ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第5章 夏休み編

第170話「あざとモンスターの誕生?」

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見回りの途中で、カフェBINGO!に寄った守里と美月。



守里: う~ん、やっぱ息合い過ぎだよな…



注文をして、料理が到着するまでの間ずっと、奈々未と七星のホールでの動きを見ていた守里が、そう呟く。



美月: …


守里: …


美月: …そうだね……でもさ…


守里: ん?


美月: 向かいに私が座ってるのにさ!


守里: どうしたの?美月。


美月: ムー


守里: え?なんで怒ってるの。


美月: フンッ!


守里: ?


奈々未: あらあら笑


七星: 守里笑



働きつつも、守里と美月の様子を見ていた2人。



店長: (森崎君は、乙女心が分かってないな~)



そして、キッチンにいる店長も見ていた。



守里: え~なんか僕、悪いことした?


美月: 知らない!プイッ


店長: 橘さん。これ、森崎君のとこに。あとアドバイスを笑


奈々未: 笑、了解です。鈍感過ぎる後輩のために。


七星: 先輩、よろしくお願いします笑


奈々未: はーい。



守里達が注文した料理を持って、奈々未が守里達のテーブルへ。



守里: う~ん…


美月: プイッ


奈々未: お待たせしました。


守里: あ、奈々未さん。


美月: …



そして、料理を置き終わり…



奈々未: ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか?


守里: はい…


美月: 大丈夫です。


奈々未: 笑、美月。守里君にそういうのを求めても無理だって。


守里: え?


美月: 分かってますけど…


奈々未: まぁ、さすがにイラつくよね笑


美月: はい!


守里: どういうこと?


奈々未: 守里君、私達の働きを見て褒めてくれるのは嬉しいんだけどさ、目の前に、たとえ家族でも、ずっと話して欲しそうに見ている女の子を無視するのは、無いわ。


守里: あ…


美月: ムー


守里: ご、ごめん、気づかなくて…


美月: 奈々未さ~ん!



隣に立つ奈々未に縋り付く美月。



奈々未: よしよし、美月。辛かったね笑


美月: 守里ったら酷いんですよ!さっきのもそうですけど、最近、私から一定の距離を取ってるんです!


奈々未: へぇ~なんで?


守里: そ、それは美月が…


奈々未: 美月が?


守里: 隙あれば僕の手の平を舐めようとしてくるからです。


奈々未: え?


美月: だって、私の必殺技だもん!守里にダメージを与えるには、これが一番なんだもん!



そう、美月はこの前の結真の誕生日の日に、守里に放った必殺技が思った以上に効果が出たことで、味を覚え、その後も何度も守里に向かって必殺技を試みているのだった。



守里: いや、絶対におかしいから。


美月: そんなことないもん!ね、奈々未さん!別に良いですよね!それに距離をとるのは酷いですよね!


奈々未: あ、え~っと…(なんか拗らせてる?美月。さすがに…)


七星: 美月。舐めるのはアカンで笑


美月: 七星先輩!



店内にいるお客さんが少し減り、残っている人も食事に移って、仕事が減ったタイミングで、七星も守里達のテーブルへ来る。



七星: それはもう、あざとじゃなく変態や笑


美月: へん…たい…


奈々未: (ズバッといくな~七星。)


七星: ま、やりすぎってことや。っちゅうか、守里が嫌がる素振りを見せた時点で辞めるべきやな。そうせんと、守里は美月から今みたいに少し距離をとるやろ?


美月: はい…


七星: そしたら、美月も嫌って思うわけやん。ほんなら、また別の作戦にシフトチェンジすべきやないか?


美月: 七星先輩…分かりました!以後、気をつけます!


七星: うんうん笑、仲良いまま、あざとで仕掛けるのが1番やで。


美月: 了解です!


奈々未: これはモンスターが誕生するかも…


守里: え~っと…


七星: あ、守里。美月も悪かったところはあるけど、さっきのは守里が1番アカンかったからな。


守里: …はい。気をつけます。ごめんね、美月。


美月: しょうがない!許してあげるよ!その代わり、近くにいてね?


