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第5章 夏休み編

第164話「御三家の残る1人」

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結真の誕生日プレゼントを買い終えた守里と奈々未は、ギフトモール内のカフェで休憩する。



奈々未: うわぁ………笑


守里: どうしたんですか?



自分の携帯を見て、驚いたような、引いたような声をあげた奈々未に、守里はそう聞く。



奈々未: いや、ちょっとめんどくさい事になって笑



奈々未さんがめんどくさいこと…

これは関わらない方が良い…



守里: …



そっぽを向いて、コーラを飲む。



奈々未: う~ん、これは半分、守里君のせいだからな~守里君にも手伝ってもらうか笑


守里: 嫌です。


奈々未: 守里君って、さゆりんとは会ったことないんだよね?


守里: だから関わりたくないですって…



プルルルルル


ピ



奈々未: あ、もしもし、さゆりん?



マジか…

電話かけ始めたよ、この人。



奈々未: ごめんって、今ちょうど、結真の誕生日プレゼント買いに来ててさ。



奈々未さんと電話してるのは、名前からして、羽村小百合さん。


結真姉さんと奈々未さんの友達で、元能高副会長。

それに、今の体育委員長、羽村大我先輩のお姉さん。


はぁ…

僕に火の粉がかからないように…



奈々未: ほら、結真にさ、弟できたじゃん。その子と一緒に来てるの。


「えぇーーー!!!!」



奈々未が持つ携帯電話越しに、大きな声が聞こえる。



奈々未: ちょっ、うるさい!



声、デカ…

スピーカーにしてない電話越しに、ここまで声が聞こえるとは、日向子並じゃん。



奈々未: はいはい、分かったから。スピーカーにするよ。


守里: え?


奈々未: どうぞ笑


守里: 奈々未さん!


小百合 T: やっほ~結真ちゃんの弟君、聞こえてる?結真ちゃんとななみんの大親友、羽村小百合やで~


奈々未: ほら、守里君。


守里: …あ、どうも。結真姉さんの弟の、森崎守里です。よろしくお願いします。


小百合 T: ほぇ~なかなか礼儀正しい子やな!ええ子や!


守里: あ、ありがとうございます。


奈々未: かしこまりすぎでしょ笑


守里: 奈々未さんがいきなりやるからでしょボソッ


小百合 T: ほんで、今日は結真ちゃんの誕生日プレゼントを買うために、ななみんと一緒にショッピングしてるんやんな?


守里: はい、そうです。


小百合 T: ええもん、買えたか?笑


守里: 結真姉さんが喜んでくれるかは分かりませんけど、はい、買えました。


小百合 T: そっか~でも、愛しの結真ちゃんのことやから、私は分かるで。絶対に結真ちゃんは喜ぶ!だから安心せぇや!


守里: は、はい?


小百合 T: だから、堂々と胸張って、プレゼント渡したらええって言うてんねん。


守里: 分かりました笑


奈々未: ほら、さゆりん。このぐらいで良いでしょ?


小百合 T: えぇ~もうちょっと、弟君と喋りたいわ~


奈々未: また今度会った時に、話せば良いじゃない。


小百合 T: う~ん、それもそうやな。じゃ、ほな、またな!弟君!


守里: あ、はい、失礼します。



ピ



奈々未: 面白い子でしょ笑


守里: 急にはキツいですって。


奈々未: 守里君の困った顔、最高だったわ笑



ほんと、この人は、あ…



奈々未: あ?


守里: なんでもないです。


奈々未: …ちょうど、私達が買い物してる時に、さゆりんが電話かけてきてたみたいで。


守里: 思わず無視してしまった形になったと。


奈々未: そういうこと。向こうは私が今日、バイトも大学もないことわかってるから。


守里: なるほど。


奈々未: すごい量のメッセージが来てたんだよ笑


守里: なんか、美月みたいです。


奈々未: 笑、美月は重いんだね。


守里: あ、でも喋り方は完全に七星さんですけど。


奈々未: さゆりんは小学校まで大阪。七星は?


守里: 僕と出会う前ですから、小学校入る前までのはずです。


奈々未: そっか。


守里: ふぅ…休憩と言いながら、少し疲れました笑


奈々未: 確かに笑。でも時間も時間だし、そろそろ行くよ。


守里: はい。


奈々未: お会計、よろしく。


守里: …は~い。



こうして、2人はお会計を済ませてカフェを出て、ギフトモールを後にした。


そして、カフェBINGO!まで奈々未を送り、家に帰った守里は、急いで結真へのプレゼントを部屋に隠した後、ソファに座ってテレビを見ていた美月の頭を後ろからグリグリするのだった。


◇◇◇◇


オフィス街

ビルの一室


ガチャ



??: やっほ~黒峰君。


黒峰: 遅かったな。阿墨。


阿墨: ごめんごめん。ちょっと社員証探すのに手間取ってさw



そう言って、首から下げた"阿墨誠吾あすみ せいご"と記載された社員証を見せる。



黒峰: おいおい。一応、ここの社員ってことになってんだろ。


阿墨: でもさ、俺は黒峰君みたいに、ここにいる必要ないし。


黒峰: はぁ…ったく。


阿墨: それで、なんで俺を呼び出したの?


黒峰: そりゃ、仕事が一段落付いたから、会って話そうぜってノリよw


阿墨: 話そうっていうか、情報共有でしょ?


