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第6章 修学旅行編

第175話「お姫様みたいな転校生」

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剣崎: じゃあ、転校生ちゃん!入ってきて!



ガラガラ


剣崎の言葉で、教室の扉が開かれ、転校生が教室へ入ってくる。



「お、おぉ…」


「女の子だ!」


「オッフ…」


「お姫様みたい…」



上品な雰囲気を纏う、黒髪ツインテールの女の子が、堂々とした足取りで、教壇の横に向かう。



剣崎: 間に合って良かった笑


??: すみません、遅れてしまって。


剣崎: いやいや、大丈夫よ~


??: 笑、ありがとうございます。


剣崎: 自己紹介、お願いね。



??: はい……私は、"伊藤陽芽叶いとう ひめか"と言います。よろしくお願いします。



そう言って、深くお辞儀をする陽芽叶。


伊藤…陽芽叶?

う~ん、なんか…



陽芽叶: 夏休み前までは、ここから離れたところに住んでたんですが、この辺に引っ越すことになって、転校してきました。皆さん、仲良くしてくださいね笑チラッチラッ


「はい!!」


守里: っ!!……笑



突然、目を合わせられた守里は、驚きつつも笑顔を作る。


なんで、僕を見たんだろう…

いや、気のせいかな笑



剣崎: ってことで、伊藤さんは、あの空いてる席に座って。


陽芽叶: はい。



守里の隣の空席に、陽芽叶が座る。



陽芽叶: 改めて、よろしくニコッ


守里: うん笑、よろしく。


剣崎: 森崎君、色々と頼んだよ。


守里: はい。


剣崎: ということで、すぃぎょうすぃき…ゴホン…始業式に向かう時間になったので、みんな第1体育館に移動してね。


「はい!」



ガラガラ


剣崎が教室を出て、一足先に体育館へと向かった。



川嶋: 廊下に並んで!



学級委員の指示で、生徒も席を立ち、教室を出始める。



守里: ほら、祐希、起きろ。


祐希: ん、う~ん…起きる…zzz



陽芽叶が席に座ったぐらいから寝てしまった祐希を、守里が起こしていると…



陽芽叶: あの、しゅ…森崎君。


守里: ん?あ、伊藤さん、どうしたの?


陽芽叶: 伊藤さんかボソッ……


守里: ?


陽芽叶: その…学校を案内して欲しくて。


守里: 学校案内?別に良いんだけど…剣崎先生にはやってもらわなかったの?


陽芽叶: 今日、色々あって遅刻しちゃってね。その時間が取れなかったんだ。


守里: なるほど。じゃあ、今日の放課後は大丈夫かな?


陽芽叶: うん。大丈夫。


守里: OK。僕が責任を持って、案内するよ笑


陽芽叶: よろしく笑


守里: ちょうど、今日はバイトがないから、良かった。


陽芽叶: バイトやってるの?


守里: うん、そうだよ。


陽芽叶: へぇ~


春時: おい!守里、祐希、あと伊藤さん!急いで!


守里: あ、ごめん、すぐ行く。じゃあ、行こうか。伊藤さん。それと、祐希!


祐希: 分かったから…zzz


守里: ほら、早く!


祐希: うん…zzz


守里: 仕方ない…ヨイショ


祐希: お、おぉ…



祐希の腰を両手で持ち上げ、無理やり椅子と机から、祐希の体を引き離す。



守里: はい、着地。


祐希: なんか、目が覚めた!


守里: それなら、良かった。ほら、並ぶよ。


祐希: うん!


陽芽叶: …


守里: 伊藤さんも、行こ。


陽芽叶: うん。



そうして、守里達は列に並び、体育館へと向かった。


◇◇◇◇


放課後



守里: それじゃあ、伊藤さん、行ける?


陽芽叶: うん。



日向子は部室に走り、美月が飛香や春時と共に帰った後、守里は陽芽叶に学校を案内するために、荷物を持って席を立つ。


もちろんのこと、美月や飛香は難色を示したのだが、案内する人が多すぎても、陽芽叶が困るだろうと春時に言われ、引き下がった。



守里: 教室校舎は案内しなくても問題ないと思うから、まずは特別校舎から行こう。


陽芽叶: それは分かったんだけど…この子は?


祐希: zzzzz


守里: あぁ、コイツは後から僕が起こしに来るから大丈夫。


陽芽叶: なるほど…


守里: 祐希…えっとこのぐ~たら娘の名前は、神田祐希で、コイツは毎日こんな感じだから、慣れてってね笑


陽芽叶: 毎日って、今日みたいにずっと寝てるの?


守里: うん。授業の最初とお昼ご飯の時しか起きないで、放課後、僕達が起こすまではそのままって感じかな笑


陽芽叶: へ、へぇ~逆にすごい…


守里: でしょ笑。もはや才能だよ。


陽芽叶: 全然イメージと違う…


守里: イメージ?


陽芽叶: あ、その、顔のイメージと。ほら、この子かなり美形じゃん。可愛い要素も入ってるけど。


守里: ふ~ん…初めての人からすると、そう感じるのか。僕は小さい頃から一緒だから、よく分かんないや笑


陽芽叶: …


守里: どうしたの?


陽芽叶: …なんでもない笑。学校案内、よろしくね!


