ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第5章 夏休み編

第141話「楽しい楽しい見回り」

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翌日


伊衛能高校

風紀委員室



若月: すまんな、集まってもらって。



朝の風紀委員室に、今日見回りを行う3組が集合していた。



若月: 夏休みの見回りが初回の組には、見回り前に1回集まってもらうようにしてるんだ。


守里: 見回りエリアの確認ですか?


若月: あぁ、それと質問がないかだ。見回り中も連絡は取れるが、直に聞いときたいこともあるだろうし。


守里: なるほど。


若月: じゃあ、それぞれの見回りエリアを確認していくぞ。



そうして、Aエリア担当の組から順番に、話を進め…



若月: 最後にCエリアだな。


守里: はい。


梅澤: やっとですか。



風紀委員室には、守里と美月、梅澤、若月のみが残っていた。



美月: 質問が結構あったみたいですね。


若月: まぁ、みんな不安なんだろ。いつもと違ってルートが決められてないし、特に校内組は、見回り初だから。


美月: それもそうですね。


若月: それで、お前達の場合は、エリアの確認なんてする必要ないと思うが…ま、一応な笑


守里: 僕達だって、後輩の風紀委員なんですから笑


美月: そうですよ~ね、香蓮。


梅澤: あぁ。


若月: 笑、さすがに他のメンツとは、同列に見てないよ。


守里: 笑、確認しましょ。


若月: あぁ。



若月は地図を広げ、守里達に見せる。



若月: それでCエリアは、この学校の北側の住宅街から、ここの伊衛能川ぐらいまでの東側のエリアだ。


美月: ほぼ住宅街だ。


守里: 外側の範囲は、オフィス街の手前までですか?


若月: うん。さすがにオフィス街はな。


梅澤: この辺か…


若月: 笑、寄れるところがないから、1番キツいだろうが、頑張れ。


守里: 寄れるとしたら、コンビニぐらいですか?


若月: まぁそうだ。


美月: 頑張ります!


梅澤: よし、さっさと行こうぜ。


守里: うん。じゃあ、いってきます。


若月: おう、頑張ってな!



そうして、守里達は風紀委員室を出て、学校の北側にある裏門の方に向かった。



美月: どのくらいかかるかな?


守里: う~ん、ざっと3時間…かな。


梅澤: 昼には終わるだろ。


美月: じゃあ、お昼は3人でどっかで食べよ。


守里: そうだね。


梅澤: 笑、あんまりいつもの見回りと変わらねぇな。


守里: 確かに笑


美月: でも、私、裏門通るの初かも。


梅澤: ふ~ん。


守里: あぁ、美月は来たことないか。家は正門側だから、裏門通る必要ないし。


美月: それこそ、裏門より向こうは住宅街だから、特に行く予定もなかったしね。


梅澤: へぇ~


守里: ん?ってそういえば、香蓮の家って。


梅澤: おい、守里。



その先を言うな!という視線を守里に送る梅澤。



美月: どうしたの?守里。


守里: い、いや…



さすがの圧だ…

怒った時の結真姉さんと同じ感じの圧。



守里: なんでもないよ。


美月: そう。


梅澤: (美月に家がバレると、面倒くさそうだからな…ここは秘密にしておくべきだ。)


美月: 香蓮は裏門通ったことある?


梅澤: あぁ。何回か。(本当は、ほぼ毎日通ってるんだが。)


守里: ま、裏門は校舎から離れてるから、通学路にでもならない限り、行くこともないからね。


美月: 新・学校探検だ!


守里: 笑、学校探検は結構前にやったでしょ。めちゃくちゃ時間かかったやつ。覚えてない?


美月: そりゃ覚えてるよ。守里との思い出だもん!だからこその「新」!


梅澤: 新って笑、裏門だけだろ。


美月: それでも学校探検は学校探検だから!


守里: そっか笑


梅澤: 楽しそうでなによりだよ笑



そして、守里達は裏門を通り、学校の北側の住宅街に入る。


ちなみに、裏門を通った時、美月の目はキラキラと輝いていた。




1時間後…



守里: えーっと、ここの交差点は…あぁここだな。


梅澤: じゃあ、右に曲がる?


守里: うん。



3人は携帯のマップを見ながら、見回りをしていた。



美月: え~ずっと歩きっぱだから、一旦休憩しようよ~


梅澤: はぁ…


美月: なにその呆れた目!私は2人みたいなフィジカルモンスターじゃないんだって!


梅澤: ふぃ、フィジカルモンスター?


守里: 笑、分かったから。休憩にしよう。


梅澤: お前、もうちょっと良い感じの言い換えは無かったのかよ。


美月: 思いつかないね!


梅澤: 勉強できる癖して。


美月: 関係なし!


梅澤: その大きめの頭は飾りか笑


美月: なんだって~!!この、クソデカヤンキー!



悪口下手くそか笑



梅澤: あぁん?!



