ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第6章 修学旅行編

第183話「奈良の大仏さん達」

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およそ3時間、新幹線に揺られながら、両隣に座る美月、陽芽叶と、楽しくお喋りをしたり、執拗な'す'攻めのしりとりを乗り越えた守里は、ようやく…



祐希: 奈良にとうちゃーく!!!



自分が扉から出る順番となり、勢いよく扉からジャンプし、地面に足を着けた祐希。



守里: 笑、元気いっぱいだな。


美月: 新幹線の中で、ずっと寝てたからでしょ。


祐希: うわぁ~ここが奈良か!!


春時: って言っても、まだ駅だぞ笑


美月: でも、なんかこの、木の感じが奈良っぽくない?


陽芽叶: 確かに。


祐希: あ!あれなんだろう?!



3時間の睡眠と、昼食の駅弁により、エネルギーが満タンとなった祐希は、早速走り出そうとする。



川嶋: ストップ!祐希!



それを、荷物の取り出しに少し手間取り、遅れて新幹線から出た川嶋が、引き止める。



祐希: え~


川嶋: すぐにバス移動なんだから。ほら、みんなも行くよ!


祐希: は~い。


陽芽叶: うん。


美月: また乗り物移動か~


春時: あと少しの我慢だって。


守里: 奈良公園についたら、3時間は自由なんだし。


祐希: 奈良公園?


陽芽叶: 笑、昨日教えたじゃん。


祐希: どういうとこだっけ?


陽芽叶: たくさん鹿がいるところだよ。


祐希: あぁ~!


春時: 餌やりできるぞ。


美月: 祐希の力の見せどころだね笑


祐希: 任せといて!



腕まくりをするような動作をしつつ、周りにドヤる。



川嶋: はいはい、分かったから。


祐希: もうちょっと良いじゃん~



小さな背中を無理やり押して、祐希を移動させる川嶋。



守里: 笑、さすが班長。


美月: 志帆を班長にして正解だった笑


陽芽叶: なんか、そう思う場面が、これからたくさんありそう笑


春時: かもな笑



そうして、守里達はバスに乗り、奈良公園へ。


ちなみに、守里の隣は、乗った順番で春時となり、争いは起こらなかった。


◇◇◇


奈良公園



剣崎: じゃ、好きに見回ってきて良いよ!ただし、倉田さんが言ってたように、能高生としての自覚を持って、規律ある行動をよろしく。他のお客さんや、職員さんに迷惑をかけないようにね!


「はい!」


剣崎: いい返事。よし、16時にまたここで。いってらっしゃい!



全クラスが到着したのを確認し、各クラスで担任が注意事項を話した後、班行動に入る。



祐希: 鹿鹿鹿鹿鹿!!!


美月: そんな勢いで行ったら、鹿もビビっちゃうでしょ笑


川嶋: 予定通り、先に東大寺に直行して、その後ゆっくり回る感じで行こうか。


守里: うん。


春時: ほら、祐希行くぞ~


祐希: 鹿は?


陽芽叶: 先に大きな大仏を見に行こう。


祐希: 大仏…


守里: 笑、祐希はあんまり興味無いよな。でも、後から鹿とは戯れられるから、先に大仏の方に行こ。



若干落ち込んだ祐希の肩に、手を乗せる。



守里: ダメ?祐希。


祐希: 笑、しょうがないな~


守里: じゃ、出発…


祐希: 進行!!



守里とテンションを取り戻した祐希が、奥の東大寺に向かって歩き出す。



美月: なんか見たことあるような展開…


春時: 元気満タンの祐希は、ほぼ日向子だからな。必然的に、守里の祐希の扱い方が日向子と同じになるんだ。


美月: やっぱそうだよね。いつもの大型犬をなだめる時と同じだもん笑


陽芽叶: 大型犬笑


川嶋: よし、私達も行こう。


◇◇◇


東大寺大仏殿



祐希: でっか~


陽芽叶: うわぁ…


美月: さっきの門のところにあったのも大きかったけど、これは桁違い…


守里: あの手でさえ、僕より大きくない?


