ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
上 下
163 / 340
第5章 夏休み編

第163話「怖い人とのショッピング」

しおりを挟む
夏休みの第3週

火曜日



守里: 今、何時だ?……9時28分…マズい…



携帯で時間を見ながら、走り続ける守里。


ピロン


そんな守里の携帯にメッセージが届く。



「あと2分だよ~」


守里: …



分かってますよ!!


日曜日の景信との話から分かった信じられないような情報をなんとか整理しつつ、自分の中に落とし込んだぐらいの時に、守里は、ある恐ろしい方からの約束を取り付けられた。

そして、その約束のために、早起きして出かける準備を整えていたのだが…


クソ…美月のやつ…


確かに、誰とどこに出かけるか、予め言わなかった僕も悪いけどさ。

あんなに駄々こねなくていいじゃんか。


結真姉さんにもバレそうになったし…


何より、こんな時間ギリギリになっちゃったじゃん!!

あの人を怒らせたら、どうなるか分かったもんじゃないのに!!


時間に余裕を持って、家を出ようとしたところで、リビングに降りてきた美月に、どこに誰と行くのか詰め寄られてしまった守里は、美月をなだめ、結真を誤魔化すのに時間をかけてしまった。

その結果、家を出るのが大幅に遅れ、守里は今、待ち人がいる場所への道を駆け抜けているのだ。



守里: ふぅ…



落ち着け、落ち着け…

もう、時間ギリギリになったのはしょうがない。

家に帰ってから、どうにかすればいいこと。


今はとにかく…

急がねば…


命の危機!!!


ピロン


携帯が再び鳴り、すぐに確認をする。



「さすがに命は取らないわよ。」


守里: …




2分後…



守里: ハァ…


??: なーんだ、ちょうどに来ちゃったか笑


守里: 当たり前ですよ。遅れるわけにいきませんから。


??: 笑、さすが守里君ね。1秒でも遅れたら、どうしてあげようか、ちゃんと考えてたんだけど。


守里: …間に合って良かったです。ほんとに…


??: でも、約束の時間丁度に来るのは…ねぇ笑


守里: 僕も早く来ようって思ってたんですって!


??: 美月にでも邪魔されたか笑


守里: 正解です。なので、勘弁してください。


??: 私だから許してあげるけど、彼女と来る時には気をつけないと笑


守里: はい…


??: 笑、じゃ、行こっか。時間もないし。


守里: バイト、午後からですよね?


??: そうそう。今頃、他の女子3人が頑張ってるわよ。


守里: 店長もです。


??: もちろん、それは踏まえた上で。


守里: 笑、よし急ぎましょ。奈々未さん。


奈々未: うん。



そうして、カフェBINGO!の店長が言うには、黄金コンビである守里と奈々未の2人は、ギフトモールへと向かった。


◇◇◇


ギフトモール



守里: 奈々未さんは、何狙いですか?


奈々未: そうね~服かな。結真、服好きだし。


守里: 確かに、結真姉さんはオシャレです。


奈々未: あのオシャレさんに見合う服を選ばないと。全く、ハードル高いな~笑


守里: 大丈夫ですよ。奈々未さんもオシャレですし。


奈々未: あら、ありがと笑。そういうとこは、ちゃんとしてんのよね…


守里: え?


奈々未: いや…守里君は、何買うつもりなの?結真の誕生日プレゼント。


守里: 僕は、イヤホンです。


奈々未: イヤホン?


守里: はい。ちょうど、この前、ワイヤレスの片方を無くしたって言ってたので。


奈々未: なるほど。それは良いタイミングだったね笑


守里: 結真姉さんがイヤホン無くしたのがですか?


奈々未: そうそう笑


守里: そんな笑顔で言うことじゃないですって。


奈々未: 笑、お、この店良いじゃん。


守里: この店ですか…



え、なんか、ここだけ雰囲気違くない?

