上 下
178 / 336
第6章 修学旅行編

第178話「どこに行くかを決める時間」

しおりを挟む
各班に分かれて、修学旅行の自由行動で、どこに行くかを決める時間。

対角側にいる春時と川嶋に聞こえないように、隣合った席で、守里と陽芽叶が話していると…



美月: ちょっと、なに2人で楽しそうにコソコソ話をしているんですか?!



陽芽叶の向かい側にいた美月が割り込む。



守里: 笑、大したことじゃないよ。


美月: 私も入れて!


陽芽叶: あの2人が面白いよねって話。


美月: あの2人?


春時: は?俺のことか?


川嶋: 私?


守里: まぁまぁ笑。今は班長決めしないと。



本人達に話を聞かれ、マズいと思った守里は、すぐに話を切り替える。



陽芽叶: 笑、そうだね。


春時: 今さっきの話は気になるが、しょうがない。時間もないしな。


川嶋: 他の班は続々と決まっていってるみたいだし。


美月: あ、でも3班はまだ決まってないみたいだよ笑



ドラマでよくある会議のノリをやる日向子と、そのノリにウキウキで乗った東野と秋吉。

そしてその様子をただ眺める飛香と、そんな女子達に少し引いている男子2人。


といった感じの3班の様子を、1名を除いた5班の班員全員が確認する。



守里: あの様子だと、僕達が最後になることはないかな笑


美月: うん笑


陽芽叶: 早く決めちゃおう。


春時: じゃあ、まずは…


川嶋: …


春時: 川嶋さ…


川嶋: ジー


春時: 志帆さ…


川嶋: ジー


春時: …志帆。祐希を起こしてくれない?


川嶋: 了解笑



え、今の怖っ…


あの強引な後輩達とは全く違う、別物…

凍りつくような視線と雰囲気…


春時よ、よく頑張ったな。



祐希: zzzzz



席を立った笑顔の川嶋は、向かい側に座る祐希の耳元に顔を近づけ…



川嶋: 起きなさい。



と、一言。

すると…



祐希: っ!!はい!起きます!!


守里: あの祐希が、一度の呼び掛けで起きた…だと?……


春時: さすが川嶋…


川嶋: …


春時: し、志帆。


美月: これからは、祐希のお世話係は志帆が適任だね!


守里: 任せたよ、志帆。


祐希: え~守里じゃなくなったら、誰が祐希を運ぶの?


美月: 運ぶ?寝てる祐希を、おんぶしてってこと?


祐希: もちろん!ドヤァ


春時: いやなんで、そこで祐希はドヤ顔笑


美月: クッ(羨ましい…渋々にしろ、守里が自らやるおんぶは希少なんだよね…)


陽芽叶: おんぶ…か…


川嶋: 自分で歩け!


祐希: …眠たい時は眠たいんだもん!!良いよね!守里!!



机に乗り出して、守里の目を見る祐希。



守里: そんな必死に言わなくても…笑、はいはい。今はとりあえず、班長決めだよ。


祐希: やった~OKもらった~


川嶋: 守里もそんな甘やかさないの……はぁ、言っても無駄か。よし、切り替えよう。誰がやる?


美月: さすが委員長、切り替え早すぎ笑


陽芽叶: だね笑


春時: 班長決めって言っても、既に決まってるようなもんだろ。


守里: まぁ、そうなんだけど笑


川嶋: え?


美月: 志帆だよ。


川嶋: 私?!


祐希: うんうん。


守里: この中で1番リーダーシップがあるのは、志帆だし、実際、学級委員としてクラスをまとめてるわけだしね。


春時: 守里でもありだが、このメンツだと不安だ笑



そう言って、美月と祐希を見る。



美月: なんで私を見るの?


祐希: そうだよ!


春時: だって、守里は2人に比較的弱いから。


美月: そうなの?守里笑


祐希: 弱いの?


守里: あ、えーっと…


春時: (美月は守里の家族だし、祐希はずっと面倒を見てきた相手だからな。日向子とか飛香と比べても、美月と祐希のわがままは、守里に通りやすい。)


陽芽叶: 守里が美月ちゃんと祐希ちゃんに弱いかどうかは、一旦置いといて、志帆ちゃんは、班長やりたい?


守里: そうそう!まずはそれを聞かないと。



美月と祐希の追求に答えあぐねていた守里は、陽芽叶の川嶋への投げかけに、勢いよく乗っかる。



川嶋: みんなが良いよって言ってくれるなら、やりたい。


守里: 分かった。なら…


春時: か…志帆が班長で決定だな!


美月: うん!


祐希: よっ!班長!


陽芽叶: お願いね。


川嶋: 笑、じゃあ任されました。ってことで、早速剣崎先生のところに行ってくる。


守里: よろしく。



川嶋は班長になったという剣崎への報告をかねて、教壇の上にある資料を取りに行った。



守里: みんな、京都で絶対に行きたい場所とかある?


