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第6章 修学旅行編

第178話「どこに行くかを決める時間」

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各班に分かれて、修学旅行の自由行動で、どこに行くかを決める時間。

対角側にいる春時と川嶋に聞こえないように、隣合った席で、守里と陽芽叶が話していると…



美月: ちょっと、なに2人で楽しそうにコソコソ話をしているんですか?!



陽芽叶の向かい側にいた美月が割り込む。



守里: 笑、大したことじゃないよ。


美月: 私も入れて!


陽芽叶: あの2人が面白いよねって話。


美月: あの2人?


春時: は?俺のことか?


川嶋: 私?


守里: まぁまぁ笑。今は班長決めしないと。



本人達に話を聞かれ、マズいと思った守里は、すぐに話を切り替える。



陽芽叶: 笑、そうだね。


春時: 今さっきの話は気になるが、しょうがない。時間もないしな。


川嶋: 他の班は続々と決まっていってるみたいだし。


美月: あ、でも3班はまだ決まってないみたいだよ笑



ドラマでよくある会議のノリをやる日向子と、そのノリにウキウキで乗った東野と秋吉。

そしてその様子をただ眺める飛香と、そんな女子達に少し引いている男子2人。


といった感じの3班の様子を、1名を除いた5班の班員全員が確認する。



守里: あの様子だと、僕達が最後になることはないかな笑


美月: うん笑


陽芽叶: 早く決めちゃおう。


春時: じゃあ、まずは…


川嶋: …


春時: 川嶋さ…


川嶋: ジー


春時: 志帆さ…


川嶋: ジー


春時: …志帆。祐希を起こしてくれない?


川嶋: 了解笑



え、今の怖っ…


あの強引な後輩達とは全く違う、別物…

凍りつくような視線と雰囲気…


春時よ、よく頑張ったな。



祐希: zzzzz



席を立った笑顔の川嶋は、向かい側に座る祐希の耳元に顔を近づけ…



川嶋: 起きなさい。



と、一言。

すると…



祐希: っ!!はい!起きます!!


守里: あの祐希が、一度の呼び掛けで起きた…だと?……


春時: さすが川嶋…


川嶋: …


春時: し、志帆。


美月: これからは、祐希のお世話係は志帆が適任だね!


守里: 任せたよ、志帆。


祐希: え~守里じゃなくなったら、誰が祐希を運ぶの?


美月: 運ぶ?寝てる祐希を、おんぶしてってこと?


祐希: もちろん!ドヤァ


春時: いやなんで、そこで祐希はドヤ顔笑


美月: クッ(羨ましい…渋々にしろ、守里が自らやるおんぶは希少なんだよね…)


陽芽叶: おんぶ…か…


川嶋: 自分で歩け!


祐希: …眠たい時は眠たいんだもん!!良いよね!守里!!



机に乗り出して、守里の目を見る祐希。



守里: そんな必死に言わなくても…笑、はいはい。今はとりあえず、班長決めだよ。


祐希: やった~OKもらった~


川嶋: 守里もそんな甘やかさないの……はぁ、言っても無駄か。よし、切り替えよう。誰がやる?


美月: さすが委員長、切り替え早すぎ笑


陽芽叶: だね笑


春時: 班長決めって言っても、既に決まってるようなもんだろ。


守里: まぁ、そうなんだけど笑


川嶋: え?


美月: 志帆だよ。


川嶋: 私?!


祐希: うんうん。


守里: この中で1番リーダーシップがあるのは、志帆だし、実際、学級委員としてクラスをまとめてるわけだしね。


春時: 守里でもありだが、このメンツだと不安だ笑



そう言って、美月と祐希を見る。



美月: なんで私を見るの?


祐希: そうだよ!


春時: だって、守里は2人に比較的弱いから。


美月: そうなの?守里笑


祐希: 弱いの?


守里: あ、えーっと…


春時: (美月は守里の家族だし、祐希はずっと面倒を見てきた相手だからな。日向子とか飛香と比べても、美月と祐希のわがままは、守里に通りやすい。)


陽芽叶: 守里が美月ちゃんと祐希ちゃんに弱いかどうかは、一旦置いといて、志帆ちゃんは、班長やりたい?


守里: そうそう!まずはそれを聞かないと。



美月と祐希の追求に答えあぐねていた守里は、陽芽叶の川嶋への投げかけに、勢いよく乗っかる。



川嶋: みんなが良いよって言ってくれるなら、やりたい。


守里: 分かった。なら…


春時: か…志帆が班長で決定だな!


美月: うん!


祐希: よっ!班長!


陽芽叶: お願いね。


川嶋: 笑、じゃあ任されました。ってことで、早速剣崎先生のところに行ってくる。


守里: よろしく。



川嶋は班長になったという剣崎への報告をかねて、教壇の上にある資料を取りに行った。



守里: みんな、京都で絶対に行きたい場所とかある?