守里: 笑、任せて。
 


そうして、守里と陽芽叶は学校内を回り始めた。


◇◇◇


特別校舎2階



守里: ここは、1階に職員室と保健室、図書室。2階より上に生徒会、各委員会の教室と、会議室があるんだ。


陽芽叶: へぇ~森崎君は、何委員会なの?


守里: 僕は、風紀委員だよ。


陽芽叶: 風紀委員か…私は、どこ所属になるのかな?


守里: 多分、今週末の委員会までには、剣崎先生から伝えられると思う。


陽芽叶: うん。


守里: ちなみに、何委員会になりたい?


陽芽叶: そうだな~笑、今のところ、風紀委員になってみたい。


守里: え、大変だよ?


陽芽叶: 笑、そうなんだ。


守里: ちなみに、なんで風紀委員なの?


陽芽叶: まぁ、強いて言うなら…森崎君がいるから…かな?


守里: え?僕?


陽芽叶: 笑、半分冗談だよ。風紀委員には知ってる人が何人かいるから、良いなって思ったんだ。


守里: そういう事ね笑。その知ってる人って、誰か聞いても良い?


陽芽叶: 葵波先輩と渡辺先輩。


守里: 葵波さんと愛衣さん…意外だ…


陽芽叶: 笑、意外だったの?


守里: うん。まだ伊藤さんのことは、あんまり分からないけど、武闘派のあの2人と知り合いだとは思ってなかったから。


陽芽叶: そっか笑


守里: あ、もしかして、伊藤さんって、葵波さんの親戚かなんか?苗字一緒だし。


陽芽叶: そんな感じ。だから、知り合いっていうか、仲良いんだ。


守里: なるほど…そういうことなら、文化委員長の伊藤麻里さんも?


陽芽叶: 知ってるよ。麻里先輩も親戚。


守里: へぇ~世間は狭いというか、なんというか…


陽芽叶: でも、私は風紀委員にはならなさそう。


守里: なんで?


陽芽叶: 私、荒事得意じゃないし。


守里: 笑、確かに荒事もあるけど、そればっかりじゃないよ。


陽芽叶: え?そうなの?葵波先輩は、そういう荒事ばっかりみたいなことを言ってたけど。


守里: あの人は特殊だから笑


陽芽叶: ふ~ん…それでも、私に風紀委員はさせてくれないだろうなボソッ


守里: 笑、まぁ、所属する委員会を発表されるまで、楽しみに待っといてよ。


陽芽叶: そうだね笑


守里: よし、4階まで行った後、1階に降りて、実習校舎に行こうかな。


陽芽叶: うん。



守里は、陽芽叶に何の部屋があるのかを紹介しながら特別校舎を回る。




生徒会室



七星: あれ、誰なん?



偶然、守里と陽芽叶が2人で歩いているところを目撃した七星が、生徒会室で他の役員に聞く。



櫻宮: あれ?


七星: 今、守里と一緒に歩いてる女の子や。黒髪ツインテールの。


櫻宮: 守里と?


中谷: あ、例の転校生の子じゃない?二学期から、2年1組に来た子。


灰崎: 黒髪ツインテールということなら、そうだと思いますよ。


七星: 転校生…名前は確か…


倉田: 伊藤陽芽叶さんです。


七星: そうや、伊藤陽芽叶。


櫻宮: なんで、そんなに気になってるの?笑


七星: いや、別に…


鹿川: もしかして!大好きな後輩に引っ付く女だからですか!!!


七星: は?


中谷: まゆちゃん、言い方笑


倉田: 言葉遣いが汚い。


灰崎: まぁまぁ、そこまで言わないの。倉田さん。


櫻宮: でも、まゆちゃんの言ってることも、あながち間違ってないんじゃない?笑


七星: ただ、気になっただけや。


櫻宮: ふ~ん…笑


七星: なんや、その顔。


櫻宮: べっつに~笑


中谷: そんなにその子のことを知りたいんなら、葵波か麻里に聞いたら?


七星: なんで、その2人なん?


中谷: だって、親戚ってデータに書いてるし。



パソコンの画面に映した伊藤陽芽叶の生徒情報を見ながら、そう言う。



七星: …ちょっと見せてみ。


中谷: 別に良いけど…



中谷の隣から、生徒情報を覗き込む七星。



七星: …


櫻宮: なぁちゃんが、そこまで人に興味を持つのは珍しいね。


灰崎: 確かに。副会長は、他人に興味持つタイプじゃないですし…


倉田: 伊藤さんに、なにか気になる部分でもあるんじゃないですか?


櫻宮: う~ん、別に変なところは無いと思うんだけどな~生徒情報を見た感じも、実際に見た印象も。


鹿川: 変なところって言えば、陽芽叶ちゃんって、凄いお姫様感ありますよね!!


櫻宮: 言われてみれば。育ちが良いのかもね。


中谷: 髪型も巻きツインだし笑


灰崎: そこですか笑


中谷: それに、顔も2次元から出てきたような感じ…


鹿川: 可愛いです!


櫻宮: 笑…よし、そろそろ仕事を再開しようか。


倉田: そうですね。


中谷: はーい。


鹿川: 了解です!!


灰崎: 分かりました。


七星: …



未だに、中谷のパソコンの画面を見ながら、何かを考えている七星。



櫻宮: …七星。今は仕事だよ。


七星: っ!!…分かった。


櫻宮: 笑、2年生は修学旅行の準備、3年生は文化祭の準備ね。みんな、頑張ろう!


「はい!!」




to be continued


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