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第6章 修学旅行編
第178話「どこに行くかを決める時間」
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各班に分かれて、修学旅行の自由行動で、どこに行くかを決める時間。
対角側にいる春時と川嶋に聞こえないように、隣合った席で、守里と陽芽叶が話していると…
美月: ちょっと、なに2人で楽しそうにコソコソ話をしているんですか?!
陽芽叶の向かい側にいた美月が割り込む。
守里: 笑、大したことじゃないよ。
美月: 私も入れて!
陽芽叶: あの2人が面白いよねって話。
美月: あの2人?
春時: は?俺のことか?
川嶋: 私?
守里: まぁまぁ笑。今は班長決めしないと。
本人達に話を聞かれ、マズいと思った守里は、すぐに話を切り替える。
陽芽叶: 笑、そうだね。
春時: 今さっきの話は気になるが、しょうがない。時間もないしな。
川嶋: 他の班は続々と決まっていってるみたいだし。
美月: あ、でも3班はまだ決まってないみたいだよ笑
ドラマでよくある会議のノリをやる日向子と、そのノリにウキウキで乗った東野と秋吉。
そしてその様子をただ眺める飛香と、そんな女子達に少し引いている男子2人。
といった感じの3班の様子を、1名を除いた5班の班員全員が確認する。
守里: あの様子だと、僕達が最後になることはないかな笑
美月: うん笑
陽芽叶: 早く決めちゃおう。
春時: じゃあ、まずは…
川嶋: …
春時: 川嶋さ…
川嶋: ジー
春時: 志帆さ…
川嶋: ジー
春時: …志帆。祐希を起こしてくれない?
川嶋: 了解笑
え、今の怖っ…
あの強引な後輩達とは全く違う、別物…
凍りつくような視線と雰囲気…
春時よ、よく頑張ったな。
祐希: zzzzz
席を立った笑顔の川嶋は、向かい側に座る祐希の耳元に顔を近づけ…
川嶋: 起きなさい。
と、一言。
すると…
祐希: っ!!はい!起きます!!
守里: あの祐希が、一度の呼び掛けで起きた…だと?……
春時: さすが川嶋…
川嶋: …
春時: し、志帆。
美月: これからは、祐希のお世話係は志帆が適任だね!
守里: 任せたよ、志帆。
祐希: え~守里じゃなくなったら、誰が祐希を運ぶの?
美月: 運ぶ?寝てる祐希を、おんぶしてってこと?
祐希: もちろん!ドヤァ
春時: いやなんで、そこで祐希はドヤ顔笑
美月: クッ(羨ましい…渋々にしろ、守里が自らやるおんぶは希少なんだよね…)
陽芽叶: おんぶ…か…
川嶋: 自分で歩け!
祐希: …眠たい時は眠たいんだもん!!良いよね!守里!!
机に乗り出して、守里の目を見る祐希。
守里: そんな必死に言わなくても…笑、はいはい。今はとりあえず、班長決めだよ。
祐希: やった~OKもらった~
川嶋: 守里もそんな甘やかさないの……はぁ、言っても無駄か。よし、切り替えよう。誰がやる?
美月: さすが委員長、切り替え早すぎ笑
陽芽叶: だね笑
春時: 班長決めって言っても、既に決まってるようなもんだろ。
守里: まぁ、そうなんだけど笑
川嶋: え?
美月: 志帆だよ。
川嶋: 私?!
祐希: うんうん。
守里: この中で1番リーダーシップがあるのは、志帆だし、実際、学級委員としてクラスをまとめてるわけだしね。
春時: 守里でもありだが、このメンツだと不安だ笑
そう言って、美月と祐希を見る。
美月: なんで私を見るの?
祐希: そうだよ!
春時: だって、守里は2人に比較的弱いから。
美月: そうなの?守里笑
祐希: 弱いの?
守里: あ、えーっと…
春時: (美月は守里の家族だし、祐希はずっと面倒を見てきた相手だからな。日向子とか飛香と比べても、美月と祐希のわがままは、守里に通りやすい。)
陽芽叶: 守里が美月ちゃんと祐希ちゃんに弱いかどうかは、一旦置いといて、志帆ちゃんは、班長やりたい?