上品というか、高貴というか…


ギフトモールの洋服コーナーの一角に構えるブティクに、奈々未は入り、守里は店の前で様子を窺う。


絶対、高いじゃん…この店。



奈々未: ちょっと、何やってるの?ほら、早く。


守里: ま、マジですか…


奈々未: 当たり前じゃん。年に一度の親友の誕生日なんだから笑……それに…


守里: それに?


奈々未: この前のお礼、やってもらわないと笑


守里: お礼?


奈々未: 守里君の家、夜、玄関…


守里: ……はっ!!!


奈々未: 笑



あの、白仮面の時か!!

確かに、奈々未さん、深夜に帰った僕を、玄関の扉の鍵を開けて、中に入れてくれた時に、お礼よろしくみたいなことを言ってた!



守里: ま、まさか…そのお礼を?


奈々未: ここで。


守里: む、無理ですよ!!


奈々未: え~笑



だって、絶対高いし。

僕のお財布の中身じゃ無理に決まってる。



守里: せめて他のとこにして下さい!!


奈々未: フッ笑、冗談。


守里: はぁ~良かった~冗談キツいですって。


奈々未: ほんと良い表情するわね~笑



やっぱり、この人は鬼だ。


あ…



奈々未: 鬼?


守里: すいません。


奈々未: ほら、選ぶの手伝って。結真の家族なんだから、戦力になるでしょ。


守里: 了解です。



奈々未の指示に従い、守里は店の中に入る。



奈々未: 秋服が良いんだけど…



と、言いながら、奈々未は周りの服を見ながら、店の中を進む。



守里: チラッ



そんな奈々未の後ろで、守里はコソッと洋服についてる値札を裏返して、値段を確認し…



守里: ……



すぐに、そっと値札をひっくり返した。



奈々未: あ、これとかどう?守里君


守里: お、良いですね~



と、こんな感じで、2人の結真へのプレゼント選びは進んだ。




1時間後…



奈々未: ちょっと休憩しよっか。早めにプレゼントも選び終わったことだし。


守里: OKです。


奈々未: う~ん…ここは偵察だな。


守里: カフェですね。



2人は、買ったプレゼントを持って、カフェに入った。





奈々未: なんか他の店のメニュー見てるとさ、うちの店がどれだけ変なのか分かるよね笑



注文したアイスコーヒーを飲みながら、奈々未が言う。



守里: あ、それ僕も思いました笑


奈々未: 店長の料理の腕の良さがあるからこそなんだけど。


守里: どこで身につけたんでしょう?


奈々未: 分かんない。私も、店長のことはよく知らないのよ。


守里: 不思議な人ですよね。本当に。


奈々未: うん。


守里: ところでなんですけど…お礼って、ここの分をご馳走するってことで許してくれません?


奈々未: 笑、しょうがないな~その代わり…


守里: …


奈々未: このコーヒーを私が飲み終わるまでは、私の質問にちゃんと答えること。


守里: は、はい。



どんな質問をされるんだ…



奈々未: 第1問…学校は楽しい?


守里: へ?


奈々未: だから、学校は楽しい?



なんだ、そのレベルの質問か…

心配して損した。



守里: もちろん楽しいですよ。


奈々未: ほんと?


守里: え?はい。勉強も大丈夫ですし、風紀委員の仕事も大変ではありますけど、楽しいですから。


奈々未: ふ~ん。じゃあ、第2問。日向子ちゃんや、飛香ちゃんとは仲良くやってる?


守里: いつも通り、仲良いですよ。この前も一緒に海に行ってきましたし。


奈々未: なんか、そんなこと珠美ちゃんと言ってたね……誰と行ったんだっけ?


守里: 僕と珠美、美月、日向子、飛香、春時、祐希、香蓮。あとは、桜と…このぐらいですかね、奈々未さんが知ってるのは。


奈々未: ってことは、他にもいるの?


