ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第6章 修学旅行編

第176話「謎の多い?転校生」

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学校案内を頼まれた守里は、陽芽叶と共に、学校中を歩く。


実習校舎



守里: ここが、実習校舎で、部活動生は部室があるからよく来るんだけど、部活に入らないなら、あんまり来ないかな。来るとしたら、理系科目の実験と美術ぐらい。


陽芽叶: 実験室とか美術室があるの?


守里: うん。1階に実験室があって、2階より上に美術室とか資料室、あと各部室もある。


陽芽叶: 部室…どおりで元気な声がたくさん聞こえるわけだ。


守里: 放課後は特にそうだよ。みんな、頑張ってるんだ。目標に向かって。


陽芽叶: …良いな、そういうの。


守里: 伊藤さんは、どの部活に入りたいとかある?


陽芽叶: あんまり、放課後に時間は取れないから、入らないつもり。


守里: そっか。


陽芽叶: 森崎君も、入ってないんでしょ?


守里: え、うん。そうだけど…


陽芽叶: あぁ、葵波先輩に聞いたんだ。


守里: そういうこと……もしかして、僕のこと、葵波先輩に聞いてたりした?


陽芽叶: うん。少しだけね。


守里: 葵波さんか…なんか変なこととか言ってなかった?笑


陽芽叶: う~ん、特には……そうだな…凄い、優しい人っては聞いてた。


守里: 優しい人か笑


陽芽叶: ほんと、話に聞いてた通り…だったよ。転校生の私に親切にしてくれて。森崎君は優しい人だ。


守里: そう?笑、ありがとう。


陽芽叶: 笑




1時間後…


グラウンドと体育館を一通り回り終わり、再び、実習校舎付近に戻ってきた守里と陽芽叶。



守里: 学校案内はこんなもんかな。


陽芽叶: ありがとう!森崎君!いや、守里って呼んでいい?


守里: え?


陽芽叶: あ、嫌…だったかな。そう呼べるぐらいには、話せたし仲良くなれたと思ったんだけど……ごめん…


守里: 笑、大丈夫だよ。全然、どんな風に呼んでくれても。ちょっといきなりで、びっくりしちゃっただけ。


陽芽叶: それなら良かった。じゃあ、改めて、よろしく!守里!!


守里: うん笑


陽芽叶: 守里も、私のことは下の名前で呼んでいいからね。伊藤なんてたくさんいるんだし。


守里: 分かった。陽芽叶さん。


陽芽叶: …笑、じゃあ今日は本当にありがとう!私は、この後ちょっと用事があるから。バイバイ!


守里: うん。また明日。



そう言って、陽芽叶は実習校舎の中に入って行った。


その後ろ姿を眺める守里。



守里: ?



正門とか裏門、教室校舎じゃなくて、実習校舎?

なんの用があるんだろう…


葵波さんと待ち合わせしてたりするのか?


まぁ、いっか。



守里: ふぅ…よし、祐希起こして帰ろ。


祐希、まだ寝てるかな~


◈◈◈


実習校舎

女子バスケ部部室前



陽芽叶: …



葵波からの情報だと、もうそろそろ部室に戻ってくる時間のはずなんだけど…


それにしても、守里、変わらないな笑

顔立ちも体格も大人っぽくなったけど、あの笑顔は変わらない。


あと、あの優しさも。


嬉しいな~

前みたいに、守里って呼べるようにもなったし。


逆に、守里には早く、陽芽叶って呼んで欲しい…


…まだ時間かかるかな。

記憶は全然思い出されてないみたいだし。


やっぱり、しばらく封じられてた分、そう簡単にはいかないか。



陽芽叶: う~ん…




ビリッ




陽芽叶: あ…



来る。



馬道: 帰りにあそこ寄ろう!あそこ!!


紗耶: いや、あそこってどこ。


馬道: そりゃもちろん、バーガーだよバーガー!!


日向子: 良いね!!お腹空いたし!!


西条: 晩ご飯あるでしょ。帰る前に食べたらさ…


馬道: 食べたら?


日向子: な~に?


西条: 太るよ。


馬道: ガハッッ!!


日向子: ハッ!!


紗耶: …



と、騒がしい声が曲がり角の向こうから聞こえてくる。



西条: ほら、ショック受けてないで、さっさと着替えて帰ろ。


紗耶: そうですね!


日向子: は~い。


馬道: でも、食べたい…


西条: 帰りにジュース奢ってあげるから、それで家まで我慢しな。


馬道: ありがとうございます!!美咲先輩!!


西条: でも早くしないと、気が変わっちゃうかもね~


馬道: 急ぎます!!


西条: いや走るな!


馬道: ん?誰です?



走り出した馬道が一足先に、部室の前に立っている陽芽叶を視界に入れた。



西条: 誰かいるの?


馬道: はい!お姫様みたいな子が!


陽芽叶: お姫様って笑


西条: お姫様?


紗耶: 誰でしょう…


日向子: 早く行こ!



そうして、バスケ部の全員が部室前に集まる。



陽芽叶: 皆さん、お疲れ様です。


西条: あ、いえ…


日向子: 伊藤陽芽叶ちゃんだ!!


