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第6章 修学旅行編

第187話「宿泊する部屋に入った時のワクワク感ったらない」

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クラス全員がいることを剣崎が確認した後、守里達を乗せたバスは、京都に向かって走り出した。


もちろん、奈良公園に行く時と同じようにならないよう、出発前に、美月と陽芽叶による、誰が守里の隣に座るか論争が繰り広げられた。

しかし、泥沼にハマると考えた春時が、無理やり守里の隣に座ったことで、その論争は早期終結した。


まぁ、バスでの移動時間中ずっと、春時は前の席の間から、強烈な視線を2つ受け続けることにはなったのだが。

それと、春時によれば、美月と陽芽叶が論争を始めた直後に、1組のバスの中から窓越しに、悪寒を感じるような視線を受けたとのことだった。

ちなみに、バスには1班から順に乗った。


こんな感じで、生徒達が楽しくバス移動をしている間、そのバスの集団を追いかける車の中では…



矢口: 坊ちゃんは、京都の旅館に到着したら、そこから動かないんだよな?


森田: あぁ。俺らは、旅館の近くで待機になる。


矢口: 京都観光はできなさそうだ笑


森田: 当たり前だ。坊ちゃんの護衛に集中しろ。


矢口: 分かってるって。


森田: はぁ……ま、お土産ぐらいは買っても良いが。


矢口: それは、俺よりお前の方が必要だろ笑。家族いるんだし。



森田: 笑、ちゃんと要望は聞いてきた。


矢口: 用意周到だな笑


森田: ついでに、坊ちゃんをちゃんと守ってくれって頼まれたよ。


矢口: へぇ~笑。なら、尚更しっかりやんないとだ。


森田: 坊ちゃんを旅館まで見送ったら、現地にいる団員と会議だからな。


矢口: 上司ばっかの会議か~今から緊張する。


森田: 運転ミスんなよ笑


矢口: それは問題ない笑




2時間後


守里達を乗せたバスは、京都駅近くの旅館へ到着し、その後を追っていた森田と矢口も、車を止めた。



森田: バスから降りてきてるぞ。


矢口: 坊ちゃんは……あ、出てきた。



バスから生徒が降りてくる様子を、旅館の駐車場近くに停めた車の中から見る2人。



矢口: おっと…バスから出た途端、美月さんに抱きつかれるとは…


森田: 見慣れたもんだよな。


矢口: いつも通りって感じで、もはや、あれを見ると安心する笑


森田: どうやら、反応見てると、木村君も俺達と同じ感想っぽい。


矢口: 確かに笑。チラッと見ただけで、隣のアイツと話し始めたもんな。


森田: あぁ。それに比べて、今出てきた黒髪ロングの子…委員長さんは、見た瞬間に、呆れたようにため息ついたぞ笑


矢口: そして、引き離そうと美月さんを説得し始めると笑


森田: ん?あの木村君の近くにいる、黒髪ツイン…えっと確か……伊藤さん?だっけか。その子、すごいムスッてしてるが…


矢口: おいおい、お前分かんないのかよ。アレは、いわゆる恋のライバルってやつだよ。


森田: は?


矢口: だから、伊藤さんからしたら、坊ちゃんと美月さんがイチャイチャしてるのが気に食わないんだろ。


森田: なるほど…


矢口: 全く、妻子持ちのくせして鈍感なんだから。それに、坊ちゃんは罪な男だぜ。あんなに可愛い女の子2人から好意を持たれてるなんて。羨ましい…


森田: 何言ってんだ。


矢口: 冗談だよ。あぁ~あ、俺も良い人見つかんないかね~


森田: …委員長さんの説得のおかげか、坊ちゃんから美月さんが離れた瞬間に、伊藤さんが笑顔になった……ふん……お前の言う通りみたいだな。


矢口: 笑、お、バスから全員降りたってことは、旅館の中に入るか?


森田: 他のバスを待つ……いや、先生が先導し始めたから………うん、入った。


矢口: これから坊ちゃんは、晩飯食って、お風呂入って、ワイワイ話して、寝るって流れかな。


森田: …よし、俺らも晩飯食べに行くぞ。


矢口: 晩飯と言いつつ、会議だが笑


森田: まぁな笑



こうして、森田と矢口は、守里が旅館に入ったのを確認してから、会議に向かった。


◇◇◇


旅館 



春時: 30分後に晩飯か。


守里: お腹空いてる? 


春時: めちゃくちゃ笑


守里: 僕も。正直、待てるか不安笑


春時: やっぱ、鹿の餌やりが、中々ハードだったわ笑


守里: 確かに笑



女子達と分かれた2人は、男子の波に混ざって、自分達に割り当てられた部屋に向かっていた。



守里: それで、結局、あと1人は誰が来るんだろう。


春時: そういえば、剣崎先生に聞くの忘れてたな笑


守里: 1組の部屋に、人数の都合上、他の組の人が来ることになったって説明は受けたけど……2人は知ってる?