守里: そうそう!まずはそれを聞かないと。
美月と祐希の追求に答えあぐねていた守里は、陽芽叶の川嶋への投げかけに、勢いよく乗っかる。
川嶋: みんなが良いよって言ってくれるなら、やりたい。
守里: 分かった。なら…
春時: か…志帆が班長で決定だな!
美月: うん!
祐希: よっ!班長!
陽芽叶: お願いね。
川嶋: 笑、じゃあ任されました。ってことで、早速剣崎先生のところに行ってくる。
守里: よろしく。
川嶋は班長になったという剣崎への報告をかねて、教壇の上にある資料を取りに行った。
守里: みんな、京都で絶対に行きたい場所とかある?
美月: 京都か~
春時: やっぱ、歴史で習った有名どころには行っときたいよな。
美月: たとえば?
春時: 金閣、銀閣。
陽芽叶: 金閣寺と銀閣寺か。1回見ときたい気持ちは分かる笑
春時: だろ?笑
守里: 祐希は?
また祐希が寝てしまわないよう、気がけて質問を投げる。
祐希: う~んとね…
美月: 教科書に載ってたので、実際に見たいものとかないの?
祐希: ………覚えてない。
美月: やっぱり?笑
守里: はぁ…また今度のテストでだな。
祐希: 頑張ります!!
陽芽叶: 笑
美月: 陽芽叶ちゃんは?
陽芽叶: 私はね…
川嶋: あんまりたくさんは回れないよ。
資料を取ってきた川嶋が、席に座りながら言う。
川嶋: 自由行動の時間は、一日あたり8時間。行く場所にもよるけど、移動時間とか混み具合を考慮して、1箇所見て回るのに1時間かけると考えると、一日に行けるのは、多くて5箇所。
守里: 志帆、ありがとう。
美月: ありがとう!
陽芽叶: ありがとうね。
川嶋: いえいえ。で、どこ行きたいとか話した?
守里: うん。春時が金閣寺と銀閣寺に行きたいだって。
川嶋: 代表的な2つだね笑
春時: 特に金閣寺は見たい。実際にまっ金金らしいし。
美月: それで言うと、銀閣寺は銀じゃないもんね。
祐希: え…そうなの…
守里: …
川嶋: …
陽芽叶: 笑、私は清水寺に行きたい。
川嶋: 清水寺?良いね。私も行きたい。
守里: じゃあ、このマップに印をつけとくか。
京都のマップの中の金閣寺、銀閣寺、清水寺に丸をつける。
美月: あ、結構離れてる…
守里: ほんとだ。
川嶋: まぁ、今は行きたいところを挙げていこう。
守里: そうだね。
そうして、守里達は、各自で資料を読み始めた。
一方、3班は…
日向子: いつまで会議を続けるんだ…
それっぽいポーズで、真剣な表情をしつつ、他の面々に問いかける日向子。
飛香: いや、アンタがいつまでそれを続けるのよ。
日向子: ……え~~なんか、っぽいでしょ?!だから、これをやりたかったの!!
東野: まさに、会議は踊る、されど進まずだね!
飛香: いや、澪奈も楽しんでたじゃん。
東野: まぁまぁ笑。それで、早く班長を決めないと。
飛香: はぁ…
秋吉: みなみ、飛香がいいと思う!
東野: うん。私も。日向子は?
日向子: 賛成!!
東野: 男子達はどう?
3班男子1: 賛成だ!
3班男子2: 同じく。
東野: ってことで、飛香、良い?
飛香: ……うん。
日向子: じゃあ、あっしゅんよろしく!!
秋吉: よろしくね。
3班男子1: よろしく!
3班男子2: 任せた。
飛香: …先生に言いに行ってくる。(さっきまでの時間はなんだったんだよ!もう!)
と、ようやく班長が決まった。
その頃、守里達5班は、未だに誰も行きたいところを挙げることなく、各々で資料をじっくりと読んでいた。
春時: う~ん…
美月: …
陽芽叶: …
川嶋: チラッチラッ
祐希: …ウトウト
守里: 祐希、行きたい場所、見つからない?