陽芽叶: 南雲日向子さんですね。


西条: 日向子の知り合い?


日向子: うちのクラスの転校生!!


西条: あぁ、なんかそんな事言ってたね。


馬道: 先輩ですか!!


紗耶: こんにちは!


陽芽叶: 笑、こんにちは。


西条: それで、バスケ部?それとも日向子に用があるんですか?


陽芽叶: はい。南雲さんに用事があって。


日向子: 私?!


陽芽叶: 着替えた後で良いので、時間をもらっても良いですか?


西条: 日向子、どうなの?


日向子: もちろんOK!!!


陽芽叶: ありがとうございます笑


西条: じゃあ、もうちょっと待っててくれる?すぐに着替えさせるから。


陽芽叶: 分かりました。


西条: ほら、行くよ、日向子。他のみんなも。


「はーい!」


陽芽叶: 笑



さすが、女子バスケ部動物園の管理者。


葵波の情報で聞いてたとおりだ。




数分後…


ガチャ



西条: お待たせ。



制服に着替えたバスケ部員が、荷物を持って部室から出てくる。



西条: それじゃあ、日向子。いってらっしゃい。先に帰ってるからね。


日向子: はーい!!


西条: 伊藤さんも、バイバイ。


紗耶: さようなら。


馬道: また会いましょう!!


陽芽叶: 笑、さようなら。


日向子: バイバイ!!!



他の部員達が、実習校舎を出て行った。



陽芽叶: それじゃあ、行こっか。南雲さん。


日向子: え?うん。どこに行くの?


陽芽叶: 屋上だよ。


日向子: 屋上?


陽芽叶: まぁいいから、来て。


日向子: うん!!



2人は階段を上り、実習校舎の屋上へ。




実習校舎屋上



陽芽叶: ふわぁ~風が気持ちいいね!


日向子: そうだね!!


陽芽叶: 笑


日向子: それで話って何?


陽芽叶: いや、南雲さん…日向子ちゃんと仲良くなりたくてさ。


日向子: なんだ~そんなこと?!


陽芽叶: ごめん、大袈裟すぎたかな。


日向子: 全然大丈夫!!


陽芽叶: ありがと。それで、良い…かな?


日向子: 良いよ!!友達になろう!!



そう言って、日向子は陽芽叶の前に手を差し伸ばす。



「友達になろう!」



陽芽叶: …うん!友達。



その手を握る陽芽叶。



陽芽叶: …解除ボソッ




ボワン




日向子: ん?なんか言った?


陽芽叶: 笑、嬉しいって言ったんだよ。


日向子: そっか!私も嬉しい!!これからよろしく!!


陽芽叶: よろしくね笑、日向子。


日向子: わっ笑!陽芽叶ちゃん!!



より固く、繋いだ手を握る2人。



日向子: ところでさ、気になってたんだけど、陽芽叶ちゃんって、お姫様なの?


陽芽叶: え?お姫様?


日向子: うん!みんなに聞いてって言われたんだ!


陽芽叶: あぁ…



さっき、部室の中で話してたのかな。



陽芽叶: そんなんじゃないよ。普通に一般家庭。


日向子: そっか!みんなに伝えとく!


陽芽叶: 笑、よろしく。


日向子: うん!


陽芽叶: じゃあ、私からも1つ聞いていい?


日向子: なに?!


陽芽叶: …日向子はさ、守里のこと、どう思ってるの?


日向子: え?守里?


陽芽叶: うん。森崎守里。


日向子: 守里か~そうだな~


陽芽叶: …


日向子: 大切な幼なじみで…もはや家族!かな笑


陽芽叶: …笑、なるほど。家族か。


日向子: エヘヘ笑、なんか改めて言うと、恥ずかしいな~


陽芽叶: そっか笑


日向子: それにしても、なんでそんなことを?


陽芽叶: いや、日向子ちゃんと守里は、かなり仲が良いって聞いてたから、気になって。私も守里と友達になれたし。


日向子: え?そうなの?!


陽芽叶: うん。さっきまで、守里に学校案内をしてもらっててね。


日向子: あぁ!そんなこと言ってた!守里!!


陽芽叶: ほんと、助かったよ。


日向子: うんうん、守里、良くやった。


陽芽叶: 笑、これでしたかったお話は終わりだよ。日向子ともお友達になれてよかった。


日向子: なら、一緒に帰ろ!!交流を深めるためにも、バーガーに!!


陽芽叶: ごめん。この後、別の用事があって。


日向子: う~ん、残念だ…じゃあ、また今度ね!!


陽芽叶: うん。バイバイ。


日向子: バイバイ!!!



ガチャ


こうして、日向子は笑顔で手を振りながら、屋上を出て行き、陽芽叶1人が残った。



陽芽叶: …無事、成功。今日やらないといけなかったことは、全部終わったかな……葵波に連絡しないと。



携帯を取り出し、メッセージを送る。



陽芽叶: これからの学校生活、楽しみだな~



1人、夕日を見ながら、陽芽叶は微笑んだ。




to be continued
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