ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第5章 夏休み編

第163話「怖い人とのショッピング」

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夏休みの第3週

火曜日



守里: 今、何時だ?……9時28分…マズい…



携帯で時間を見ながら、走り続ける守里。


ピロン


そんな守里の携帯にメッセージが届く。



「あと2分だよ~」


守里: …



分かってますよ!!


日曜日の景信との話から分かった信じられないような情報をなんとか整理しつつ、自分の中に落とし込んだぐらいの時に、守里は、ある恐ろしい方からの約束を取り付けられた。

そして、その約束のために、早起きして出かける準備を整えていたのだが…


クソ…美月のやつ…


確かに、誰とどこに出かけるか、予め言わなかった僕も悪いけどさ。

あんなに駄々こねなくていいじゃんか。


結真姉さんにもバレそうになったし…


何より、こんな時間ギリギリになっちゃったじゃん!!

あの人を怒らせたら、どうなるか分かったもんじゃないのに!!


時間に余裕を持って、家を出ようとしたところで、リビングに降りてきた美月に、どこに誰と行くのか詰め寄られてしまった守里は、美月をなだめ、結真を誤魔化すのに時間をかけてしまった。

その結果、家を出るのが大幅に遅れ、守里は今、待ち人がいる場所への道を駆け抜けているのだ。



守里: ふぅ…



落ち着け、落ち着け…

もう、時間ギリギリになったのはしょうがない。

家に帰ってから、どうにかすればいいこと。


今はとにかく…

急がねば…


命の危機!!!


ピロン


携帯が再び鳴り、すぐに確認をする。



「さすがに命は取らないわよ。」


守里: …




2分後…



守里: ハァ…


??: なーんだ、ちょうどに来ちゃったか笑


守里: 当たり前ですよ。遅れるわけにいきませんから。


??: 笑、さすが守里君ね。1秒でも遅れたら、どうしてあげようか、ちゃんと考えてたんだけど。


守里: …間に合って良かったです。ほんとに…


??: でも、約束の時間丁度に来るのは…ねぇ笑


守里: 僕も早く来ようって思ってたんですって!


??: 美月にでも邪魔されたか笑


守里: 正解です。なので、勘弁してください。


??: 私だから許してあげるけど、彼女と来る時には気をつけないと笑


守里: はい…


??: 笑、じゃ、行こっか。時間もないし。


守里: バイト、午後からですよね?


??: そうそう。今頃、他の女子3人が頑張ってるわよ。


守里: 店長もです。


??: もちろん、それは踏まえた上で。


守里: 笑、よし急ぎましょ。奈々未さん。


奈々未: うん。



そうして、カフェBINGO!の店長が言うには、黄金コンビである守里と奈々未の2人は、ギフトモールへと向かった。


◇◇◇


ギフトモール



守里: 奈々未さんは、何狙いですか?


奈々未: そうね~服かな。結真、服好きだし。


守里: 確かに、結真姉さんはオシャレです。


奈々未: あのオシャレさんに見合う服を選ばないと。全く、ハードル高いな~笑


守里: 大丈夫ですよ。奈々未さんもオシャレですし。


奈々未: あら、ありがと笑。そういうとこは、ちゃんとしてんのよね…


守里: え?


奈々未: いや…守里君は、何買うつもりなの?結真の誕生日プレゼント。


守里: 僕は、イヤホンです。


奈々未: イヤホン?


守里: はい。ちょうど、この前、ワイヤレスの片方を無くしたって言ってたので。


奈々未: なるほど。それは良いタイミングだったね笑


守里: 結真姉さんがイヤホン無くしたのがですか?


奈々未: そうそう笑


守里: そんな笑顔で言うことじゃないですって。


奈々未: 笑、お、この店良いじゃん。


守里: この店ですか…



え、なんか、ここだけ雰囲気違くない?

上品というか、高貴というか…


ギフトモールの洋服コーナーの一角に構えるブティクに、奈々未は入り、守里は店の前で様子を窺う。


絶対、高いじゃん…この店。



奈々未: ちょっと、何やってるの?ほら、早く。


守里: ま、マジですか…


奈々未: 当たり前じゃん。年に一度の親友の誕生日なんだから笑……それに…


守里: それに?


奈々未: この前のお礼、やってもらわないと笑


守里: お礼?


奈々未: 守里君の家、夜、玄関…


守里: ……はっ!!!


奈々未: 笑



あの、白仮面の時か!!

確かに、奈々未さん、深夜に帰った僕を、玄関の扉の鍵を開けて、中に入れてくれた時に、お礼よろしくみたいなことを言ってた!



守里: ま、まさか…そのお礼を?


奈々未: ここで。


守里: む、無理ですよ!!


奈々未: え~笑



だって、絶対高いし。

僕のお財布の中身じゃ無理に決まってる。



守里: せめて他のとこにして下さい!!