隣を歩いていた、同じ部屋の2人…1組3班の男子2人に聞く。



3班男子1: 俺は知らん。


3班男子2: なんか、6組の子になるっては聞いたよ。


守里: 6組……誰だろう。


春時: でも、前も同じような話になったよな笑


守里: 香蓮のとこの班員が誰かって話ね笑


3班男子1: なぁ、香蓮って、あの梅澤のことだろ?


守里: ん?そうだよ。


3班男子1: 俺、アイツと話したことないけど、どんなヤツなんだ?噂によると、なんというか、怖めの印象なんだが。


春時: 笑、そうなるよな。あの圧だし。


守里: 良い意味でだよ笑


3班男子2: 良い意味での圧ってどういうこと?笑


春時: う~ん、よく分からんけど、とにかく悪い圧ではないんだ。


3班男子2: へぇ~笑


守里: 香蓮はね、確かにこれまでの行動と、見た目も相まって、怖いヤンキーって思うかもだけど…


3班男子1: 見た目は美人だなって思うぞ。


守里: そ、そう。


春時: おっと笑


3班男子2: 見かける度に、どんな人なんだろうって呟いてる笑


春時: ほう笑(まさか、梅に…)


守里: とにかく、香蓮は友達思いで、強くて優しい女の子だよ。


3班男子1: 友達思い……良いな~ 


守里: 笑、飛香とか日向子にも聞いてみたら?


3班男子1: おう、明日聞いてみる。


3班男子2: 今日は、南雲さんと東野さんについて行くので必死だったよ笑


春時: なんか、すまん…


3班男子2: なんで、春時が謝るの笑


春時: ほら、特に日向子は身内というか、そんな感じじゃん。


3班男子1: 山室もだろ?


春時: あぁ。


3班男子2: ちょっと、今日のうちに、2人の扱い方というか、そういうの教えて笑


守里: 取説?笑


3班男子2: そうそう笑


守里: 分かった笑


3班男子1: 頼む笑


春時: 任せとけって!笑


守里: あ、でも寝る直前とかになりそう。それ話すの。


3班男子1: ん?


守里: 美月が部屋に来るとか言ってたから。


春時: そういえば、なんか旅館に入る前に、そんなこと言ってたな。


3班男子1: 笑、未だに慣れねぇわ。白城さんと守里が家族だってことに。


3班男子2: 学校での様子を見てると、家族って言うより…ねぇ?笑


春時: ま、だよな笑


守里: え、なに?


3班男子2: 仲良いねってこと。


春時: 美月が来るってことは、陽芽叶さんも来そう。


守里: あと、祐希と志帆は……いや、来ないな。祐希は爆睡するでしょ。


春時: だな。志帆は夜に勉強するって言ってたぜ。


3班男子1: 夜に勉強……考えられねぇ…


春時: 同じく。


3班男子2: 笑


守里: ってその前に、女子が男子の部屋に来れるの?


3班男子1: 無理じゃね。


3班男子2: 異性間の部屋移動は禁止だって、しおりにも書かれてたし、先生も言ってたし。


春時: でも、来そうだよな…美月なら。


守里: うん、やりかねない…



と、みんなで話している内に、部屋に到着する。


ガチャ



春時: お、中々広いじゃん。


守里: 和室だ。


3班男子1: なんか、こんな畳張り見ると、泊まりに来たって感じするな!


3班男子2: 笑、人によるでしょ。特に春時は。


3班男子1: そういえばそっか笑。春時の部屋は和室なんだったな。


春時: え、話したことあったっけ?


3班男子2: いや、教室の中で、あんな大声で話してたら、嫌でも聞こえるって笑。ほら、南雲さんの声とか響くじゃん。


守里: そういう事ね笑


3班男子1: ってことで、意外とお前らが話してることは、耳に入ってるぞ笑


守里: うるさかったかな?


3班男子2: いやいや笑。毎日、楽しませてもらってるよ。


3班男子1: まぁ、若干羨むこともあったが…チラッ


守里: ん?


春時: 笑、そればっかりは慣れてもらう他ないな。


3班男子1: 笑、大丈夫。体育祭の時ぐらいには、慣れてたから。


3班男子2: なんなら、去年から噂にも聞いてたし、たまに目に入ることもあったからね。っていうか、今年同じクラスになって間近で見てみると、大変だなって思う笑


春時: うん。俺も同じポジションには、なりたくねぇもん笑


守里: え、なに。


春時: まぁまぁ。


3班男子2: 6組の子、来ないね。


3班男子1: 確かに。


春時: 結局、誰なんだろうな~守里はどう思う?



めちゃくちゃ話を逸らされた気がするけど、まぁ、良いや。



守里: そうだな~



と、ちょうどその話をしていると…



コンコン


3班男子1: ん?誰だろ。


春時: ま、出てみるか。はーい。



ガチャ



??: やぁ。さっきぶり。




to be continued
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