美月: 京都か~


春時: やっぱ、歴史で習った有名どころには行っときたいよな。


美月: たとえば?


春時: 金閣、銀閣。


陽芽叶: 金閣寺と銀閣寺か。1回見ときたい気持ちは分かる笑


春時: だろ?笑


守里: 祐希は?



また祐希が寝てしまわないよう、気がけて質問を投げる。



祐希: う~んとね…


美月: 教科書に載ってたので、実際に見たいものとかないの?


祐希: ………覚えてない。


美月: やっぱり?笑


守里: はぁ…また今度のテストでだな。


祐希: 頑張ります!!


陽芽叶: 笑


美月: 陽芽叶ちゃんは?


陽芽叶: 私はね…


川嶋: あんまりたくさんは回れないよ。



資料を取ってきた川嶋が、席に座りながら言う。



川嶋: 自由行動の時間は、一日あたり8時間。行く場所にもよるけど、移動時間とか混み具合を考慮して、1箇所見て回るのに1時間かけると考えると、一日に行けるのは、多くて5箇所。


守里: 志帆、ありがとう。


美月: ありがとう!


陽芽叶: ありがとうね。


川嶋: いえいえ。で、どこ行きたいとか話した?


守里: うん。春時が金閣寺と銀閣寺に行きたいだって。


川嶋: 代表的な2つだね笑


春時: 特に金閣寺は見たい。実際にまっ金金らしいし。


美月: それで言うと、銀閣寺は銀じゃないもんね。


祐希: え…そうなの…


守里: …


川嶋: …


陽芽叶: 笑、私は清水寺に行きたい。


川嶋: 清水寺?良いね。私も行きたい。


守里: じゃあ、このマップに印をつけとくか。



京都のマップの中の金閣寺、銀閣寺、清水寺に丸をつける。



美月: あ、結構離れてる…


守里: ほんとだ。


川嶋: まぁ、今は行きたいところを挙げていこう。


守里: そうだね。



そうして、守里達は、各自で資料を読み始めた。


一方、3班は…



日向子: いつまで会議を続けるんだ…



それっぽいポーズで、真剣な表情をしつつ、他の面々に問いかける日向子。



飛香: いや、アンタがいつまでそれを続けるのよ。


日向子: ……え~~なんか、っぽいでしょ?!だから、これをやりたかったの!!


東野: まさに、会議は踊る、されど進まずだね!


飛香: いや、澪奈も楽しんでたじゃん。


東野: まぁまぁ笑。それで、早く班長を決めないと。


飛香: はぁ…


秋吉: みなみ、飛香がいいと思う!


東野: うん。私も。日向子は?


日向子: 賛成!!


東野: 男子達はどう?


3班男子1: 賛成だ!


3班男子2: 同じく。


東野: ってことで、飛香、良い?


飛香: ……うん。


日向子: じゃあ、あっしゅんよろしく!!


秋吉: よろしくね。


3班男子1: よろしく!


3班男子2: 任せた。


飛香: …先生に言いに行ってくる。(さっきまでの時間はなんだったんだよ!もう!)



と、ようやく班長が決まった。




その頃、守里達5班は、未だに誰も行きたいところを挙げることなく、各々で資料をじっくりと読んでいた。



春時: う~ん…


美月: …


陽芽叶: …


川嶋: チラッチラッ


祐希: …ウトウト


守里: 祐希、行きたい場所、見つからない?


祐希: はっ…そうだな~空気の気持ちいいところに行きたい。



その発言に、全員が、読んでいた資料から目を離し、顔を上げる。



川嶋: 空気の気持ちいいところ?となると、山の方…


美月: 京都で山って言ったら、嵐山じゃない?


川嶋: 確かに。


守里: 嵐山って言うと……渡月橋か。


陽芽叶: あとは、たくさん竹が生えてる道。


川嶋: 竹林の小径ね笑


春時: え、なんだそれ。気になる。


美月: ここだよ。



嵐山の観光名所が載っている資料を持っていた美月が、春時にそれを渡す。



春時: へぇ~こんなところが……なんか良いな。行きたい。


祐希: 見せて~


春時: ほら…


祐希: お、気持ちよさそう!祐希も行きたい!


川嶋: なら、嵐山も候補に……でもそうなると、一日費やさないと、時間がキツそうだね。


守里: 2日目に嵐山の名所を回って、3日目に金閣とか回ったら?


川嶋: まぁ他に、宿泊場所近くの京都駅から離れた場所に行きたい所がなければ、大丈夫。


美月: そうなると、丸一日、嵐山を回ることになるから…


春時: 嵐山の観光名所で行く場所を決めるか。


守里: みんなが、僕の出した案に賛成なら、そうだね。


祐希: さんせ~い!