春時: そうかもな…



東大寺の大仏殿の中に入った守里達は、まず、奈良の大仏の大きさに圧倒される。



川嶋: 大きさは…15mだって。台座も含めると、18m。


守里: ざっと祐希10人分か。


美月: 久しぶりに聞いた、その例え笑


祐希: 10倍…ウヌヌ…


陽芽叶: 祐希ちゃんを1.5m換算なのね。


川嶋: 実際の身長は1.53mだけど笑


春時: まぁまぁ、3cmぐらいなら端折っても問題ないって笑


祐希: あぁ?


守里: 笑、祐希にとっては重要な3cmなんだよな。


祐希: うん!!それなのに、春時…


春時: ごめんごめん笑


川嶋: ちなみに、さっき美月が言ってた、南大門にある金剛力士像は8mちょい。


陽芽叶: よく知ってるね。


川嶋: でしょ?笑


守里: さすが志帆だ。


川嶋: ヘヘ


美月: 楽しみで楽しみで、ずっと調べてたもんね笑。今回の修学旅行で行くところを。


川嶋: み、美月!


陽芽叶: 志帆、可愛い笑


川嶋: ///もう~やめてよ!


守里: 笑、じゃあ、志帆。この両隣にいる大仏?は?


川嶋: え?あぁ。確か…



背負っているリュックに手を入れ、1冊のノートを取り出す。



川嶋: え~っと…盧舎那仏の右脇が…


祐希: ご、ごといわ?



川嶋が右脇と言った瞬間に、自分から見て右側にいた金色の像の前の立札を読もうとした祐希。



美月: 盧舎那仏…奈良の大仏の右脇なんだから、逆側でしょ?


祐希: あ!そうか!


川嶋: 笑、じゃあ今、祐希が読もうとした方は、如意輪観音って言うんだよ。


祐希: にょいりんかんのん?


川嶋: そうそう。


春時: へぇ~観音様か…


川嶋: それで、右脇…私達から見て、左側の像が、虚空蔵菩薩。


陽芽叶: 名前カッコいい。


守里: 盧舎那仏に、虚空蔵菩薩、如意輪観音……全部種類が違うんだね。


春時: そりゃそうだろ。同じ仏像を何個も置かないって。


守里: いや、それはそうなんだけど。仏様と、菩薩様、あと観音様でしょ?


春時: あぁ、そういう事か。


祐希: ふ~ん……ねぇねぇ、志帆!


川嶋: どうしたの?祐希。


祐希: 仏様と観音様、あと…


守里: 菩薩様な。


祐希: そう、菩薩様!その違いって何?


川嶋: 違いか…


美月: あれ、志帆、調べてきてない?笑


川嶋: うん。調べてきては無いけど…



改めて、ノートを確認する川嶋。



美月: しょうがない!代わりに、この美月ちゃんが、調べてあげよう!



そう言って、意気揚々と携帯を取り出す美月だったが…



川嶋: 笑、そのぐらいは普通に知ってるよ。


美月: え?


春時: マジ?


陽芽叶: 志帆ちゃん、すごい!


祐希: それで何なの?


川嶋: まず、一概に仏様と言っても、仏様にも位があって、菩薩や観音は、その位のこと。あと、祐希が言ってる仏様は、如来様を指してて、この如来っていうのも、仏様の位のことなんだ。


祐希: うんうん。


川嶋: で、観音っていうのは、観音菩薩のことだから、菩薩様と観音様は同じ位にいる仏様。


祐希: ふんふん。


川嶋: そして、さっき言った通り、この盧舎那仏は如来様で、如来って言うのは、仏の中の最高位。ちなみに、如来の一つ下の位が菩薩ね。


祐希: …


川嶋: 祐希、分かった?


祐希: 全然。


守里: なるほど……真ん中の盧舎那仏が、この3つの仏様の中で一番偉い如来様で、左右にいる虚空蔵菩薩、如意輪観音は、如来様の次に偉い菩薩様ってことか。


美月: 要するに、一番偉いのが真ん中の仏様で、横の仏様達は、それの部下ってことだよ、祐希。


祐希: あ~分かった!


陽芽叶: へぇ~


春時: ほんと、よく知ってるわ。


川嶋: 笑、偶然調べる機会があってね。


美月: どういう機会よ笑


祐希: じゃあ、あっちの仏像は?