守里: 美月が変なことしないなら。


美月: もちろん、変なことはしないよ。


守里: なら良い。


美月: 笑


奈々未: よし、仲直りできたところで、さっさと食べなさい。まだ仕事中でしょ?


美月: あ、そうでした!


守里: 早く学校まで行って、連絡しないと、若月さんに…


七星: 笑、大変やな~じゃ、早く食べや~


奈々未: じゃあね。



そうして、2人は守里達のテーブルから離れた。



七星: いや~美月ちゃん、拗らせてましたね笑


奈々未: これまでずっと、心の扉を閉ざしてた分の反動かな?


七星: かもですね。まぁでも、遺伝かな?って思う部分も…


奈々未: あぁ~確かに笑


七星: ま、守里に頑張ってもらいましょ笑


奈々未: だね笑、美月ちゃんの想いが叶うかどうかは別としても。


七星: やっぱり、ライバル多いんですか?


奈々未: 私が見た限り、話を聞いた限り、そうだね。


七星: へぇ~笑


奈々未: 嬉しそうな顔してる笑


七星: 守里がそういう青春送れてるのが嬉しくて笑


奈々未: 保護者?笑


七星: みたいなもんですかね笑


店長: 2人とも~


奈々未: あ、はい!行こ。


七星: はーい。




1時間後…



守里: ギリギリ、予定時間内じゃない?


美月: そうだね、ほんとギリギリ笑



カフェBINGO!を出た2人は、残りの見回りもハイペースで終わらせ、学校近くまで戻ってきていた。



守里: あとは、この学校までの道だけだし。


美月: ここから学校まで行けば、もう夏休み中の見回りは終了だ!


守里: よし、行こう。


美月: うん!



2人は、仲良く話しながら、学校の正門に向かう道を進み…



守里: お、見えてきた。


美月: あとちょっと~って、あれは?


守里: …なんか見覚えのある姿が…



と言った瞬間に、向こうも守里達に気づく。



「あれ?守里!!それに美月ちゃん!!」


「ん?あぁ確かに。」


美月: おーい!日向子!!


日向子: 何やってるの~!!!



こちらへと走りながら叫ぶ日向子。



守里: 受け止める準備!


美月: う、うん。


日向子: 守里!!美月ちゃん!!


ギュッ!!



突進してきた日向子を守里が受け止め、美月が支える。



守里: おいおい、突っ込んでくるなよ。


日向子: ごめんって~


西条: ちょっと、急に走り出さないで。


美月: あ、美咲。


西条: やっほ~


守里: 2人は、部活終わり?


日向子: そうだよ!!


西条: 午前練だったんだけど、2人で自主練してたら、こんな時間になったの。


美月: なるほど、すごいね!


西条: 笑、上手くなるためには練習しないとだから。あとは日向子の体力を使ってあげとかないと、大変でしょ?笑


美月: にしては元気…


守里: いや、いつもの6割ぐらいしかパワーがないから。


日向子: そうなの!もうヘトヘトだよ~


美月: へ、へぇ~(あの威力で…)


守里: ほんと助かるよ、西条さん。


西条: い~え笑


日向子: 2人は何してるの?!


美月: 私達は、風紀委員の見回り終わり。


西条: あぁ~例の大変だって言うやつか笑


守里: 笑、楽しくもあるんだけどね。


日向子: ってことは、今から帰り?!


守里: 学校の正門に着いて、若月さんに連絡したら帰る。


日向子: じゃあ、早く行ってきて!


守里: え?


西条: 日向子は、森崎君達と一緒に帰りたいのよ。ほら、早く行ってあげて。


守里: 分かった笑



急かされた守里は正門へ走る。



日向子: 早く早く!!!


西条: 日向子、落ち着いて。


日向子: うん!