美月: 京都か~


春時: やっぱ、歴史で習った有名どころには行っときたいよな。


美月: たとえば?


春時: 金閣、銀閣。


陽芽叶: 金閣寺と銀閣寺か。1回見ときたい気持ちは分かる笑


春時: だろ?笑


守里: 祐希は?



また祐希が寝てしまわないよう、気がけて質問を投げる。



祐希: う~んとね…


美月: 教科書に載ってたので、実際に見たいものとかないの?


祐希: ………覚えてない。


美月: やっぱり?笑


守里: はぁ…また今度のテストでだな。


祐希: 頑張ります!!


陽芽叶: 笑


美月: 陽芽叶ちゃんは?


陽芽叶: 私はね…


川嶋: あんまりたくさんは回れないよ。



資料を取ってきた川嶋が、席に座りながら言う。



川嶋: 自由行動の時間は、一日あたり8時間。行く場所にもよるけど、移動時間とか混み具合を考慮して、1箇所見て回るのに1時間かけると考えると、一日に行けるのは、多くて5箇所。


守里: 志帆、ありがとう。


美月: ありがとう!


陽芽叶: ありがとうね。


川嶋: いえいえ。で、どこ行きたいとか話した?


守里: うん。春時が金閣寺と銀閣寺に行きたいだって。


川嶋: 代表的な2つだね笑


春時: 特に金閣寺は見たい。実際にまっ金金らしいし。


美月: それで言うと、銀閣寺は銀じゃないもんね。


祐希: え…そうなの…


守里: …


川嶋: …


陽芽叶: 笑、私は清水寺に行きたい。


川嶋: 清水寺?良いね。私も行きたい。


守里: じゃあ、このマップに印をつけとくか。



京都のマップの中の金閣寺、銀閣寺、清水寺に丸をつける。



美月: あ、結構離れてる…


守里: ほんとだ。


川嶋: まぁ、今は行きたいところを挙げていこう。


守里: そうだね。



そうして、守里達は、各自で資料を読み始めた。


一方、3班は…



日向子: いつまで会議を続けるんだ…



それっぽいポーズで、真剣な表情をしつつ、他の面々に問いかける日向子。



飛香: いや、アンタがいつまでそれを続けるのよ。


日向子: ……え~~なんか、っぽいでしょ?!だから、これをやりたかったの!!


東野: まさに、会議は踊る、されど進まずだね!


飛香: いや、澪奈も楽しんでたじゃん。


東野: まぁまぁ笑。それで、早く班長を決めないと。


飛香: はぁ…


秋吉: みなみ、飛香がいいと思う!


東野: うん。私も。日向子は?


日向子: 賛成!!


東野: 男子達はどう?


3班男子1: 賛成だ!


3班男子2: 同じく。


東野: ってことで、飛香、良い?


飛香: ……うん。


日向子: じゃあ、あっしゅんよろしく!!


秋吉: よろしくね。


3班男子1: よろしく!


3班男子2: 任せた。


飛香: …先生に言いに行ってくる。(さっきまでの時間はなんだったんだよ!もう!)



と、ようやく班長が決まった。




その頃、守里達5班は、未だに誰も行きたいところを挙げることなく、各々で資料をじっくりと読んでいた。



春時: う~ん…


美月: …


陽芽叶: …


川嶋: チラッチラッ


祐希: …ウトウト


守里: 祐希、行きたい場所、見つからない?


祐希: はっ…そうだな~空気の気持ちいいところに行きたい。



その発言に、全員が、読んでいた資料から目を離し、顔を上げる。



川嶋: 空気の気持ちいいところ?となると、山の方…


美月: 京都で山って言ったら、嵐山じゃない?


川嶋: 確かに。


守里: 嵐山って言うと……渡月橋か。


陽芽叶: あとは、たくさん竹が生えてる道。


川嶋: 竹林の小径ね笑


春時: え、なんだそれ。気になる。


美月: ここだよ。



嵐山の観光名所が載っている資料を持っていた美月が、春時にそれを渡す。



春時: へぇ~こんなところが……なんか良いな。行きたい。


祐希: 見せて~


春時: ほら…


祐希: お、気持ちよさそう!祐希も行きたい!


川嶋: なら、嵐山も候補に……でもそうなると、一日費やさないと、時間がキツそうだね。


守里: 2日目に嵐山の名所を回って、3日目に金閣とか回ったら?


川嶋: まぁ他に、宿泊場所近くの京都駅から離れた場所に行きたい所がなければ、大丈夫。


美月: そうなると、丸一日、嵐山を回ることになるから…


春時: 嵐山の観光名所で行く場所を決めるか。


守里: みんなが、僕の出した案に賛成なら、そうだね。


祐希: さんせ~い!