さらに奥にある、これまた大きな仏像を指して、祐希が聞く。



春時: なんか、めちゃくちゃ装備してるな。


陽芽叶: イカつい。


美月: 持ってるのは、筆と巻物?


川嶋: それは、広目天って言う仏様だよ。


守里: お、もしかして、天っていうのも、仏様の位だったりする?


川嶋: 正解笑。天は、天部のことで、天部は仏様の位の中で1番下。上から順番に行くと、如来、菩薩、明王、天部って感じ。


陽芽叶: 天……アニメでよく聞く、毘沙門天とかも、それ?


川嶋: そうだよ。ってか、毘沙門天なら反対側にいる。


祐希: 反対側?


川嶋: ほら向こうの。



そう言って、川嶋がさした方にも大きな仏像があった。



春時: あの、長い槍みたいなのを持ってるやつ?


川嶋: うん。あれは多聞天って言うんだけど、毘沙門天と同じなんだ。


守里: かの有名な毘沙門天様があれか…


川嶋: あと、そこに2つの大きな顔があるでしょ?


祐希: この怖い顔?


美月: なんか既視感……はっ!



「コラ!美月!!」



美月: お姉ちゃん…


守里: 笑、聞かなかったことにする。


川嶋: その2つ…手前の増長天、奥の持国天、そして広目天と多聞天を合わせて、四天王って言うんだ。


陽芽叶: 四天王…


春時: これまたカッコいい。


川嶋: で、四天王は、東西南北をそれぞれ守護する護法神。まぁ、仏様の護衛ってところ。


守里: だから、序列としては、如来とか菩薩の下なんだね。


川嶋: そういうこと。


守里: はぁ~やっぱ、志帆が同じ班で良かった。すごく勉強になるし、楽しい。


陽芽叶: だね笑


川嶋: いえいえ笑



そう、守里が川嶋を褒める様子を見た美月は…



美月: ジー(志帆がすごいのは分かるけど………私も褒められたい!)



じっと、川嶋を見つめた。



川嶋: え?どうしたの?美月。


祐希: ねぇ!多聞天?の方にも行こ!


守里: はいはい。


春時: そう急かすな笑



祐希に引っ張られて、守里と春時が、美月達から離れて行った。



美月: ジー


川嶋: ?


陽芽叶: 多分、今さっき守里に、志帆ちゃんが褒められたのが、悔しいんだと思う笑


川嶋: あ~笑、なるほど。そうなの?美月。


美月: 別に悔しいわけじゃないけど…


川嶋: だったら、美月もなんか豆知識的なのを話してみたら?


美月: そんなの持ってない。


陽芽叶: 私も同じく。だから、また別のところでアタックをかけるつもりだよ笑


美月: う~ん…


陽芽叶: だって、正直、志帆ちゃんに勝てるわけないじゃん。知識量がものを言う場面で。


川嶋: いや勝てるとか笑。別に私は、2人みたいに守里のことを狙ってないんだけど。


美月: でも~


陽芽叶: 笑、欲張りだな~


川嶋: しょうがない笑。新しい情報ってわけじゃないけど…ゴニョゴニョ


美月: うん…うん……分かった。


陽芽叶: なに?笑


川嶋: 良い感じに、守里に言うんだよ笑


美月: 頑張る!



意気込んだ美月は、守里達の所へ小走りで向かった。



川嶋: ほんと、可愛いんだから。


陽芽叶: ねぇ、志帆ちゃん。私にも教えてくれたって良いんだけど?笑


川嶋: 笑、陽芽叶ちゃんの場合は、私の助けなんて要らないんじゃない?


陽芽叶: なんでそう思うの?


川嶋: う~ん………勘かな。陽芽叶ちゃんは……うん、やっぱり、守里争奪戦の参加者の中で、1番強い気がする笑


陽芽叶: 争奪戦って笑。それに1番強いってなに?


川嶋: 勘でしかないから、私だって上手く言語化できないよ、残念ながら。でもなんか、そう思うんだ。


陽芽叶: へぇ~


川嶋: まぁ良いから、私達もあっちに行こ。


陽芽叶: うん。




こうして、美月に少し遅れて、川嶋と陽芽叶も守里達の元へと向かうのだった。




to be continued
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