祐希: はっ…そうだな~空気の気持ちいいところに行きたい。
その発言に、全員が、読んでいた資料から目を離し、顔を上げる。
川嶋: 空気の気持ちいいところ?となると、山の方…
美月: 京都で山って言ったら、嵐山じゃない?
川嶋: 確かに。
守里: 嵐山って言うと……渡月橋か。
陽芽叶: あとは、たくさん竹が生えてる道。
川嶋: 竹林の小径ね笑
春時: え、なんだそれ。気になる。
美月: ここだよ。
嵐山の観光名所が載っている資料を持っていた美月が、春時にそれを渡す。
春時: へぇ~こんなところが……なんか良いな。行きたい。
祐希: 見せて~
春時: ほら…
祐希: お、気持ちよさそう!祐希も行きたい!
川嶋: なら、嵐山も候補に……でもそうなると、一日費やさないと、時間がキツそうだね。
守里: 2日目に嵐山の名所を回って、3日目に金閣とか回ったら?
川嶋: まぁ他に、宿泊場所近くの京都駅から離れた場所に行きたい所がなければ、大丈夫。
美月: そうなると、丸一日、嵐山を回ることになるから…
春時: 嵐山の観光名所で行く場所を決めるか。
守里: みんなが、僕の出した案に賛成なら、そうだね。
祐希: さんせ~い!
春時: 俺も。
陽芽叶: 私も賛成だよ。
美月: うん。
川嶋: なら、そうしよっか。2日目に嵐山、3日目にその他の場所ってことで。
守里: 嵐山は、渡月橋、竹林の小径が確定で、あとは…
祐希: 祐希、このトロッコに乗りたい!
守里: トロッコ?
春時: 多分この、嵯峨野トロッコ列車だろ。
資料を指さしながら、みんなに見せる。
祐希: うん!
守里: へぇ~
陽芽叶: 紅葉も綺麗そう。
美月: 祐希、ナイスアイデア!
祐希: でしょ笑
川嶋: それも決定しよう。他は……私は、天龍寺に行きたいかな。
守里: 紅葉を見るってことなら、この常寂光寺とか良いんじゃない?
祐希の言葉きっかけで話が盛り上がった守里達は、嵐山のマップを見ながら、各々が行きたい場所を言う。
春時: 天龍寺に、常寂光寺か。
美月: 京都駅から嵐山に行く時間と、トロッコの時間を考えると……あと追加できて、この辺の近くで1つかな。
と言いながら、美月は嵐山の資料を読む。
美月: …ん?………よし、野宮神社に行こう。
春時: 野宮神社?あぁ、この竹林の小径を抜けた先にある神社か。
美月: そうそう。絶対に行こうね!!
守里: 分かったから笑
川嶋: …笑(なるほどね、ご利益目当てか。ほんと可愛いんだから笑)
陽芽叶: となると、嵐山で行くのは、渡月橋、竹林の小径、嵯峨野トロッコ、常寂光寺、天龍寺、野宮神社かな。
川嶋: 時間、ギリギリになるかもね。
守里: まぁ、一旦スケジュールに書いてみよう。
美月: うん。
そうして、守里達はマップを見ながら、予定を立てて行き…
守里: 2日目はこんな感じかな。
川嶋: だね。トロッコ乗って、常寂光寺から下に行く方向で。お昼ご飯は行ってみてから考えよう。
美月: うん。
祐希: お昼ご飯~
陽芽叶: 笑、お腹すいたの?まだ二限だよ。
春時: よし、3日目を考えるか。
川嶋: 今のところ候補に上がってるのは、金閣寺、銀閣寺、清水寺か。
美月: どうやら、ここら辺は混むらしいから、この3つを回るだけで、3日目終わりそうじゃない?