春時: 俺も。


陽芽叶: 私も賛成だよ。


美月: うん。


川嶋: なら、そうしよっか。2日目に嵐山、3日目にその他の場所ってことで。


守里: 嵐山は、渡月橋、竹林の小径が確定で、あとは…


祐希: 祐希、このトロッコに乗りたい!


守里: トロッコ?


春時: 多分この、嵯峨野トロッコ列車だろ。



資料を指さしながら、みんなに見せる。



祐希: うん!


守里: へぇ~


陽芽叶: 紅葉も綺麗そう。


美月: 祐希、ナイスアイデア!


祐希: でしょ笑


川嶋: それも決定しよう。他は……私は、天龍寺に行きたいかな。


守里: 紅葉を見るってことなら、この常寂光寺とか良いんじゃない?



祐希の言葉きっかけで話が盛り上がった守里達は、嵐山のマップを見ながら、各々が行きたい場所を言う。



春時: 天龍寺に、常寂光寺か。


美月: 京都駅から嵐山に行く時間と、トロッコの時間を考えると……あと追加できて、この辺の近くで1つかな。



と言いながら、美月は嵐山の資料を読む。



美月: …ん?………よし、野宮神社に行こう。


春時: 野宮神社?あぁ、この竹林の小径を抜けた先にある神社か。


美月: そうそう。絶対に行こうね!!


守里: 分かったから笑


川嶋: …笑(なるほどね、ご利益目当てか。ほんと可愛いんだから笑)


陽芽叶: となると、嵐山で行くのは、渡月橋、竹林の小径、嵯峨野トロッコ、常寂光寺、天龍寺、野宮神社かな。


川嶋: 時間、ギリギリになるかもね。


守里: まぁ、一旦スケジュールに書いてみよう。


美月: うん。



そうして、守里達はマップを見ながら、予定を立てて行き…



守里: 2日目はこんな感じかな。


川嶋: だね。トロッコ乗って、常寂光寺から下に行く方向で。お昼ご飯は行ってみてから考えよう。


美月: うん。


祐希: お昼ご飯~


陽芽叶: 笑、お腹すいたの?まだ二限だよ。


春時: よし、3日目を考えるか。


川嶋: 今のところ候補に上がってるのは、金閣寺、銀閣寺、清水寺か。


美月: どうやら、ここら辺は混むらしいから、この3つを回るだけで、3日目終わりそうじゃない?


守里: 確かに…


川嶋: 他に候補が上がらないなら、それでもいいけど…


祐希: あ、見てこれ。美容水だって。



お昼ご飯に何を食べるかを考えつつ、目の前にあった資料をなんとなく読んでいた祐希が、面白そうなワードを見つけた。



美月: 美容水?気になる。



そして、すぐにそのワードに反応した美月は、祐希が手に持っていた資料を覗き込む。



祐希: ほら、これ。はちさか?神社。


川嶋: 笑、八坂神社のことかな。


美月: …私、ここに行きたい!!


陽芽叶: 美容か~私も気になるな~


春時: やっぱり、女子はみんな食いつくか。そのワードに笑


守里: じゃあ、志帆も?


川嶋: あら、私は美容に興味が無くて、女子っぽくないって言いたいのかしら?笑


守里: いやいや、そんなことないから。


春時: 志帆もめちゃくちゃ興味あるんだよな!


川嶋: そりゃもちろん笑。ってことで、八坂神社に、みんな行きたいわけね。


美月: はい!!


陽芽叶: うん。


祐希: 祐希は別に…


守里: 笑、なら八坂神社にも行くことにしよう。でも、そうなると…


春時: 金閣寺は外せないが、銀閣寺は別に行かなくてもいいぞ。


守里: 春時、良いの?


春時: あぁ。だって銀色じゃないし。


美月: そこ?笑


川嶋: ありがとう、春時。


陽芽叶: ありがとうね。


春時: 笑、よし、予定組もう。


守里: うん。




10分後…



川嶋: 完成かな。


守里: うん。



5班の修学旅行2日目、3日目のスケジュールが決定した。



美月: 今日中に決まっちゃったね。


陽芽叶: だね笑


祐希: ふぅ~やっと寝れる…


川嶋: …


祐希: いや、違った。


川嶋: まぁ別に良いんじゃない?二限が終わるまでは。


祐希: やった!おやすみ…zzz


陽芽叶: はっや笑


春時: 一種の才能だ笑


守里: 笑、ならこの予定表を先生に見せに行かないと。


川嶋: 私が行ってくる。


守里: うん、よろしく。


美月: よろしく!班長!


川嶋: は~い。



こうして、守里達5班の自由行動の予定が、正式に決まったのだった。




to be continued

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