守里: 桜の友達の柿谷遥華ちゃんと、菊山沙也加ちゃん、木村紗耶ちゃん。あ、紗耶ちゃんは春時の妹です。それと、風紀委員で珠美のペアの新里優太君。


奈々未: 男子3人と女子10人…すごいわね。で、そのメンツが仲良いグループって感じ?


守里: ま、そうです。


奈々未: …次、第3問、バイトは楽しい?


守里: 笑、楽しいですよ。最近は一気に忙しくなりましたけど、働きがいがありますし。


奈々未: そっか笑、店長に伝えとく。それとも、守里君から言ってみる?笑


守里: いえ、遠慮しときます。それにわざわざ伝えなくても良いです。


奈々未: 笑、第4問。珠美ちゃんはどんな子?


守里: 珠美ですか?


奈々未: 私も段々と、どんな子なのか掴めてきたけど、守里君から見てどんな子なのか、聞いときたくてさ。


守里: 僕からしても、完全に珠美のことは分かってないですが……まっすぐなんですよね。


奈々未: うん。


守里: 後ろを向くことなく、前を向いてまっすぐ走り続けて…たまに空回ることもありますけど笑


奈々未: 確かに笑


守里: とにかく、良い子です。


奈々未: うんうん。了解。


守里: 質問は終わりですか?


奈々未: いや、最後にもう1問。守里君が守りたい大切な人に、珠美ちゃんは入ってる?


守里: え?はい。そりゃあ、入ってますよ。



奈々未の質問に、守里は即答した。



奈々未: 笑……ゴクン…



カップの中に入っていたアイスコーヒーを飲み干し、テーブルの上に置く。



守里: あ、質問は終わりですね?


奈々未: うん。ありがと、答えてくれて。


守里: それで、結局この質問は?


奈々未: 笑、秘密。


守里: A secret makes a woman womanってやつですか…


奈々未: 秘密は女を女にする?カッコ良いわね~誰の言葉?


守里: 僕の言葉です。


奈々未: 嘘。


守里: とあるアニメのキャラクターの名言です。


奈々未: へぇ~調べてみよ。



そう言って、奈々未は携帯を見た。



奈々未: うわぁ……笑




to be continued
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

私が一番嫌いな言葉。それは、番です!

水無月あん
恋愛
獣人と人が住む国で、ララベルが一番嫌う言葉、それは番。というのも、大好きな親戚のミナリア姉様が結婚相手の王子に、「番が現れた」という理由で結婚をとりやめられたから。それからというのも、番という言葉が一番嫌いになったララベル。そんなララベルを大切に囲い込むのが幼馴染のルーファス。ルーファスは竜の獣人だけれど、番は現れるのか……?  色々鈍いヒロインと、溺愛する幼馴染のお話です。 いつもながらご都合主義で、ゆるい設定です。お気軽に読んでくださったら幸いです。

王子だって、一体どうなるのか?物語

矢野 零時
ファンタジー
今日で15才になった忠司は、三流の高校に行って、平凡な人生を送らなければならないと思っていた。だが、父と母から、忠司は自分らの子ではないと言われたのだ。本当の父は異国の国王で、魔王グールに捕らわれの身になっていた。つまり、俺は本当の父を助けに行かなければならないというのだ。どうしたらいいんだ?      

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

war of the ボッチ~ボッチでもラブコメできますか?~

前田 隆裕
ファンタジー
 「あなたに友達はいるか?リアルでもネット上でもどちらでもいい。あるいは片思いでも、両思いでもいい、恋人はいるか?」  もしそう聞かれたらどう答えるだろうか。これは就職の面接の場ではない。本当の事を聞いているのである。  私はどちらもゼロだ。友達もゼロ、恋人もゼロ。人を好きになったこともない。友達が少ない、過去には恋人がいたが今はいない、などのまがい物ではない。そう、私、いや僕は正真正銘、究極のボッチである。  ボッチにとって、この社会は戦場であった。  そしてこれはその戦場の中、たった一人でもがき、苦しみ、戦い抜く物語である。

処理中です...