守里: 確かに…
川嶋: 他に候補が上がらないなら、それでもいいけど…
祐希: あ、見てこれ。美容水だって。
お昼ご飯に何を食べるかを考えつつ、目の前にあった資料をなんとなく読んでいた祐希が、面白そうなワードを見つけた。
美月: 美容水?気になる。
そして、すぐにそのワードに反応した美月は、祐希が手に持っていた資料を覗き込む。
祐希: ほら、これ。はちさか?神社。
川嶋: 笑、八坂神社のことかな。
美月: …私、ここに行きたい!!
陽芽叶: 美容か~私も気になるな~
春時: やっぱり、女子はみんな食いつくか。そのワードに笑
守里: じゃあ、志帆も?
川嶋: あら、私は美容に興味が無くて、女子っぽくないって言いたいのかしら?笑
守里: いやいや、そんなことないから。
春時: 志帆もめちゃくちゃ興味あるんだよな!
川嶋: そりゃもちろん笑。ってことで、八坂神社に、みんな行きたいわけね。
美月: はい!!
陽芽叶: うん。
祐希: 祐希は別に…
守里: 笑、なら八坂神社にも行くことにしよう。でも、そうなると…
春時: 金閣寺は外せないが、銀閣寺は別に行かなくてもいいぞ。
守里: 春時、良いの?
春時: あぁ。だって銀色じゃないし。
美月: そこ?笑
川嶋: ありがとう、春時。
陽芽叶: ありがとうね。
春時: 笑、よし、予定組もう。
守里: うん。
10分後…
川嶋: 完成かな。
守里: うん。
5班の修学旅行2日目、3日目のスケジュールが決定した。
美月: 今日中に決まっちゃったね。
陽芽叶: だね笑
祐希: ふぅ~やっと寝れる…
川嶋: …
祐希: いや、違った。
川嶋: まぁ別に良いんじゃない?二限が終わるまでは。
祐希: やった!おやすみ…zzz
陽芽叶: はっや笑
春時: 一種の才能だ笑
守里: 笑、ならこの予定表を先生に見せに行かないと。
川嶋: 私が行ってくる。
守里: うん、よろしく。
美月: よろしく!班長!
川嶋: は~い。
こうして、守里達5班の自由行動の予定が、正式に決まったのだった。
to be continued
対角側にいる春時と川嶋に聞こえないように、隣合った席で、守里と陽芽叶が話していると…
美月: ちょっと、なに2人で楽しそうにコソコソ話をしているんですか?!
陽芽叶の向かい側にいた美月が割り込む。
守里: 笑、大したことじゃないよ。
美月: 私も入れて!
陽芽叶: あの2人が面白いよねって話。
美月: あの2人?
春時: は?俺のことか?
川嶋: 私?
守里: まぁまぁ笑。今は班長決めしないと。
本人達に話を聞かれ、マズいと思った守里は、すぐに話を切り替える。
陽芽叶: 笑、そうだね。
春時: 今さっきの話は気になるが、しょうがない。時間もないしな。
川嶋: 他の班は続々と決まっていってるみたいだし。
美月: あ、でも3班はまだ決まってないみたいだよ笑
ドラマでよくある会議のノリをやる日向子と、そのノリにウキウキで乗った東野と秋吉。
そしてその様子をただ眺める飛香と、そんな女子達に少し引いている男子2人。
といった感じの3班の様子を、1名を除いた5班の班員全員が確認する。
守里: あの様子だと、僕達が最後になることはないかな笑
美月: うん笑
陽芽叶: 早く決めちゃおう。
春時: じゃあ、まずは…
川嶋: …
春時: 川嶋さ…
川嶋: ジー
春時: 志帆さ…
川嶋: ジー
春時: …志帆。祐希を起こしてくれない?
川嶋: 了解笑
え、今の怖っ…
あの強引な後輩達とは全く違う、別物…
凍りつくような視線と雰囲気…
春時よ、よく頑張ったな。
祐希: zzzzz
席を立った笑顔の川嶋は、向かい側に座る祐希の耳元に顔を近づけ…
川嶋: 起きなさい。
と、一言。
すると…
祐希: っ!!はい!起きます!!