奈々未: フッ笑、冗談。


守里: はぁ~良かった~冗談キツいですって。


奈々未: ほんと良い表情するわね~笑



やっぱり、この人は鬼だ。


あ…



奈々未: 鬼?


守里: すいません。


奈々未: ほら、選ぶの手伝って。結真の家族なんだから、戦力になるでしょ。


守里: 了解です。



奈々未の指示に従い、守里は店の中に入る。



奈々未: 秋服が良いんだけど…



と、言いながら、奈々未は周りの服を見ながら、店の中を進む。



守里: チラッ



そんな奈々未の後ろで、守里はコソッと洋服についてる値札を裏返して、値段を確認し…



守里: ……



すぐに、そっと値札をひっくり返した。



奈々未: あ、これとかどう?守里君


守里: お、良いですね~



と、こんな感じで、2人の結真へのプレゼント選びは進んだ。




1時間後…



奈々未: ちょっと休憩しよっか。早めにプレゼントも選び終わったことだし。


守里: OKです。


奈々未: う~ん…ここは偵察だな。


守里: カフェですね。



2人は、買ったプレゼントを持って、カフェに入った。





奈々未: なんか他の店のメニュー見てるとさ、うちの店がどれだけ変なのか分かるよね笑



注文したアイスコーヒーを飲みながら、奈々未が言う。



守里: あ、それ僕も思いました笑


奈々未: 店長の料理の腕の良さがあるからこそなんだけど。


守里: どこで身につけたんでしょう?


奈々未: 分かんない。私も、店長のことはよく知らないのよ。


守里: 不思議な人ですよね。本当に。


奈々未: うん。


守里: ところでなんですけど…お礼って、ここの分をご馳走するってことで許してくれません?


奈々未: 笑、しょうがないな~その代わり…


守里: …


奈々未: このコーヒーを私が飲み終わるまでは、私の質問にちゃんと答えること。


守里: は、はい。



どんな質問をされるんだ…



奈々未: 第1問…学校は楽しい?


守里: へ?


奈々未: だから、学校は楽しい?



なんだ、そのレベルの質問か…

心配して損した。



守里: もちろん楽しいですよ。


奈々未: ほんと?


守里: え?はい。勉強も大丈夫ですし、風紀委員の仕事も大変ではありますけど、楽しいですから。


奈々未: ふ~ん。じゃあ、第2問。日向子ちゃんや、飛香ちゃんとは仲良くやってる?


守里: いつも通り、仲良いですよ。この前も一緒に海に行ってきましたし。


奈々未: なんか、そんなこと珠美ちゃんと言ってたね……誰と行ったんだっけ?


守里: 僕と珠美、美月、日向子、飛香、春時、祐希、香蓮。あとは、桜と…このぐらいですかね、奈々未さんが知ってるのは。


奈々未: ってことは、他にもいるの?


守里: 桜の友達の柿谷遥華ちゃんと、菊山沙也加ちゃん、木村紗耶ちゃん。あ、紗耶ちゃんは春時の妹です。それと、風紀委員で珠美のペアの新里優太君。


奈々未: 男子3人と女子10人…すごいわね。で、そのメンツが仲良いグループって感じ?


守里: ま、そうです。


奈々未: …次、第3問、バイトは楽しい?


守里: 笑、楽しいですよ。最近は一気に忙しくなりましたけど、働きがいがありますし。


奈々未: そっか笑、店長に伝えとく。それとも、守里君から言ってみる?笑


守里: いえ、遠慮しときます。それにわざわざ伝えなくても良いです。


奈々未: 笑、第4問。珠美ちゃんはどんな子?


守里: 珠美ですか?


奈々未: 私も段々と、どんな子なのか掴めてきたけど、守里君から見てどんな子なのか、聞いときたくてさ。


守里: 僕からしても、完全に珠美のことは分かってないですが……まっすぐなんですよね。


奈々未: うん。


守里: 後ろを向くことなく、前を向いてまっすぐ走り続けて…たまに空回ることもありますけど笑


奈々未: 確かに笑


守里: とにかく、良い子です。


奈々未: うんうん。了解。


守里: 質問は終わりですか?


奈々未: いや、最後にもう1問。守里君が守りたい大切な人に、珠美ちゃんは入ってる?


守里: え?はい。そりゃあ、入ってますよ。



奈々未の質問に、守里は即答した。



奈々未: 笑……ゴクン…



カップの中に入っていたアイスコーヒーを飲み干し、テーブルの上に置く。



守里: あ、質問は終わりですね?


奈々未: うん。ありがと、答えてくれて。


守里: それで、結局この質問は?


奈々未: 笑、秘密。


守里: A secret makes a woman womanってやつですか…


奈々未: 秘密は女を女にする?カッコ良いわね~誰の言葉?


守里: 僕の言葉です。


奈々未: 嘘。


守里: とあるアニメのキャラクターの名言です。


奈々未: へぇ~調べてみよ。



そう言って、奈々未は携帯を見た。



奈々未: うわぁ……笑




to be continued
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