黒峰: 正解w


阿墨: ほんと、見た目に反して、そういうことはしっかりとやるんだからw


黒峰: はぁ?当たり前だろ。そういうこと怠ったら、足元すくわれるぞ。


阿墨: はいはい、気をつけますよw


黒峰: で、結果から言えば、お前が裏の取引を無事終わらせて、薬をホテル街と郊外にばらまいて、ボスの命令は遂行できたわけだが…


阿墨: 囮ちゃん達のおかげで、随分と楽だったよw


黒峰: 防衛団も警察も、そっちに注意が行ってたみたいだからな。


阿墨: その囮の、表の取引はどうだったの?


黒峰: ま、完璧だったとは言えない。


阿墨: え?


黒峰: 予想以上に早く、警察に取引がバレて、あんまり手を伸ばせなかった。


阿墨: へぇ~アイツがやらかした?


黒峰: いや、それがな…お前も知ってるあの有名な高校が出張ってきて。


阿墨: 有名…あぁ、能高か。防衛団の息がかかってるのなんのって言われてる。


黒峰: そうだ。そこの風紀委員に、早い段階で取引現場を見られたんだ。


阿墨: 優秀だね~ww。それで結局、アイツ含め囮達は全部捕まっちゃったんでしょ?


黒峰: 計画通りなw


阿墨: 悪い顔してるw


黒峰: 移籍組は融通が聞かねぇから、使えないのは早めに切っとくことに越したことはない。


阿墨: 使えない?


黒峰: あぁ。仕事は遅いわ、報告は怠るわで、酷いもんだったよ。


阿墨: ふ~ん。


黒峰: 3ヶ月前に、竹川さんのとこで上位になって、こっちに移ってきたから、まだなんの情報も与えられてないし、俺らも情報与えてなかったから、防衛団に捕まったとこで、なんの問題もない。


阿墨: あと半年ぐらい頑張ってたら、与えられてたかもだけどw


黒峰: かもなw


阿墨: じゃあ、今回、ボスの命令を達成した代償としては?


黒峰: 上位1人と中位20人、下位が10人程度。


阿墨: かつ、こちらとしては手駒はまだまだいるわけで、まともな情報も取られてない?


黒峰: そうだ。


阿墨: 完全勝利じゃんw


黒峰: 当たり前だ。このぐらいの仕事で下手打ってたら、上は目指せねぇよ。


阿墨: さっすが、幹部候補の"黒峰龍水くろみね りゅうすい"様だね~


黒峰: 幹部候補か…


阿墨: ってか、ここを任されてるんだから、実質幹部って言っても過言ではないけどw


黒峰: まだボスに認められてないから、正式な幹部ではないが…そうだなw


阿墨: ボスに認められる…う~ん、今回の一件で進みはしたよね?


黒峰: どうだろうな…あぁ~さっさと幹部になりてぇ~w


阿墨: そうしてくれると、俺も鼻が高いよw


黒峰: そのためにも、これから俺らがスムーズに動くためにも、一旦、あの虫を叩いとかないと。


阿墨: お、何する?


黒峰: 今さっき話題にも上がった、伊衛能高校?あそこにちょっかいかけよっかなって。


阿墨: でも、能高に防衛団の息がかかってるのは、ただの噂じゃん。ここら辺の治安を下げるっていう、俺らの本来の目的の1つには沿ってるけど。


黒峰: 火のないところに煙は立たないって言うだろ。それに、俺の計画を邪魔してくれたわけだし。


阿墨: うわ~結構根に持ってんのね。


黒峰: まぁ、お前も言った、能高生徒の優秀さを見込んで、俺自ら動くつもりだから。その件については、お前は動かなくていい。


阿墨: 了解w


黒峰: ってことで、こっちから共有しときたい情報は以上だ。そっちはまだあるか?


阿墨: う~ん…


黒峰: ないなら…


阿墨: あ、そういえば、ほら、前に松本さんのとこに行った奴に聞いたんだけど、なんか最近、松本さんが、侵略飽きた!って言ってるらしいよw


黒峰: あの戦闘狂の松本さんがか…向こうに強い相手がいないのかねw


阿墨: かもね。はい、俺の新しい情報はこれだけ。


黒峰: よし、じゃあ今日は終わりだ。次の命令が来るまでは適当に過ごしとけ。


阿墨: はーい。


黒峰: 防衛団にちょっかいかけすぎて、捕まったりなんかするなよギロッ


阿墨: おぉう…そんな形相で見られたら、チビっちゃうってw


黒峰: はぁ…


阿墨: 大丈夫、大丈夫。気をつけるから。じゃ、またね。



ガチャ


そう言って、阿墨は部屋を出て行った。



黒峰: アイツは相変わらずだな…っと、次に移らねぇと…




1分後…


コンコンコン



黒峰: はい。


「白谷です。」


黒峰: 入れ。



ガチャ



白谷父: 失礼します。


黒峰: よっ。


白谷父: こんにちは。さっそくですけど、ご要件はなんでしょうか?


黒峰: なんだ仕事が溜まってるのか?


白谷父: 不甲斐ないです。


黒峰: じゃ、一言で終わらせる。


白谷父: …


黒峰: お前の息子を使うぞ。


白谷父: っ!!!


黒峰: 良いよな?


白谷父: …


黒峰: 早く仕事に戻りたいんだろ。なら答えろ。


白谷父: ……


黒峰: はぁ…お前さ、家族がどうなっても…


白谷父: …分かりました。


黒峰: その言葉が聞きたかったんだよw。一応、父親の許可を取っとかないとねw


白谷父: …


黒峰: ふぅ、許可も貰えたことだし、要件も済んだし、俺は帰るとするかな。じゃあな。



ガチャ



白谷父: …クソ…すまん、直也…




to be continued
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