守里: あの祐希が、一度の呼び掛けで起きた…だと?……
春時: さすが川嶋…
川嶋: …
春時: し、志帆。
美月: これからは、祐希のお世話係は志帆が適任だね!
守里: 任せたよ、志帆。
祐希: え~守里じゃなくなったら、誰が祐希を運ぶの?
美月: 運ぶ?寝てる祐希を、おんぶしてってこと?
祐希: もちろん!ドヤァ
春時: いやなんで、そこで祐希はドヤ顔笑
美月: クッ(羨ましい…渋々にしろ、守里が自らやるおんぶは希少なんだよね…)
陽芽叶: おんぶ…か…
川嶋: 自分で歩け!
祐希: …眠たい時は眠たいんだもん!!良いよね!守里!!
机に乗り出して、守里の目を見る祐希。
守里: そんな必死に言わなくても…笑、はいはい。今はとりあえず、班長決めだよ。
祐希: やった~OKもらった~
川嶋: 守里もそんな甘やかさないの……はぁ、言っても無駄か。よし、切り替えよう。誰がやる?
美月: さすが委員長、切り替え早すぎ笑
陽芽叶: だね笑
春時: 班長決めって言っても、既に決まってるようなもんだろ。
守里: まぁ、そうなんだけど笑
川嶋: え?
美月: 志帆だよ。
川嶋: 私?!
祐希: うんうん。
守里: この中で1番リーダーシップがあるのは、志帆だし、実際、学級委員としてクラスをまとめてるわけだしね。
春時: 守里でもありだが、このメンツだと不安だ笑
そう言って、美月と祐希を見る。
美月: なんで私を見るの?
祐希: そうだよ!
春時: だって、守里は2人に比較的弱いから。
美月: そうなの?守里笑
祐希: 弱いの?
守里: あ、えーっと…
春時: (美月は守里の家族だし、祐希はずっと面倒を見てきた相手だからな。日向子とか飛香と比べても、美月と祐希のわがままは、守里に通りやすい。)
陽芽叶: 守里が美月ちゃんと祐希ちゃんに弱いかどうかは、一旦置いといて、志帆ちゃんは、班長やりたい?
守里: そうそう!まずはそれを聞かないと。
美月と祐希の追求に答えあぐねていた守里は、陽芽叶の川嶋への投げかけに、勢いよく乗っかる。
川嶋: みんなが良いよって言ってくれるなら、やりたい。
守里: 分かった。なら…
春時: か…志帆が班長で決定だな!
美月: うん!
祐希: よっ!班長!
陽芽叶: お願いね。
川嶋: 笑、じゃあ任されました。ってことで、早速剣崎先生のところに行ってくる。
守里: よろしく。
川嶋は班長になったという剣崎への報告をかねて、教壇の上にある資料を取りに行った。
守里: みんな、京都で絶対に行きたい場所とかある?
美月: 京都か~
春時: やっぱ、歴史で習った有名どころには行っときたいよな。
美月: たとえば?
春時: 金閣、銀閣。
陽芽叶: 金閣寺と銀閣寺か。1回見ときたい気持ちは分かる笑
春時: だろ?笑
守里: 祐希は?
また祐希が寝てしまわないよう、気がけて質問を投げる。
祐希: う~んとね…
美月: 教科書に載ってたので、実際に見たいものとかないの?
祐希: ………覚えてない。
美月: やっぱり?笑
守里: はぁ…また今度のテストでだな。
祐希: 頑張ります!!
陽芽叶: 笑
美月: 陽芽叶ちゃんは?
陽芽叶: 私はね…
川嶋: あんまりたくさんは回れないよ。
資料を取ってきた川嶋が、席に座りながら言う。
川嶋: 自由行動の時間は、一日あたり8時間。行く場所にもよるけど、移動時間とか混み具合を考慮して、1箇所見て回るのに1時間かけると考えると、一日に行けるのは、多くて5箇所。
守里: 志帆、ありがとう。
美月: ありがとう!
陽芽叶: ありがとうね。
川嶋: いえいえ。で、どこ行きたいとか話した?