いや、香蓮もこんな下手くそな煽りに乗るのかよ笑



守里: ほらほら、2人ともそこまで笑


美月: 守里~香蓮が大きい頭って言った~


梅澤: フン!余計なこと言う美月が悪い。


守里: 小学生の喧嘩かって笑



あ、でも2人は初めての友達みたいなもんだから、友達同士の喧嘩となると、そのぐらいのレベルになるのかね。



守里: ここから少し行ったところに、駄菓子屋さんがあるみたいだから、そこに行こ。


美月: 駄菓子屋さん?!行く!


梅澤: 駄菓子…食べたことねぇ。


守里: あ、やっぱり?笑


美月: 美味しいんだよ!昔、お母さんがよく買ってきてくれて、みんなで食べてたんだ。


梅澤: そういえば、よく葵波さんと愛衣さんが、買いに行きたいだの言ってたような…


守里: じゃあ、香蓮も気に入るよ。


美月: よし!レッツゴー!!



守里達は駄菓子屋へ向かった。



梅澤: これが…駄菓子屋…


守里: ここは、昔から残ってる住宅街だから、未だに駄菓子屋が残ってたんだろうな。


美月: うわ~お菓子がいっぱい!



美月が店内に入ると…



「いらっしゃい。」



優しそうなおばあちゃんが、3人を出迎えた。



梅澤: ふ~ん…どれどれ…って、安!



入ってすぐ、梅澤は駄菓子の安さに驚く。



守里: 笑、それが駄菓子の良いとこ。


美月: あ、これ!懐かしい~これも!



美月は店内を物色しながら、カゴの中に駄菓子をポイポイ入れていく。



守里: 美月、買いすぎはダメだぞ。


美月: 大丈夫だって笑


梅澤: これ…煙草?…



やはり、元ヤンの血が引き寄せたのだろうか…笑



守里: 香蓮、買ってみたら?笑


梅澤: でも私、未成年…


守里: ブフッ笑



純粋過ぎる梅澤の言葉に、守里は思わず噴き出して笑ってしまう。



梅澤: おい、なんだ!


守里: いや笑、お菓子売ってるところで、煙草は売らないでしょ。


梅澤: なっ///騙したな!(確かに…)


守里: 騙してないって笑。香蓮が勝手に勘違いしただけじゃん。


梅澤: クッ///



自分の勘違いが恥ずかしかったのか、梅澤の顔は真っ赤になっていた。



美月: あ、香蓮。それ買うの?


梅澤: いや…


美月: ココ○シガレット。小さい時に、よくそれで煙草吸うふりみたいなのしてたな~


守里: 笑、香蓮もやってみたら?


梅澤: このっ……




その後、守里達は駄菓子を買って、店の外のベンチに座った。



美月: フフ~ン


守里: 美月は上機嫌だな…


梅澤: …



あぁ、もう1人のお隣さんを見るのが怖い…

めちゃくちゃ怒ってるよ…香蓮。


少しイジりすぎたかな。

まぁ、結局、ココ○シガレットは買ってたけど笑



美月: よし!食べよ!


守里: そうだね…


梅澤: おう。



美月は袋から駄菓子を取り出し、バクバク食べ始める。



梅澤: …



さぁ~て、香蓮はどんな反応を…



梅澤: これは確かに…似てる…か?



箱から取り出し、じっくりと眺めた後、口に持っていく。



守里: …


梅澤: …いや、そんな見んなよ。


守里: あ、ごめんごめん笑



注意されたものの、様子が気になる守里は、横目で梅澤を見る。



梅澤: …パク…ふん…



梅澤は口にくわえて…



守里: チラッ…


梅澤: こんな感じだったかなボソッ…



記憶の中にいる、ヤンキー達の様子を思い浮かべながら、煙草を吸うふりをする梅澤。



守里: 笑



ここでも、守里は思わず笑ってしまう。



梅澤: だから、見んじゃねぇ!///


守里: 元ヤンの性だね~笑


梅澤: 別にそんなんじゃねぇって…


美月: やっぱ、香蓮似合う!


梅澤: そうか?


美月: うん。吸ったことあるの?


梅澤: ない。


守里: 香蓮は根が真面目だからね笑


美月: うんうん笑、私もないと思ってた!


梅澤: そうかよ。



梅澤は煙草に似た物を口にくわえたまま、足を組み、片手の肘をその上に置きつつ、その手に顎を乗せ、目の前の空を見る。



美月: っぽい!


守里: 本物だ…



いや、本当に吸ったことがないのか?

にしては、様になり過ぎな気がする笑



梅澤: …ってか、美月は早く食べろよ。一応見回り中だぞ。


美月: あ、確かにそうだ。


守里: 残りは?


美月: あと、笛○ラムネとうま○棒2本、かめ○ん…あと、ビッグ○ツ。


守里: 結構ある…少し食べ…


美月: 私が食べる!バクバク


守里: はいはい笑


梅澤: 食い意地が張ってんな笑



そうして、10分ぐらいして、守里達は見回りを再開できたのであった。




to be continued
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