春時: おう笑。ってか、改めて考えると、陽芽叶さんって、しっかりし過ぎてるというか、落ち着き過ぎじゃないか?昨日もあたふたしてる様子が全く無かったし。


守里: 春時と違って?笑 


春時: ありゃしょうがないって笑。あそこまでの事件は初だったんだから。


守里: じゃあ、陽芽叶さんは前にも、あのレベルの事件にあったことがあるってこと?


春時: いやいや、そこまでは言ってないけど、そのぐらい動じてなかったよな、ってこと。


守里: ま、確かに。生まれつきの性格なんじゃない?普段からそんな感じだし。


春時: それこそ、陽芽叶さんお嬢様説の信憑性が増すよな笑。お嬢様ならどんな出来事にも動じなさそうじゃん。


守里: どういうこと笑。でも、分からんこともない。


春時: だろ?笑


川嶋: ちょっと、守里!春時!2人で喋ってないで助けて!!


春時: おっと、呼ばれた笑。行こうぜ。


守里: うん笑


川嶋: ほら、守里も来たんだから、離れてよ!特に、美月と陽芽叶は守里のこと大好きでしょ!


美月: え~でも、志帆の方が……守里は腕を怪我してるし。


陽芽叶: …笑、じゃあ私は守里のとこに行こ!


美月: え?


陽芽叶: 守里~


守里: どうしたの?陽芽叶さん。


陽芽叶: 一緒に回ろ!


守里: それはもちろんOKだけど、班のみんなと一緒に…


陽芽叶: なんか美月は志帆から離れたくないみたいだし、祐希はまぁ、あの通りだから笑


祐希: zzzz


川嶋: ウゲッ!祐希、涎が…


美月: よりによってなんで祐希は、私を巻き込んで志帆に抱き着いてるのぉ~寝てるのに力強過ぎ…離れたくても離れられない~


春時: 笑


守里: でも…


陽芽叶: 志帆!春時!良い?!


川嶋: まぁ別に構わないけど、先にこの2人を離してもらえるとありがたい!


春時: 俺も大丈夫。


美月: え?!


春時: まぁまぁ、この時間ぐらいなら良いじゃん。向こうに帰ったら、美月はいくらでも守里との時間があるんだから。


美月: う~ん……いやでも…確かに……え~…うんうんうん……あぁ~……分かった。


春時: 随分と粘ったな笑。よし、陽芽叶さん!みんなOKだって!


陽芽叶: おぉ!良かった。それで、守里。どうかな?私と2人で回るのが嫌だったら、断ってもらっても良いんだけど…


守里: 笑、断らないよ。行こう。


陽芽叶: やった!じゃあ、みんな!また後でね~


守里: 連絡するから!


美月: クッ…


川嶋: いや、2人を剥がすのを~


春時: 笑、俺がやるから。ほら、祐希起きろ。


祐希: まだ…眠い…zzz




こうして、守里と陽芽叶は2人だけで、延暦寺の中を歩いていくのであった。




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