守里: うん。春時が金閣寺と銀閣寺に行きたいだって。
川嶋: 代表的な2つだね笑
春時: 特に金閣寺は見たい。実際にまっ金金らしいし。
美月: それで言うと、銀閣寺は銀じゃないもんね。
祐希: え…そうなの…
守里: …
川嶋: …
陽芽叶: 笑、私は清水寺に行きたい。
川嶋: 清水寺?良いね。私も行きたい。
守里: じゃあ、このマップに印をつけとくか。
京都のマップの中の金閣寺、銀閣寺、清水寺に丸をつける。
美月: あ、結構離れてる…
守里: ほんとだ。
川嶋: まぁ、今は行きたいところを挙げていこう。
守里: そうだね。
そうして、守里達は、各自で資料を読み始めた。
一方、3班は…
日向子: いつまで会議を続けるんだ…
それっぽいポーズで、真剣な表情をしつつ、他の面々に問いかける日向子。
飛香: いや、アンタがいつまでそれを続けるのよ。
日向子: ……え~~なんか、っぽいでしょ?!だから、これをやりたかったの!!
東野: まさに、会議は踊る、されど進まずだね!
飛香: いや、澪奈も楽しんでたじゃん。
東野: まぁまぁ笑。それで、早く班長を決めないと。
飛香: はぁ…
秋吉: みなみ、飛香がいいと思う!
東野: うん。私も。日向子は?
日向子: 賛成!!
東野: 男子達はどう?
3班男子1: 賛成だ!
3班男子2: 同じく。
東野: ってことで、飛香、良い?
飛香: ……うん。
日向子: じゃあ、あっしゅんよろしく!!
秋吉: よろしくね。
3班男子1: よろしく!
3班男子2: 任せた。
飛香: …先生に言いに行ってくる。(さっきまでの時間はなんだったんだよ!もう!)
と、ようやく班長が決まった。
その頃、守里達5班は、未だに誰も行きたいところを挙げることなく、各々で資料をじっくりと読んでいた。
春時: う~ん…
美月: …
陽芽叶: …
川嶋: チラッチラッ
祐希: …ウトウト
守里: 祐希、行きたい場所、見つからない?
祐希: はっ…そうだな~空気の気持ちいいところに行きたい。
その発言に、全員が、読んでいた資料から目を離し、顔を上げる。
川嶋: 空気の気持ちいいところ?となると、山の方…
美月: 京都で山って言ったら、嵐山じゃない?
川嶋: 確かに。
守里: 嵐山って言うと……渡月橋か。
陽芽叶: あとは、たくさん竹が生えてる道。
川嶋: 竹林の小径ね笑
春時: え、なんだそれ。気になる。
美月: ここだよ。
嵐山の観光名所が載っている資料を持っていた美月が、春時にそれを渡す。
春時: へぇ~こんなところが……なんか良いな。行きたい。
祐希: 見せて~
春時: ほら…
祐希: お、気持ちよさそう!祐希も行きたい!
川嶋: なら、嵐山も候補に……でもそうなると、一日費やさないと、時間がキツそうだね。
守里: 2日目に嵐山の名所を回って、3日目に金閣とか回ったら?
川嶋: まぁ他に、宿泊場所近くの京都駅から離れた場所に行きたい所がなければ、大丈夫。
美月: そうなると、丸一日、嵐山を回ることになるから…
春時: 嵐山の観光名所で行く場所を決めるか。
守里: みんなが、僕の出した案に賛成なら、そうだね。
祐希: さんせ~い!
春時: 俺も。
陽芽叶: 私も賛成だよ。
美月: うん。
川嶋: なら、そうしよっか。2日目に嵐山、3日目にその他の場所ってことで。
守里: 嵐山は、渡月橋、竹林の小径が確定で、あとは…
祐希: 祐希、このトロッコに乗りたい!
守里: トロッコ?
春時: 多分この、嵯峨野トロッコ列車だろ。
資料を指さしながら、みんなに見せる。
祐希: うん!
守里: へぇ~
陽芽叶: 紅葉も綺麗そう。
美月: 祐希、ナイスアイデア!