春時: 俺も。


陽芽叶: 私も賛成だよ。


美月: うん。


川嶋: なら、そうしよっか。2日目に嵐山、3日目にその他の場所ってことで。


守里: 嵐山は、渡月橋、竹林の小径が確定で、あとは…


祐希: 祐希、このトロッコに乗りたい!


守里: トロッコ?


春時: 多分この、嵯峨野トロッコ列車だろ。



資料を指さしながら、みんなに見せる。



祐希: うん!


守里: へぇ~


陽芽叶: 紅葉も綺麗そう。


美月: 祐希、ナイスアイデア!


祐希: でしょ笑


川嶋: それも決定しよう。他は……私は、天龍寺に行きたいかな。


守里: 紅葉を見るってことなら、この常寂光寺とか良いんじゃない?



祐希の言葉きっかけで話が盛り上がった守里達は、嵐山のマップを見ながら、各々が行きたい場所を言う。



春時: 天龍寺に、常寂光寺か。


美月: 京都駅から嵐山に行く時間と、トロッコの時間を考えると……あと追加できて、この辺の近くで1つかな。



と言いながら、美月は嵐山の資料を読む。



美月: …ん?………よし、野宮神社に行こう。


春時: 野宮神社?あぁ、この竹林の小径を抜けた先にある神社か。


美月: そうそう。絶対に行こうね!!


守里: 分かったから笑


川嶋: …笑(なるほどね、ご利益目当てか。ほんと可愛いんだから笑)


陽芽叶: となると、嵐山で行くのは、渡月橋、竹林の小径、嵯峨野トロッコ、常寂光寺、天龍寺、野宮神社かな。


川嶋: 時間、ギリギリになるかもね。


守里: まぁ、一旦スケジュールに書いてみよう。


美月: うん。



そうして、守里達はマップを見ながら、予定を立てて行き…



守里: 2日目はこんな感じかな。


川嶋: だね。トロッコ乗って、常寂光寺から下に行く方向で。お昼ご飯は行ってみてから考えよう。


美月: うん。


祐希: お昼ご飯~


陽芽叶: 笑、お腹すいたの?まだ二限だよ。


春時: よし、3日目を考えるか。


川嶋: 今のところ候補に上がってるのは、金閣寺、銀閣寺、清水寺か。


美月: どうやら、ここら辺は混むらしいから、この3つを回るだけで、3日目終わりそうじゃない?


守里: 確かに…


川嶋: 他に候補が上がらないなら、それでもいいけど…


祐希: あ、見てこれ。美容水だって。



お昼ご飯に何を食べるかを考えつつ、目の前にあった資料をなんとなく読んでいた祐希が、面白そうなワードを見つけた。



美月: 美容水?気になる。



そして、すぐにそのワードに反応した美月は、祐希が手に持っていた資料を覗き込む。



祐希: ほら、これ。はちさか?神社。


川嶋: 笑、八坂神社のことかな。


美月: …私、ここに行きたい!!


陽芽叶: 美容か~私も気になるな~


春時: やっぱり、女子はみんな食いつくか。そのワードに笑


守里: じゃあ、志帆も?


川嶋: あら、私は美容に興味が無くて、女子っぽくないって言いたいのかしら?笑


守里: いやいや、そんなことないから。


春時: 志帆もめちゃくちゃ興味あるんだよな!


川嶋: そりゃもちろん笑。ってことで、八坂神社に、みんな行きたいわけね。


美月: はい!!


陽芽叶: うん。


祐希: 祐希は別に…


守里: 笑、なら八坂神社にも行くことにしよう。でも、そうなると…


春時: 金閣寺は外せないが、銀閣寺は別に行かなくてもいいぞ。


守里: 春時、良いの?


春時: あぁ。だって銀色じゃないし。


美月: そこ?笑


川嶋: ありがとう、春時。


陽芽叶: ありがとうね。


春時: 笑、よし、予定組もう。


守里: うん。




10分後…



川嶋: 完成かな。


守里: うん。



5班の修学旅行2日目、3日目のスケジュールが決定した。



美月: 今日中に決まっちゃったね。


陽芽叶: だね笑


祐希: ふぅ~やっと寝れる…


川嶋: …


祐希: いや、違った。


川嶋: まぁ別に良いんじゃない?二限が終わるまでは。


祐希: やった!おやすみ…zzz


陽芽叶: はっや笑


春時: 一種の才能だ笑


守里: 笑、ならこの予定表を先生に見せに行かないと。


川嶋: 私が行ってくる。


守里: うん、よろしく。


美月: よろしく!班長!


川嶋: は~い。



こうして、守里達5班の自由行動の予定が、正式に決まったのだった。




to be continued

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...