美月: 美咲は日向子の飼い主ね笑。前に馬道ちゃんが言ってた通り。


西条: ん?そんなこと言ってたの?奈緒。


美月: 前に見学でお邪魔した時に。


西条: へぇ~


日向子: 見学と言えば、美月ちゃんはさ!


美月: ん?


日向子: バスケ部に入らないの?


美月: あ、え~と…


西条: コラコラ日向子。何回も同じこと聞かないの。美月には、他にやりたいことがあるから無理だって、この前も言ってたじゃん。


日向子: でも~


西条: それに、美月は優しいから、日向子の手前、その質問には答えにくいんだって。


日向子: ごめんね、美月ちゃん。


美月: いや、こっちこそだよ笑


西条: 笑、それで、そのやりたい事は上手く言ってるのかしら?



守里が走っていった方をチラッと見つつ、西条が尋ねる。



美月: う~ん、微妙…失敗して、さっきも七星先輩にやりすぎって言われたし…


西条: そっか…ま、焦る気持ちも分かるけど…早急に事を進めすぎるのも問題だよ。


美月: うん笑、頑張る。


西条: あ、でも応援はしないから笑


美月: え~なんで?


西条: だって私は…この子を応援してるから。


ポンッ


日向子: ん?どうしたの?美咲ちゃん。



餌の前で待てを命じられている犬のように、守里が向かった方をじっと見ていた日向子の頭に、西条は手を乗せる。



美月: それは…目覚めたら、厄介だ笑


西条: そうね~その目覚めさせるのが、1番大変かな笑


美月: じゃあ、その前に私は、絶対に掴む。


西条: 笑


日向子: ねぇ~なんの話?


守里: 終わらせてきたよ~


日向子: あ!守里!!



若月への連絡を終わらせた守里が、美月達の元へ戻ってくる。



西条: じゃ、帰ろっか笑


守里: うん。


日向子: レッツゴー!!!


西条: 日向子、走らないよ。


日向子: はーい。


美月: 若月さんから、なんか返ってきた?


守里: いや、特にだけど、夏休み中の仕事、お疲れ様だってさ。


美月: 笑、夏休みもあと4日か~


西条: 個人的には早かったかも。練習ばっかだったし。


守里: 僕もあっという間だった。


美月: 私も!


日向子: もちろん私も!!


西条: みんな、楽しく過ごせたってことかな笑


守里: だね笑


美月: 残り4日間、何しよう。


西条: もう遠出はキツいよね。


守里: 家でのんびり過ごすか。


美月: う~ん…


日向子: じゃあさ、夏祭り行こうよ!


守里: あ、そういえば…今年の夏祭りっていつ?


日向子: 明後日!


守里: 金曜日…なら、久しぶりに行ける。


日向子: やった!!一緒行こ!


守里: うん笑


美月: え、なんかすごい勢いで決まったけど、私も行く!


日向子: もちろん!みんなで行こ!


西条: はぁ…(ここは2人きりで行くべきところを…でも、美月がいるこの状況じゃキツいか…それに日向子はそういうの気にしないし。)


守里: 西条さんは?


西条: 私は…ごめん、他の子と行く予定あって。


日向子: え~


守里: 先約があったか。じゃあ、しょうがないね。


西条: 私も楽しむから、みんなも楽しんでよ笑


日向子: もちろん!!


美月: 任せといて!


西条: 笑


守里: いや~去年は行けなかったからな。バイトが入って。


美月: そうだったの?


守里: うん。


日向子: それで、私とあっしゅんとで行くことになったんだ!


美月: 春時は?


守里: 確か去年は…


日向子: 夏風邪だった!


西条: あらあら笑


美月: それは…災難だったね…


日向子: みんなも、夏風邪には気をつけてよ!せっかくの夏祭りなんだから!


守里: はいはい笑


美月: 分かってるって笑


西条: 日向子もだよ笑


日向子: はーい!!



こうして、4人で夏祭りについて楽しく喋り、それぞれ家に帰った。




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