祐希: でしょ笑
川嶋: それも決定しよう。他は……私は、天龍寺に行きたいかな。
守里: 紅葉を見るってことなら、この常寂光寺とか良いんじゃない?
祐希の言葉きっかけで話が盛り上がった守里達は、嵐山のマップを見ながら、各々が行きたい場所を言う。
春時: 天龍寺に、常寂光寺か。
美月: 京都駅から嵐山に行く時間と、トロッコの時間を考えると……あと追加できて、この辺の近くで1つかな。
と言いながら、美月は嵐山の資料を読む。
美月: …ん?………よし、野宮神社に行こう。
春時: 野宮神社?あぁ、この竹林の小径を抜けた先にある神社か。
美月: そうそう。絶対に行こうね!!
守里: 分かったから笑
川嶋: …笑(なるほどね、ご利益目当てか。ほんと可愛いんだから笑)
陽芽叶: となると、嵐山で行くのは、渡月橋、竹林の小径、嵯峨野トロッコ、常寂光寺、天龍寺、野宮神社かな。
川嶋: 時間、ギリギリになるかもね。
守里: まぁ、一旦スケジュールに書いてみよう。
美月: うん。
そうして、守里達はマップを見ながら、予定を立てて行き…
守里: 2日目はこんな感じかな。
川嶋: だね。トロッコ乗って、常寂光寺から下に行く方向で。お昼ご飯は行ってみてから考えよう。
美月: うん。
祐希: お昼ご飯~
陽芽叶: 笑、お腹すいたの?まだ二限だよ。
春時: よし、3日目を考えるか。
川嶋: 今のところ候補に上がってるのは、金閣寺、銀閣寺、清水寺か。
美月: どうやら、ここら辺は混むらしいから、この3つを回るだけで、3日目終わりそうじゃない?
守里: 確かに…
川嶋: 他に候補が上がらないなら、それでもいいけど…
祐希: あ、見てこれ。美容水だって。
お昼ご飯に何を食べるかを考えつつ、目の前にあった資料をなんとなく読んでいた祐希が、面白そうなワードを見つけた。
美月: 美容水?気になる。
そして、すぐにそのワードに反応した美月は、祐希が手に持っていた資料を覗き込む。
祐希: ほら、これ。はちさか?神社。
川嶋: 笑、八坂神社のことかな。
美月: …私、ここに行きたい!!
陽芽叶: 美容か~私も気になるな~
春時: やっぱり、女子はみんな食いつくか。そのワードに笑
守里: じゃあ、志帆も?
川嶋: あら、私は美容に興味が無くて、女子っぽくないって言いたいのかしら?笑
守里: いやいや、そんなことないから。
春時: 志帆もめちゃくちゃ興味あるんだよな!
川嶋: そりゃもちろん笑。ってことで、八坂神社に、みんな行きたいわけね。
美月: はい!!
陽芽叶: うん。
祐希: 祐希は別に…
守里: 笑、なら八坂神社にも行くことにしよう。でも、そうなると…
春時: 金閣寺は外せないが、銀閣寺は別に行かなくてもいいぞ。
守里: 春時、良いの?
春時: あぁ。だって銀色じゃないし。
美月: そこ?笑
川嶋: ありがとう、春時。
陽芽叶: ありがとうね。
春時: 笑、よし、予定組もう。
守里: うん。
10分後…
川嶋: 完成かな。
守里: うん。
5班の修学旅行2日目、3日目のスケジュールが決定した。
美月: 今日中に決まっちゃったね。
陽芽叶: だね笑
祐希: ふぅ~やっと寝れる…
川嶋: …
祐希: いや、違った。
川嶋: まぁ別に良いんじゃない?二限が終わるまでは。
祐希: やった!おやすみ…zzz
陽芽叶: はっや笑
春時: 一種の才能だ笑
守里: 笑、ならこの予定表を先生に見せに行かないと。
川嶋: 私が行ってくる。
守里: うん、よろしく。
美月: よろしく!班長!
川嶋: は~い。
こうして、守里達5班の自由行動の予定が、正式に決まったのだった。
to be continued
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